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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.09776
Brugger et al. (2017)
Constraints on Super-Earths Interiors from Stellar Abundances
(恒星の元素存在度からのスーパーアース内部への制限)
ここでは,最大で ~ 10 地球質量までの固体惑星であるスーパーアースに関して,内部構造のモデルを提案する.
測定が可能である場合,惑星の全体の Fe/Si 比が中心星の値と同じであるという仮定を課すことにより,惑星の組成の縮退を大幅に減少させ,より正確に惑星の組成に制約を与えることを可能にする.
このモデルに基づいて,密度の測定から惑星の組成の推定を与えるために使用される,質量-半径関係性を更新した.また,このモデルを 2 つのよく知られた系外惑星,CoRoT-7b とケプラー10b に応用した.
CoRoT-7b とケプラー10b のコア質量割合は,それぞれ 10-37%と 10-33%の範囲にあると推定され,これはどちらも地球的な組成と一致する値である.さらにこのモデルを,プロキシマ・ケンタウリb にも拡張して応用した.この惑星は,もし質量が 5 地球質量であった場合は 1.94 地球半径となる.(真の質量は 96.7%の確率で 5 地球質量を下回る)
arXiv:1710.09776
Brugger et al. (2017)
Constraints on Super-Earths Interiors from Stellar Abundances
(恒星の元素存在度からのスーパーアース内部への制限)
概要
系外惑星の内部の理論的モデリングは,平均密度の測定によってもたらされる結論より先の情報を得るためには必要不可欠である.惑星の内部モデルは,依然として限定された精度でしか得られない惑星の基本的な物理量に加え,惑星の組成が縮退してしまうことによっても制限を受ける.ここでは,最大で ~ 10 地球質量までの固体惑星であるスーパーアースに関して,内部構造のモデルを提案する.
測定が可能である場合,惑星の全体の Fe/Si 比が中心星の値と同じであるという仮定を課すことにより,惑星の組成の縮退を大幅に減少させ,より正確に惑星の組成に制約を与えることを可能にする.
このモデルに基づいて,密度の測定から惑星の組成の推定を与えるために使用される,質量-半径関係性を更新した.また,このモデルを 2 つのよく知られた系外惑星,CoRoT-7b とケプラー10b に応用した.
CoRoT-7b とケプラー10b のコア質量割合は,それぞれ 10-37%と 10-33%の範囲にあると推定され,これはどちらも地球的な組成と一致する値である.さらにこのモデルを,プロキシマ・ケンタウリb にも拡張して応用した.この惑星は,もし質量が 5 地球質量であった場合は 1.94 地球半径となる.(真の質量は 96.7%の確率で 5 地球質量を下回る)
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.08462
Tajeddine et al. (2017)
What confines the rings of Saturn?
(何が土星の環を留めているのか?)
土星の A 環では,衛星 Janus (ヤヌス) 単独による 7:6 リンドブラッド共鳴を介して,環が拡散するのを防ぐことが出来ると一般的に信じられてきた.ここではこの一般的な誤解について議論し,A 環は実際には Pan, Atlas, Prometheus, Pandra, Janus, Epimetheus, Mimas (パン,アトラス,プロメテウス,パンドラ,ヤヌス,エピメテウス,ミマス) の衛星群からの寄与によって拡散が止められていることを示す.
これらの様々な共鳴からの累積トルクが,密度波および屈曲波を介して環の外側に角運動量を輸送するフラックスを徐々に減少させる.さらにこの角運動量フラックスの現象は,”フラックス逆転” を通じて起こると主張する.
さらに A 環の有効粘性分布を推定するため,衛星の共鳴トルクの大きさを用い,半径について ~ 50 cm2 s-1 から ~ 10 cm2 s-1 未満にまで減少することを示す.
推定された各運動量フラックスと有効粘性の緩やかな減少は,パンと Daphnis (ダフニス) からの shepherding トルクと,エンケの間隙・キーラーの空隙の縁での粘性トルクとバランスさせた場合,および A 環の縁での粘性トルクとバランスさせた場合に得られる結果とおおむね整合する.
一方で,ミマスの 2:1 リンドブラッド共鳴は,単独で B 環の縁を形作ることが出来るように思われる.また A 環での状況とは異なり,B 環での有効粘性は ~ 24 - 30 cm2 s-1 と比較的一定である.
arXiv:1710.08462
Tajeddine et al. (2017)
What confines the rings of Saturn?
(何が土星の環を留めているのか?)
概要
惑星の環の粘性拡散は,単独の共鳴もしくは重複する共鳴を介して,衛星のトルクによって妨げられると考えられている.土星の A 環では,衛星 Janus (ヤヌス) 単独による 7:6 リンドブラッド共鳴を介して,環が拡散するのを防ぐことが出来ると一般的に信じられてきた.ここではこの一般的な誤解について議論し,A 環は実際には Pan, Atlas, Prometheus, Pandra, Janus, Epimetheus, Mimas (パン,アトラス,プロメテウス,パンドラ,ヤヌス,エピメテウス,ミマス) の衛星群からの寄与によって拡散が止められていることを示す.
これらの様々な共鳴からの累積トルクが,密度波および屈曲波を介して環の外側に角運動量を輸送するフラックスを徐々に減少させる.さらにこの角運動量フラックスの現象は,”フラックス逆転” を通じて起こると主張する.
さらに A 環の有効粘性分布を推定するため,衛星の共鳴トルクの大きさを用い,半径について ~ 50 cm2 s-1 から ~ 10 cm2 s-1 未満にまで減少することを示す.
推定された各運動量フラックスと有効粘性の緩やかな減少は,パンと Daphnis (ダフニス) からの shepherding トルクと,エンケの間隙・キーラーの空隙の縁での粘性トルクとバランスさせた場合,および A 環の縁での粘性トルクとバランスさせた場合に得られる結果とおおむね整合する.
一方で,ミマスの 2:1 リンドブラッド共鳴は,単独で B 環の縁を形作ることが出来るように思われる.また A 環での状況とは異なり,B 環での有効粘性は ~ 24 - 30 cm2 s-1 と比較的一定である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.08915
Bonanos et al. (2017)
NELIOTA: First Temperature Measurement of Lunar Impact Flashes
(NELIOTA:月面衝突閃光の初めての温度測定)
NELIOTA プロジェクトは,1.2 m Kryoneri 望遠鏡を用いて月をモニタリング観測するプロジェクトである.NELIOTA では地球近傍の流星体と小惑星によって起きる暗い衝突発光を検出し,地球近傍天体のサイズ頻度分布を,デシメートル (数十センチメートル) からメートルの範囲で制限をかけることを目的としている.
NELIOTA は 2 つの高速カメラからなり,R バンドと I バンドを同時に観測する.これにより,月面閃光の温度を直接解析的に計算することを初めて可能にした.
ここでは,観測開始後に検出された 10 回の閃光について報告する.
測定された閃光の温度範囲は 1600 - 3100 K であり,これは理論的な予想と一致する.
これらの閃光のうち 2 つは,R, I の両方のフィルターにおいて複数のフレームで検出された.そのためこれらの観測は,月面閃光の温度低下の様子を初めて測定した観測でもある.
さらに,衝突体の質量についても推定を行い.数百グラムから 100 kg の範囲という値となった.
また,衝突体の運動エネルギーの 1.1 × 10-3 - 1.3 × 10-3 が可視光での放射に使われる.
2017 年の時点で,16300 個を超える地球近傍天体が検出されている.このうち直径が測定できているものは 1142 個のみである (Delbo et al. 2017).この中で最も小さいものは 10 メートル未満の直径を持つ.
地球近傍天体の多くは,メインベルト (小惑星帯) から惑星との平均運動共鳴と永年共鳴によって現在の軌道まで運ばれてきた小さい天体である.
現在,観測された地球近傍天体の多くは直径 1 km 程度である.既存のサーベイでは,直径数十メートルより小さい地球近傍天体を多く検出するのは難しい.
実際に,非常に小さい天体は,一般にその位置が地球に近い時のみに検出されている.例えば直径 4 m サイズの地球近傍小惑星の 2008 TC3 は,地球に衝突するわずか 19 時間前に発見され,その直後の電波観測によってサイズが判明したという経緯を持つ (Jenniskens et al. 2009).
arXiv:1710.08915
Bonanos et al. (2017)
NELIOTA: First Temperature Measurement of Lunar Impact Flashes
(NELIOTA:月面衝突閃光の初めての温度測定)
概要
NELIOTA (NEO Lunar Impacts and Optical TrAnsients) プロジェクトにおける,初めての科学的成果について報告する.NELIOTA プロジェクトは,1.2 m Kryoneri 望遠鏡を用いて月をモニタリング観測するプロジェクトである.NELIOTA では地球近傍の流星体と小惑星によって起きる暗い衝突発光を検出し,地球近傍天体のサイズ頻度分布を,デシメートル (数十センチメートル) からメートルの範囲で制限をかけることを目的としている.
NELIOTA は 2 つの高速カメラからなり,R バンドと I バンドを同時に観測する.これにより,月面閃光の温度を直接解析的に計算することを初めて可能にした.
ここでは,観測開始後に検出された 10 回の閃光について報告する.
測定された閃光の温度範囲は 1600 - 3100 K であり,これは理論的な予想と一致する.
これらの閃光のうち 2 つは,R, I の両方のフィルターにおいて複数のフレームで検出された.そのためこれらの観測は,月面閃光の温度低下の様子を初めて測定した観測でもある.
さらに,衝突体の質量についても推定を行い.数百グラムから 100 kg の範囲という値となった.
また,衝突体の運動エネルギーの 1.1 × 10-3 - 1.3 × 10-3 が可視光での放射に使われる.
観測の背景
Catalina Sky Survey (カタリナ・スカイサーベイ) と Pan-STARRS では,これまでに継続的に新天体を発見している.これらのサーベイと,WISE やスピッツァー宇宙望遠鏡での観測とを合わせ,地球近傍天体の物理特性 (直径やアルベド,スペクトル型など) の特徴付けが行われている.2017 年の時点で,16300 個を超える地球近傍天体が検出されている.このうち直径が測定できているものは 1142 個のみである (Delbo et al. 2017).この中で最も小さいものは 10 メートル未満の直径を持つ.
地球近傍天体の多くは,メインベルト (小惑星帯) から惑星との平均運動共鳴と永年共鳴によって現在の軌道まで運ばれてきた小さい天体である.
現在,観測された地球近傍天体の多くは直径 1 km 程度である.既存のサーベイでは,直径数十メートルより小さい地球近傍天体を多く検出するのは難しい.
実際に,非常に小さい天体は,一般にその位置が地球に近い時のみに検出されている.例えば直径 4 m サイズの地球近傍小惑星の 2008 TC3 は,地球に衝突するわずか 19 時間前に発見され,その直後の電波観測によってサイズが判明したという経緯を持つ (Jenniskens et al. 2009).
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.07846
Blum et al. (2017)
Evidence for the formation of comet 67P/Churyumov-Gerasimenko through gravitational collapse of a bound clump of pebbles
(67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は束縛されたペブルの固まりの重力的崩壊を介して形成されたという証拠)
ここでは欧州宇宙機関 (ESA) のロゼッタミッションで得られた結果を用い,彗星 67P/Churyumov-Gerasimenko (チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星) は,微細な氷粒子と混合した,mm サイズのダストアグリゲイト (pebble,ペブル) の,重力的に束縛された塊の穏やかな重力的崩壊を介して形成されたと思われる証拠を示す.
この彗星形成シナリオは,ロゼッタ探査機に搭載された機器と,彗星着陸機のフィラエによって測定された,彗星全体の空隙率・均質性・引っ張り強度・熱慣性・垂直方向の温度分布・サイズ・放射されるダストの空隙率・そして太陽に近づくのに伴って急激に増加する水蒸気生成率を同時に説明できる可能性がある.
今回の発見は,若い恒星の周りの原始惑星系円盤に豊富に存在することが観測されているペブルは,彗星やその他の小天体を構成する物質となることを示唆している.
arXiv:1710.07846
Blum et al. (2017)
Evidence for the formation of comet 67P/Churyumov-Gerasimenko through gravitational collapse of a bound clump of pebbles
(67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は束縛されたペブルの固まりの重力的崩壊を介して形成されたという証拠)
概要
太陽系の惑星天体の形成過程は,まだ完全には理解されていない.ここでは欧州宇宙機関 (ESA) のロゼッタミッションで得られた結果を用い,彗星 67P/Churyumov-Gerasimenko (チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星) は,微細な氷粒子と混合した,mm サイズのダストアグリゲイト (pebble,ペブル) の,重力的に束縛された塊の穏やかな重力的崩壊を介して形成されたと思われる証拠を示す.
この彗星形成シナリオは,ロゼッタ探査機に搭載された機器と,彗星着陸機のフィラエによって測定された,彗星全体の空隙率・均質性・引っ張り強度・熱慣性・垂直方向の温度分布・サイズ・放射されるダストの空隙率・そして太陽に近づくのに伴って急激に増加する水蒸気生成率を同時に説明できる可能性がある.
今回の発見は,若い恒星の周りの原始惑星系円盤に豊富に存在することが観測されているペブルは,彗星やその他の小天体を構成する物質となることを示唆している.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.08365
Chadney et al. (2017)
Effect of stellar flares on the upper atmospheres of HD 189733b and HD 209458b
(HD 189733b と HD 209458b の高層大気への恒星フレアの影響)
フレアは高エネルギーで瞬間的な出来事であり,系外惑星の大気に影響を与える.恒星フレアによる大気への影響は,トランジット観測の結果を解釈する際には考慮に入れる必要がある.
ここでは,フレアを起こす恒星を公転する,巨大ガス惑星の高層大気を記述するモデルを発展させた.このモデルは,近接ガス惑星の高層大気からの熱的な散逸を計算するものである.モデル中には恒星の輻射と電子の衝突によるイオン化を含み,光化学と拡散輸送プロセスがシミュレートされている.
このモデルを用いて,太陽型星の G 型星 HD 209458 の惑星 HD209458b と,若い K 型星 HD 189733 の惑星 HD189733b の大気に対して,恒星フレアがどのように影響を及ぼすかを調べた.
シミュレーションの際は,HD 209458 の代替として太陽のパラメータを使用し,HD 189733b の代替としてエリダヌス座イプシロン星を使用した.
また,非常に活発な M 型星 AU Microscopii (けんびきょう座AU星) を公転する仮想の HD 209458b 的な惑星への影響についても調べた.
その結果,HD 209458 と HD 189733 で発生する典型的なフレアでは,巨大ガス惑星の中性高層大気は大きな影響を受けないことを発見した.従って恒星フレア単独では,過去の観測で報告されている HD 189733b のトランジット深さの変動を説明できるだけの,十分な大きさの惑星の質量放出の変化を引き起こすことが出来ない.
しかし,極端な恒星のプロトンイベントが発生した場合は,必要な質量放出の変化を引き起こす可能性があることを示す.しかし,このシミュレーションでは,惑星の電離圏中の電子の数密度が増加することを明らかにした.この極大は,恒星の X 線が吸収される層に位置している.フレアの強度とそのスペクトルエネルギー分布の広がりは,電離の増加が見られる電離圏の高度の範囲に影響を与える.
けんびきょう座AU星のような,非常に若いフレア星におけるフレアのスペクトルの XUV 部分の広い連続要素は,その高度の範囲を広くする.もちろん,X 線吸収層だけではなく,EUV 光子が吸収される層も強く増幅される.
arXiv:1710.08365
Chadney et al. (2017)
Effect of stellar flares on the upper atmospheres of HD 189733b and HD 209458b
(HD 189733b と HD 209458b の高層大気への恒星フレアの影響)
概要
恒星フレアは,多くの系外惑星が検出されている若い低質量の恒星では頻繁に発生する.フレアは高エネルギーで瞬間的な出来事であり,系外惑星の大気に影響を与える.恒星フレアによる大気への影響は,トランジット観測の結果を解釈する際には考慮に入れる必要がある.
ここでは,フレアを起こす恒星を公転する,巨大ガス惑星の高層大気を記述するモデルを発展させた.このモデルは,近接ガス惑星の高層大気からの熱的な散逸を計算するものである.モデル中には恒星の輻射と電子の衝突によるイオン化を含み,光化学と拡散輸送プロセスがシミュレートされている.
このモデルを用いて,太陽型星の G 型星 HD 209458 の惑星 HD209458b と,若い K 型星 HD 189733 の惑星 HD189733b の大気に対して,恒星フレアがどのように影響を及ぼすかを調べた.
シミュレーションの際は,HD 209458 の代替として太陽のパラメータを使用し,HD 189733b の代替としてエリダヌス座イプシロン星を使用した.
また,非常に活発な M 型星 AU Microscopii (けんびきょう座AU星) を公転する仮想の HD 209458b 的な惑星への影響についても調べた.
その結果,HD 209458 と HD 189733 で発生する典型的なフレアでは,巨大ガス惑星の中性高層大気は大きな影響を受けないことを発見した.従って恒星フレア単独では,過去の観測で報告されている HD 189733b のトランジット深さの変動を説明できるだけの,十分な大きさの惑星の質量放出の変化を引き起こすことが出来ない.
しかし,極端な恒星のプロトンイベントが発生した場合は,必要な質量放出の変化を引き起こす可能性があることを示す.しかし,このシミュレーションでは,惑星の電離圏中の電子の数密度が増加することを明らかにした.この極大は,恒星の X 線が吸収される層に位置している.フレアの強度とそのスペクトルエネルギー分布の広がりは,電離の増加が見られる電離圏の高度の範囲に影響を与える.
けんびきょう座AU星のような,非常に若いフレア星におけるフレアのスペクトルの XUV 部分の広い連続要素は,その高度の範囲を広くする.もちろん,X 線吸収層だけではなく,EUV 光子が吸収される層も強く増幅される.