×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.01688
Kane (2017)
Worlds Without Moons: Exomoon Constraints for Compact Planetary Systems
(月のない世界:コンパクトな惑星系での系外衛星の制約)
中心星が低質量であるコンパクトな惑星系における興味は,一つ以上の惑星が中心星のハビタブルゾーンの中に存在することである.
地球の生命存在可能性へ寄与した要素の一つとして,一定の大きさの月の存在がある.月による潮汐効果は,地球の自転軸傾斜角の変動を抑え,また惑星表面での潮溜まりの形成率を増加させる.
ここでは,コンパクトな系における衛星の存在への制限について研究した.衛星の存在への制約を与えるにあたり,惑星のヒル半径とロッシュ半径についての考察をベースとしている.この結果を TRAPPIST-1 系に適用したところ,この系での惑星のほとんどは,衛星を持たない系であると考えられる.
arXiv:1704.01688
Kane (2017)
Worlds Without Moons: Exomoon Constraints for Compact Planetary Systems
(月のない世界:コンパクトな惑星系での系外衛星の制約)
概要
系外惑星の検出における初期の驚くべき発見の一つは,コンパクトにまとまった惑星系の発見である.多くの系外惑星が,中心星から ~ 0.5 AU 以内の距離に発見されている.このようなコンパクトな惑星系は,系外惑星系の軌道の構造として極めて一般的であることを示唆している.中心星が低質量であるコンパクトな惑星系における興味は,一つ以上の惑星が中心星のハビタブルゾーンの中に存在することである.
地球の生命存在可能性へ寄与した要素の一つとして,一定の大きさの月の存在がある.月による潮汐効果は,地球の自転軸傾斜角の変動を抑え,また惑星表面での潮溜まりの形成率を増加させる.
ここでは,コンパクトな系における衛星の存在への制限について研究した.衛星の存在への制約を与えるにあたり,惑星のヒル半径とロッシュ半径についての考察をベースとしている.この結果を TRAPPIST-1 系に適用したところ,この系での惑星のほとんどは,衛星を持たない系であると考えられる.
PR
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.01126
Jermyn et al. (2017)
Tidal heating and stellar irradiation of Hot Jupiters
(ホットジュピターの潮汐加熱と恒星の輻射)
解析の結果,提案されている多くの潮汐モデルは熱的フィードバックをもたらし,内部の放射層を形成し,広い共鳴スペクトルを持った増幅された g モード散逸を引き起こすことを示した.また,恒星からの輻射は,これらのモードによって生み出された熱を高い効率で深い領域にトラップすることが示された.
これにより惑星中心の対流領域でのエントロピーが上昇し,これまでに観測されている惑星半径の膨張を説明することが可能となる.熱的に駆動された風はこのプロセスにおいて,光球面から数スケールハイトの範囲内で大気の熱的構造を球対称にすることによって重要な役割を果たす.
惑星半径の膨張を示す要素である軌道周期と中心星の間の関係性を特徴づけ,また膨張のタイムスケールを決定した.これらの g モードは,十分な日射量がある場合は 10 億年のタイムスケールで半径を膨張させておくのに十分であると考えられる.
arXiv:1704.01126
Jermyn et al. (2017)
Tidal heating and stellar irradiation of Hot Jupiters
(ホットジュピターの潮汐加熱と恒星の輻射)
概要
短周期のガス惑星における恒星の輻射と潮汐加熱の相互作用についてのモデルを構築した.ここでは,意図的に単純化された大気モデルを用いることによって問題を解析的に扱いやすくし,また便利なスケーリング則を導出することが可能となった.解析の結果,提案されている多くの潮汐モデルは熱的フィードバックをもたらし,内部の放射層を形成し,広い共鳴スペクトルを持った増幅された g モード散逸を引き起こすことを示した.また,恒星からの輻射は,これらのモードによって生み出された熱を高い効率で深い領域にトラップすることが示された.
これにより惑星中心の対流領域でのエントロピーが上昇し,これまでに観測されている惑星半径の膨張を説明することが可能となる.熱的に駆動された風はこのプロセスにおいて,光球面から数スケールハイトの範囲内で大気の熱的構造を球対称にすることによって重要な役割を果たす.
惑星半径の膨張を示す要素である軌道周期と中心星の間の関係性を特徴づけ,また膨張のタイムスケールを決定した.これらの g モードは,十分な日射量がある場合は 10 億年のタイムスケールで半径を膨張させておくのに十分であると考えられる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.01511
Young et al. (2017)
Structure and Composition of Pluto's atmosphere from the New Horizons Solar Ultraviolet Occultation
(ニューホライズンズの太陽紫外線掩蔽からの冥王星大気の構造と組成)
大気透過光と高度の関係は,N2,CH4,C2H2,C2H4,C2H6 およびヘイズの存在に敏感である.ここで,5 つの分子種に対して,視線方向の局所的な個数密度と存在度を導出した.また視線方向の光学的深さとヘイズの減衰係数も推定した.
その結果,以下のような主要な結果を得た.
(1) ニューホライズンズがフライバイする前に想定されていたよりも冥王星の高層大気は低温であり,65 - 68 K と推定される.ここから示唆される冥王星大気のジーンズ散逸率は 3 - 7 × 1022 N2 s-1と,4 - 8 × 1025 CH4 s-1 となる.これは外気圏の底部 (exobase) での値であり.外気圏底部は半径 ~ 2900 km,あるいは地表からの高度 ~ 1710 km に位置している.
(2) 表面から 80 - 1200 km の高度での CH4 の存在度を測定した.Alice の CH4 観測と Alice および REX の N2 測定の共同解析より,下層大気は非常に安定で小さい渦拡散係数を持つことが示唆された.
渦拡散係数はおそらく 550 - 4000 cm2 s-1 の間の値である.このような小さい渦拡散係数が表面から 12 km 以内の均質圏界面 (homopause) に位置しているため,冥王星は小さい惑星境界層を持つ.
また,示唆される CH4 の表面での混合比は 0.28 - 0.35%であった.
(3) “C2Hx 炭化水素” (C2H2,C2H4,C2H6) の存在度の分布は,シンプルな高度の指数関数的なものでは無かった.
視線方向の存在度では,C2H4 では高度 410 km 程度に極大を持ち,C2H2 では 320 km に極大を持つ.また C2H6 は,変曲点もしくは極小値を示唆する構造が 260 km に見られた.
また C2H4 は 200 km 付近の高度に極小を持つことを検出した.C2H2 では 170 km 付近に極小を持ち,C2H6 では 変曲点もしくは極小値が 170 - 200 km に位置している.
これらは,炭化水素の生成が 300 - 400 km で起きており,ヘイズの凝縮が起こるのが 200 km 付近であるとするモデルと遜色がない.特に C2H2 と C2H4 に関してはそれが顕著である (Wong et al. 2017).
(4) ヘイズの減衰係数は,N2 密度におおよそ比例する事を発見した.
arXiv:1704.01511
Young et al. (2017)
Structure and Composition of Pluto's atmosphere from the New Horizons Solar Ultraviolet Occultation
(ニューホライズンズの太陽紫外線掩蔽からの冥王星大気の構造と組成)
概要
NASA の ニューホライズンズ (New Horizons) 探査機の Alice 装置で,2015 年 7 月 14 日に冥王星の大気による太陽紫外線の掩蔽を観測した.その結果について報告する.大気透過光と高度の関係は,N2,CH4,C2H2,C2H4,C2H6 およびヘイズの存在に敏感である.ここで,5 つの分子種に対して,視線方向の局所的な個数密度と存在度を導出した.また視線方向の光学的深さとヘイズの減衰係数も推定した.
その結果,以下のような主要な結果を得た.
(1) ニューホライズンズがフライバイする前に想定されていたよりも冥王星の高層大気は低温であり,65 - 68 K と推定される.ここから示唆される冥王星大気のジーンズ散逸率は 3 - 7 × 1022 N2 s-1と,4 - 8 × 1025 CH4 s-1 となる.これは外気圏の底部 (exobase) での値であり.外気圏底部は半径 ~ 2900 km,あるいは地表からの高度 ~ 1710 km に位置している.
(2) 表面から 80 - 1200 km の高度での CH4 の存在度を測定した.Alice の CH4 観測と Alice および REX の N2 測定の共同解析より,下層大気は非常に安定で小さい渦拡散係数を持つことが示唆された.
渦拡散係数はおそらく 550 - 4000 cm2 s-1 の間の値である.このような小さい渦拡散係数が表面から 12 km 以内の均質圏界面 (homopause) に位置しているため,冥王星は小さい惑星境界層を持つ.
また,示唆される CH4 の表面での混合比は 0.28 - 0.35%であった.
(3) “C2Hx 炭化水素” (C2H2,C2H4,C2H6) の存在度の分布は,シンプルな高度の指数関数的なものでは無かった.
視線方向の存在度では,C2H4 では高度 410 km 程度に極大を持ち,C2H2 では 320 km に極大を持つ.また C2H6 は,変曲点もしくは極小値を示唆する構造が 260 km に見られた.
また C2H4 は 200 km 付近の高度に極小を持つことを検出した.C2H2 では 170 km 付近に極小を持ち,C2H6 では 変曲点もしくは極小値が 170 - 200 km に位置している.
これらは,炭化水素の生成が 300 - 400 km で起きており,ヘイズの凝縮が起こるのが 200 km 付近であるとするモデルと遜色がない.特に C2H2 と C2H4 に関してはそれが顕著である (Wong et al. 2017).
(4) ヘイズの減衰係数は,N2 密度におおよそ比例する事を発見した.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.01541
Saad-Olivera et al. (2017)
Masses of Kepler-46b, c from Transit Timing Variations
(トランジット時刻変動からのケプラー46b, c の質量)
力学的フィットにより,この惑星のトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の周期 33.648 日は,トランジットしない惑星ケプラー46c (軌道周期 57.325 日) によるものだと確認した.
また,ベイズ推論ツール MultiNest を用いて系のパラメータを推定した.その結果,2 つの惑星はほぼ同一平面上で円軌道を持っている配置だと確認した.推定された軌道離心率は 0.03 程度と,これまでの推定よりはいくらか大きい値となった.
質量は ケプラー46b が 0.885 木星質量,ケプラー46c が 0.362 木星質量であり,ケプラー46b の質量は TTV で初めて測定された.軌道平面の歳差により,ケプラー46c は今後数十年のうちに中心星をトランジットするようになる.
arXiv:1704.01541
Saad-Olivera et al. (2017)
Masses of Kepler-46b, c from Transit Timing Variations
(トランジット時刻変動からのケプラー46b, c の質量)
概要
ケプラーミッションの 16 クオーター分のデータを用いて,系外惑星ケプラー46b (KOI-872) のトランジット時刻変動データを解析した.力学的フィットにより,この惑星のトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の周期 33.648 日は,トランジットしない惑星ケプラー46c (軌道周期 57.325 日) によるものだと確認した.
また,ベイズ推論ツール MultiNest を用いて系のパラメータを推定した.その結果,2 つの惑星はほぼ同一平面上で円軌道を持っている配置だと確認した.推定された軌道離心率は 0.03 程度と,これまでの推定よりはいくらか大きい値となった.
質量は ケプラー46b が 0.885 木星質量,ケプラー46c が 0.362 木星質量であり,ケプラー46b の質量は TTV で初めて測定された.軌道平面の歳差により,ケプラー46c は今後数十年のうちに中心星をトランジットするようになる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1704.01112
Ricci et al. (2017)
Multi-filter transit observations of HAT-P-3b and TrES-3b with multiple Northern Hemisphere telescopes
(複数の北半球の望遠鏡による HAT-P-3b と TrES-3b のマルチフィルタートランジット観測)
観測には北半球の 4 つの小サイズの望遠鏡 (口径 36 - 152 cm) を使用した.このうち 2 つの装置は,この観測が初めての科学的成果である.
HAT-P-3b は 10 個の新しい光度曲線,TrES-3b は 26 個の光度曲線を得た.2 つの異なる解析パッケージを用いて光度曲線を解析し,過去の観測結果の軌道要素と物理パラメータを確認した.
解析の結果,観測したフィルターでの相対的な半径の違いは発見できなかった.HAT-P-3b の B バンドでの惑星-恒星半径比 0.1112 の測定は初めてであり,またこの結果は V R I z’ J H フィルターでの値と同じであった.
TrES-3b については,軌道周期を 1.3061862 ± 0.0000001 日と決定した.この値は,これまでの測光観測された 9 年間で線形変化を持たない.
Observatorio de la Universidad de Monterrey (UDEM) (メキシコ,Nuevo Leon,口径 36 cm)
Telescopio Carlos S ́anchez (TCS) at the Observatorio del Teide (OT) (スペイン,テネリフェ,口径 152 cm) ここに設置された WIDE-FASTCAM は新しい装置である.
Osservatorio Astronomico Regionale Parco Antola, comune di Fascia (OARPAF) (イタリア北部,口径 80 cm) 新しく設置された望遠鏡.
arXiv:1704.01112
Ricci et al. (2017)
Multi-filter transit observations of HAT-P-3b and TrES-3b with multiple Northern Hemisphere telescopes
(複数の北半球の望遠鏡による HAT-P-3b と TrES-3b のマルチフィルタートランジット観測)
概要
トランジット惑星 HAT-P-3b と TrES-3b の可視光と近赤外のフィルターを用いた測光フォローアップ観測を行った.観測には北半球の 4 つの小サイズの望遠鏡 (口径 36 - 152 cm) を使用した.このうち 2 つの装置は,この観測が初めての科学的成果である.
HAT-P-3b は 10 個の新しい光度曲線,TrES-3b は 26 個の光度曲線を得た.2 つの異なる解析パッケージを用いて光度曲線を解析し,過去の観測結果の軌道要素と物理パラメータを確認した.
解析の結果,観測したフィルターでの相対的な半径の違いは発見できなかった.HAT-P-3b の B バンドでの惑星-恒星半径比 0.1112 の測定は初めてであり,またこの結果は V R I z’ J H フィルターでの値と同じであった.
TrES-3b については,軌道周期を 1.3061862 ± 0.0000001 日と決定した.この値は,これまでの測光観測された 9 年間で線形変化を持たない.
観測に使われた望遠鏡
San Pedro M ́artir – Observa- torio Astron ́omico Nacional (OAN-SPM) (北西メキシコ,口径 84 cm)Observatorio de la Universidad de Monterrey (UDEM) (メキシコ,Nuevo Leon,口径 36 cm)
Telescopio Carlos S ́anchez (TCS) at the Observatorio del Teide (OT) (スペイン,テネリフェ,口径 152 cm) ここに設置された WIDE-FASTCAM は新しい装置である.
Osservatorio Astronomico Regionale Parco Antola, comune di Fascia (OARPAF) (イタリア北部,口径 80 cm) 新しく設置された望遠鏡.