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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.02566
Delrez et al. (2017)
High-precision multi-wavelength eclipse photometry of the ultra-hot gas giant exoplanet WASP-103 b
(超高温巨大ガス系外惑星 WASP-103b の高精度多波長食測光)

概要

超短周期のホットジュピター WASP-103b の,16 回の掩蔽と 3 回のトランジットの光度曲線の観測結果について報告する.また,測光観測に加えて,5 セットの新しい視線速度の測定も行った.

これらの観測結果を,過去のこの惑星の観測データと併せて解析を行った.


その結果,惑星からの熱放射を,z’ バンドと Ks バンドの両方で検出した.
二次食事の掩蔽の深さは,各バンドでそれぞれ 699 ppm と 3567 ppm であった.

このデータと,最近発表されたハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 を用いた観測とを併せて,この惑星の昼側の大気の特性について制約を与えた.

z’ バンドと WFC3 のデータは,この惑星の大気について,等温の 2900 K の大気か,水蒸気の存在度が低い大気でよくフィットできることを発見した.
一方で,これらのモデルと比べて予想外に大きな超過を Ks バンドに発見した.この結果に関しては物理的な解釈を行う前に,追加の観測による確認を要する.


グローバルなデータ解析からは,広帯域の可視光の透過スペクトルを得た.
700 nm 周辺に極小を持ち,そこから長波長・短波長側の両方に向かって増加していく特徴を示す.これは過去の観測と解析結果と整合するものである.

この透過スペクトルの変わったプロファイルは,理論モデルとは合致しないものである,また,より高いスペクトル分解能での最近の観測では確認されていない.放射スペクトルと透過スペクトルの両方の更なるデータが,この惑星の大気特性に制約を与えるのに必要である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.01300
Gaidos et al. (2017)
Origin of Interstellar Object A/2017 U1 in a Nearby Young Stellar Association?
(恒星間天体 A/2017 U1 の起源は近傍の若い恒星アソシエーションか?)

概要

恒星間天体 A/2017 U1 (現在の呼称は 1I/2017 U1 (ʻOumuamua)) の起源について,この天体の到来方向と,Tycho-Gaia Astrometric Solution カタログ (Gaia Collaboration 2016) を元に,この天体の起源となった星系の推定を試みた.

この天体のスペクトルは特徴を欠き,また既知の小惑星グループよりも赤い色を示す (Masiero 2017).また,近日点の通過時にコマを伴わないことが分かっている.これらの観測からは,この天体は氷が少ないことが示唆される.
これは,近日点を通過する前後にはこの天体の表面温度は 550 K に達していた (アルベド 5%を仮定した場合) と予想されるためである.また,起源となる恒星系の中で,恒星に近い領域で形成されたと考えられる.


この天体は Local Standard of Rest (局所静止系) の ≲ 10 km/s 以内の速度で動いている.そのため,近傍の若い星団かアソシエーションが起源である可能性が示唆される.

運動学的には,もっともらしい候補は Carina Association と Columba Association であり,Tucana-Horologium アソシエーション (きょしちょう座・とけい座アソシエーション) に伴う,大きな星形成イベントの一部として形成された可能性がある

これらの候補アソシエーションまでの推定距離は 50 - 85 pc (Torres et al. 2008など) であり,等時線からの推定年齢は ~ 45 Myr (Bell er al. 2015) である.そのため,星形成の直後に 1 - 2 km/s で系から弾き出された天体であれば,現在の時間に太陽系の現在の位置に到達できる.

そのため,A/2017 U1 は Carina/Columba Associations 中の原始惑星系円盤で形成され,~ 40 Myr (4000 万年) 前に放出されたのではないかと示唆される.組成に氷が少ないことから,雪線の内側で形成され,1 - 2 km/s の放出速度で放出された可能性がある.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.01344
Trilling et al. (2017)
Implications for planetary system formation from interstellar object A/2017 U1
(恒星間天体 A/2017 U1 からの惑星系形成への示唆)

概要

最近発見された小天体 A/2017 U1 (現在の名称は 1I/2017 U1 (ʻOumuamua)) は,太陽系内で見つかった,太陽の重力に束縛されていない初めての天体である.

この天体は軌道離心率が 1 より大きく双曲線軌道にあり,太陽系外に起源を持つことを強く示唆している.
また,この天体が赤っぽい色を示すことは,星間空間を長時間旅している間に受けた宇宙風化作用の影響と整合的である.


ここでは,このような天体を検出する可能性についてオーダー計算を行った.

その結果,観測された U1 的な天体の検出率は,近傍の恒星から惑星形成過程の間に放出される物質の総質量が,~ 20 地球質量の場合に満たされる.これは太陽系で起きたと思われる値と類似している.

このような,星間空間を旅して来る天体の現在の検出率は 0.2 個/年と推定され,過去数年間における検出の期待値はおおむね 1 個程度となる.

将来的に Large Synoptic Survey Telescope が広視野・高速で深い全天サーベイを始めた場合,検出率は 1 個/年に上昇する.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.01359
Teske et al. (2017)
Magellan II/PFS Radial Velocity Mass Measurements of the Super-Earth Planets Transiting GJ 9827 at 30 Parsecs
(30 パーセクの距離の GJ 9827 をトランジットするスーパーアース惑星の Magellan II/PFS 視線速度質量測定)

概要

スーパーアースと呼ばれる惑星は,銀河系内で最も一般的なタイプの惑星である.

これらのタイプの惑星の形成・進化・組成を研究することは重要であるが,質量と半径が精度良く測定されているスーパーアースはまだ少ない.特に,質量の決定精度が 25%を下回るものは現在のところ 40 個のみにとどまっている.これは,中心星が暗いために地上からの観測による質量測定が難しいことが原因の一つである.

最近,ケプラーの K2 ミッションで,近傍の恒星 GJ 9827/HIP115752 のまわりに,3 つのスーパーアースが存在することがトランジット法によって検出された.この恒星までの距離はわずか 30 pc と非常に近傍である.

トランジット法から判明しているこれらの惑星の半径は,Fulton et al. (2017) で検出された “radius gap” の範囲に存在している,
また惑星の全ての軌道周期はどれも ~ 6.5 日未満であり,視線速度法でのフォローアップ観測に適している.


ここでは GJ 9827 の視線速度の観測を,Magellan II 望遠鏡の Planet Finder Spectrograph (PFS) を用いて行った.観測の期間は 2010 - 2016 年である.

ここでの視線速度観測から,2 つの外側の惑星 GJ 9827c と GJ 9827d の質量には強い制限を与えられなかったが,GJ 9827b については 1.64 地球半径で ~ 8 地球質量となり,これまでに検出されたスーパーアース惑星の中で最も重く最も高密度なものの一つになった.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1711.01402
Knight et al. (2017)
The rotation period and shape of the hyperbolic asteroid A/2017 U1 from its lightcurve
(光度曲線からの双曲線小惑星 A/2017 U1 の自転周期と形状)

概要

双曲線軌道にある小天体 A/2017 U1 (現在の名称は 1I/2017 U1 ('Oumuamua)) を,2017 年 10 月 30 日に 4.3 m 口径の Discovery Channel Telescope (ディスカバリーチャンネル望遠鏡) を用いて観測した.この観測から,この天体の部分的な光度曲線を取得し,明るさの変動は少なくとも 1.2 mag であった.

この部分的な光度曲線からは,A/2017 U1 の自転周期が 3 時間以下である可能性は否定され,少なくとも 5 時間である事が推測される.また,この光度変動が自転に伴う長球の断面積の変化によるものだと仮定すると,天体の軸比は少なくとも 3:1 となり,かなり細長い形状をしていると考えられる.

光度変動を引き起こす別の可能性としては,天体表面のアルベドの違い (模様の違い) に起因するという考え方がある.しかし,天体のスペクトルのカラーや赤外線観測の情報が無いと,その可能性について直接調べることができない.

また,独立した 3 つの可視光観測でのスペクトルでは,この天体の表面に大きな色の違いがないことが示唆されている (Massiero 2017; Fitzsimmons et al. 2017; Ye et al. 2017).

さらに,Barucci et al. (1989) によると,アルベドの違いによる光度変化による光度曲線の形状は,より正弦曲線的になることが示唆されている.今回取得された光度曲線は広く丸い形状の極大を示すように見え,また極小の形状はシャープであり,天体が細長い形状であることによる光度変化だとする解釈と合う.


観測期間内で得た光度曲線に反復性がないため,自転周期が 3 時間未満である可能性は否定される.また,もし天体が細長い形状であり光度曲線が対称的な二重ピークを示す場合,自転周期は少なくとも 5 時間であると推測される.ただし,もし光度曲線が非対称である場合は,自転周期はそれより短くなる可能性がある.

得られた光度曲線が不完全であるため,自転周期に対する意味のある上限値は与えられなかった.
また,独立画像とスタック画像のどちらにおいても,天体にコマや尾が存在する証拠は得られず (彗星的な活動は見られず).

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