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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1512.07316
Wittenmyer et al. (2015)
The Pan-Pacific Planet Search. IV. Two super-Jupiters in a 3:5 resonance orbiting the giant star HD33844
(The Pan-Pacific Planet Search IV. 巨星 HD 33844 を公転する3:5共鳴にある2つの巨大木星型惑星)

概要

視線速度法を用いて、HD 33844 の周りに 2つの巨大惑星を発見した。2つ共にほぼ円軌道であり、軌道長半径はそれぞれ 1.60, 2.24 AU である。最小質量は 1.96, 1.76木星質量である。

N体シミュレーションによる軌道安定性の解析では、2惑星の軌道が低軌道離心率の場合、106 以上に渡って安定であることが確認された。また、3:5 の平均運動共鳴に入っている可能性が高い。

系のパラメータ

HD 33844

スペクトル型:K0III (巨星)
質量;1.78太陽質量
半径:5.29太陽半径
光度:14.1太陽光度
有効温度:4861 K
金属量:[Fe/H] = 0.27 dex
距離:100.9 pc
年齢:1.88 Gyr

惑星

・HD 33844b
軌道周期:551.4日
軌道離心率:0.15
軌道長半径:1.60 AU
最小質量:1.96木星質量

・HD 33844c
軌道周期:916.0日
軌道離心率:0.13
軌道長半径:2.24 AU
最小質量:1.75木星質量

誤検出の確認

これらのシグナルが、惑星ではない、偽陽性である可能性についての調査も行った。

両惑星の周期は、AAT, Keck 両望遠鏡での観測の窓関数の期間とは離れている。
また恒星活動についても調べたが、惑星の軌道周期と類似したシグナルは検出されなかった。

さらに Hα 線の吸収についても確認を行った。Hα 吸収線は、M型矮星の活動の指標となるものである (Robertson et al. 2013)。同様に、巨星の活動度の指標としても使用することが出来る (Hatzes et al. 2015)。その結果、惑星のシグナルと思われるものとの相関は見られず、恒星活動による偽のシグナルである可能性は低い。

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1512.06470
Guo & Ben-Jaffel (2015)
The influence of the Extreme Ultraviolet spectral energy distribution on the structure and composition of the upper atmosphere of exoplanets
(系外惑星の高層大気の構造と組成における極端紫外線のスペクトルエネルギー分布の影響)

概要

恒星の極端紫外線 (extreme ultraviolet, EUV)スペクトルエネルギー分布 (spectral energy distribution, SED) のプロファイルを変化させることで、惑星から散逸していく大気の物理的・化学的特性に EUV の SED がどのような影響を及ぼすかについての研究を行った。またそのモデルを、HD 189733b, HD 209458b, GJ 436b, ケプラー11b に適用した。

系外惑星からの大気散逸率は主に積分したフラックスで決まっており、EUV の SED プロファイルには穏やかにしか影響されない。しかし散逸する大気の組成と分子種の分布は SED の違いに大きく影響される

大きなハイドロダイナミックエスケープパラメータ (hydrodynamic escape parameter) λ を持つ惑星では、異なる高度で光電離によって生成される水素原子の量は、SED の違いによって 1 - 2桁変化する。水素の光電離の影響は、EUV SED が低エネルギー領域 (400 - 900Å) で占められている時に大きくなる。この波長域が支配的な場合、H/H+ の遷移領域は大気中の低高度に押し下げられる。
対照的に、SED が高いエネルギー領域 (50 - 400Å) に集中しているときは、H/H+ の遷移領域は上空へ移動する。

λ が小さい惑星では、低温のため多くの化学反応が重要となる。そのため、散逸していく大気の組成は、光電離だけでは決まらない。

HD 189733b では、2010年と 2011年の観測の際の Lyα 吸収線の時間変動は、中心星である K型星の EUV SED の変動によって説明することが可能である。しかしこのモデルでは、大気の熱的な中性原子しか扱っていない。

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1512.06698
Lendl et al. (2015)
FORS2 observes a multi-epoch transmission spectrum of the hot Saturn-mass exoplanet WASP-49b
(FORS2 による高温の土星質量惑星 WASP-49b の複数回の透過スペクトル観測)

概要

系外惑星の透過光分光観測は、波長ごとのトランジット深さの違いなどから大気の状態を探るための手段である。この波長ごとのトランジット深さの違いは、大気中での吸収や散乱によって引き起こされる。これまでにいくつかの惑星では、Na, K, H2O が検出されている。また、高い高度における厚い雲やヘイズの存在を示唆する観測結果も得られている。

この観測手法を、WASP-49b に適用した。WASP-49b は、0.38木星質量、1.12木星半径、軌道周期が 2.78日の惑星である。K や H2O の特徴を探るため、0.73 - 1 μm の波長帯でのトランジット観測を行った。惑星の平均密度と平衡温度を考慮すると大気は大きく広がっていると考えられるため、この惑星は大気の透過光スペクトル観測のターゲットとして適している。

ESO Paranal site の VLT/UT1 望遠鏡の FORS2 を用いて観測を行った。観測は、l', z' バンドの同時観測を行った。これらの結果を、Euler と TRAPPIST 望遠鏡の高精度測光観測のデータと合わせて解析した。0.73 - 1.02 μm の波長域での独立した 3回の透過光スペクトルの検出を行った。

スペクトルの解析の結果、雲層が 1 mbar かそれよりも低い上空に存在するという大気モデルとよく合う結果である事が分かった

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1512.05549
Southworth et al. (2015)
High-precision photometry by telescope defocussing. VIII. WASP-22, WASP-41, WASP-42 and WASP-55
(望遠鏡のデフォーカスによる高精度測光観測 VIII:WASP-22, WASP-41, WASP-42, WASP-55)

概要

トランジット惑星を持つ 4つの恒星 WASP-22, WASP-41, WASP-42, WASP-55 の高精度測光観測を行った。この恒星はどれも南天の明るい恒星である。この系のもつ 4つのガス惑星は、どれもガス惑星の進化モデルの予測よりも大きく膨張した半径を持っている。特に WASP-55bは理論予測からのズレが最も大きく、0.63木星質量で 1.34木星半径を持っている。

WASP-41ではトランジットの最中に光度曲線に異常が検出された。これは、惑星が黒点の手前を通過したことによるものだと考えられる。3.1日の間隔で 2つの異常が検出されており、これは同じ黒点によるものである可能性がある。ここから黒点の位置変化を割り出し、恒星の自転周期を 18.6日と推定した。この結果は、先行観測での黒点による光度変動の結果と整合的なものである。また天球面上に投影された自転軸の傾斜角は 6° ± 11° であった。

各惑星系の特徴

WASP-22

この系では、WASP-22b が Maxted et al. (2010)によって発見されている。この惑星は低密度であり、0.56木星質量、1.12木星半径である。また中心星の等級は V = 11.7、惑星の公転周期は 3.53日である。

視線速度に線形のトレンドがあることが報告されており、おそらくは M型矮星が存在すると示唆されている (Knutson et al. 2014)。

WASP-41

この系では、WASP-41b がMaxted et al. (2011)によって発見されている。0.94木星質量、1.06木星半径であり、軌道周期 3.05日のホットジュピターである。中心星は V = 11.6、スペクトル型 G8V である。中心星は磁気的な活動から、若い年齢であると考えられている。

この系では、軌道周期が 421日の 3体目の天体が検出されており、質量は 3.18木星質量である (Neveu-VanMalle et al. 2015)。

この惑星のトランジット光度曲線中には異常が検出された。2015年5月13日のトランジット中に光度曲線に変動があり、これは 1つの黒点の手前を惑星が通過したことによると考えると説明ができる。

さらに 2015年5月17日にはより複雑な光度曲線の変動が検出された。これは、2つの輝度が異なる黒点を惑星が連続して通過した事によるものだと考えられる。このうち、1回目のトランジット時の黒点と、2回目のトランジット時の片方の黒点は同一のものであると考えられる。

WASP-42

この系では、WASP-42b が Lendl et al. (2012)によって発見されている。この惑星は低密度であり、0.50木星質量、1.12木星半径である。軌道周期は 4.98日、中心星の等級は V = 12.6、スペクトル型が K1V である。

この惑星の軌道離心率は 0.06 であり、これは小さい値であるが無視できない大きさである。ただし、この系に関しては発見報告論文以外にはまだ情報が存在しない。

WASP-55

この系では、WASP-55b が Hellier et al. (2012)によって発見されている。この惑星はこれら 4つの惑星の中で最も低密度であり、0.50木星質量、1.30木星半径を持っている。軌道周期は 4.47日であり、中心星のスペクトル型は G1V である。

この系に関しても、発見報告論文以外には情報が存在しない。しかしケプラーの K2 ミッションの Field 6 の範囲内であるため (Howell et al. 2014)、いずれ更なるデータが参照できるだろう。

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arXiv:1512.05154
Wright et al. (2015)
Three planets orbiting Wolf 1061
(ウォルフ1061を公転する3つの惑星)

概要

HARPS の視線速度のアーカイブデータから、ウォルフ1061 (Wolf 1061, GJ 628)の周りに 3つの系外惑星を発見した。それぞれ、最小質量が 1.36地球質量、軌道周期 4.888日のウォルフ1061b、4.25地球質量、18.867日のウォルフ1061cと、おそらく5.21地球質量、17.867日のウォルフ1061dである。いずれも岩石惑星とみなすには十分質量が小さい。

ウォルフ1061cは、ウォルフ1061のハビタブルゾーン内を公転している。ウォルフ1061dはハビタブルゾーンの外側境界のすぐ外を公転している。恒星の活動によって見せかけの惑星のシグナルが検出されている可能性を考慮したが、bisector span、相互相関の半値全幅、カルシウムの H, K 線のインデックス、ナトリウムの D 線のインデックス、Hα インデックスの全てで、惑星の公転周期に近いものは見られなかった。

観測

ウォルフ1061を HAPRS で観測した、148 の公開データの解析を行った。このデータは、380 - 680 nmの波長域を、~ 110000 の分解能で観測したものである。

観測期間は 10.3年であり、典型的な露光時間は 900秒である。6000 Å でのシグナルノイズ比は 65/pixel である。

系のパラメータ

ウォルフ1061

等級:V = 10.1
距離:4.29 pc
スペクトル型:M3/3.5V (Bonfils et al. 2013, Maldonaldo et al. 2015)
有効温度:3393 K
質量:0.25太陽質量
光度:0.007870太陽光度

Kopparapu et ak (2013, 2014)のハビタブルゾーンの定義より、保守的なハビタブルゾーン (conservative habitable zone)の範囲は 0.092 - 0.18 AU楽観的なハビタブルゾーン (optimistic habitable zone)の範囲は 0.073 - 0.19 AUである。

惑星

ウォルフ1061b
軌道周期:4.8876日
最小質量:1.36地球質量
視線速度:1.29 m s-1
軌道離心率:0.0 (解析時に固定)
軌道長半径:0.035509 AU

トランジット確率:14.0%
トランジットした場合の減光:2.6 mmag
ウォルフ1061c
軌道周期:17.867日
最小質量:4.25地球質量
視線速度:2.70 m s-1
軌道離心率:0.19
軌道長半径:0.08427 AU

トランジット確率:5.9%
トランジットした場合の減光:3.3 mmag
ウォルフ1061d
軌道周期:67.27日
最小質量:5.21地球質量
視線速度:2.24 m s-1
軌道離心率:0.32
軌道長半径:0.2039 AU

トランジット確率:2.6%
トランジットした場合の減光:5.2 mmag

議論

ウォルフ1061cは楽観的なハビタブルゾーンの内部を公転している。また、保守的なハビタブルゾーンの内側境界のすぐ内側を公転している。
一方、ウォルフ1061dは楽観的なハビタブルゾーンのすぐ外側に位置している。

惑星の質量と半径の関係性 (Weiss & Marcy 2014)より、惑星の真の質量が最小質量と等しいと仮定した場合、これらの惑星の半径はそれぞれ 1.44, 1.64, 2.04地球半径と推定される。これらの推定半径から、仮にトランジットした場合のトランジット深さを計算すると、それぞれ 2.6, 3.3, 5.2 mmag となる。この値は、良い観測条件での地上観測で検出可能であり、次にウォルフ1061が観測できる 2016年初頭には、MEarth や MINERVA (Nutzman & Charbonneau 2008, Swift et al. 2015)などで観測を行うことが推奨される。






「最も近いハビタブル惑星か?」ということでニュースにもなった惑星系の発見報告論文です。太陽系からわずか 14光年という、これまでのハビタブル惑星候補の中でも最も近距離に位置するものの一つであることから、ニュースでも大きく取り上げられたようです。

しかしハビタブルゾーンとはいうものの、地球が存在しているような「保守的なハビタブルゾーン」からは内側に外れていて、「楽観的なハビタブルゾーン」の内部であるということから、地球よりは日射量も多く高温になっている可能性がありそうです。
ハビタブルゾーンには色々な決め方がありますが、太陽系で言うと「保守的なハビタブルゾーン」に入っているのは地球のみ、「楽観的なハビタブルゾーン」の場合は金星や火星の軌道まで入る事があります。

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