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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.05025
Ahlers et al. (2019)
Gravity-Darkening Analysis of Misaligned Hot Jupiter MASCARA-4 b
(非整列ホットジュピター MASCARA-4b の重力減光解析)

概要

MASCARA-4b は,高速自転する A3V 星を,恒星の赤道面から大きく傾いた軌道で公転するホットジュピターである.この系は,Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) によって 54 日間にわたって観測された.

この惑星系について,恒星の重力減光モデルを用いて 2 種類の解析を行った.
まず,惑星の傾いた軌道配置を TESS の測光光度曲線のモデリングから測定した.中心星の重力減光 (gravity darkening) を受けた恒星表面に起因する惑星の非対称なトランジット光度曲線を利用して,実際の spin-orbit 角度を 104° と測定した.

また,軌道位相が 0.491 の時に ~4σ で二次食を検出し,惑星の軌道がやや離心率を持つことを示した.

次に,惑星が受ける輻射を重力減光を含めてモデル化し,惑星が受ける XUV フラックスは軌道を一周する間に 4% 変動することを見出した.

この惑星の軌道が短周期で,かつ大きく傾いた極軌道であることは,惑星が現在の軌道配置に落ち着くまでに大規模な軌道進化を経由した可能性があることと,および変動する恒星輻射を受けているため惑星が熱平衡状態になっていない状態に置かれていることを示唆している.

MASCARA-4b について

MASCARA-4b (別名 bRing-1b) は,2.82 日周期の大きく傾いた軌道を持つホットジュピターである.中心星は HD 85628 (TIC 371443216) で,スペクトル型は A3V,等級は V = 8.19 と明るい恒星である (Dorval et al. 2019).
この惑星は TESS の sector 10, 11 の期間にも観測されている.惑星質量は 3.1 木星質量と推定されている.

極軌道で公転していることが分かっており,射影した傾斜角は 247.5° である.これはドップラートモグラフィーを用いて測定された.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.02814
Costes et al. (2019)
NGTS-8b and NGTS-9b: two non-inflated hot-Jupiters
(NGTS-8b と NGTS-9b:2 つの膨張していないホットジュピター)

概要

Next Generation Transit Survey (NGTS) での 2 つのホットジュピター NGTS-8bNGTS-9b の発見を報告する.

2 惑星のトランジットは,SAAO 1.0 m 望遠鏡とオイラー望遠鏡による測光フォローアップ観測で独立に検証された.また惑星のパラメータを HARPS,FEROS,CORALIE 視線速度観測から測定.

今回発見された 2 つの惑星は,理論的に予測される半径よりも統計的には大きい範囲にある.しかし,理論的な非膨張モデルによる予測と一致する半径である.

パラメータ

NGTS-8 系

NGTS-8
等級:V = 13.68
スペクトル型:K0V
有効温度:5241 K
金属量:[Fe/H] = 0.24
質量:0.89 太陽質量
半径:0.98 太陽半径
年齢:124.8 億歳
距離:434.273 pc
NGTS-8b
軌道周期:2.49970 日
軌道離心率:0.010
質量:0.93 木星質量
半径:1.09 木星半径
密度:0.89 g cm-3
軌道長半径:0.035 AU
平衡温度:1345 K

NGTS-9 系

NGTS-9
等級:V = 12.80
スペクトル型:F8V
有効温度:6330 K
金属量:[Fe/H] = 0.31
質量:1.34 太陽質量
半径:1.38 太陽半径
年齢:9.6 億歳
距離:619.732 pc
NGTS-9b
軌道周期:4.43527 日
軌道離心率:0.060
質量:2.90 木星質量
半径:1.07 木星半径
密度:2.93 g cm-3
軌道長半径:0.058 AU
平衡温度:1448 K

惑星半径についての議論

2 × 105 W m-2 より大きい輻射を受けている場合,ホットジュピターは理論的な予測よりも有意に大きな半径を持つことが知られている.今回発見されたそれぞれの惑星が受ける輻射は,それぞれ 6.85 × 105 W m-2 と 9.92 × 105 W m-2 であり,このしきい値を超えている.そのため,これらの惑星は理論的に予測される半径よりも大きい半径を持つことが期待されるパラメータ範囲にある.

Sestovis et al. (2018) は,ホットジュピターの半径に関する統計的な調査を行い,しきい値 (Miller & Fortney 2011, Demory & Seager 2011) を超えた輻射を受ける惑星は,追加の膨張パラメータ ΔR を加えた熱進化モデル (Thorngren et al. 2016など) で説明できることを見出した.
この観測された半径の「膨張」は,惑星への入射フラックスと惑星質量の両方に依存する.そこでは,フラックス・質量・半径の関係は,以下の 4 つの異なる惑星質量領域に分けられることを提案している:0.37 木星質量未満,0.37-0.98 木星質量,0.98-2.50 木星質量,2.50 木星質量以上である.

これらの関係を用いて,2 つの惑星の半径膨張 ΔR を推定した.
NGTS-8b については 0.98 木星質量以上・および未満の境界領域に位置しており,双方の関係からは ΔR は 0.24 木星半径と 0.02 木星半径と推定される.前者の値は大きく膨張した半径になることを示唆するが,後者の値はほぼ膨張しないことを示唆する.
NGTS-9b に関しては ΔR は 0.18 木星半径である.

従って,Sestovic et al. (2018) の結果を用いると,今回の 2 惑星は理論的な予測よりも大きな半径を持つことが期待される.

最後に,2 惑星の観測された惑星半径を Baraffe et al. (2008) と Fortney et al. (2007) の質量-半径モデルと比較した.これらのモデルは,太陽型の中心星を仮定し,惑星半径をコア質量・惑星質量・軌道間隔と系の年齢の関数として表現したものである.

今回の 2 惑星の中心星はどちらも太陽類似星ではないため,入射フラックスを一定にするように軌道間隔を再規格化してモデルを使用した.この場合,それぞれの惑星で予測される半径は 1.09 と 1.07 木星半径となり,観測結果と合う.

結論としては,もしどちらの惑星も予測より大きな半径を持つレジームにいたとしても,この 2 つの惑星は膨張していないホットジュピターであると考えられる.惑星の重元素が多い場合,惑星がコンパクトな構造になり,結果として小さい半径になる場合があることが分かっている.その一例は HD 149026b (Sato et al. 2005) である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.03182
Debras et al. (2019)
The Acceleration of Superrotation in Simulated Hot Jupiter Atmospheres
(シミュレートされたホットジュピター大気でのスーパーローテーションの加速)

概要

赤道領域での大気のスーパーローテーション流は,ホットジュピターの大気シミュレーションの結果ではほぼ普遍的に存在し,過去の研究ではこの帯状のコヒーレントな流れがどのように平衡に到達するのかを説明する理論が発展している.しかしこの理論は,線形の定常状態が実現されるゆっくりとした進化を伴った,初期条件でのスーパーローテーション流かせん断流の存在に依存している.

スーパーローテーションについての一貫した物理的理解は,任意の大気摩擦力と輻射タイムスケールの影響が重要であり,また線形定常状態を考慮することとの関連性を評価する必要がある.
ここでは,2 次元の浅水 β 平面極限での静止状態の周りのホットジュピター大気における伝播波の構造,周波数および減衰率の解析的な表式を導出する.この表式を数値的に解き,3 次元の線形波アルゴリズムと今回の結果の堅牢性を確認する.その後,ホットジュピター大気の 3 次元シミュレーションと比較し,非線形運動量フラックスについて調査する.

その結果,強い昼夜加熱が存在する状況下では,剛体回転している初期大気からシミュレーションを開始した場合に,大気の運動は線形定常状態を経由しないことが判明した.さらに,初期のスーパーローテーションの加速においては非線形効果が有効であること,また渦運動量フラックスの鉛直成分による加速がスーパーローテーションの初期進化に重要であることを示す.

全体としては,輻射と大気摩擦の異なるタイムスケールについての考慮を含めた,スーパーローテーションの加速の初期段階について記述した.その結果,渦運動量駆動のスーパーローテーション赤道ジェットは,ホットジュピター大気のシミュレーションにおける確実な物理現象であると結論付けた.

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arXiv:1911.03358
Weaver et al. (2019)
ACCESS: A Visual to Near-infrared Spectrum of the Hot Jupiter WASP-43b with Evidence of H2O, but no evidence of Na or K
(ACCESS:水の兆候があるが,ナトリウムとカリウムの兆候は示さないホットジュピター WASP-43b の可視光から近赤外線のスペクトル)

概要

ホットジュピター WASP-43b の,地上からの可視光透過スペクトルの新しい観測結果について報告する.これは ACCESS サーベイの一部として行った観測である.

スペクトルは 2015-2018 年の間の 4 回のトランジットの観測から取得した.波長域は 5300-9000 Å で,平均の測光精度は 230 Å のビンで 708 ppm である.

得られた透過スペクトルの大気復元解析を,過去のハッブル宇宙望遠鏡 WFC3 の観測データと合わせて行い,大気中の雲・ヘイズの存在や Na, K, Hα 線,水分子の惑星大気中での吸収,および恒星黒点の混入の影響を 5318-16420 Å の範囲で調査した.

その結果,アルカリ金属の Na I と K I のスペクトル線は,統計的に有意に検出されなかった.また Hα 線も得られなかった.

得られた透過スペクトルは,中心星の光球における非一様性と,H2O を持った晴れた惑星大気のスペクトルの組み合わせで最もよく説明できる.このモデルは,平坦な特徴に欠けたスペクトルよりも高い有意性を得る.特に観測結果は,ACCESS による 4 回のトランジットの最中に,恒星の表面の 27% を覆う,温度差 132 K の低コントラストの大きい黒点が存在するとしたモデルを暫定的に支持する.

惑星大気における水蒸気の体積混合比の対数値は -2.78 であり,これは過去のこの惑星における水蒸気の存在度の測定と整合的である.

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arXiv:1911.02012
Díaz et al. (2019)
TOI-132 b: A short-period planet in the Neptune desert transiting a V=11.3 G-type star
(TOI-132b:V = 11.3 の G 型星をトランジットする海王星砂漠にある短周期惑星)

概要

海王星砂漠 (Neptune desert) は,系外惑星を半径-質量-軌道周期平面に図示した時に見られる特徴であり,短周期の海王星類似の惑星の発見数が特に欠乏している領域のことを指す.

ここでは,TESS による海王星砂漠内にある新しい短周期の惑星 TOI-132b の発見を報告する.

この惑星は G 型星 TYC 8003-1117-1 (TOI-132) を公転している.TESS の測光観測では,2.11 日程度の周期で ~1400 ppm のトランジット状の減光が検出された.

高精度視線速度フォローアップ観測を HARPS で行い,検出されたトランジットシグナルが惑星によるものであることを確認した.また視線速度の半振幅が ~11.5 m s-1 と測定され,これは恒星質量が 0.97 太陽質量であることを考慮すると,惑星質量は 22.83 地球質量であることに対応している.

TESS の高品質光度曲線のモデリングから,惑星半径は 3.43 地球半径であり,惑星のバルク密度は 3.11 g cm-3 と計算される.惑星の構造モデルからは,この惑星は岩石主体の核に,4.3% の質量を占める大気を持っていることが示唆される.

パラメータ

TOI-132
有効温度:5397 K
金属量:[Fe/H] = 0.16
光度:0.60 太陽光度
半径:0.90 太陽半径
質量:0.97 太陽質量
年齢:63.4 億歳
TOI-132b
軌道周期:2.1097008 日
軌道離心率:0.087
質量:22.83 地球質量
半径:3.43 地球半径
軌道長半径:0.026 AU
密度:3.11 g cm-3
平衡温度:1384 K

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