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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1805.10293
Pinte et al. (2018)
Kinematic evidence for an embedded protoplanet in a circumstellar disc
(星周円盤に埋もれた原始惑星の運動学的な証拠)

概要

若い恒星を取り囲んでいるガスとダストの円盤は,惑星が形成される場所である.しかし,円盤内で形成された原始惑星の直接検出はこれまで困難であった.

ここでは,若い恒星 HD 163296 周りの原始惑星系円盤における,回転速度のケプラー速度からの局所的なずれの検出を報告する.今回観測された円盤の速度パターンは,恒星から 260 au 程度のところを公転する,2 木星質量の惑星による力学的な影響と整合的である

原始惑星系円盤内の惑星

円盤内の惑星の直接観測

一般に原始惑星系円盤は惑星よりも明るいため,惑星を観測するためには,高コントラストと高角度分解能の観測が必要である.

直接撮像による惑星の観測報告は,いくつかの円盤で存在している.HD 100546 (Quanz et al. 2013,Brittain et al. 2014,Quanz et al. 2015,Currie et al. 2015),LkCa 15 (Kraus & Ireland 2012,Sallum et al. 2015),HD 169142 (Quanzet al. 2013,Biller et al. 2014,Reggiani et al. 2014),MWC 758 (Reggiani et al. 2018) である.
しかし,これまでの検出の多くには後に異議も唱えられている (Thalmann et al. 2015,2016,Rameau et al. 2017,Ligi et al. 2018など).

惑星による円盤の構造

この代替アプローチとして,惑星によって原始惑星系円盤に刻まれた間接的な特徴を探査する方法がある.

ALMA による電波観測や補償光学系を用いた観測では,円盤中に様々なギャップやリング構造が検出されている (ALMA Partnership et al. 2015,Andrews et al. 2016,Isella et al. 2016).また渦状腕も検出されている (Benisty et al. 2015など).

これらの構造は円盤内に存在する惑星によって形成されている可能性もあるが,惑星を必要としないその他の仮説も存在する.

惑星による円盤速度構造の変化

円盤中にある惑星は,リンドブラッド共鳴の位置からの渦巻波動を,惑星軌道の内側と外側の両方に生成し,局所的なケプラー速度のパターンを乱す.流体力学シミュレーションからは,この速度パターンへの影響は高スペクトル分解能の ALMA での輝線の観測で検出可能だと考えられている.

円盤のケプラー回転からのずれ自体は周連星円盤では検出されており,自由落下速度に近い流れを持つものや (Casassus et al. 2015,Price et al. 2018),半径方向の流れや歪み構造を持つもの (Walsh et al. 2017) が報告されている.

HD 163296 について

HD 163296 は,~ 440 万歳の年老いたハービッグ Ae 星であり,101.5 pc の距離にある (Gaia Collaboration et al. 2018).

古い距離推定に基いている過去の論文での関連物理量を,Gaia の観測による新しい距離推定に基づいてスケーリングすると,この天体は 1.9 太陽質量,25 太陽光度,スペクトル型は A1Ve,有効温度は 9300 K と推定される.

ハッブル宇宙望遠鏡での観測では,散乱光が中心星から 375 au の位置まで広がっているのが検出されている (Grady et al. 2000).興味深いことにその論文では,散乱光中に観測されたギャップから,~ 270 au の位置に巨大惑星の存在が示唆されている.

また,de Gregorio-Monsalvoet al. (2013) は ALMA を用いた観測で,一酸化炭素の観測ではガス成分が中心星から少なくとも 415 au まで広がっていることを示した,しかし一方で,連続波ではわずか 200 au の距離までしか検出されなかった.

高分解能 ALMA 観測では,明るい内側円盤要素が中心星から 0”.5 以内に検出され,また注目に値する 3 つのリング構造のセットが検出され,明るいリングが 65 au と 100 au に,暗いリングが 160 au に存在している (Isella et al. 2016)

まとめ

この天体周りの円盤中に,ケプラー速度からの 15% のずれを検出した.このずれは,ALMA の Band 6, 7 両方の波長帯の,2 つの異なる 12CO の遷移で検出され,円盤内に埋もれた原始惑星に対して予測される運動学的特徴と一致した.

観測結果を三次元流体力学シミュレーションと比較した結果,この運動学的特徴は,2 木星質量の惑星によるものと示唆される.この惑星は中心星から ~ 260 au に位置していると推定される.







同じ日に,同一の天体に対して類似した手法を用いて惑星を発見したという論文が独立に発表されています.各論文でそれぞれ惑星の数と位置が異なっており,類似した手法で別々の惑星の検出を報告しています.

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