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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.09180
Van Eylen et al. (2016)
The K2-ESPRINT Project V: a short-period giant planet orbiting a subgiant star
(The K2-ESPRINT Project V:準巨星を公転する短周期巨大惑星)
この惑星は軌道周期が 4.6 日で,準巨星 (subgiant) を公転している惑星としては最も周期が短い.このような惑星は珍しく,わずかしか発見されていない.この原因はあまり分かっていないが,これまでにサーベイされている比較的大きな質量の恒星周りでは惑星の存在度が異なるか,あるいは惑星の潮汐破壊の結果によるものだと考えられる.
中心星の K2-39 は進化した恒星であり,分光観測からは 3.88 太陽半径,1.53 太陽質量と判明した.K2-39b の軌道長半径と K2-39 の半径の比率は 3.4 であり (恒星半径の 3.4 倍のところを惑星が公転している),非常に近接した惑星である.
HARPS, FIES, PFS で視線速度観測も行った結果,惑星の質量は 50.3 地球質量,半径は 8.3 地球半径であり,平均密度は ~ 0.50 g cm-3 であった.
また,更に長い視線速度のトレンドが検出された.そのため,長周期の惑星もしくは伴星が存在すると考えられる.
K2-39b は短周期であるため,準巨星まわりと主系列星まわりの惑星の存在頻度の違いを全て潮汐破壊に求めるのは困難であるかもしれない.将来的な観測で,この惑星の軌道の減衰の検出や,準巨星の潮汐散逸率が明らかになる可能性がある.
有効温度:4881 K
金属量:[Fe/H] = 0.32
質量:1.53 太陽質量
半径:3.88 太陽半径
年齢:3.09 Gyr
質量:50.3 地球質量
半径:8.2 地球半径
平均密度:0.50 g cm-3
軌道長半径:0.062 AU
arXiv:1605.09180
Van Eylen et al. (2016)
The K2-ESPRINT Project V: a short-period giant planet orbiting a subgiant star
(The K2-ESPRINT Project V:準巨星を公転する短周期巨大惑星)
概要
トランジット惑星 K2-39b (あるいは EPIC 206247743b) の発見と特徴付けを行った.この惑星は軌道周期が 4.6 日で,準巨星 (subgiant) を公転している惑星としては最も周期が短い.このような惑星は珍しく,わずかしか発見されていない.この原因はあまり分かっていないが,これまでにサーベイされている比較的大きな質量の恒星周りでは惑星の存在度が異なるか,あるいは惑星の潮汐破壊の結果によるものだと考えられる.
中心星の K2-39 は進化した恒星であり,分光観測からは 3.88 太陽半径,1.53 太陽質量と判明した.K2-39b の軌道長半径と K2-39 の半径の比率は 3.4 であり (恒星半径の 3.4 倍のところを惑星が公転している),非常に近接した惑星である.
HARPS, FIES, PFS で視線速度観測も行った結果,惑星の質量は 50.3 地球質量,半径は 8.3 地球半径であり,平均密度は ~ 0.50 g cm-3 であった.
また,更に長い視線速度のトレンドが検出された.そのため,長周期の惑星もしくは伴星が存在すると考えられる.
K2-39b は短周期であるため,準巨星まわりと主系列星まわりの惑星の存在頻度の違いを全て潮汐破壊に求めるのは困難であるかもしれない.将来的な観測で,この惑星の軌道の減衰の検出や,準巨星の潮汐散逸率が明らかになる可能性がある.
パラメータ
K2-39
等級:10.83 等有効温度:4881 K
金属量:[Fe/H] = 0.32
質量:1.53 太陽質量
半径:3.88 太陽半径
年齢:3.09 Gyr
K2-39b
軌道周期:4.60543 日質量:50.3 地球質量
半径:8.2 地球半径
平均密度:0.50 g cm-3
軌道長半径:0.062 AU
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.08810
Line et al. (2016)
No Thermal Inversion and a Solar Water Abundance for the Hot Jupiter HD209458b from HST WFC3 Emission Spectroscopy
(HST WFC3 輝線分光観測からのホットジュピター HD 209458b の温度逆転層の否定と太陽と同じ水の存在度)
しかしこれまでの観測では,分光観測での輝線の特徴の明確な同定がされているわけではなく,広帯域な測光観測に基づく結果であった.また多大な理論・観測両面での努力にも関わらず,高高度で放射を吸収して温度逆転層を形成するような化学種は同定されていない.
ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡 (Hubble Space Telescope, HST) の Wide Field Camera 3 (WFC3) による,HD 209458b の昼側からの熱放射の超高精度観測の結果を報告する.この惑星は,最初に温度逆転層の存在が報告された惑星である.
これまでの結果とは対照的に,水の吸収バンドを 6.2 σ で分解した.また,スピッツァー宇宙望遠鏡との観測結果と合わせ,7.7 σの確度で,1 - 0.001 bar の広い範囲の気圧領域にわたって,温度は単調に減少している事が分かった.この結果の確実性を高めるため,大気構造のパラメータ化や雲の有無,スピッツァーのデータ処理の方法などを変更しての結果のテストも行った.
大気の高高度,短波長の放射を吸収できるような物質などの何らかの熱源が存在した場合,温度逆転層が形成され得る.太陽系の場合は,大気を持つ惑星の多くで温度逆転層が存在する.地球の場合はオゾン,ガス惑星の場合はエアロゾルが吸収源となり,その場所での熱源となっている.
ホットジュピターの場合,酸化チタンや酸化バナジウムといった可視光を強く吸収する気相の物質が存在するとされている (Hubeny et al. 2003など).これらの物質は,1 bar の環境下で温度が 2000 K より高い場合,気相で存在する (Fortney et al. 2006, 2008).あるいは,多硫化物によるエアロゾルが吸収源となって温度逆転層を形成する可能性も指摘されている (Zahnle et al. 2009).
HD 209458b の大気における温度逆転層の存在を示唆する観測は,Knutson et al. (2008) などがある.しかし観測結果の再解析やさらなる詳細な観測では,温度逆転層の存在には否定的な報告もある (Diamond-Lowe et al. 2014, Schwarz et al. 2015).ただし,通常の温度構造が検出されたわけでもなかった.
また,他の高温の惑星での温度逆転層の検出例も少ない.様々な理論研究から,なぜ温度逆転層が形成されないのかという原因が提案されている.例えば,低温な夜側での cold trap によって酸化チタンや酸化バナジウムが凝縮して気相から失われてしまうというモデルである (Spiegel et al. 2009, Showman et al. 2009).
arXiv:1605.08810
Line et al. (2016)
No Thermal Inversion and a Solar Water Abundance for the Hot Jupiter HD209458b from HST WFC3 Emission Spectroscopy
(HST WFC3 輝線分光観測からのホットジュピター HD 209458b の温度逆転層の否定と太陽と同じ水の存在度)
概要
ホットジュピターの温度-圧力分布 (T-P profile) は,トランジット観測による大気の特徴付けにおいて重要な問題である.多くのホットジュピターで,大気中に温度逆転層が存在する事が報告されている.これは,圧力が下がるにつれ (上空に行くにつれ) 温度が上昇する層のことである.この層が存在した場合,赤外線領域での (本来は) 吸収線としての特徴が輝線に変化する.しかしこれまでの観測では,分光観測での輝線の特徴の明確な同定がされているわけではなく,広帯域な測光観測に基づく結果であった.また多大な理論・観測両面での努力にも関わらず,高高度で放射を吸収して温度逆転層を形成するような化学種は同定されていない.
ここでは,ハッブル宇宙望遠鏡 (Hubble Space Telescope, HST) の Wide Field Camera 3 (WFC3) による,HD 209458b の昼側からの熱放射の超高精度観測の結果を報告する.この惑星は,最初に温度逆転層の存在が報告された惑星である.
これまでの結果とは対照的に,水の吸収バンドを 6.2 σ で分解した.また,スピッツァー宇宙望遠鏡との観測結果と合わせ,7.7 σの確度で,1 - 0.001 bar の広い範囲の気圧領域にわたって,温度は単調に減少している事が分かった.この結果の確実性を高めるため,大気構造のパラメータ化や雲の有無,スピッツァーのデータ処理の方法などを変更しての結果のテストも行った.
ホットジュピターの温度逆転層
ホットジュピターが大気中に温度逆転層 (thermal inversion layer) を持つ可能性があるという示唆がこれまでにされてきた (Burrows & Orton 2010など).温度逆転層とは,一般に高度が上がって気圧が下がると温度も低下するが,気圧が下がるに従って逆に温度が上昇していく領域のことである.大気の高高度,短波長の放射を吸収できるような物質などの何らかの熱源が存在した場合,温度逆転層が形成され得る.太陽系の場合は,大気を持つ惑星の多くで温度逆転層が存在する.地球の場合はオゾン,ガス惑星の場合はエアロゾルが吸収源となり,その場所での熱源となっている.
ホットジュピターの場合,酸化チタンや酸化バナジウムといった可視光を強く吸収する気相の物質が存在するとされている (Hubeny et al. 2003など).これらの物質は,1 bar の環境下で温度が 2000 K より高い場合,気相で存在する (Fortney et al. 2006, 2008).あるいは,多硫化物によるエアロゾルが吸収源となって温度逆転層を形成する可能性も指摘されている (Zahnle et al. 2009).
HD 209458b の大気における温度逆転層の存在を示唆する観測は,Knutson et al. (2008) などがある.しかし観測結果の再解析やさらなる詳細な観測では,温度逆転層の存在には否定的な報告もある (Diamond-Lowe et al. 2014, Schwarz et al. 2015).ただし,通常の温度構造が検出されたわけでもなかった.
また,他の高温の惑星での温度逆転層の検出例も少ない.様々な理論研究から,なぜ温度逆転層が形成されないのかという原因が提案されている.例えば,低温な夜側での cold trap によって酸化チタンや酸化バナジウムが凝縮して気相から失われてしまうというモデルである (Spiegel et al. 2009, Showman et al. 2009).
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.08785
May & Rauscher (2016)
Examining Tatooine: Atmospheric Models of Neptune-Like Circumbinary Planets
(タトゥイーンの調査:海王星的な周連星惑星の大気モデル)
計算には,1 次元のエネルギーバランスモデルと,3 次元の General Circulation Model (GCM) を使用した.また計算した結果を,単独星周りの惑星の場合と比較した.
その結果,安定した軌道を持つ周連星惑星の場合は最も極端なケースであっても,単独星周りの惑星と比較して 1.0%しか変わらない事が判明した.また GCM での詳細なモデリングからは,大気循環の違いを励起するような温度変化にはならないことが示された.従って,巨大ガス惑星の周連星惑星では,中心の連星はそれに等価な単独星として扱っても問題ないという事が分かった.
これらはトランジット法を用いて発見されており,多くは 0.75 - 2.25 海王星半径と,海王星に近いサイズを持っている.これは,10 地球半径よりも大きい惑星は,連星周囲では一般的ではないという研究を支持する結果である (Armstrong et al. 2014).
発見されている周連星惑星はどれもガス惑星だが,岩石惑星であればハビタブルゾーンの扱いも単独星の場合で代用可能であるため,連星まわりの惑星の場合もハビタビリティ (居住可能性) の観点から軽視されるべきではないと言える.しかし,細かい大気循環のパターンの違いなどはさらなる精査を要する.
arXiv:1605.08785
May & Rauscher (2016)
Examining Tatooine: Atmospheric Models of Neptune-Like Circumbinary Planets
(タトゥイーンの調査:海王星的な周連星惑星の大気モデル)
概要
周連星惑星 (circumbinary planet) は連星のまわりを公転するため,時間変動のある日射を受けることになる.ここでは,発見されている周連星惑星 (巨大ガス惑星) と,理論上存在しうる周連星惑星 (巨大ガス惑星) を想定し,日射の変動の惑星大気への影響を初めて詳細に研究した.計算には,1 次元のエネルギーバランスモデルと,3 次元の General Circulation Model (GCM) を使用した.また計算した結果を,単独星周りの惑星の場合と比較した.
その結果,安定した軌道を持つ周連星惑星の場合は最も極端なケースであっても,単独星周りの惑星と比較して 1.0%しか変わらない事が判明した.また GCM での詳細なモデリングからは,大気循環の違いを励起するような温度変化にはならないことが示された.従って,巨大ガス惑星の周連星惑星では,中心の連星はそれに等価な単独星として扱っても問題ないという事が分かった.
周連星惑星について
連星の周りを惑星が公転している場合,その惑星の事を周連星惑星と呼ぶ.これまでに,ケプラー16b (Doyle et al. 2011),ケプラー34b,ケプラー35b (Welsh et al. 2012),ケプラー47b, c (Orosz et al. 2012a),ケプラー38b (Orosz et al. 2012b),ケプラー64b (Schwamb et al. 2013, Kostov et al. 2013),ケプラー413b (Kostov et al. 2014),ケプラー453b (Welsh et al. 2015),KOI 2939b (Kostov et al. 2015) の 10 個が発見されている.これらはトランジット法を用いて発見されており,多くは 0.75 - 2.25 海王星半径と,海王星に近いサイズを持っている.これは,10 地球半径よりも大きい惑星は,連星周囲では一般的ではないという研究を支持する結果である (Armstrong et al. 2014).
周連星惑星の大気
数値計算で周連星惑星の大気を計算した結果,単独星周りのガス惑星大気と比較した時に最大で 1%程度の差があるに過ぎなかった.ケプラー47b を想定した場合の計算では,違いは 0.2%だった.従って,連星は単独星として取り扱っても問題ないことが判明した.発見されている周連星惑星はどれもガス惑星だが,岩石惑星であればハビタブルゾーンの扱いも単独星の場合で代用可能であるため,連星まわりの惑星の場合もハビタビリティ (居住可能性) の観点から軽視されるべきではないと言える.しかし,細かい大気循環のパターンの違いなどはさらなる精査を要する.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.07917
Johns-Krull et al. (2016)
A Candidate Young Massive Planet in Orbit around the Classical T Tauri Star CI Tau
(古典的おうし座T型星おうし座CI星を公転する若く重い惑星候補天体)
5 年間にわたる 71 の赤外線領域での視線速度観測と,9 年間の 26 の可視光での視線速度観測の結果を解析した.また,2012 年には可視光で 34 夜にわたって測光観測を行った.
可視光線での視線速度観測では,惑星の軌道を同定するのには不十分であった.これは,データが少なく,恒星の黒点や活動に起因するノイズに似ているためである.赤外線での視線速度観測では,明確な ~ 9 日の周期が検出された.
さらに,可視光と赤外線での変動の位相は同期していた.
周期的な視線速度変動のシグナルは,原理的には低温な点 (黒点) や高温な点,内側の円盤での恒星光の反射によっても引き起こされる.ここではこれらの可能性も考慮し,惑星によるシグナルだと解釈するのが整合的であるという結果を得た.
データの解析の結果,最小質量は ~ 8.1 木星質量であった.過去の 1.3 mm 連続光観測によるこの主星まわりの円盤の傾斜角の観測結果と合わせると,惑星の軌道が円盤面と揃っていると仮定した場合,惑星の真の質量は ~ 11.3 木星質量である.
arXiv:1605.07917
Johns-Krull et al. (2016)
A Candidate Young Massive Planet in Orbit around the Classical T Tauri Star CI Tau
(古典的おうし座T型星おうし座CI星を公転する若く重い惑星候補天体)
概要
年齢がおよそ 2 Myr の古典的おうし座T型星 (classical T Tauri star) であるおうし座CI星 (CI Tauri) は,赤外線と可視光での視線速度に周期的な変動が検出されている.この変動は,軌道周期が 9 日の惑星による影響であると考えられる.5 年間にわたる 71 の赤外線領域での視線速度観測と,9 年間の 26 の可視光での視線速度観測の結果を解析した.また,2012 年には可視光で 34 夜にわたって測光観測を行った.
可視光線での視線速度観測では,惑星の軌道を同定するのには不十分であった.これは,データが少なく,恒星の黒点や活動に起因するノイズに似ているためである.赤外線での視線速度観測では,明確な ~ 9 日の周期が検出された.
さらに,可視光と赤外線での変動の位相は同期していた.
周期的な視線速度変動のシグナルは,原理的には低温な点 (黒点) や高温な点,内側の円盤での恒星光の反射によっても引き起こされる.ここではこれらの可能性も考慮し,惑星によるシグナルだと解釈するのが整合的であるという結果を得た.
データの解析の結果,最小質量は ~ 8.1 木星質量であった.過去の 1.3 mm 連続光観測によるこの主星まわりの円盤の傾斜角の観測結果と合わせると,惑星の軌道が円盤面と揃っていると仮定した場合,惑星の真の質量は ~ 11.3 木星質量である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1605.07973
Bourrier et al. (2016)
An evaporating planet in the wind: stellar wind interactions with the radiatively braked exosphere of GJ436 b
(風のなかで蒸発する惑星:GJ 436b の放射でブレーキを受けた外気圏と恒星風の相互作用)
M 型矮星である中心星からの小さい輻射圧は,散逸するガスのダイナミクスと,惑星まわりでの拡散に対して主要な役割を持つ.しかしそれだけでは各トランジットでの変動を説明することは出来ない.
ここでは,輻射によるブレーキ (radiative brake) の効果と恒星風との相互作用を,数値シミュレーションコード EVapolating Exoplanet (EVE) で調べ,シミュレーション結果と観測されたスペクトルの直接比較から大気と星の特徴を導いた.
1回目のトランジットは,トランジットから出る際のデータが存在しないため解析は困難である.しかし 2013, 2014年のデータはシミュレーションでよく再現することが出来た.2013年と 2014年の鋭いトランジットへの入りは,恒星風による惑星のコマのアブレーションによるものである.
トランジット中のスペクトルは,惑星の高層大気から散逸した中性粒子と,恒星風との電荷交換による中性化された陽子の 2 種類の外気圏,によって説明できる.またどちらのトランジットにおいても,質量放出率は ~ 2.5 × 108 g s-1,恒星による光電離率は ~ 2 × 10-5 s-1,恒星風のバルク速度は ~ 85 km s-1,恒星風の速度分散は ~ 10 km s-1 (運動学的温度 ~ 12000 K に相当) と,似た性質を得た.
また,散逸するガスの高速度 (~ 50 - 60 km s-1) は,磁気流体波動が惑星の高層大気で散逸して流出を駆動していることを示唆している.
2013年の観測では,恒星風の高い密度 (~ 3 × 10 cm-3) によって,中性化された陽子を主成分とする外気圏の尾を形成し,トランジット中とトランジット後の安定した吸収を実現している.この GJ 436b の観測では,輻射圧と恒星風の役割を初めて明確に分離して考察した.時間で一定なガスの全体的な構造は,恒星の放射と惑星からの質量損失率の安定性により引き起こされるが,散逸するガスの局所的な変化は,恒星風の密度の変化に対応しているものと解釈できる.
arXiv:1605.07973
Bourrier et al. (2016)
An evaporating planet in the wind: stellar wind interactions with the radiatively braked exosphere of GJ436 b
(風のなかで蒸発する惑星:GJ 436b の放射でブレーキを受けた外気圏と恒星風の相互作用)
概要
温暖な海王星型惑星 (warm Neptune) である GJ 436b の紫外線のライマンアルファ線での観測が,ハッブル宇宙望遠鏡の STIS を用いて 2012, 2013, 2014年の 3 回にわたって行われた.観測では,中性水素原子による巨大な外気圏による深いトランジットが観測された.M 型矮星である中心星からの小さい輻射圧は,散逸するガスのダイナミクスと,惑星まわりでの拡散に対して主要な役割を持つ.しかしそれだけでは各トランジットでの変動を説明することは出来ない.
ここでは,輻射によるブレーキ (radiative brake) の効果と恒星風との相互作用を,数値シミュレーションコード EVapolating Exoplanet (EVE) で調べ,シミュレーション結果と観測されたスペクトルの直接比較から大気と星の特徴を導いた.
1回目のトランジットは,トランジットから出る際のデータが存在しないため解析は困難である.しかし 2013, 2014年のデータはシミュレーションでよく再現することが出来た.2013年と 2014年の鋭いトランジットへの入りは,恒星風による惑星のコマのアブレーションによるものである.
トランジット中のスペクトルは,惑星の高層大気から散逸した中性粒子と,恒星風との電荷交換による中性化された陽子の 2 種類の外気圏,によって説明できる.またどちらのトランジットにおいても,質量放出率は ~ 2.5 × 108 g s-1,恒星による光電離率は ~ 2 × 10-5 s-1,恒星風のバルク速度は ~ 85 km s-1,恒星風の速度分散は ~ 10 km s-1 (運動学的温度 ~ 12000 K に相当) と,似た性質を得た.
また,散逸するガスの高速度 (~ 50 - 60 km s-1) は,磁気流体波動が惑星の高層大気で散逸して流出を駆動していることを示唆している.
2013年の観測では,恒星風の高い密度 (~ 3 × 10 cm-3) によって,中性化された陽子を主成分とする外気圏の尾を形成し,トランジット中とトランジット後の安定した吸収を実現している.この GJ 436b の観測では,輻射圧と恒星風の役割を初めて明確に分離して考察した.時間で一定なガスの全体的な構造は,恒星の放射と惑星からの質量損失率の安定性により引き起こされるが,散逸するガスの局所的な変化は,恒星風の密度の変化に対応しているものと解釈できる.

