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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.06131
Quarles & Lissauer (2018)
Long-Term Stability of Tightly Packed Multi-Planet Systems in Prograde, Coplanar, Circumstellar Orbits within the α Centauri AB System
(ケンタウルス座アルファ星 AB 系中の順行,同一平面の星周軌道における密集した多重惑星系の長期安定性)

概要

ケンタウルス座アルファ星A,B それぞれの周りにおける惑星系の長期安定性についての研究を行った.ここで考慮したのは,地球と同程度の質量を持ち,お互いに近接した配置の軌道で 2 - 6 個の惑星がある系の,最大で 100 億年にわたる長期間の安定性である.また,最も内側の惑星が,初期に恒星の経験的なハビタブルゾーンの内縁か,保守的なハビタブルゾーンの内縁のどちらかを公転しているという状況を仮定した.

その結果,低軌道傾斜角,低軌道離心率の軌道にあるそれぞれの惑星は,どちらの星のハビタブルゾーン内でも生き残ることが出来ることが分かった.しかし長期間安定した軌道を保つためには,ハビタブルゾーン内にある惑星の最小軌道間隔は,単独の恒星周りのハビタブルゾーン内での最小軌道間隔よりもずっと大きい必要がある.これは,伴星からの擾乱が存在するためである.

伴星天体は,もう一方の恒星の周囲を公転する惑星の軌道の軌道離心率を増大させる.適当な位相で,初期の離心率がその強制された軌道離心率に等しい場合は,初期に円軌道でより間隔の狭い軌道配置である場合より高確率で生き残ることが出来るが,安定であるために必要な軌道間隔は単独星周りでの場合よりも大きくなる.

入れ子構造 (惑星が A,B それぞれの周りを公転する場合) で順行軌道の場合,合計で最大 9 個の惑星が経験的なハビタブルゾーンの内部で現在の年齢まで生き残ることが出来る.ケンタウルス座アルファ星B の周りが最大 5 個,ケンタウルス座アルファ星A の周りが最大 4 個である.

ケンタウルス座アルファ星について

ケンタウルス座アルファ星系は,合計で 3 つの恒星からなる三重連星系である.2 つの大きな恒星 ケンタウルス座アルファ星A と B があり,お互いの周りを離心軌道で公転しており,近点距離は ~ 11 AU である.A と B の質量は太陽に近く (それぞれ 1.133,0.972 太陽質量,Pourbaix & Boffin 2016),光度はそれぞれ 1.519,0.5 太陽光度である Th ́evenin et al. (2002).

さらに,3 個目の緩く束縛された恒星 ケンタウルス座アルファ星C があり,こちらは A,B よりもずっと小さく暗い.C の軌道長半径は,系の重心から ~ 9000 AU と推定されている (Kervella et al. 2017).
ケンタウルス座アルファ星C は太陽系に最も近い恒星であるため,Proxima Centauri (プロキシマ・ケンタウリ) とも呼称される.

惑星降着の理論モデルは,ケンタウルス座アルファ星A と B のまわりにそれぞれ惑星系が形成されることを示唆している (Quintana et al. 2002など).


近年この系は,系外惑星の検出という観点で注目を集めている.例えば,プロキシマ・ケンタウリの周囲にはプロキシマb が発見されている (Gillon et al. 2016).さらに,ケンタウルス座アルファ星B では恒星に近接した軌道を持つ惑星ケンタウルス座アルファ星Bb の検出も報告されている (Dumusque et al. 2012),しかし,解析方法の精密な調査からはこの検出には疑念が投げかけられている (Hatzes 2013,Rajpaul et al. 2016).この連星系は継続的に観測されており,ケンタウルス座アルファ星B でのいくらか遠い軌道でのトランジットかもしれないシグナル (単一イベント) の検出報告も存在する (Demory et al. 2015),なお,地上からの視線速度観測からは,恒星に近接した軌道を持つ,非常に重い惑星の存在は否定されている (Endl et al. 2015).

Zhao et al. (2017) では,これまでのデータに基づき,古典的に定義されたハビタブルゾーン内での惑星の検出の閾値は,ケンタウルス座アルファ星A のまわりでは 50 地球質量程度以下,B では 10 地球質量程度以下としている.また,ケンタウルス座アルファ星A と B のまわりのハビタブルゾーン内を公転するかもしれない惑星の,宇宙空間からの直接撮像の可能性についても研究中である (Belikov & ACESat Team 2015など).






arXiv:1801.06116
Quarles et al. (2018)
Long-Term Stability of Planets in the α Centauri System, II: Forced Eccentricities
(ケンタウルス座アルファ星系の惑星の長期安定性 II:強制離心率)

概要

ケンタウルス座アルファ星AB 系内での,小さい惑星が十億年のタイムスケールで安定して公転できる範囲についての研究 (Quarles & Lissauer 2016) の拡張を行った.主な目的は,初期の軌道配置の強制離心率 (forced eccentricity) を最小化する効果について調べることである.

初期に順行で円軌道を持っている場合は,強制された離心率を軌道長半径の関数として正確に近似するためには区分的な二次関数を必要とするが,逆行軌道の場合は線形関数でモデル化出来ることを発見した.

ケンタウルス座アルファ星AB の周連星軌道 (circum-binary orbit) の場合は,結果は強制された軌道離心率にあまり影響されない.離心率ベクトルが強制された値に近い状態で始まった周連星軌道にいる惑星は,一般的に最大で 109 年にわたって安定である.安定した領域が拡大する量は,順行軌道よりも逆行軌道のほうが大きい.

2 惑星が順行で円軌道にいる系での安定境界の場所は,類似した単独惑星系の場合よりも初期の離心率状態に遥かに敏感である.

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