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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.01935
Trifonov et al. (2019)
Two Jovian planets around the giant star HD202696. A growing population of packed massive planetary pairs around massive stars?
(巨星 HD 202695 まわりの 2 つの木星型惑星:重い恒星まわりの固まって存在する重い惑星ペア個数の増大?)
HIRES による視線速度測定の公開データ中から発見した.視線速度データは Keck Observatory で 2007 年 7 月 - 2014 年 9 月の間に取得されたものである.
恒星質量は 1.91 太陽質量と推定され,ヘルツシュプルング・ラッセル図における赤色巨星分枝の下端部分に近い.
視線速度データの 2 惑星自己無撞着力学モデリングの MCMC スキームと,長期間の軌道安定性試験から,2 つの惑星の周期はそれぞれ 517.8 日と 946.6 日と推定される.また軌道離心率は 0.011 と 0.028 ,最小力学的質量は 2.00 木星質量と 1.86 木星質量である.
惑星の軌道配置は,平均軌道周期の比が 11:6 に近く,低軌道離心率の高次の平均運動尽数関係に近い関係にある.数値シミュレーションからは,安定な軌道配置の解の大部分で,2 つの惑星の軌道遠点が揃っているか,もしくは逆方向かの配置で秤動しているという解 (\(\Delta\omega\) が 0° か 180° の周囲を秤動) が得られた.そのためこの系は,高次の 11:6 平均運動共鳴に近い永年摂動が支配的であることが示唆される.
また,この系は 2:1 平均運動共鳴よりも小さい周期比を持った 2 つの木星質量惑星が中間質量の恒星を公転する系でもある.従って,2 つの惑星が強い 2:1 平均運動共鳴を破ってさらにコンパクトな軌道配置に収まるために必要な初期の円盤・惑星の特性を明らかにする可能性があるという点において,この系の発見は重要である.
スペクトル型:K0III-IV
半径:6.43 太陽半径
距離:188.5 pc
質量;1.91 太陽質量
光度:23.4 太陽光度
年齢:13.2 億歳
有効温度:5040 K
軌道離心率:0.011
軌道長半径;1.566 AU
質量:1.966 木星質量
軌道離心率:0.028
軌道長半径:2.342 AU
質量:1.864 木星質量
arXiv:1901.01935
Trifonov et al. (2019)
Two Jovian planets around the giant star HD202696. A growing population of packed massive planetary pairs around massive stars?
(巨星 HD 202695 まわりの 2 つの木星型惑星:重い恒星まわりの固まって存在する重い惑星ペア個数の増大?)
概要
HD 202696 (別名:HIP 105056, BD +26 4118) まわりの 2 つの惑星の発見について報告する.HIRES による視線速度測定の公開データ中から発見した.視線速度データは Keck Observatory で 2007 年 7 月 - 2014 年 9 月の間に取得されたものである.
恒星質量は 1.91 太陽質量と推定され,ヘルツシュプルング・ラッセル図における赤色巨星分枝の下端部分に近い.
視線速度データの 2 惑星自己無撞着力学モデリングの MCMC スキームと,長期間の軌道安定性試験から,2 つの惑星の周期はそれぞれ 517.8 日と 946.6 日と推定される.また軌道離心率は 0.011 と 0.028 ,最小力学的質量は 2.00 木星質量と 1.86 木星質量である.
惑星の軌道配置は,平均軌道周期の比が 11:6 に近く,低軌道離心率の高次の平均運動尽数関係に近い関係にある.数値シミュレーションからは,安定な軌道配置の解の大部分で,2 つの惑星の軌道遠点が揃っているか,もしくは逆方向かの配置で秤動しているという解 (\(\Delta\omega\) が 0° か 180° の周囲を秤動) が得られた.そのためこの系は,高次の 11:6 平均運動共鳴に近い永年摂動が支配的であることが示唆される.
また,この系は 2:1 平均運動共鳴よりも小さい周期比を持った 2 つの木星質量惑星が中間質量の恒星を公転する系でもある.従って,2 つの惑星が強い 2:1 平均運動共鳴を破ってさらにコンパクトな軌道配置に収まるために必要な初期の円盤・惑星の特性を明らかにする可能性があるという点において,この系の発見は重要である.
パラメータ
HD 202696
別名:HIP 105056,BD +26 4118スペクトル型:K0III-IV
半径:6.43 太陽半径
距離:188.5 pc
質量;1.91 太陽質量
光度:23.4 太陽光度
年齢:13.2 億歳
有効温度:5040 K
HD 202696b
軌道周期:517.8 日軌道離心率:0.011
軌道長半径;1.566 AU
質量:1.966 木星質量
HD 202696c
軌道周期:946.6 日軌道離心率:0.028
軌道長半径:2.342 AU
質量:1.864 木星質量
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.00508
Forbes & Loeb (2019)
Turning up the heat on `Oumuamua
(オウムアムアへのプレッシャーを強める)
このような天体は推定で 30 年に 1 個のペースで太陽に衝突していることを見出した.また毎年 2 個が水星の軌道を横切っている.
ここでは,太陽系外天体が取るであろう軌道について特定し,このような軌道配置を持つ既知の太陽系内天体が存在する事を指摘する.簡単なベイス解析を用いて,ピックアップした複数天体のうち少なくともどれか 1 つに,どれかは特定できないものの,太陽系外に起源を持つ天体であると予測できる.
arXiv:1901.00508
Forbes & Loeb (2019)
Turning up the heat on `Oumuamua
(オウムアムアへのプレッシャーを強める)
概要
オウムアムアのような太陽系外に起源を持つ小天体と,太陽との近接遭遇から得られる情報について調査を行った.このような近接遭遇からは,オウムアムアのような天体のバルク組成と,場合によってはその起源についての強い制約を得ることができる.このような天体は推定で 30 年に 1 個のペースで太陽に衝突していることを見出した.また毎年 2 個が水星の軌道を横切っている.
ここでは,太陽系外天体が取るであろう軌道について特定し,このような軌道配置を持つ既知の太陽系内天体が存在する事を指摘する.簡単なベイス解析を用いて,ピックアップした複数天体のうち少なくともどれか 1 つに,どれかは特定できないものの,太陽系外に起源を持つ天体であると予測できる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.00051
Dragomir et al. (2019)
The Longest Period TESS Planet Yet: A Sub-Neptune Transiting A Bright, Nearby K Dwarf Star
(これまでで最も長周期な TESS 惑星:明るい,近傍の K 矮星をトランジットするサブネプチューン)
現在までに確定している TESS で発見された惑星の中では最も長周期であり,「質量が測定された 4 地球半径よりも小さいトランジット惑星を 50 個発見する」という TESS Level 1 Science Requirement に貢献する発見となった.
また,さらなる系外惑星候補天体 TOI 186.02 の検出についても報告する.こちらは惑星だと解釈すると軌道周期は 7.8 日である.もし存在が確定すれば,これは TESS によって発見された初めての地球サイズの惑星になる.
質量:0.73 太陽質量
半径:0.695 太陽半径
光度:0.20597 太陽光度
有効温度:4640 K
金属量:[Fe/H] ~ 0.003
軌道離心率:0.198
軌道長半径:0.1914 AU
半径:2.836 地球半径
平衡温度:423 K
質量:23.20 地球質量
密度:5.7 g cm-3
軌道長半径:0.0695 AU
半径:0.9236 地球半径
平衡温度:703 K
質量:0.7945 地球質量
密度:5.3 g cm-3
arXiv:1901.00051
Dragomir et al. (2019)
The Longest Period TESS Planet Yet: A Sub-Neptune Transiting A Bright, Nearby K Dwarf Star
(これまでで最も長周期な TESS 惑星:明るい,近傍の K 矮星をトランジットするサブネプチューン)
概要
TESS の観測データから,新しい系外惑星 HD 21749b (TOI 186.01) を発見したことについて報告する.太陽系近傍の明るい (V = 8.1) K4.5 矮星を公転するサブネプチューンで,わずか 16 pc 先にある.TESS の観測からは惑星は 2.84 地球半径であることが判明し,またアーカイブデータおよび精密な視線速度観測からは,惑星質量は 23.20 地球質量と測定された.現在までに確定している TESS で発見された惑星の中では最も長周期であり,「質量が測定された 4 地球半径よりも小さいトランジット惑星を 50 個発見する」という TESS Level 1 Science Requirement に貢献する発見となった.
また,さらなる系外惑星候補天体 TOI 186.02 の検出についても報告する.こちらは惑星だと解釈すると軌道周期は 7.8 日である.もし存在が確定すれば,これは TESS によって発見された初めての地球サイズの惑星になる.
パラメータ
HD 21749
距離:16.33 pc質量:0.73 太陽質量
半径:0.695 太陽半径
光度:0.20597 太陽光度
有効温度:4640 K
金属量:[Fe/H] ~ 0.003
HD 21749b
軌道周期:35.6077 日軌道離心率:0.198
軌道長半径:0.1914 AU
半径:2.836 地球半径
平衡温度:423 K
質量:23.20 地球質量
密度:5.7 g cm-3
TOI 186.02 (惑星候補)
軌道周期:7.78798 日軌道長半径:0.0695 AU
半径:0.9236 地球半径
平衡温度:703 K
質量:0.7945 地球質量
密度:5.3 g cm-3
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.00086
Sparks et al. (2019)
A Search for Water Vapor Plumes on Europa using SOFIA
(SOFIA を用いたエウロパにおける水蒸気噴出の探査)
観測結果から噴出する水の質量への制限を導出する過程は,上記の振動-回転輝線の回転温度に依存する.回転温度が低い場合,推定される水の質量は過去のハッブル宇宙望遠鏡でのプリューム観測から示唆される水質量を下回る.高い温度の場合,制限は同程度になる.
また,SOFIA での観測に近い時間帯におけるハッブル宇宙望遠鏡でのエウロパのトランジット観測結果についても報告する.
ハッブル宇宙望遠鏡で取得された画像の一つでは,Pwyll クレーターの北で過去に水の特徴が得られていた領域付近に同じく水の特徴の証拠が見られたが,SOFIA/EXES の観測ではその領域は観測可能ではなかった.
SOFIA で観測を行った時間に,水蒸気のプリュームがハッブル宇宙望遠鏡の過去の観測で示唆されているのと同じ強度で活動していた場合,地球の大気と幾何学的条件の元で,EXES を用いて検出できたはずだと結論付けた.しかし実際には,赤外線波長での水の振動-回転輝線は検出されなかった.
arXiv:1901.00086
Sparks et al. (2019)
A Search for Water Vapor Plumes on Europa using SOFIA
(SOFIA を用いたエウロパにおける水蒸気噴出の探査)
概要
木星の衛星エウロパの表面から噴出するプリューム中の水蒸気の直接的な証拠を探るため,SOFIA/EXES を用いたエウロパの中間赤外線観測を行った.この観測から,水分子の振動-回転輝線の強度に対して有用な上限値を定量的に与えることを目指した.観測結果から噴出する水の質量への制限を導出する過程は,上記の振動-回転輝線の回転温度に依存する.回転温度が低い場合,推定される水の質量は過去のハッブル宇宙望遠鏡でのプリューム観測から示唆される水質量を下回る.高い温度の場合,制限は同程度になる.
また,SOFIA での観測に近い時間帯におけるハッブル宇宙望遠鏡でのエウロパのトランジット観測結果についても報告する.
ハッブル宇宙望遠鏡で取得された画像の一つでは,Pwyll クレーターの北で過去に水の特徴が得られていた領域付近に同じく水の特徴の証拠が見られたが,SOFIA/EXES の観測ではその領域は観測可能ではなかった.
SOFIA で観測を行った時間に,水蒸気のプリュームがハッブル宇宙望遠鏡の過去の観測で示唆されているのと同じ強度で活動していた場合,地球の大気と幾何学的条件の元で,EXES を用いて検出できたはずだと結論付けた.しかし実際には,赤外線波長での水の振動-回転輝線は検出されなかった.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1812.11334
Vavilov & Medvedev (2019)
Dust bombardment can explain the extremely elongated shape of 1I/'Oumuamua and the lack of interstellar objects
(ダストの爆撃がオウムアムアの非常に細長い形状と恒星間天体の欠乏を説明する)
この天体の光度曲線の振幅から,この天体は非常に細長い形状をしており,軸比が少なくとも 5:1 であることが示唆されている.太陽系内にはこのような細長い天体は発見されておらず,また恒星間天体の発見数が少ないように思えることも興味深い問題である.
ここでは,オウムアムアはかつては 500 × 300 m のサイズのやや細長い小惑星であった可能性について示す.恒星間空間のダストの衝突によって引き起こされる天体表面の侵食によって,天体の軸比は上昇する.
シンプルに,恒星間天体が星間物質中を 3000 万年 - 20 億年の間動いていたと考えると,ダストの衝突によってオウムアムアを現在の形状にすることができる.粒子の密度が 10-23 g cm-3 のダスト雲を 50 km/s で 10 pc にわたって天体が通過した場合も,オウムアムアの形状に対して同じ効果を与える.
直径が 100 メートルより小さい天体が破壊されずに銀河円盤内を運動できる期間は,わずか 3000 万年である.このことは,恒星間天体が今日まで少数しか発見されていないことを説明する可能性がある.
arXiv:1812.11334
Vavilov & Medvedev (2019)
Dust bombardment can explain the extremely elongated shape of 1I/'Oumuamua and the lack of interstellar objects
(ダストの爆撃がオウムアムアの非常に細長い形状と恒星間天体の欠乏を説明する)
概要
オウムアムアは初めて観測された恒星間天体である.この天体の光度曲線の振幅から,この天体は非常に細長い形状をしており,軸比が少なくとも 5:1 であることが示唆されている.太陽系内にはこのような細長い天体は発見されておらず,また恒星間天体の発見数が少ないように思えることも興味深い問題である.
ここでは,オウムアムアはかつては 500 × 300 m のサイズのやや細長い小惑星であった可能性について示す.恒星間空間のダストの衝突によって引き起こされる天体表面の侵食によって,天体の軸比は上昇する.
シンプルに,恒星間天体が星間物質中を 3000 万年 - 20 億年の間動いていたと考えると,ダストの衝突によってオウムアムアを現在の形状にすることができる.粒子の密度が 10-23 g cm-3 のダスト雲を 50 km/s で 10 pc にわたって天体が通過した場合も,オウムアムアの形状に対して同じ効果を与える.
直径が 100 メートルより小さい天体が破壊されずに銀河円盤内を運動できる期間は,わずか 3000 万年である.このことは,恒星間天体が今日まで少数しか発見されていないことを説明する可能性がある.