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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1712.04483
Li et al. (2017)
A Candidate Transit Event around Proxima Centauri
(プロキシマ・ケンタウリまわりでのトランジットイベント候補)

概要

プロキシマ・ケンタウリはケンタウルス座アルファ星連星の中の三番目の天体であり,太陽に最も近い恒星である.
この恒星には,Pale Red Dot radial velocity (RV) campaign (PRD; Anglada-Escudé et al.2016) によって,温暖な軌道に低質量の惑星プロキシマb が発見されている.また,電波観測では少なくとも 2 つのダストベルトの存在が確認されている (Anglada et al. 2017).これまでに,プロキシマb のトランジットを検出する試みが行われている (Kipping et al. 2017, Liu et al. 2017),プロキシマb のトランジットである可能性があるシグナルは同定されているものの,恒星起源の高い変動性の影響により (Davenport et al. 2016) まだ結論は出ていない.
ここでは Las Campanas Observatory の 30 cm 望遠鏡を用いて,2016 年 8 月 17 日から 9 月 27 日までの 23 夜に渡ってプロキシマ・ケンタウリの観測を行った.各夜の観測時間は 9 時間である.

その結果,トランジット状のシグナルを検出した.光度曲線中のトランジット状のシグナルは,8 月 25 日に同定され,これはプロキシマ・ケンタウリが比較的静穏な間であった.また検出されたトランジット状シグナルと,地球大気のパラメータ,および機器パラメータの間の相関は見られなかった.

トランジット状のシグナルを pyaneti (Barragán et al. 2017) を用いて解析した.このモジュールは視線速度とトランジットの両方をフィットすることができるが,今回検出されたトランジット候補イベントは,Anglada-Escudé et al. (2016) での観測から予想されるトランジット時刻よりも 3 日以上前に発生したものであったため,今回はトランジットのみを解析した.

トランジットの深さは 5 mmag で,惑星だと解釈した場合は ~ 1 地球半径に対応し,またトランジット継続時間は 1 時間であった.


今回検出されたイベントについて,天候や機器の系統の影響によるものではないという自信を持っているが,このシグナルの起源は不明瞭である.恒星活動によって引き起こされた現象というのは起こりうる懸念ではあるが,IC バンドでの恒星の活動度は低く,光度曲線の形状がトランジットとより整合的である.

もしこのシグナルが天体によるトランジットである場合,トランジットしている天体は系外惑星ではなく,最近プロキシマ・ケンタウリの周りに報告されたダストベルト中のデブリの集合体である可能性が示唆される.

もしこれが系外惑星によるイベントだとすると,理論モデルからは軌道周期は 2 - 4 日と予想される.

プロキシマ・ケンタウリの視線速度の過去のデータからは,天体軌道への強い制限を与えることが出来る.つまり,~ 0.4 地球質量より重い天体が存在する場合はこれまでの視線速度観測によって検出されているはずである.そのため,もし惑星が ~ 1 地球半径のサイズを持つ場合,視線速度でこれまでに検出されていないためには,最も低密度なタイプの小型惑星と同程度の質量を持っている必要がある.

今回のトランジット候補イベントの検出は,プロキシマ・ケンタウリをトランジットするかもしれない天体について,魅力的ではあるが決定的ではない兆候である.性質を確定させるためには,さらなるトランジット観測のための努力が必要である.

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