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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.10618
Kreidberg et al. (2019)
No Evidence for Lunar Transit in New Analysis of HST Observations of the Kepler-1625 System
(ケプラー1625 系のハッブル宇宙望遠鏡観測の新しい解析中に衛星トランジットの証拠は存在しない)
ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果の新しい解析を提供する.この解析では,独立したデータリダクションパイプラインを使用している.
その結果,ケプラー1625 系のトランジット光度曲線は,惑星だけのモデルでよくフィット可能であることを見出した.ベストフィットのカイ二乗検定は 1.01 であった.系外衛星を加えた場合でも光度曲線のフィットの品質は大きくは改善されなかった.
この結果を,Teachey & Kipping (2018) の元々の光度曲線と直接比較した.その結果,観測データへのフィットを行う際に,より少ない自由パラメータ (衛星を含まない) のモデルでより良くフィットできることを見出した.
今回の結果と過去の解析との相違点の考えられる原因について考察を行った,
その結果,先行研究で発見された系外衛星のトランジットシグナルは,データリダクションにおけるアーティファクトであると結論付けられる.この発見は,測定精度の限界を押し上げる結果を確認するためには,独立の解析パイプラインを開発する必要性があることを強調するものである.
arXiv:1904.10618
Kreidberg et al. (2019)
No Evidence for Lunar Transit in New Analysis of HST Observations of the Kepler-1625 System
(ケプラー1625 系のハッブル宇宙望遠鏡観測の新しい解析中に衛星トランジットの証拠は存在しない)
概要
ケプラーとハッブル宇宙望遠鏡を用いたケプラー1625 系の観測では,系外衛星候補天体であるケプラー1625b I の存在が示唆されている.この候補天体は,海王星半径の衛星であり,長周期の木星型惑星の周囲を公転しているとされている.ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果の新しい解析を提供する.この解析では,独立したデータリダクションパイプラインを使用している.
その結果,ケプラー1625 系のトランジット光度曲線は,惑星だけのモデルでよくフィット可能であることを見出した.ベストフィットのカイ二乗検定は 1.01 であった.系外衛星を加えた場合でも光度曲線のフィットの品質は大きくは改善されなかった.
この結果を,Teachey & Kipping (2018) の元々の光度曲線と直接比較した.その結果,観測データへのフィットを行う際に,より少ない自由パラメータ (衛星を含まない) のモデルでより良くフィットできることを見出した.
今回の結果と過去の解析との相違点の考えられる原因について考察を行った,
その結果,先行研究で発見された系外衛星のトランジットシグナルは,データリダクションにおけるアーティファクトであると結論付けられる.この発見は,測定精度の限界を押し上げる結果を確認するためには,独立の解析パイプラインを開発する必要性があることを強調するものである.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.10388
Nielsen et al. (2019)
WASP-169, WASP-171, WASP-175 and WASP-182: One bloated sub-Saturn and three hot Jupiters discovered by WASP-south
(WASP-169, WASP-171, WASP-175 と WASP-182:WASP-South で発見された膨張したサブサターンと 3 つのホットジュピター)
今回発見された惑星のうち 3 つはホットジュピターで,残り一つは膨張したサブサターンである.
惑星の発見と確定に関しては,WASP-South での測光観測の他に,CORALIE,HARPS,EulerCam,TRAPPIST-North と -South,SPECULOOS でフォローアップ観測のデータを用いている.
質量:1.337 太陽質量
半径:2.011 太陽半径
有効温度:6110 K
金属量:[Fe/H] = 0.06
年齢:38.02 億歳
距離:638 pc
半径:1.304 木星半径
軌道周期:5.6114118 日
軌道長半径:0.0681 au
密度:0.249 木星密度
平衡温度:1604 K
中心星 WASP-169 は F8 型の準巨星である.また 7” 離れた位置に暗い天体があることが,Gaia の観測で分かっている.この暗い天体の年周視差は WASP-169 と類似しているが,共動しているようには見えない.
惑星は低密度なため,大気の特徴付けの観測の良い対象である.この惑星の大気スケールハイトの推定値は 1300 km であり,これに対応する大気の透過シグナルは 121 ppm である.この惑星の大気は,将来的にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) で観測可能だろうと考えられる.
質量:1.171 太陽質量
半径:1.637 太陽半径
有効温度:5965 K
金属量:[Fe/H] = 0.04
年齢:59.08 億歳
距離:774 pc
半径:0.98 木星半径
軌道周期:3.7176244 日
軌道長半径:0.05040 au
密度:1.13 木星密度
平衡温度:1642 K
惑星 WASP-171b は典型的なホットジュピターである.
今回の観測で発見された惑星の中では最も平衡温度が高い.
視線速度の観測では,この系内には 3 番目の天体が更に遠方軌道に存在している可能性が指摘されている.その天体の下限質量は 10 木星質量だが,これが亜恒星天体かどうかを制約するにはさらなる観測が必要である.
質量:1.212 太陽質量
半径:1.204 太陽半径
有効温度:6229 K
金属量:[Fe/H] = 0.150
年齢:17.45 億歳
距離:584 pc
半径:1.208 木星半径
軌道周期:3.0652907 日
軌道長半径:0.04403 au
密度:0.56 木星密度
平衡温度:1571 K
WASP-South サーベイで取得されたこの恒星の光度曲線は,7.9” 離れた位置にある恒星によって弱められていた.フォローアップ観測では 2 つの天体は空間的に分解され,それを元に光度曲線のフィッティングも行われている.
この近傍の天体は Gaia のデータでは似た年周視差を持っており共動していると考えられる.そのためこの系は S-type の広い連星軌道にある.伴星との射影した間隔は 4600 AU である.
惑星 WASP-175b は,初めて発見されたトランジット系外惑星である HD 209458b と類似している.また,異常に大きな半径を示すホットジュピターの一員である.
この惑星は低密度であり,大気の特徴付けのための観測の良い対象である.大気スケールハイトの推定値は 620 km であり,これは 150 ppm に相当する.
質量:1.076 太陽質量
半径:1.34 太陽半径
有効温度:5638 K
金属量:[Fe/H] = 0.27
年齢:59.52 億歳
距離:331 pc
半径:0.850 木星半径
軌道周期:3.3769848 日
軌道長半径:0.0451 au
密度:0.240 木星密度
平衡温度:1479 K
惑星 WASP-182b は低密度であり,大気スケールハイトの推定値は 1930 km である.これは 264 ppm に相当する.
この惑星は,質量-軌道周期平面,半径-軌道周期の平面どちらにおいても,惑星の存在個数が少ないサブジュピター砂漠の境界付近に位置している.
arXiv:1904.10388
Nielsen et al. (2019)
WASP-169, WASP-171, WASP-175 and WASP-182: One bloated sub-Saturn and three hot Jupiters discovered by WASP-south
(WASP-169, WASP-171, WASP-175 と WASP-182:WASP-South で発見された膨張したサブサターンと 3 つのホットジュピター)
概要
WASP-South サーベイでの 4 つの巨大惑星の発見について報告する.今回発見された惑星のうち 3 つはホットジュピターで,残り一つは膨張したサブサターンである.
惑星の発見と確定に関しては,WASP-South での測光観測の他に,CORALIE,HARPS,EulerCam,TRAPPIST-North と -South,SPECULOOS でフォローアップ観測のデータを用いている.
パラメータ
WASP-169 系
WASP-169
等級:V = 12.17質量:1.337 太陽質量
半径:2.011 太陽半径
有効温度:6110 K
金属量:[Fe/H] = 0.06
年齢:38.02 億歳
距離:638 pc
WASP-169b
質量:0.561 木星質量半径:1.304 木星半径
軌道周期:5.6114118 日
軌道長半径:0.0681 au
密度:0.249 木星密度
平衡温度:1604 K
WASP-169 系について
WASP-169b は低密度の木星型惑星である.中心星 WASP-169 は F8 型の準巨星である.また 7” 離れた位置に暗い天体があることが,Gaia の観測で分かっている.この暗い天体の年周視差は WASP-169 と類似しているが,共動しているようには見えない.
惑星は低密度なため,大気の特徴付けの観測の良い対象である.この惑星の大気スケールハイトの推定値は 1300 km であり,これに対応する大気の透過シグナルは 121 ppm である.この惑星の大気は,将来的にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) で観測可能だろうと考えられる.
WASP-171 系
WASP-171
等級: V = 13.05質量:1.171 太陽質量
半径:1.637 太陽半径
有効温度:5965 K
金属量:[Fe/H] = 0.04
年齢:59.08 億歳
距離:774 pc
WASP-171b
質量:1.084 木星質量半径:0.98 木星半径
軌道周期:3.7176244 日
軌道長半径:0.05040 au
密度:1.13 木星密度
平衡温度:1642 K
WASP-171 系について
中心星 WASP-171 は G0 星であり,やや進化していると考えられる.惑星 WASP-171b は典型的なホットジュピターである.
今回の観測で発見された惑星の中では最も平衡温度が高い.
視線速度の観測では,この系内には 3 番目の天体が更に遠方軌道に存在している可能性が指摘されている.その天体の下限質量は 10 木星質量だが,これが亜恒星天体かどうかを制約するにはさらなる観測が必要である.
WASP-175 系
WASP-175
等級:V = 12.04質量:1.212 太陽質量
半径:1.204 太陽半径
有効温度:6229 K
金属量:[Fe/H] = 0.150
年齢:17.45 億歳
距離:584 pc
WASP-175b
質量:0.99 木星質量半径:1.208 木星半径
軌道周期:3.0652907 日
軌道長半径:0.04403 au
密度:0.56 木星密度
平衡温度:1571 K
WASP-175 系について
中心星は F7 星であり,金属量は [Fe/H] = 0.150 である.WASP-South サーベイで取得されたこの恒星の光度曲線は,7.9” 離れた位置にある恒星によって弱められていた.フォローアップ観測では 2 つの天体は空間的に分解され,それを元に光度曲線のフィッティングも行われている.
この近傍の天体は Gaia のデータでは似た年周視差を持っており共動していると考えられる.そのためこの系は S-type の広い連星軌道にある.伴星との射影した間隔は 4600 AU である.
惑星 WASP-175b は,初めて発見されたトランジット系外惑星である HD 209458b と類似している.また,異常に大きな半径を示すホットジュピターの一員である.
この惑星は低密度であり,大気の特徴付けのための観測の良い対象である.大気スケールハイトの推定値は 620 km であり,これは 150 ppm に相当する.
WASP-182 系
WASP-182
等級:V = 11.98質量:1.076 太陽質量
半径:1.34 太陽半径
有効温度:5638 K
金属量:[Fe/H] = 0.27
年齢:59.52 億歳
距離:331 pc
WASP-182b
質量:0.148 木星質量半径:0.850 木星半径
軌道周期:3.3769848 日
軌道長半径:0.0451 au
密度:0.240 木星密度
平衡温度:1479 K
WASP-182 系について
中心星 WASP-182 は G5 星で,金属量が多く [Fe/H] = 0.27 である.惑星 WASP-182b は低密度であり,大気スケールハイトの推定値は 1930 km である.これは 264 ppm に相当する.
この惑星は,質量-軌道周期平面,半径-軌道周期の平面どちらにおいても,惑星の存在個数が少ないサブジュピター砂漠の境界付近に位置している.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.08073
Mah & Brasser (2019)
The origin of the cratering asymmetry on Triton
(トリトンにおけるクレーター形成の非対称性の起源)
ここでは,衝突天体の 3 種類の起源によって生成されるクレーター分布の調査を行うため,力学的なアプローチを行った.
トリトンへの衝突天体の起源は,海王星を中心として順行軌道で低軌道傾斜角で公転する衝突天体,不規則衛星のように海王星を中心とする高軌道傾斜角の軌道を持った衝突天体,太陽中心の双曲線軌道にある衝突天体の 3 種類が考えられる.ここでは,衝突の力学を取り入れた N 体シミュレーションを実行した.
その結果,これらの 3 種類の起源のうち,いずれも単独ではトリトンのクレーター分布を再現することができないことが判明した.
海王星中心の低軌道傾斜角の軌道にある衝突天体によってトリトンに形成されるクレーター分布は,トリトンの公転の先行半球に狭く集中する一方,太陽中心の軌道を持つ衝突天体は,観測されているのと比べると多すぎるクレーターを後行半球に生成することが分かった.
モンテカルロ法を用いて,現在のトリトンのクレーターの分布を再現できる衝突天体の混合集団を導出した.その結果,衝突天体が主に太陽中心軌道にあるもので形成されていた場合 (70%),結果として生成される衝突分布はトリトンの先行半球で観測されているクレーター分布をよく再現する.
arXiv:1904.08073
Mah & Brasser (2019)
The origin of the cratering asymmetry on Triton
(トリトンにおけるクレーター形成の非対称性の起源)
概要
トリトンにおけるクレーター形成の非対称性を生成しうる衝突源については現在も議論が続いている.双曲線軌道にある彗星が衝突天体の起源だと考えられている一方で,彗星の衝突によるクレーター分布の理論的な予測は,観測されているトリトンのクレーター分布とは一致しない.ここでは,衝突天体の 3 種類の起源によって生成されるクレーター分布の調査を行うため,力学的なアプローチを行った.
トリトンへの衝突天体の起源は,海王星を中心として順行軌道で低軌道傾斜角で公転する衝突天体,不規則衛星のように海王星を中心とする高軌道傾斜角の軌道を持った衝突天体,太陽中心の双曲線軌道にある衝突天体の 3 種類が考えられる.ここでは,衝突の力学を取り入れた N 体シミュレーションを実行した.
その結果,これらの 3 種類の起源のうち,いずれも単独ではトリトンのクレーター分布を再現することができないことが判明した.
海王星中心の低軌道傾斜角の軌道にある衝突天体によってトリトンに形成されるクレーター分布は,トリトンの公転の先行半球に狭く集中する一方,太陽中心の軌道を持つ衝突天体は,観測されているのと比べると多すぎるクレーターを後行半球に生成することが分かった.
モンテカルロ法を用いて,現在のトリトンのクレーターの分布を再現できる衝突天体の混合集団を導出した.その結果,衝突天体が主に太陽中心軌道にあるもので形成されていた場合 (70%),結果として生成される衝突分布はトリトンの先行半球で観測されているクレーター分布をよく再現する.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.07997
Vines et al. (2019)
NGTS-6b: An Ultra Hot-Jupiter Orbiting a Metal-rich star
(NGTS-6b:金属豊富星を公転するウルトラホットジュピター)
NGTS-6b は軌道周期 21.17 時間で中心星を公転しており,1.330 木星質量,1.271 木星半径である.現在知られている少数のウルトラホットジュピターのポピュレーションと同様に,この惑星も金属量が豊富な恒星を公転している ([Fe/H] = 0.11 ± 0.09).
光蒸発モデルは,惑星系の 96 億年にわたる進化の間に,惑星大気の 5% を失うことを示唆している.
この惑星は,少数だが発見数が増えている超短周期巨大ガス惑星の仲間であり,このような惑星の形成と進化メカニズムを支配している過程の理解を助けるものである.
有効温度:4410 K
金属量:[Fe/H] = 0.11
質量:0.7876 太陽質量
半径:0.656 太陽半径
年齢:96 億歳
距離:311.042 pc
質量:1.330 木星質量
半径:1.271 木星半径
密度:0.805 g cm-3
軌道長半径:0.016623018 AU
これまでに発見されている超短周期惑星の数は少なく,またそのうち巨大惑星は 6 個のみである.超短周期惑星の中で 8 地球半径より大きいものは,WASP-18b,WASP-43b,WASP-103b,HATS-18b,KELT-16b,WASP-19b である.NGTS-6b のパラメータは既知のウルトラホットジュピターの集団の中心付近に位置しており,これが独立した惑星の集団であることに重み付けを与える.
地上観測ではこのような系を発見するのは難しい.これは視線速度法でもトランジット法でも.夜ごとの窓関数の問題に影響を受けるためである.またこのような惑星の形成メカニズムでは,小さい惑星がより多く形成されるように思われ,そのため視線速度とトランジットでのシグナルも小さいものとなり,検出が難しい.
しかしプラスの側面として,他のバイアスはこれらの惑星検出手法に有利に働く.
ある惑星系での視線速度の振幅は惑星の軌道周期が小さくなるに伴って大きくなり,またトランジットの確率とトランジットの頻度も上昇する.実際,小さい超短周期のスーパーアース (2 地球半径以下) は大きな惑星よりも 5 倍程度一般的な存在であるが (Winn et al. 2018),地上からの測光サーベイで検出され視線速度測定で確認されたものは,大部分がホットジュピターである.これらのホットスーパーアースとホットジュピターの 2 つの極端な集団の間はあまり分かっていない.
初めてのウルトラホットジュピター (軌道周期 1 日以下の巨大ガス惑星) WASP-19b (Hebb et al. 2010) の発見により,なぜこの惑星がガスのエンベロープの大部分を失っていないのかの説明が欠けていることがその力学的な進化の歴史に強い制約を与えるため,これらのモデルの深い理解に繋がった (Essicj & Weinberg 2015).ウルトラホットジュピターのその後の発見および今後の発見は,近接惑星の形成と進化に重大な制約を与えている.
arXiv:1904.07997
Vines et al. (2019)
NGTS-6b: An Ultra Hot-Jupiter Orbiting a Metal-rich star
(NGTS-6b:金属豊富星を公転するウルトラホットジュピター)
概要
Next Generation Transit Survey (NGTS) での新しいウルトラホットジュピターの発見を報告する.NGTS-6b は軌道周期 21.17 時間で中心星を公転しており,1.330 木星質量,1.271 木星半径である.現在知られている少数のウルトラホットジュピターのポピュレーションと同様に,この惑星も金属量が豊富な恒星を公転している ([Fe/H] = 0.11 ± 0.09).
光蒸発モデルは,惑星系の 96 億年にわたる進化の間に,惑星大気の 5% を失うことを示唆している.
この惑星は,少数だが発見数が増えている超短周期巨大ガス惑星の仲間であり,このような惑星の形成と進化メカニズムを支配している過程の理解を助けるものである.
パラメータ
NGTS-6
等級:V = 14.087有効温度:4410 K
金属量:[Fe/H] = 0.11
質量:0.7876 太陽質量
半径:0.656 太陽半径
年齢:96 億歳
距離:311.042 pc
NGTS-6b
軌道周期:0.882058 日質量:1.330 木星質量
半径:1.271 木星半径
密度:0.805 g cm-3
軌道長半径:0.016623018 AU
NGTS-6b について
NGTS-6b は,中心星をかすめるようなトランジット (grazing transit) を起こしている.また NGTS で発見された初めてのウルトラホットジュピターである.これまでに発見されている超短周期惑星の数は少なく,またそのうち巨大惑星は 6 個のみである.超短周期惑星の中で 8 地球半径より大きいものは,WASP-18b,WASP-43b,WASP-103b,HATS-18b,KELT-16b,WASP-19b である.NGTS-6b のパラメータは既知のウルトラホットジュピターの集団の中心付近に位置しており,これが独立した惑星の集団であることに重み付けを与える.
超短周期惑星について
超短周期惑星の検出バイアス
超短周期惑星は軌道周期が 1 日未満と短く,中心星に極めて近い軌道を公転する惑星である.大部分は宇宙空間の装置,特に CoRoT とケプラーによる観測で発見されており,それらは物理サイズと質量が小さく,従って大きな密度を持つ惑星である.地上観測ではこのような系を発見するのは難しい.これは視線速度法でもトランジット法でも.夜ごとの窓関数の問題に影響を受けるためである.またこのような惑星の形成メカニズムでは,小さい惑星がより多く形成されるように思われ,そのため視線速度とトランジットでのシグナルも小さいものとなり,検出が難しい.
しかしプラスの側面として,他のバイアスはこれらの惑星検出手法に有利に働く.
ある惑星系での視線速度の振幅は惑星の軌道周期が小さくなるに伴って大きくなり,またトランジットの確率とトランジットの頻度も上昇する.実際,小さい超短周期のスーパーアース (2 地球半径以下) は大きな惑星よりも 5 倍程度一般的な存在であるが (Winn et al. 2018),地上からの測光サーベイで検出され視線速度測定で確認されたものは,大部分がホットジュピターである.これらのホットスーパーアースとホットジュピターの 2 つの極端な集団の間はあまり分かっていない.
形成モデル
超短周期惑星の集団の形成モデルは,移動するより重い惑星の光蒸発かロッシュローブオーバーフローを考慮している.これはガス惑星からガスのエンベロープを引き剥がす過程である (Valsecchi et al. 2014など).この惑星の移動は,円盤移動 (Mandell et al. 2007など) でも力学的相互作用 (Fabrycky & Tremaine 2007) でも起きうる.またその場形成の寄与もあるかもしれない (Chiang & Laughlin 2013).初めてのウルトラホットジュピター (軌道周期 1 日以下の巨大ガス惑星) WASP-19b (Hebb et al. 2010) の発見により,なぜこの惑星がガスのエンベロープの大部分を失っていないのかの説明が欠けていることがその力学的な進化の歴史に強い制約を与えるため,これらのモデルの深い理解に繋がった (Essicj & Weinberg 2015).ウルトラホットジュピターのその後の発見および今後の発見は,近接惑星の形成と進化に重大な制約を与えている.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1904.07255
Orosz et al. (2019)
Discovery of a Third Transiting Planet in the Kepler-47 Circumbinary System
(ケプラー47 周連星系での 3 番目のトランジット惑星の発見)
ケプラー47b (“inner planet”,内側の惑星) は 49.5 日周期で 3 地球半径,ケプラー47c (“outer planet”,外側の惑星) は 303.2 日周期で 4.7 地球半径である.
ここでは 3 番目の惑星 ケプラー47d (“middle planet”,中間の惑星) の発見を報告する.ケプラー47d は,軌道周期 187.4 日,7 地球半径である.
ケプラー47 系に中間の惑星が存在することで,これらの 3 惑星に対してより良い質量の制約を与えることが出来る.推定される質量は,1σ の範囲で,内側から 26 地球質量,7-43 地球質量,2-5 地球質量である.中間と外側の惑星は低密度で,それぞれ 0.68 g cm-3 未満と 0.26 g cm-3 未満である.
2 つの外側の惑星の軌道配置は “tightly packed” であり,一般的な惑星質量を想定した場合,その間の領域には安定な軌道を持つの他の惑星は存在できないと考えられる.
3 つの惑星の軌道は全て低軌道離心率で,ほほぼ同一平面上に存在する.そのため破壊的な惑星散乱を経て形成されたというシナリオには否定的で,原始惑星系円盤内での穏やかな移動を経た形成シナリオが好ましい.
arXiv:1904.07255
Orosz et al. (2019)
Discovery of a Third Transiting Planet in the Kepler-47 Circumbinary System
(ケプラー47 周連星系での 3 番目のトランジット惑星の発見)
概要
トランジットする周連星惑星系はこれまでに 9 つが確認されており,そのうちケプラー47 系のみが複数の惑星を持つことが分かっている.ケプラー47b (“inner planet”,内側の惑星) は 49.5 日周期で 3 地球半径,ケプラー47c (“outer planet”,外側の惑星) は 303.2 日周期で 4.7 地球半径である.
ここでは 3 番目の惑星 ケプラー47d (“middle planet”,中間の惑星) の発見を報告する.ケプラー47d は,軌道周期 187.4 日,7 地球半径である.
ケプラー47 系に中間の惑星が存在することで,これらの 3 惑星に対してより良い質量の制約を与えることが出来る.推定される質量は,1σ の範囲で,内側から 26 地球質量,7-43 地球質量,2-5 地球質量である.中間と外側の惑星は低密度で,それぞれ 0.68 g cm-3 未満と 0.26 g cm-3 未満である.
2 つの外側の惑星の軌道配置は “tightly packed” であり,一般的な惑星質量を想定した場合,その間の領域には安定な軌道を持つの他の惑星は存在できないと考えられる.
3 つの惑星の軌道は全て低軌道離心率で,ほほぼ同一平面上に存在する.そのため破壊的な惑星散乱を経て形成されたというシナリオには否定的で,原始惑星系円盤内での穏やかな移動を経た形成シナリオが好ましい.
天文・宇宙物理関連メモ vol.1013 Teachey & Kipping (2018) 系外衛星候補 ケプラー1625b-i のハッブル宇宙望遠鏡による観測結果