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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:2002.02280
Wafflard-Fernandez & Baruteau (2020)
Intermittent planet migration and the formation of multiple dust rings and gaps in protoplanetary disks
(原始惑星系円盤内での間欠的な惑星移動と複数のダストリングの形成)
原始惑星系円盤内のダストとガスの力学に対する惑星の影響を研究するモデルの大部分は,惑星が固定された軌道に入っていることを仮定している.ここでは,単一の惑星の大規模な内側移動が,どのように重い円盤のダストの量に影響を与えるかについて調査を行った.
多くの状況で,部分的なギャップを形成する土星程度の質量の惑星は,間欠的に逃走的な軌道移動を起こす.二次元のガスとダストの流体力学シミュレーションから,このような間欠的な逃走的移動は,円盤に複数のダストのリングとギャップを形成することを示す.各時間で惑星の移動は減速し,圧力極大は惑星のギャップを超えた場所に形成され,この領域に大きなダストを捕獲する.
シミュレーション結果を後処理して三次元ダスト輻射輸送計算を行い,惑星の間欠的な逃走的移動は,惑星の場所より外においてミリ波・サブミリ波での連続波放射での複数の明るいリングと暗いリングの組み合わせを形成しうることを確認した.
arXiv:2002.02280
Wafflard-Fernandez & Baruteau (2020)
Intermittent planet migration and the formation of multiple dust rings and gaps in protoplanetary disks
(原始惑星系円盤内での間欠的な惑星移動と複数のダストリングの形成)
概要
原始惑星系円盤と惑星形成のモデル化では,明るいリングと暗いリングや構造の非対称性などの観測されている円盤の構造と,これらの構造を引き起こしていると想定される惑星との間を繋ぐことが重要である.観測で N 個の暗いリングが観測された場合はしばしば,N 個の惑星が存在しているもの解釈され,それらの軌道にダストのギャップを形成し,周囲にダストを捕獲する圧力極大を形成すると考えられる.原始惑星系円盤内のダストとガスの力学に対する惑星の影響を研究するモデルの大部分は,惑星が固定された軌道に入っていることを仮定している.ここでは,単一の惑星の大規模な内側移動が,どのように重い円盤のダストの量に影響を与えるかについて調査を行った.
多くの状況で,部分的なギャップを形成する土星程度の質量の惑星は,間欠的に逃走的な軌道移動を起こす.二次元のガスとダストの流体力学シミュレーションから,このような間欠的な逃走的移動は,円盤に複数のダストのリングとギャップを形成することを示す.各時間で惑星の移動は減速し,圧力極大は惑星のギャップを超えた場所に形成され,この領域に大きなダストを捕獲する.
シミュレーション結果を後処理して三次元ダスト輻射輸送計算を行い,惑星の間欠的な逃走的移動は,惑星の場所より外においてミリ波・サブミリ波での連続波放射での複数の明るいリングと暗いリングの組み合わせを形成しうることを確認した.
背景
ALMA による電波観測では,原始惑星系円盤内に構造が発見されている.観測されている円盤の 40% (12/32) が非対称なリングとギャップ構造を持つ (Long et al. 2018).また DSHARP による結果では,30% (12/42) が単一のリングを持ち,70% (30/42) が複数リングを持つ.これは現在の観測の分解能における分類であり,より良い分解能での観測では更なる構造が発見される可能性がある.PR
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:2002.01755
Hidalgo et al. (2020)
Three planets transiting the evolved star EPIC 249893012: a hot 8.8-M⊕ super-Earth and two warm 14.7 and 10.2-M⊕sub-Neptunes
(進化した恒星 EPIC 249893012 をトランジットする 3 つの惑星:高温な 8.8 地球質量スーパーアースと温暖な 14.7 と 10.2 地球質量のサブネプチューン)
ケプラー K2 ミッションの Campaign 15 での測光観測と,IRCS の補償光学撮像,HARPS,HARPS-N,CARMENES の高分散視線速度測定から,惑星系の存在を確認した.また恒星パラメータを測定し,3 惑星の半径,質量,密度を測定した.
最も内側の惑星 EPIC 249893012b は,軌道周期 3.5949 日,8.75 地球質量,1.95 地球半径である.平均密度は 6.39 g cm-3 で,ニッケル・鉄コアに岩石マントルを持つ構造と整合的な密度である.
EPIC 249893012c と d は軌道周期が 15.624 日と 35.747 日で,14.67 地球質量,3.57 地球半径,および 10.18 地球質量,3.94 地球半径で,平均密度はそれぞれ 1.62, 0.91 g cm-3 である.
EPIC 249893012b の半径は岩石惑星とガス惑星の遷移領域にあるが,その密度は岩石組成と整合的である.小さい軌道長半径と,それに対応する光蒸発にさらされてきたため,現在の密度になった可能性がある.対照的に,EPIC 249893012c と d の密度と軌道長半径は,非常に厚い大気が存在することを示唆している.
主系列を離れたばかりのやや進化した恒星まわりにあるというこの惑星系の特異性は,力学的な観点からのさらなる研究の良い対象である.
有効温度:5430 K
金属量:[Fe/H] = 0.20
質量:1.05 太陽質量
半径:1.71 太陽半径
光度:2.26 太陽光度
年齢:90 億歳
半径:1.95 地球半径
質量:8.75 地球質量
密度:6.39 g cm-3
軌道長半径:0.047 AU
軌道離心率:0.06
平衡温度:1616 K
日射量:地球の 1037 倍
半径:3.67 地球半径
質量:14.67 地球質量
密度:1.62 g cm-3
軌道長半径:0.13 AU
軌道離心率:0.07
平衡温度:990 K
日射量:地球の 160 倍
半径:3.94 地球半径
質量:10.18 地球質量
密度:0.91 g cm-3
軌道長半径:0.22 AU
軌道離心率:0.15
平衡温度:752 K
日射量:地球の 53 倍
arXiv:2002.01755
Hidalgo et al. (2020)
Three planets transiting the evolved star EPIC 249893012: a hot 8.8-M⊕ super-Earth and two warm 14.7 and 10.2-M⊕sub-Neptunes
(進化した恒星 EPIC 249893012 をトランジットする 3 つの惑星:高温な 8.8 地球質量スーパーアースと温暖な 14.7 と 10.2 地球質量のサブネプチューン)
概要
EPIC 249893012 まわりの新しい惑星系の発見を報告する.この恒星は 3 つのトランジット惑星を持ち,1 つがスーパーアース,2 つがサブネプチューンである.中心星は 1.05 太陽質量,1.71 太陽半径であり,有効温度が 5430 K のスペクトル型 G8IV-V の進化した恒星である.この恒星は主系列を離れ始めたばかりである.ケプラー K2 ミッションの Campaign 15 での測光観測と,IRCS の補償光学撮像,HARPS,HARPS-N,CARMENES の高分散視線速度測定から,惑星系の存在を確認した.また恒星パラメータを測定し,3 惑星の半径,質量,密度を測定した.
最も内側の惑星 EPIC 249893012b は,軌道周期 3.5949 日,8.75 地球質量,1.95 地球半径である.平均密度は 6.39 g cm-3 で,ニッケル・鉄コアに岩石マントルを持つ構造と整合的な密度である.
EPIC 249893012c と d は軌道周期が 15.624 日と 35.747 日で,14.67 地球質量,3.57 地球半径,および 10.18 地球質量,3.94 地球半径で,平均密度はそれぞれ 1.62, 0.91 g cm-3 である.
EPIC 249893012b の半径は岩石惑星とガス惑星の遷移領域にあるが,その密度は岩石組成と整合的である.小さい軌道長半径と,それに対応する光蒸発にさらされてきたため,現在の密度になった可能性がある.対照的に,EPIC 249893012c と d の密度と軌道長半径は,非常に厚い大気が存在することを示唆している.
主系列を離れたばかりのやや進化した恒星まわりにあるというこの惑星系の特異性は,力学的な観点からのさらなる研究の良い対象である.
パラメータ
EPIC 249893012
スペクトル型:G8 IV/V有効温度:5430 K
金属量:[Fe/H] = 0.20
質量:1.05 太陽質量
半径:1.71 太陽半径
光度:2.26 太陽光度
年齢:90 億歳
EPIC 249893012b
軌道周期:3.5951 日半径:1.95 地球半径
質量:8.75 地球質量
密度:6.39 g cm-3
軌道長半径:0.047 AU
軌道離心率:0.06
平衡温度:1616 K
日射量:地球の 1037 倍
EPIC 249893012c
軌道周期:15.624 日半径:3.67 地球半径
質量:14.67 地球質量
密度:1.62 g cm-3
軌道長半径:0.13 AU
軌道離心率:0.07
平衡温度:990 K
日射量:地球の 160 倍
EPIC 249893012d
軌道周期:35.747 日半径:3.94 地球半径
質量:10.18 地球質量
密度:0.91 g cm-3
軌道長半径:0.22 AU
軌道離心率:0.15
平衡温度:752 K
日射量:地球の 53 倍
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:2002.01772
Stock et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Characterization of the nearby ultra-compact multiplanetary system YZ Ceti
(M 矮星周りの CARMENES による系外惑星探査.近傍の非常にコンパクトな複数惑星系くじら座 YZ 星の特徴付け)
これらの惑星の軌道周期に関しては,過去の研究で議論が続いている.これは検出された視線速度データに強いエイリアスが存在するためであり,さらに中心星の M 型矮星の恒星活動も惑星のパラメータを導出するのを大きく妨げている.
ここでは惑星の発見報告以降に得られた 229 セットのさらなる視線速度測定から,この系を解析してエイリアスの問題を解決した.データ中のエイリアスを解くため,ベイズ統計の枠組みと,Dawson & Fabrycky の手法に基づいた周期シミュレーションの比較モデルを使用した.視線速度中のさらなるシグナルについて議論し,恒星活動をガウス過程回帰モデルを用いて同時にモデル化して惑星パラメータを導出した.さらに,惑星のパラメータをさらに制約するため,ケプラー運動フィットの組の安定性解析も実行した.
その結果,過去に報告されていた 4 番目の天体の証拠は得られなかった.過去のデータに見られたエイリアスの問題は解決し,3 惑星の軌道周期はそれぞれ 2,02,3.06,4.66 日である.
また恒星の自転に起因するシグナルが惑星パラメータの導出に与える影響について調査を行った.特に,最も内側の惑星の軌道離心率に与える影響について調査した.
測光観測を用いて,恒星の自転周期を 68 日程度と決定した,またこのシグナルは,3 惑星の視線速度データとスペクトル活動指数からの残差のシグナル中にも検出された.
安定性解析から,惑星が同一平面上の軌道にあるという仮定の元で,軌道傾斜角の下限値を 0.9° と制約した.TESS では惑星のトランジットイベントが検出されていないことから,上限値は 87.43° と導出される.
くじら座 YZ 星は,系外惑星の軌道周期の決定が観測データの強いエイリアスによって阻害されている主要な例である.さらに,恒星活動が惑星のパラメータの導出に影響を及ぼすため,それらを正しくモデル化することが,この特定のコンパクトな系において軌道パラメータの信頼できる推定を行うのに重要である.
2019 年 7 月の時点では,665 個の複数惑星系が発見されている.このうち 148 個が精密なドップラー分光観測によって検出されている.これらのうち,0.3 太陽質量より軽い恒星周りでの発見例は 11 個のみである.
Astudillo-Defru et al. (2017) でこの恒星の周りに複数の惑星が発見された.視線速度のシグナルが小さく,スペクトルの観測ウィンドウの影響もあり,この系の視線速度データは強いエイリアスの影響を受けている.
arXiv:2002.01772
Stock et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Characterization of the nearby ultra-compact multiplanetary system YZ Ceti
(M 矮星周りの CARMENES による系外惑星探査.近傍の非常にコンパクトな複数惑星系くじら座 YZ 星の特徴付け)
概要
YZ Ceti (くじら座 YZ 星) は近傍の超コンパクトな複数惑星系で,少なくとも 3 つの惑星を持ち,4 番目の惑星候補シグナルが報告されている.これらの惑星の軌道周期に関しては,過去の研究で議論が続いている.これは検出された視線速度データに強いエイリアスが存在するためであり,さらに中心星の M 型矮星の恒星活動も惑星のパラメータを導出するのを大きく妨げている.
ここでは惑星の発見報告以降に得られた 229 セットのさらなる視線速度測定から,この系を解析してエイリアスの問題を解決した.データ中のエイリアスを解くため,ベイズ統計の枠組みと,Dawson & Fabrycky の手法に基づいた周期シミュレーションの比較モデルを使用した.視線速度中のさらなるシグナルについて議論し,恒星活動をガウス過程回帰モデルを用いて同時にモデル化して惑星パラメータを導出した.さらに,惑星のパラメータをさらに制約するため,ケプラー運動フィットの組の安定性解析も実行した.
その結果,過去に報告されていた 4 番目の天体の証拠は得られなかった.過去のデータに見られたエイリアスの問題は解決し,3 惑星の軌道周期はそれぞれ 2,02,3.06,4.66 日である.
また恒星の自転に起因するシグナルが惑星パラメータの導出に与える影響について調査を行った.特に,最も内側の惑星の軌道離心率に与える影響について調査した.
測光観測を用いて,恒星の自転周期を 68 日程度と決定した,またこのシグナルは,3 惑星の視線速度データとスペクトル活動指数からの残差のシグナル中にも検出された.
安定性解析から,惑星が同一平面上の軌道にあるという仮定の元で,軌道傾斜角の下限値を 0.9° と制約した.TESS では惑星のトランジットイベントが検出されていないことから,上限値は 87.43° と導出される.
くじら座 YZ 星は,系外惑星の軌道周期の決定が観測データの強いエイリアスによって阻害されている主要な例である.さらに,恒星活動が惑星のパラメータの導出に影響を及ぼすため,それらを正しくモデル化することが,この特定のコンパクトな系において軌道パラメータの信頼できる推定を行うのに重要である.
くじら座 YZ 星について
くじら座 YZ 星は別名を GJ 54.1 と言い.0.3 太陽質量の恒星である.2019 年 7 月の時点では,665 個の複数惑星系が発見されている.このうち 148 個が精密なドップラー分光観測によって検出されている.これらのうち,0.3 太陽質量より軽い恒星周りでの発見例は 11 個のみである.
Astudillo-Defru et al. (2017) でこの恒星の周りに複数の惑星が発見された.視線速度のシグナルが小さく,スペクトルの観測ウィンドウの影響もあり,この系の視線速度データは強いエイリアスの影響を受けている.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:2002.01198
Shaikhislamov et al. (2020)
Three-dimensional modelling of absorption by various species for hot Jupiter HD 209458b
(ホットジュピター HD 209458b の複数種による吸収の三次元モデリング)
惑星大気が太陽組成であることを仮定すると,O I と C II 粒子は潮汐力によって 50 km/s にまで加速され,これはドップラー共鳴機構による吸収で 6-10% の深さとなる.これは観測と整合的である.2D の計算の場合は惑星の基準座標系においてコリオリ力を考慮していないため,散逸する惑星の物質の広がりと,その実際の到達速度が結論に影響するかどうかについては問題が残ったままであった.
ここでは,初めての大局的な 3 次元流体力学複数流体モデルにおいて,潮汐力とコリオリ力に加え,周囲の恒星風による影響も考慮した,散逸する惑星風の形成と拡大を自己無撞着に記述した.モデル化の結果,過去の惑星からの流れの速度と密度は Mg II と Si III 線で測定されている吸収と合わせるためには,これらの存在量が太陽系の値よりも少なくとも 10 倍低い必要があることが明らかになった.
arXiv:2002.01198
Shaikhislamov et al. (2020)
Three-dimensional modelling of absorption by various species for hot Jupiter HD 209458b
(ホットジュピター HD 209458b の複数種による吸収の三次元モデリング)
概要
ホットジュピター HD 209458b で観測されている O I と C II の共鳴線における恒星放射の吸収の観測は,これまでに十分にはモデル化されていない.過去の 2D シミュレーションでは,この惑星の水素主体の高層大気が XUV 放射で加熱され,ロッシュローブを超えて超音速で拡大していき,重い元素を一緒に引きずっていく様子が示されている.惑星大気が太陽組成であることを仮定すると,O I と C II 粒子は潮汐力によって 50 km/s にまで加速され,これはドップラー共鳴機構による吸収で 6-10% の深さとなる.これは観測と整合的である.2D の計算の場合は惑星の基準座標系においてコリオリ力を考慮していないため,散逸する惑星の物質の広がりと,その実際の到達速度が結論に影響するかどうかについては問題が残ったままであった.
ここでは,初めての大局的な 3 次元流体力学複数流体モデルにおいて,潮汐力とコリオリ力に加え,周囲の恒星風による影響も考慮した,散逸する惑星風の形成と拡大を自己無撞着に記述した.モデル化の結果,過去の惑星からの流れの速度と密度は Mg II と Si III 線で測定されている吸収と合わせるためには,これらの存在量が太陽系の値よりも少なくとも 10 倍低い必要があることが明らかになった.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:2002.00906
Trifonov et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Dynamical characterization of the multiple planet system GJ 1148 and prospects of habitable exomoons around GJ 1148 b
(M 矮星周りの CARMENES による系外惑星探査.複数惑星系 GJ 1148 の力学的な特徴付けと GJ 1148b の周りの居住可能な系外衛星の可能性)
CARMENES による高精度の新しい観測とアーカイブデータを,HIRES の参照可能なデータを組み合わせて解析した.また,永年理論と直接 N 体積分を用いて軌道力学を調査.さらに GJ 1148b の周りのハビタブルである可能性のある衛星の存在可能性についても調査した.
更新された GJ 1148 系の力学解析から,この系の軌道パラメータは位相空間の広い範囲において長期的に安定であることが示され,また惑星の軌道配置は近点の向きが揃っていることが示唆される.しかし,高次の平均運動共鳴の尽数関係には入っていない.
GJ 1148b は中心星の楽観的なハビタブルゾーンの中を公転している.この惑星の周囲の系外衛星が存在できる範囲について調査した結果,安定な領域は狭い範囲でしかないことが判明した.しかしこの安定領域に衛星が存在した場合,惑星との潮汐相互作用によって急速に軌道崩壊を起こす.
この系は,中心星が M 型矮星で,2 つの巨大ガス惑星を持ち,内側の惑星はハビタブルゾーン内にあるという非常に希少な系である.また,GJ 1148b の周りにはハビタブルな系外衛星は存在しない可能性が極めて高いだろうと結論付けた.
arXiv:2002.00906
Trifonov et al. (2020)
The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs. Dynamical characterization of the multiple planet system GJ 1148 and prospects of habitable exomoons around GJ 1148 b
(M 矮星周りの CARMENES による系外惑星探査.複数惑星系 GJ 1148 の力学的な特徴付けと GJ 1148b の周りの居住可能な系外衛星の可能性)
概要
GJ 1148 は M 型星で,2 つの土星質量惑星を離心軌道で持つ惑星系である.惑星の軌道周期はそれぞれ 41.38, 532.02 日である.この複数惑星系の軌道配置と力学を,CARMENES での精密な視線速度観測の再解析から明らかにした.CARMENES による高精度の新しい観測とアーカイブデータを,HIRES の参照可能なデータを組み合わせて解析した.また,永年理論と直接 N 体積分を用いて軌道力学を調査.さらに GJ 1148b の周りのハビタブルである可能性のある衛星の存在可能性についても調査した.
更新された GJ 1148 系の力学解析から,この系の軌道パラメータは位相空間の広い範囲において長期的に安定であることが示され,また惑星の軌道配置は近点の向きが揃っていることが示唆される.しかし,高次の平均運動共鳴の尽数関係には入っていない.
GJ 1148b は中心星の楽観的なハビタブルゾーンの中を公転している.この惑星の周囲の系外衛星が存在できる範囲について調査した結果,安定な領域は狭い範囲でしかないことが判明した.しかしこの安定領域に衛星が存在した場合,惑星との潮汐相互作用によって急速に軌道崩壊を起こす.
この系は,中心星が M 型矮星で,2 つの巨大ガス惑星を持ち,内側の惑星はハビタブルゾーン内にあるという非常に希少な系である.また,GJ 1148b の周りにはハビタブルな系外衛星は存在しない可能性が極めて高いだろうと結論付けた.
天文・宇宙物理関連メモ vol.553 Astudillo-Defru et al. (2017) くじら座YZ星まわりの惑星の発見