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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.04760
Obermeier et al. (2016)
K2 Discovers a Busy Bee: An Unusual Transiting Neptune Found in the Beehive Cluster
(K2 による Busy Bee の発見:Beehive Cluster における特異なトランジット海王星型惑星)
ケプラーによる系外惑星探査では,小さく低温な恒星周りに大量の小型な惑星を発見してきた.従って,星団もトランジットによる系外惑星の探査対象となる.ケプラーの K2 ミッションでは,黄道面に近い星団や星形成領域も観測領域に入っている.
ここでは,中間的な年齢 (800 Myr) の散開星団である,Beehive Cluster (別名 Praesepe, プレセペ星団) 内での初めてのトランジット惑星の発見を報告する.
今回発見されたのは,スペクトル型 M3.0 の K2-95 のまわりの惑星である.K2 ミッションの Campaign 3 の視野内にあり,有効温度 3471 K,半径は 0.402 太陽半径である.また金属量は太陽とほぼ等しい.発見された惑星 K2-95b は半径が 3.47 地球半径,軌道周期が 10.134 日である.
測光観測,中/高分解能の分光観測,補償光学を用いた撮像観測,スペックル撮像でフォローアップ観測を行った.また過去のアーカイブデータからも,このトランジットシグナルが偽陽性 (惑星以外によって引き起こされているシグナル) である可能性を排除した.
この惑星のサイズは,M 型星まわりの惑星としては特異である.M 型星が海王星サイズのトランジット惑星を持つのは稀であると考えられる.
K2-95b の比較的大きな半径は,最近の星団内で発見されている惑星である K2-25b (ヒアデス星団内),K2-33b (Upper Scorpius 内) の値と整合的である.そのため,惑星の進化や形成過程には星団の内外で系統的な違いが存在することを示唆している.この惑星は,星団外の恒星と星団内の恒星まわりでは,惑星の分布が異なることを確かめるための良い対象となるだろう.
その後のさらなる観測では,14 の惑星は散開星団内に発見されている.例えば,NGC 6811 (Meibom et al. 2013),NGC 2423 (Lovis & Mayor 2007),M67 (Brucalassi et al. 2014, 2016),Beehive (Presepe) (Quinn et al. 2012など),Hyades (Sato et al. 2007など),Upper Scorpius (David et al. 2016など) である.
これに加えて,Tauras-Auriga (おうし座・ぎょしゃ座) の星形成領域にある 2 Myr 程度の年齢の恒星周りに,視線速度法によって惑星が発見されている.
星団内のトランジット惑星は全てケプラー宇宙望遠鏡を用いて検出されている.ケプラーの 2 個目のリアクションホイールが故障した後は,K2 ミッションとして新たにトランジット惑星の探査を行っている.
Beehive cluster (M44),別名プレセペは,K2 の Campaign 5 の視野内にある散開星団である.ここでは,K2 によるプレセペの観測データの解析を行うことによって惑星を発見した.
金属量:[Fe/H] = 0.11
有効温度:3471 K
質量:0.402 太陽半径
半径:0.361 太陽質量
光度:0.021 太陽光度
距離:171 pc
軌道長半径:0.0653 AU
半径:3.47 地球半径
今回惑星が発見された星団は日本語ではプレセペ星団という名称の方が有名ですが,"Beehive Cluster" という愛称でも呼ばれているようです.「蜂の巣星団」という意味があります."蜂の巣星団" 内での惑星の発見ということで,それにひっかけて論文のタイトルも "a Busy Bee" としたようです.なお busy bee の方には「働き者」という意味があります.
arXiv:1608.04760
Obermeier et al. (2016)
K2 Discovers a Busy Bee: An Unusual Transiting Neptune Found in the Beehive Cluster
(K2 による Busy Bee の発見:Beehive Cluster における特異なトランジット海王星型惑星)
概要
散開星団 (open cluster) はこれまでの系外惑星探査の対象となってきたが,現在までに僅かな数の惑星しか発見されていない.ケプラーによる系外惑星探査では,小さく低温な恒星周りに大量の小型な惑星を発見してきた.従って,星団もトランジットによる系外惑星の探査対象となる.ケプラーの K2 ミッションでは,黄道面に近い星団や星形成領域も観測領域に入っている.
ここでは,中間的な年齢 (800 Myr) の散開星団である,Beehive Cluster (別名 Praesepe, プレセペ星団) 内での初めてのトランジット惑星の発見を報告する.
今回発見されたのは,スペクトル型 M3.0 の K2-95 のまわりの惑星である.K2 ミッションの Campaign 3 の視野内にあり,有効温度 3471 K,半径は 0.402 太陽半径である.また金属量は太陽とほぼ等しい.発見された惑星 K2-95b は半径が 3.47 地球半径,軌道周期が 10.134 日である.
測光観測,中/高分解能の分光観測,補償光学を用いた撮像観測,スペックル撮像でフォローアップ観測を行った.また過去のアーカイブデータからも,このトランジットシグナルが偽陽性 (惑星以外によって引き起こされているシグナル) である可能性を排除した.
この惑星のサイズは,M 型星まわりの惑星としては特異である.M 型星が海王星サイズのトランジット惑星を持つのは稀であると考えられる.
K2-95b の比較的大きな半径は,最近の星団内で発見されている惑星である K2-25b (ヒアデス星団内),K2-33b (Upper Scorpius 内) の値と整合的である.そのため,惑星の進化や形成過程には星団の内外で系統的な違いが存在することを示唆している.この惑星は,星団外の恒星と星団内の恒星まわりでは,惑星の分布が異なることを確かめるための良い対象となるだろう.
研究背景
これまでの各種星団における惑星のトランジットサーベイは,47 Tuc (きょしちょう座47) (Gilliland et al. 2000など),NGC 2301 (Howell et al. 2005),NGC 7789 (Bramich & Horne 2006) があるが,これらではトランジット惑星は発見されなかった.その後のさらなる観測では,14 の惑星は散開星団内に発見されている.例えば,NGC 6811 (Meibom et al. 2013),NGC 2423 (Lovis & Mayor 2007),M67 (Brucalassi et al. 2014, 2016),Beehive (Presepe) (Quinn et al. 2012など),Hyades (Sato et al. 2007など),Upper Scorpius (David et al. 2016など) である.
これに加えて,Tauras-Auriga (おうし座・ぎょしゃ座) の星形成領域にある 2 Myr 程度の年齢の恒星周りに,視線速度法によって惑星が発見されている.
星団内のトランジット惑星は全てケプラー宇宙望遠鏡を用いて検出されている.ケプラーの 2 個目のリアクションホイールが故障した後は,K2 ミッションとして新たにトランジット惑星の探査を行っている.
Beehive cluster (M44),別名プレセペは,K2 の Campaign 5 の視野内にある散開星団である.ここでは,K2 によるプレセペの観測データの解析を行うことによって惑星を発見した.
パラメータ
K2-95
スペクトル型:M3.0金属量:[Fe/H] = 0.11
有効温度:3471 K
質量:0.402 太陽半径
半径:0.361 太陽質量
光度:0.021 太陽光度
距離:171 pc
K2-95b
軌道周期:10.13389 日軌道長半径:0.0653 AU
半径:3.47 地球半径
今回惑星が発見された星団は日本語ではプレセペ星団という名称の方が有名ですが,"Beehive Cluster" という愛称でも呼ばれているようです.「蜂の巣星団」という意味があります."蜂の巣星団" 内での惑星の発見ということで,それにひっかけて論文のタイトルも "a Busy Bee" としたようです.なお busy bee の方には「働き者」という意味があります.
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