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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.05337
Sanchis-Ojeda et al. (2015)
A low stellar obliquity for WASP-47, a compact multiplanet system with a hot Jupiter and an ultra-short period planet
(ホットジュピターと超短周期の惑星を持つコンパクトな複数惑星系、WASP-47の小さい傾斜角)
この系は現在知られている系外惑星系の中では唯一の、近接した惑星を持つホットジュピターがいる系である。
ケプラー宇宙望遠鏡での観測と今回の分光観測の結果を合わせて解析した結果、この恒星の自転軸と惑星の公転軸の傾きは、0° ± 24°であった。
よって、WASP-47bが逆行惑星である可能性は明確に排除される。
また順行で大きく傾いた軌道を持つという可能性も排除できる。
このような小さな傾斜角は、他のコンパクトな複数惑星系でも見られる傾向である。
ケプラー56系における、2つのトランジット惑星がトランジットを起こしている中心星ケプラー56 (準巨星)では 45°の傾きがあることが分かっており、コンパクトな複数惑星系で大きな傾斜角を持っているという唯一の例外である。
従って、ケプラー56系という例外を除けば、コンパクトな複数惑星系ではほとんど傾斜角は小さい。
ホットジュピターの形成や移動の理解に関して重要であり、惑星はそれらが形成された原始惑星系円盤の平面から大きくずれることがあり得る。
ロシター効果はこの傾斜角の観測に重要である。
ホットジュピターはサイズが大きく軌道周期も小さいため、ロシター効果の検出は容易である。
最近はその他の系、特にコンパクトな複数惑星系でもロシター効果の測定が可能になってきている。
惑星が小さく、トランジットの頻度も低い惑星系では、一般的にはロシター効果の測定は難しい。
しかし、ケプラー25、ケプラー89においてロシター効果が確認された(Hirano et al. 2012, Albrecht et al. 2013)。この2つの系では、共に傾斜角は小さい値を得た。
この傾向は、後に観測されたケプラー30でも見られた(Sanchis-Ojeda et al. 2012)。
この観測では、惑星が恒星の黒点を通過するイベントから、傾斜角への制限を与えている。
さらに、ケプラー50、ケプラー65においては、恒星のp-mode振動のrotational splittingから傾斜角を測定し、共に小さい値を得ている(Chaplin et al. 2013)。
これらの観測により、コンパクトな複数惑星系では傾斜角は小さく(Albrecht et al. 2013)、大きな傾斜角はホットジュピターに特有のものである可能性があると考えられてきた。
しかし、この暫定的な結論はケプラー56での観測により打ち砕かれることとなった。
この惑星系では、傾斜角は45°と大きな値を示した(Huber et al. 2013)。
ホットジュピターは最初に発見され、軌道周期は 4.1日である(Hellier et al. 2012)。
その後、長期間の視線速度観測から、長周期の木星型惑星が検出された(Neveau-VanMalle et al. 2015)。
さらに最近は、ケプラー宇宙望遠鏡のK2ミッションから、公転周期 0.79日のスーパーアースと、公転周期 9日の海王星サイズの惑星が検出された(Becker et al. 2015)。
このような系は非常にレアであり、傾斜角の観測対象として興味深い。
(※参考
天文・宇宙物理関連メモ vol. 45 Becker et al. (2015) ホットジュピター近傍での惑星検出)
そのため、ケプラー宇宙望遠鏡の測光データを利用している。
ロシター効果の観測には、Keck I telescopeのHIRES分光器を利用している。
arXiv:1509.05337
Sanchis-Ojeda et al. (2015)
A low stellar obliquity for WASP-47, a compact multiplanet system with a hot Jupiter and an ultra-short period planet
(ホットジュピターと超短周期の惑星を持つコンパクトな複数惑星系、WASP-47の小さい傾斜角)
概要
WASP-47系において、WASP-47bによるロシター効果 (Rossiter-Maclaughlin effect)を検出した。この系は現在知られている系外惑星系の中では唯一の、近接した惑星を持つホットジュピターがいる系である。
ケプラー宇宙望遠鏡での観測と今回の分光観測の結果を合わせて解析した結果、この恒星の自転軸と惑星の公転軸の傾きは、0° ± 24°であった。
よって、WASP-47bが逆行惑星である可能性は明確に排除される。
また順行で大きく傾いた軌道を持つという可能性も排除できる。
このような小さな傾斜角は、他のコンパクトな複数惑星系でも見られる傾向である。
ケプラー56系における、2つのトランジット惑星がトランジットを起こしている中心星ケプラー56 (準巨星)では 45°の傾きがあることが分かっており、コンパクトな複数惑星系で大きな傾斜角を持っているという唯一の例外である。
従って、ケプラー56系という例外を除けば、コンパクトな複数惑星系ではほとんど傾斜角は小さい。
研究背景
これまでの複数惑星系での傾斜角観測
中心星に近接した惑星を持つ系では、傾斜角の値は広い範囲になり得る(Triaud et al. 2010, レビュー論文は Winn & Fabrycky 2015)。ホットジュピターの形成や移動の理解に関して重要であり、惑星はそれらが形成された原始惑星系円盤の平面から大きくずれることがあり得る。
ロシター効果はこの傾斜角の観測に重要である。
ホットジュピターはサイズが大きく軌道周期も小さいため、ロシター効果の検出は容易である。
最近はその他の系、特にコンパクトな複数惑星系でもロシター効果の測定が可能になってきている。
惑星が小さく、トランジットの頻度も低い惑星系では、一般的にはロシター効果の測定は難しい。
しかし、ケプラー25、ケプラー89においてロシター効果が確認された(Hirano et al. 2012, Albrecht et al. 2013)。この2つの系では、共に傾斜角は小さい値を得た。
この傾向は、後に観測されたケプラー30でも見られた(Sanchis-Ojeda et al. 2012)。
この観測では、惑星が恒星の黒点を通過するイベントから、傾斜角への制限を与えている。
さらに、ケプラー50、ケプラー65においては、恒星のp-mode振動のrotational splittingから傾斜角を測定し、共に小さい値を得ている(Chaplin et al. 2013)。
これらの観測により、コンパクトな複数惑星系では傾斜角は小さく(Albrecht et al. 2013)、大きな傾斜角はホットジュピターに特有のものである可能性があると考えられてきた。
しかし、この暫定的な結論はケプラー56での観測により打ち砕かれることとなった。
この惑星系では、傾斜角は45°と大きな値を示した(Huber et al. 2013)。
WASP-47系
この系は、ホットジュピターがコンパクトな複数惑星系の一員になっている珍しい系である。ホットジュピターは最初に発見され、軌道周期は 4.1日である(Hellier et al. 2012)。
その後、長期間の視線速度観測から、長周期の木星型惑星が検出された(Neveau-VanMalle et al. 2015)。
さらに最近は、ケプラー宇宙望遠鏡のK2ミッションから、公転周期 0.79日のスーパーアースと、公転周期 9日の海王星サイズの惑星が検出された(Becker et al. 2015)。
このような系は非常にレアであり、傾斜角の観測対象として興味深い。
(※参考
天文・宇宙物理関連メモ vol. 45 Becker et al. (2015) ホットジュピター近傍での惑星検出)
観測
WASP-47は、ケプラー宇宙望遠鏡のK2ミッションのCampaign 3の視野内に入っている。そのため、ケプラー宇宙望遠鏡の測光データを利用している。
ロシター効果の観測には、Keck I telescopeのHIRES分光器を利用している。
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.05397
Cloutier et al. (2015)
Could Jupiter or Saturn Have Ejected a Fifth Giant Planet?
(木星か土星は5つ目の巨大惑星を系から弾き出すことが出来たか?)
統計的に、成功している先行研究の力学的シミュレーションモデルの中には、太陽系内にはかつて5つ目の巨大ガス惑星もしくは巨大氷惑星質量の惑星があり、太陽系の天体の軌道が不安定になっている時期にガス惑星によって太陽系外に弾き飛ばされたとするものがある。
ここでは、木星や土星による巨大氷惑星の系からの放出の可能性について、軌道長半径の大きい木星の規則衛星カリストと、軌道長半径の大きい土星の規則衛星イアペトゥスの現在の軌道の状態から制限を与えることを試みる。
惑星軌道が不安定になっている時期に惑星同士の近接遭遇によって、惑星が系外に弾き出されることがある。
巨大氷惑星を系から放出するのに十分な近接遭遇は、カリストやイアペトゥスのような比較的外側を公転している規則衛星の軌道に対して、しばしば過剰な擾乱を与え得る。
軌道の計算を行った結果、定量的には、巨大氷惑星を系から弾き出すような木星への近接遭遇イベントのうち、カリストの位置の規則衛星の軌道に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 42%となった。
この大きな値は、5番目の巨大惑星が太陽系内に存在したという仮説を支持するものである。
同様の計算を土星に対して行った結果、イアペトゥスの位置の規則衛星に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 1%にとどまった。
そのため、土星との近接遭遇によって太陽系外に巨大氷惑星を弾き出すのは、土星の衛星への影響を考慮すると難しい。
しかし、イアペトゥスの現在の独特の軌道 (軌道傾斜角がやや大きい)での衛星形成の過程を考慮する必要があるなど、土星に対する計算の結果の解釈は難しい。
惑星同士の近接遭遇によって惑星が系から弾き飛ばされる事は、数値計算では確認されています。
過去の太陽系で起きたかどうかは確かなことはいえませんが、木星、土星、海王星、天王星に次ぐ"5番目の巨大惑星"がかつて太陽系内に存在し、その後の軌道不安定の時期に系から弾き飛ばされたとするシミュレーションモデルはいくつも存在します。
木星や土星との近接遭遇によって飛ばされることは大いにあり得ることですが、その可能性について惑星の衛星への影響から制限をかけようという試みで、興味深いモデルだと思います。
規則衛星のうちの最も外側の部類の物を選んでいるのは、それより外側に多数存在する不規則衛星は、近接遭遇の後に小天体を捕獲すれば良いということで、惑星形成と一緒に形成されたと考えられる規則衛星のうち、最も近接遭遇の影響を受けやすい外側を考えるという理由なのでしょう。
ただ、不規則衛星の捕獲に関してはまだ周惑星円盤が残っている段階に起きたと考える説もあるため、それとの兼ね合いは気になるところです。
arXiv:1509.05397
Cloutier et al. (2015)
Could Jupiter or Saturn Have Ejected a Fifth Giant Planet?
(木星か土星は5つ目の巨大惑星を系から弾き出すことが出来たか?)
概要
太陽系形成論において、原始惑星系円盤のガスが拡散した後に、巨大惑星の軌道の再配置が起きるというモデルがある。統計的に、成功している先行研究の力学的シミュレーションモデルの中には、太陽系内にはかつて5つ目の巨大ガス惑星もしくは巨大氷惑星質量の惑星があり、太陽系の天体の軌道が不安定になっている時期にガス惑星によって太陽系外に弾き飛ばされたとするものがある。
ここでは、木星や土星による巨大氷惑星の系からの放出の可能性について、軌道長半径の大きい木星の規則衛星カリストと、軌道長半径の大きい土星の規則衛星イアペトゥスの現在の軌道の状態から制限を与えることを試みる。
惑星軌道が不安定になっている時期に惑星同士の近接遭遇によって、惑星が系外に弾き出されることがある。
巨大氷惑星を系から放出するのに十分な近接遭遇は、カリストやイアペトゥスのような比較的外側を公転している規則衛星の軌道に対して、しばしば過剰な擾乱を与え得る。
軌道の計算を行った結果、定量的には、巨大氷惑星を系から弾き出すような木星への近接遭遇イベントのうち、カリストの位置の規則衛星の軌道に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 42%となった。
この大きな値は、5番目の巨大惑星が太陽系内に存在したという仮説を支持するものである。
同様の計算を土星に対して行った結果、イアペトゥスの位置の規則衛星に対して大きく影響を及ぼさない確率は ~ 1%にとどまった。
そのため、土星との近接遭遇によって太陽系外に巨大氷惑星を弾き出すのは、土星の衛星への影響を考慮すると難しい。
しかし、イアペトゥスの現在の独特の軌道 (軌道傾斜角がやや大きい)での衛星形成の過程を考慮する必要があるなど、土星に対する計算の結果の解釈は難しい。
惑星同士の近接遭遇によって惑星が系から弾き飛ばされる事は、数値計算では確認されています。
過去の太陽系で起きたかどうかは確かなことはいえませんが、木星、土星、海王星、天王星に次ぐ"5番目の巨大惑星"がかつて太陽系内に存在し、その後の軌道不安定の時期に系から弾き飛ばされたとするシミュレーションモデルはいくつも存在します。
木星や土星との近接遭遇によって飛ばされることは大いにあり得ることですが、その可能性について惑星の衛星への影響から制限をかけようという試みで、興味深いモデルだと思います。
規則衛星のうちの最も外側の部類の物を選んでいるのは、それより外側に多数存在する不規則衛星は、近接遭遇の後に小天体を捕獲すれば良いということで、惑星形成と一緒に形成されたと考えられる規則衛星のうち、最も近接遭遇の影響を受けやすい外側を考えるという理由なのでしょう。
ただ、不規則衛星の捕獲に関してはまだ周惑星円盤が残っている段階に起きたと考える説もあるため、それとの兼ね合いは気になるところです。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.04147
Zhou et al. (2015)
Secondary eclipse observations for seven hot-Jupiters from the Anglo-Australian Telescope
(アングロ・オーストラリア望遠鏡での7つのホットジュピターの二次食観測)
アングロ・オーストラリア望遠鏡は、オーストラリアのサイディング・スプリング天文台 (Siding-Spring Observatoryにある望遠鏡である。)
今回観測したのは、WASP-2b, WASP-4b, WASP-5b, WASP-18b, WASP-36b, WASP-46b, WASP-76bである。
このうち、WASP-18bとWASP-36bのKsバンドでの二次食の観測は初めてである。
また、WASP-4b, WASP-5b, WASP-46bの二次食の観測をし、WASP-2b, WASP-76bに対しては二次食の深さの上限を与えた。
特にWASP-46bは2回の完全な二次食の観測に成功した。
これまでに多くの二次食が、Ksバンドとスピッツァー宇宙望遠鏡のIRACの4バンドで観測されている。
これらの結果について、広帯域での色や惑星の輝度温度という観点からの議論も行った。
特に、最も強く日射を受けている惑星と穏やかな日射を受けている惑星の間の温度の二分性について再検討を行った。
その結果これまで指摘されていた、惑星の輝度温度と平衡温度の分布において2つのグループが存在するという証拠は、どの波長帯においても得られなかった。
従ってこれらの惑星では、熱の再放射と循環の特性は連続的に分布していることが示唆される。
二次食の観測は、特にホットジュピターのアルベドや熱の再分配の効率を制限することに関して重要である。
二次食の観測は、スピッツァー宇宙望遠鏡のIRACバンドで多く行われている。
これまでに48の惑星の二次食が、IRACの 4.5 μmで観測されている。
しかし地上からのKsバンドでの観測は 26個に留まる。
地上からの赤外線観測では、スピッツァー宇宙望遠鏡では得られない短い波長での観測が可能である。
これにより、惑星大気のより深い領域を探ることができ、また大気循環の異なるレジームを探ることも可能となる。
またWASP-2b, WASP-76bでは、3σの制限を与えた。
スピッツァー宇宙望遠鏡では、3.6, 4.5, 5.9, 8.0 μmで二次食が検出されている(Wheatley et al. 2010)。
スピッツァー宇宙望遠鏡に比べると低いフラックス比と、3.6 μmでの 0.083%という浅い二次食深さを考えると、今回得られた二次食の深さの上限値は過去の観測と整合的である。二次食深さは 0.16 ± 0.04%という値が得られた。
この惑星のKsバンドでの二次食観測は過去に例がある(Caceres et al. 2011)。
これはVLTのISAACによる観測であり、この時の二次食深さは 0.185% (+0.014, -0.013)であり、1σで整合的である。
スピッツァー宇宙望遠鏡での 3.6, 4.5 μmでの観測例もある(Beerer et al. 2011)。
二次食の位相も過去の観測と整合的である。
過去のKsバンドでの観測では 0.269 ± 0.062%という値が得られている(Chen et al. 2014)。これはMPGのGROND (2.2 m望遠鏡使用)で行われた観測である。
Chen et al. (2014)ではJバンドでの二次食観測も行っている。
さらに、スピッツァー宇宙望遠鏡での 3.6, 4.5 μmでの観測も行われている(Baskin et al. 2013)。
WASP-5bは短周期の惑星であるため、軌道が円軌道化されるまでのタイムスケールも短い。
Dobbs-Dixon et al. (2004)での表式に従えば、潮汐のQ値が Q = 105の場合、円軌道化のタイムスケールは ~ 1 Myrである。
しかしこの惑星の軌道離心率はノンゼロであるため、系の説明のためには例えばより大きなQ値が必要であるかもしれない。
スピッツァー宇宙望遠鏡での先行観測があり、 3.6, 4.5 μm (Nymeyer et al. 2011, Maxted et al. 2013)、5.9, 8.0 μm (Nymeyer et al. 2011)がある。
二次食深さは 0.13 ± 0.04%であった。
また軌道離心率は e = 0.004 (+0.006, -0.005)であり、円軌道という結果と整合的である。
この惑星は、どの波長帯においても二次食観測の先行例は存在しない。
Ksバンドでは過去にChen et al. (2014)での観測例があり、0.253% (+0.063, 0.060)である。
1σより良い範囲で整合的な結果である。
Chen et al. (2014)ではJ, Hバンドでの検出も行われている。
二次食の位相も、過去の円軌道を仮定した場合のものと整合的である。
Marginal detection (2.3σ)としては、0.13 ± 0.06%という値を与えた。
この惑星については、過去の二次食の観測は行われていない。
そのうち、最も強く日射を受けている惑星は、強力で、自転周期よりも速い赤道ジェット (equatrial jets)と、大きな経度方向の温度勾配を持つ(Showman & Guillot 2002, Dobbs-Dixon & Lin 2008など)。
これらの特徴は、恒星直下点 (sub-stellar point)からズレた場所にピークを持つ、赤外線での位相曲線の観測からも明らかにされつつある(Knutson et al. 2007)。
(※恒星直下点よりもずれた位置に最も強い赤外線の放射があり、その部分が最も高温であることを示唆している)
Showman et al. (2015)によると、この昼夜間の温度差の度合いは、惑星が受けている日射のレベルと、惑星の自転周期に依存する。
比較的穏やかな日射を受けている場合か、自転が速い場合 (あるいはその両方)、ホットジュピターの大気は緯度方向の変化が大きく、経度方向の変化は小さいと予想される。
Cowan & Agol (2011)とSchwarz & Cowan (2015)では、多バンドの二次食観測から、惑星の昼側での有効温度を推定し、その惑星に対して期待される平衡温度との比較を行った。
その結果、暫定的にはホットジュピターは2つのグループに別れる事を示した。
最も強い日射を受けている部類の惑星は、比較的穏やかな日射を受けている惑星と比べると、低い熱の再循環効率と高い有効温度を持つ、というものである。
ここでは、観測結果を合わせてその説を再検証する。
惑星の平衡温度を、アルベドをゼロ、熱の再分配が行われないと仮定して計算した。
また、Ksバンドとスピッツァー宇宙望遠鏡での4バンドのデータから、惑星の輝度温度と平衡温度の関係を分析した。
輝度温度と平衡温度をプロットして解析した結果、プロットは単一成分 (single component)とするモデルが、全てのバンドにおいて最もよく合うという結果が得られた。
先行研究で示されていたような、2成分に分けられるという可能性は、Ksバンド, 4.5, 5.8, 8.0 μmにおいては > 90%で排除できる。
また 3.6 μmでは > 60%で排除できる。
そのため、2つのグループに明確には分かれていないと結論付けることが出来る。
ホットジュピター大気の循環の特徴は連続的に変化しており、「緯度方向の循環が支配的な比較的温かいジュピター」と、「経度方向の循環が支配的なホットジュピター」の間には明確な差は存在しないという事を示唆した。
arXiv:1509.04147
Zhou et al. (2015)
Secondary eclipse observations for seven hot-Jupiters from the Anglo-Australian Telescope
(アングロ・オーストラリア望遠鏡での7つのホットジュピターの二次食観測)
概要
アングロ・オーストラリア望遠鏡のIRIS2赤外線カメラを用い、近赤外線のKsバンドで7つのホットジュピターの二次食 (secondary eclipse)を観測した。アングロ・オーストラリア望遠鏡は、オーストラリアのサイディング・スプリング天文台 (Siding-Spring Observatoryにある望遠鏡である。)
今回観測したのは、WASP-2b, WASP-4b, WASP-5b, WASP-18b, WASP-36b, WASP-46b, WASP-76bである。
このうち、WASP-18bとWASP-36bのKsバンドでの二次食の観測は初めてである。
また、WASP-4b, WASP-5b, WASP-46bの二次食の観測をし、WASP-2b, WASP-76bに対しては二次食の深さの上限を与えた。
特にWASP-46bは2回の完全な二次食の観測に成功した。
これまでに多くの二次食が、Ksバンドとスピッツァー宇宙望遠鏡のIRACの4バンドで観測されている。
これらの結果について、広帯域での色や惑星の輝度温度という観点からの議論も行った。
特に、最も強く日射を受けている惑星と穏やかな日射を受けている惑星の間の温度の二分性について再検討を行った。
その結果これまで指摘されていた、惑星の輝度温度と平衡温度の分布において2つのグループが存在するという証拠は、どの波長帯においても得られなかった。
従ってこれらの惑星では、熱の再放射と循環の特性は連続的に分布していることが示唆される。
研究の背景
惑星が恒星の背後にまわり、惑星からの光(反射光+惑星からの熱放射)が隠される現象を、二次食 (secondary eclipse)と呼ぶ。二次食の観測は、特にホットジュピターのアルベドや熱の再分配の効率を制限することに関して重要である。
二次食の観測は、スピッツァー宇宙望遠鏡のIRACバンドで多く行われている。
これまでに48の惑星の二次食が、IRACの 4.5 μmで観測されている。
しかし地上からのKsバンドでの観測は 26個に留まる。
地上からの赤外線観測では、スピッツァー宇宙望遠鏡では得られない短い波長での観測が可能である。
これにより、惑星大気のより深い領域を探ることができ、また大気循環の異なるレジームを探ることも可能となる。
観測結果
WASP-4b, WASP-5b, WASP-18b, WASP-36b, WASP-46bでは、> 3σで二次食を検出した。またWASP-2b, WASP-76bでは、3σの制限を与えた。
WASP-2b
1回の二次食観測から、3σで二次食の深さに対して < 0.07%という上限値を与えた。スピッツァー宇宙望遠鏡では、3.6, 4.5, 5.9, 8.0 μmで二次食が検出されている(Wheatley et al. 2010)。
スピッツァー宇宙望遠鏡に比べると低いフラックス比と、3.6 μmでの 0.083%という浅い二次食深さを考えると、今回得られた二次食の深さの上限値は過去の観測と整合的である。
WASP-4b
2回の部分的な二次食観測より、この惑星のKsバンドでの二次食観測は過去に例がある(Caceres et al. 2011)。
これはVLTのISAACによる観測であり、この時の二次食深さは 0.185% (+0.014, -0.013)であり、1σで整合的である。
スピッツァー宇宙望遠鏡での 3.6, 4.5 μmでの観測例もある(Beerer et al. 2011)。
二次食の位相も過去の観測と整合的である。
WASP-5b
この惑星の二次食深さは 0.20 ± 0.02%であった。過去のKsバンドでの観測では 0.269 ± 0.062%という値が得られている(Chen et al. 2014)。これはMPGのGROND (2.2 m望遠鏡使用)で行われた観測である。
Chen et al. (2014)ではJバンドでの二次食観測も行っている。
さらに、スピッツァー宇宙望遠鏡での 3.6, 4.5 μmでの観測も行われている(Baskin et al. 2013)。
WASP-5bは短周期の惑星であるため、軌道が円軌道化されるまでのタイムスケールも短い。
Dobbs-Dixon et al. (2004)での表式に従えば、潮汐のQ値が Q = 105の場合、円軌道化のタイムスケールは ~ 1 Myrである。
しかしこの惑星の軌道離心率はノンゼロであるため、系の説明のためには例えばより大きなQ値が必要であるかもしれない。
WASP-18b
この惑星の二次食深さは 0.14 ± 0.03%であった。スピッツァー宇宙望遠鏡での先行観測があり、 3.6, 4.5 μm (Nymeyer et al. 2011, Maxted et al. 2013)、5.9, 8.0 μm (Nymeyer et al. 2011)がある。
WASP-36b
この惑星の二次食の検出は初めてである。二次食深さは 0.13 ± 0.04%であった。
また軌道離心率は e = 0.004 (+0.006, -0.005)であり、円軌道という結果と整合的である。
この惑星は、どの波長帯においても二次食観測の先行例は存在しない。
WASP-46b
この惑星に関しては2回の完全な二次食の光度曲線を観測し、二次食深さは 0.26% (+0.05, -0.03)であった。Ksバンドでは過去にChen et al. (2014)での観測例があり、0.253% (+0.063, 0.060)である。
1σより良い範囲で整合的な結果である。
Chen et al. (2014)ではJ, Hバンドでの検出も行われている。
二次食の位相も、過去の円軌道を仮定した場合のものと整合的である。
WASP-76b
この惑星では、二次食深さに対して 3σで 0.3%の上限値を与えた。Marginal detection (2.3σ)としては、0.13 ± 0.06%という値を与えた。
この惑星については、過去の二次食の観測は行われていない。
議論
ホットジュピターの大気循環モデル
ホットジュピター大気の3Dモデルによると、強い日射を受けているホットジュピターは大きな昼夜間の温度差があると予測されている。そのうち、最も強く日射を受けている惑星は、強力で、自転周期よりも速い赤道ジェット (equatrial jets)と、大きな経度方向の温度勾配を持つ(Showman & Guillot 2002, Dobbs-Dixon & Lin 2008など)。
これらの特徴は、恒星直下点 (sub-stellar point)からズレた場所にピークを持つ、赤外線での位相曲線の観測からも明らかにされつつある(Knutson et al. 2007)。
(※恒星直下点よりもずれた位置に最も強い赤外線の放射があり、その部分が最も高温であることを示唆している)
Showman et al. (2015)によると、この昼夜間の温度差の度合いは、惑星が受けている日射のレベルと、惑星の自転周期に依存する。
比較的穏やかな日射を受けている場合か、自転が速い場合 (あるいはその両方)、ホットジュピターの大気は緯度方向の変化が大きく、経度方向の変化は小さいと予想される。
輝度温度と平衡温度
比較的穏やかな輻射を受け、熱的によく混合されている惑星と、強い日射を受けている惑星の境目は存在するのだろうか?Cowan & Agol (2011)とSchwarz & Cowan (2015)では、多バンドの二次食観測から、惑星の昼側での有効温度を推定し、その惑星に対して期待される平衡温度との比較を行った。
その結果、暫定的にはホットジュピターは2つのグループに別れる事を示した。
最も強い日射を受けている部類の惑星は、比較的穏やかな日射を受けている惑星と比べると、低い熱の再循環効率と高い有効温度を持つ、というものである。
ここでは、観測結果を合わせてその説を再検証する。
惑星の平衡温度を、アルベドをゼロ、熱の再分配が行われないと仮定して計算した。
また、Ksバンドとスピッツァー宇宙望遠鏡での4バンドのデータから、惑星の輝度温度と平衡温度の関係を分析した。
輝度温度と平衡温度をプロットして解析した結果、プロットは単一成分 (single component)とするモデルが、全てのバンドにおいて最もよく合うという結果が得られた。
先行研究で示されていたような、2成分に分けられるという可能性は、Ksバンド, 4.5, 5.8, 8.0 μmにおいては > 90%で排除できる。
また 3.6 μmでは > 60%で排除できる。
そのため、2つのグループに明確には分かれていないと結論付けることが出来る。
ホットジュピター大気の循環の特徴は連続的に変化しており、「緯度方向の循環が支配的な比較的温かいジュピター」と、「経度方向の循環が支配的なホットジュピター」の間には明確な差は存在しないという事を示唆した。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.03622
Boyajian et al. (2015)
Planet Hunters X. KIC 8462852 - Where's the Flux?
(プラネットハンター 10. KIC 8462852)
観測から、この光度曲線のdipping activityは 5 - 80日程度継続する。
この光度曲線について、高分散分光観測、エネルギースペクトルのフィッティング、ケプラーの光度曲線のフーリエ解析から分析を行った。
その結果、中心星は主系列段階の、スペクトル型が F3 V/IVの恒星であることが判明した。
また自転周期は 0.88日である。
スペクトルにおける赤外超過 (IR excess, 赤外線領域で黒体輻射よりも上にずれること)は見られなかった。
ここでは、この奇妙な光度曲線のdipに対して考えられるシナリオをいくつか提示した。
しかし現状のデータではどれも問題点を抱えている。
通常の主系列星周りのダスト塊による影響を考えることで、系外彗星 (exocomets)の破片の群 (familiy)が恒星面を通過するというモデルが最も矛盾しないという結果を得た。
この彗星の群を構成する小天体は、全てが直前の1回の衝突破壊イベントによって生成されたとするシナリオである。
ここでは、宇宙線が当たったことによる影響や、CCDの影響など考えうる原因を確認し、これらの効果は光度曲線に見られるようなdipを形成し得ないと結論づけた。
そのため、光度曲線は技術的な問題から生じたものではなく、天文現象に起因するものであると考えられる。
UX Orionis天体は多くは中間質量を持つ前主系列星で、スペクトル観測をすると2 - 5 μmでの赤外超過を示す。
また、星への降着による輝線を持つ。
KIC 8462852のスペクトルにはそのような傾向は見られなかったため、UX Orionis天体であるためにdipが形成されるというシナリオは排除される。
しかしRCB型変光星で典型的に発生する変光と、KIC 8462852での変光はタイムスケールが異なることと、RCB型変光星は超巨星で発生するものであるがKIC 8462852はそうではない。
KIC 8462852の表面重力と自転速度の関係からは、この恒星が超巨星である可能性は低いと判断できる。
そのため、RCB型変光星による変光という可能性も排除される。
しかしBe星は一般的に赤外超過を示すが、KIC 8462852では赤外超過は確認されていない。
またKIC 8462852の有効温度は 6750 Kであるが、これはBe星としては低温すぎるため、Be星である可能性も低い。
光分解の撮像観測では、KIC 8462852の近傍にM型星が発見されている。
このM型星が重力的に束縛されているかそうでないかに関わらず、光度曲線へのコンタミネーションを起こすことはあり得ることである。
しかし、解析の結果このM型星がdipを起こす見込みはないと判明した。
これは、彗星の群によるものとすると説明できる可能性がある。
arXiv:1509.03622
Boyajian et al. (2015)
Planet Hunters X. KIC 8462852 - Where's the Flux?
(プラネットハンター 10. KIC 8462852)
概要
ケプラー宇宙望遠鏡で発見された、KIC 8462852における不規則な形状の非周期的な光度曲線の ~ 20%の減少 ("dip")についての解析を行った。観測から、この光度曲線のdipping activityは 5 - 80日程度継続する。
この光度曲線について、高分散分光観測、エネルギースペクトルのフィッティング、ケプラーの光度曲線のフーリエ解析から分析を行った。
その結果、中心星は主系列段階の、スペクトル型が F3 V/IVの恒星であることが判明した。
また自転周期は 0.88日である。
スペクトルにおける赤外超過 (IR excess, 赤外線領域で黒体輻射よりも上にずれること)は見られなかった。
ここでは、この奇妙な光度曲線のdipに対して考えられるシナリオをいくつか提示した。
しかし現状のデータではどれも問題点を抱えている。
通常の主系列星周りのダスト塊による影響を考えることで、系外彗星 (exocomets)の破片の群 (familiy)が恒星面を通過するというモデルが最も矛盾しないという結果を得た。
この彗星の群を構成する小天体は、全てが直前の1回の衝突破壊イベントによって生成されたとするシナリオである。
特異な光度曲線に対する仮説
観測機器による影響・データ処理時の影響
奇妙な光度曲線が得られた際に考えられるシナリオで、その天体起因ではなく観測機器の特性上の問題や、観測の生データを処理した際に起きたエラーなどが原因であるとするものである。ここでは、宇宙線が当たったことによる影響や、CCDの影響など考えうる原因を確認し、これらの効果は光度曲線に見られるようなdipを形成し得ないと結論づけた。
そのため、光度曲線は技術的な問題から生じたものではなく、天文現象に起因するものであると考えられる。
恒星の内因性の変動
UX Orionis天体
恒星自身に原因がある変動として、例えばUX Orionis天体 (オリオン変光星の一種)などが考えられる。UX Orionis天体は多くは中間質量を持つ前主系列星で、スペクトル観測をすると2 - 5 μmでの赤外超過を示す。
また、星への降着による輝線を持つ。
KIC 8462852のスペクトルにはそのような傾向は見られなかったため、UX Orionis天体であるためにdipが形成されるというシナリオは排除される。
かんむり座R型変光星
その他に、かんむり座R型変光星 (R Coronae Borealis type variable, RCB type variable)という可能性がある。しかしRCB型変光星で典型的に発生する変光と、KIC 8462852での変光はタイムスケールが異なることと、RCB型変光星は超巨星で発生するものであるがKIC 8462852はそうではない。
KIC 8462852の表面重力と自転速度の関係からは、この恒星が超巨星である可能性は低いと判断できる。
そのため、RCB型変光星による変光という可能性も排除される。
Be星
高速自転星からの噴出物によって恒星の周りに円盤が形成される場合があり、この特徴を示す恒星はBe星 (Be star)と呼ばれる。しかしBe星は一般的に赤外超過を示すが、KIC 8462852では赤外超過は確認されていない。
またKIC 8462852の有効温度は 6750 Kであるが、これはBe星としては低温すぎるため、Be星である可能性も低い。
外因性の変動
KIC 8462852そのものでの変動ではなく、近傍に存在する恒星の変動を誤認しているという可能性はある。光分解の撮像観測では、KIC 8462852の近傍にM型星が発見されている。
このM型星が重力的に束縛されているかそうでないかに関わらず、光度曲線へのコンタミネーションを起こすことはあり得ることである。
しかし、解析の結果このM型星がdipを起こす見込みはないと判明した。
星周ダスト塊
恒星の周りをダスト粒子の塊が公転しており、これによる中心星の掩蔽によってdipが形成されるというシナリオである。これは、彗星の群によるものとすると説明できる可能性がある。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.02917
Almenara et al. (2015)
A HARPS view on K2-3
(HARPSによるK2-3の観測)
この系をHARPSで高精度の視線速度の追観測を行った。
観測の結果、K2-3bは 8.4 ± 2.1地球質量の惑星であることを確認した。
しかしK2-3c, dについては恒星の活動に影響されたため、視線速度法での追確認は出来なかった。
K2-3bの平均密度は 4.32 g cm-3であり、おそらくは大部分は岩石主体だが、最大で ~ 50%の水を含む可能性がある。
スーパーアースサイズの惑星における質量と半径の関係からは、ほぼ岩石主体の惑星〜岩石+水のエンベロープを持つ惑星だろうと推測される。
その他のM型星周りの惑星については、ガスのエンベロープを持っているもの (GJ 436b, GJ 3470b, Butler et al. 2004, Bontis et al. 2012)がある。
また H2O 100%である惑星 (GJ 1214b, Charbonneau et al 2009)などもある。
arXiv:1509.02917
Almenara et al. (2015)
A HARPS view on K2-3
(HARPSによるK2-3の観測)
概要
K2 missionでは最近、3つのスーパーアースを持つK2-3系を発見した。この系をHARPSで高精度の視線速度の追観測を行った。
観測の結果、K2-3bは 8.4 ± 2.1地球質量の惑星であることを確認した。
しかしK2-3c, dについては恒星の活動に影響されたため、視線速度法での追確認は出来なかった。
K2-3bの平均密度は 4.32 g cm-3であり、おそらくは大部分は岩石主体だが、最大で ~ 50%の水を含む可能性がある。
スーパーアースサイズの惑星における質量と半径の関係からは、ほぼ岩石主体の惑星〜岩石+水のエンベロープを持つ惑星だろうと推測される。
その他のM型星周りの惑星については、ガスのエンベロープを持っているもの (GJ 436b, GJ 3470b, Butler et al. 2004, Bontis et al. 2012)がある。
また H2O 100%である惑星 (GJ 1214b, Charbonneau et al 2009)などもある。

