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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.02672
Koskinen et al. (2015)
On the escape of CH4 from Pluto's atmosphere
(冥王星大気からのメタンの散逸について)
大気散逸が全くない場合は、外圏底より下の領域ではメタンは窒素より主要な成分となる。
メタンの存在分布は大気の散逸率に大きく依存し、冥王星において予言されている典型的な散逸率の場合は、外圏底より下の領域では 1%未満のほぼ一定の混合比となることがわかった。
この場合、メタンの散逸率は窒素の散逸率の 5 - 10%程度である。
ニューホライズンズのALICEによる観測が、メタンの散逸率に観測的制限をかけることにより、散逸モデルのテストを行うことが出来る。
計算から得られた全体の大気散逸率は 2.1 × 1027 s-1である。
太陽放射の 1 - 145 nmの紫外線のエネルギーの24%が大気散逸に使われるエネルギー律速の大気散逸となっており、紫外線の加熱のピークは ~ 1.78冥王星半径の場所である。
さっそくニューホライズンズをフィーチャーした大気関連の論文が!
arXiv:1508.02672
Koskinen et al. (2015)
On the escape of CH4 from Pluto's atmosphere
(冥王星大気からのメタンの散逸について)
概要
中心星に近接した系外惑星向けに開発された複数分子の散逸モデルを、冥王星からのメタンと窒素の散逸に応用した。大気散逸が全くない場合は、外圏底より下の領域ではメタンは窒素より主要な成分となる。
メタンの存在分布は大気の散逸率に大きく依存し、冥王星において予言されている典型的な散逸率の場合は、外圏底より下の領域では 1%未満のほぼ一定の混合比となることがわかった。
この場合、メタンの散逸率は窒素の散逸率の 5 - 10%程度である。
ニューホライズンズのALICEによる観測が、メタンの散逸率に観測的制限をかけることにより、散逸モデルのテストを行うことが出来る。
計算から得られた全体の大気散逸率は 2.1 × 1027 s-1である。
太陽放射の 1 - 145 nmの紫外線のエネルギーの24%が大気散逸に使われるエネルギー律速の大気散逸となっており、紫外線の加熱のピークは ~ 1.78冥王星半径の場所である。
さっそくニューホライズンズをフィーチャーした大気関連の論文が!
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.02365
Spalding & Batygin (2015)
Magnetic Origins of the Stellar Mass-Obliquity Correlation in Planetary Systems
(惑星系における恒星質量と軌道傾斜角の相関の磁気起源)
最近では、若い恒星の磁場強度にも似たような傾向があることが分かってきた。
重いT Tauri星は、軽いものよりも10倍弱い双極磁場を持っていることが観測から判明している。
ここでは、恒星自転軸と惑星の公転軸の不一致が円盤を持っている段階に発生する場合、磁気的な恒星と円盤のトルクの恒星質量への依存性が、観測されているspin-orbit misalignmentの傾向を自然に説明できることを示す。
中心星が軽い場合、磁気的トルクは中心星の自転軸を、円盤の典型的な寿命よりもずっと短い時間で円盤平面に揃えることが出来る。しかし重い恒星の場合は揃えるまでのタイムスケールが長くなる。
今回の結果は、短周期惑星の内側への移動機構は円盤駆動の移動が主要である事を示す。
また、短周期惑星でのspin-orbit misalignmentが、円盤が散逸した後の力学的な相互作用によって実現されたものである場合は、観測された中心星質量との相関を示さないということを予言する。
トランジット惑星の中には、順行軌道のものから逆行軌道のものまで発見されている。
Spin-orbit misalignmentは中心星の質量に強く依存していることが観測から判明している。
中心星の質量が 1.2太陽質量程度より大きいものでは、恒星の自転軸と惑星の公転軸が大きくずれたものが発見されているが、1.2太陽質量より小さい場合はずれは小さい。
このmisalignmentの説明のために、円盤駆動の惑星移動に代わる、数多くの傾いたホットジュピターの生成メカニズムが研究されてきた。
円盤駆動の惑星移動の"スムーズな"描像とは対照的なものとして、円盤が散逸した後の惑星移動がある。
例として、惑星同士の相互作用によって離心率が e ~ 1程度に励起され、近星点付近で潮汐によって円軌道化されるというものである。
相互作用としては、
・惑星同士の遭遇による軌道散乱
・遠方を公転する伴星による古在効果 (Kozai effect)
・Secular chaotic excursions
が考えられている。
しかし、これらの機構では観測から示唆される発見頻度を説明することが出来ないとされている(Dawson et al. 2015)。
円盤駆動の惑星移動ではspin-orbit misalignmentの説明は厳しいのだろうか?
円盤が伴星から影響を受けて恒星の自転軸とズレが生じた場合は、結果としてspin-orbit misalignmentが実現されないだろうか?
観測からは、伴星の公転平面は円盤の配置との相関はないという事が示されている。
従って、円盤の歳差運動が恒星と円盤の軸をズレされるという効果が考えられる。
この論文では、円盤と恒星の軸のズレと、恒星の磁場強度を合わせて説明できるモデルを提案する。
観測からは、低質量のT Tauri星は ~ 1 kG程度の双極磁場強度を持っているが、質量が重いT Tauri星の場合は ~ 0.1 kG程度であることが判明している(Gregory et al, 2012)。
この傾向は、1.5 - 8太陽質量のハービッグAe/Be星でも同様である。
これらの観測結果は、双極磁場強度は恒星質量に依存し、本質的に前主系列進化と関係していることを示唆している。
低質量星の強い磁場は初期の円盤と恒星自転軸のズレを消し、質量が重く磁場強度が弱い場合はズレを保つ事ができるという結果となった。
この結果は、観測されているspin-orbit misalignmentの中心星質量への依存性を説明することが出来る。
arXiv:1508.02365
Spalding & Batygin (2015)
Magnetic Origins of the Stellar Mass-Obliquity Correlation in Planetary Systems
(惑星系における恒星質量と軌道傾斜角の相関の磁気起源)
概要
太陽質量の1.2倍より重い恒星は、恒星の自転軸と惑星の公転軸の不一致 (spin-orbit misalignment)がある場合が多い。対照的に、軽い中心星の場合は不一致が少ない傾向がある。最近では、若い恒星の磁場強度にも似たような傾向があることが分かってきた。
重いT Tauri星は、軽いものよりも10倍弱い双極磁場を持っていることが観測から判明している。
ここでは、恒星自転軸と惑星の公転軸の不一致が円盤を持っている段階に発生する場合、磁気的な恒星と円盤のトルクの恒星質量への依存性が、観測されているspin-orbit misalignmentの傾向を自然に説明できることを示す。
中心星が軽い場合、磁気的トルクは中心星の自転軸を、円盤の典型的な寿命よりもずっと短い時間で円盤平面に揃えることが出来る。しかし重い恒星の場合は揃えるまでのタイムスケールが長くなる。
今回の結果は、短周期惑星の内側への移動機構は円盤駆動の移動が主要である事を示す。
また、短周期惑星でのspin-orbit misalignmentが、円盤が散逸した後の力学的な相互作用によって実現されたものである場合は、観測された中心星質量との相関を示さないということを予言する。
研究の背景
トランジット時のロシター効果から、惑星のspin-orbit misalignmentの測定が可能になってきている。トランジット惑星の中には、順行軌道のものから逆行軌道のものまで発見されている。
Spin-orbit misalignmentは中心星の質量に強く依存していることが観測から判明している。
中心星の質量が 1.2太陽質量程度より大きいものでは、恒星の自転軸と惑星の公転軸が大きくずれたものが発見されているが、1.2太陽質量より小さい場合はずれは小さい。
このmisalignmentの説明のために、円盤駆動の惑星移動に代わる、数多くの傾いたホットジュピターの生成メカニズムが研究されてきた。
円盤駆動の惑星移動の"スムーズな"描像とは対照的なものとして、円盤が散逸した後の惑星移動がある。
例として、惑星同士の相互作用によって離心率が e ~ 1程度に励起され、近星点付近で潮汐によって円軌道化されるというものである。
相互作用としては、
・惑星同士の遭遇による軌道散乱
・遠方を公転する伴星による古在効果 (Kozai effect)
・Secular chaotic excursions
が考えられている。
しかし、これらの機構では観測から示唆される発見頻度を説明することが出来ないとされている(Dawson et al. 2015)。
円盤駆動の惑星移動ではspin-orbit misalignmentの説明は厳しいのだろうか?
円盤が伴星から影響を受けて恒星の自転軸とズレが生じた場合は、結果としてspin-orbit misalignmentが実現されないだろうか?
観測からは、伴星の公転平面は円盤の配置との相関はないという事が示されている。
従って、円盤の歳差運動が恒星と円盤の軸をズレされるという効果が考えられる。
この論文では、円盤と恒星の軸のズレと、恒星の磁場強度を合わせて説明できるモデルを提案する。
観測からは、低質量のT Tauri星は ~ 1 kG程度の双極磁場強度を持っているが、質量が重いT Tauri星の場合は ~ 0.1 kG程度であることが判明している(Gregory et al, 2012)。
この傾向は、1.5 - 8太陽質量のハービッグAe/Be星でも同様である。
これらの観測結果は、双極磁場強度は恒星質量に依存し、本質的に前主系列進化と関係していることを示唆している。
低質量星の強い磁場は初期の円盤と恒星自転軸のズレを消し、質量が重く磁場強度が弱い場合はズレを保つ事ができるという結果となった。
この結果は、観測されているspin-orbit misalignmentの中心星質量への依存性を説明することが出来る。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.01593
Zheng et al. (2015)
The dynamical fate of planetary systems in young star clusters
(若い星団中の惑星系の力学的な運命)
星団中での惑星のポピュレーションがどのように進化するのかを、星団の内部構造、ビリアル状態、星団の質量と密度、惑星の初期の軌道長半径の影響という観点から計算した。
その結果、星団の一員として生き残る惑星系の割合は、初等的な関数でよく近似できるという結果になった。
惑星系の初期の軌道間隔がある臨界軌道長半径より小さい場合、初期の恒星密度が大きい場合は系から脱出する惑星系の確率が大きくなる。
これらの結果は、惑星を持つ恒星の、星団中での割合と銀河内での割合の違いを説明する要素となる可能性がある。
また、自由浮遊惑星のポピュレーションの予言にもつながるものである。
太陽を含む恒星の多くは、散開星団中で生まれたと考えられている。
星団中での近接遭遇は、惑星の軌道の再配置や惑星系の破壊を引き起こす。またその結果として自由浮遊惑星を生み出すことにも繋がる。
これまでのN体計算では、1つの惑星を持つ惑星系について、ビリアル平衡かつなめらかな初期の恒星密度分布を持つ散開星団・球状星団を仮定していた。
しかし観測からは、星団は内部構造を持ち、ビリアル平衡ではないことが示唆されている。
ここではN体計算を用いて、星団の異なる初期構造、異なる初期のビリアル状態、広い領域の初期の軌道長半径を仮定して検証を行った。
星団の恒星の数は 1000個、各恒星に対し惑星は1つなので惑星の個数も 1000個を初期条件としている。
恒星の質量関数は、Kroupa (2001)の0.08太陽質量〜10太陽質量までを使用している。
星団の構造については、half mass radiusを 1 pcとしている。
また惑星質量は木星質量とし、初期の軌道長半径は 100 AU (後ほどこれもパラメータとして変化させる)、初期の軌道離心率は 0、軌道配置と軌道の位相はランダムに置いている。
星団の初期質量は 600太陽質量とした。これは星団の典型的な値である。
この条件で ~ 50 Myrにわたって計算を行った。
また星団の初期構造は、MClusterを用いて生成した。
ここでは内部構造について、フラクタルパラメータ Dを使用している。
D = 1.6のクランプが多い構造、D = 2.3の中間的な内部構造を持つもの、D = 3.0の一様分布を持つ構造の3種類の初期構造を準備している。
またビリアル比 Q = -K/Pも変化させている。Kは合計の運動エネルギー、Pは合計のポテンシャルエネルギーである。
初期条件として、Q = 0.5のビリアル平衡が実現されている状態、Q = 0.3の初期にcool collapseを起こす状態、Q = 0.7の初期に膨張を起こす状態の3種類を仮定している。
・恒星を周回し、かつ星団内部にある (Bound planetary system, BPS)
・恒星を周回し、かつ星団から脱出している (Escaped planetary system, EPS)
・自由浮遊惑星で、かつ星団内部にある (Bounded free-floating planet, BFP)
・自由浮遊惑星で、かつ星団から脱出している (Escaped free-floating planet, EFP)
ただし、Dが大きくなるとそれぞれの減少と増加の度合いは緩くなる。
同様に、Qが大きくなるとそれぞれの減少と増加の度合いは緩くなる。
EPSとBFPの個数は 5 - 10 Myr経過後から増加する。
EPSの個数の増加は Dへの依存が弱い。Q = 0.3と0.5の時もあまり違わないが、0.7の時は個数は倍近くなる。
また初期の軌道長半径を 1 - 10000 AUまで変化させた場合、BPSとBFPは軌道長半径に大きく依存し、ある臨界の軌道長半径を境に大きく割合が変化する。
これはシミュレーション結果から初等的な関数でよくフィッテイング出来る。
D, Qの値次第だが、 220 - 470 AUあたりが臨界の軌道長半径である。
(ii) D, Qどちらも、惑星系の破壊と、惑星系の星団からの脱出には重要であるが、Dは前者、Qは後者により大きな影響を与える。
(iii) 惑星系の破壊確率は、環境のファクター(D, Qなど)に加え、初期の軌道長半径に大きく依存する。
(iv) 高次の初期の内部構造は、高い惑星系の破壊確率を導く。
(v) 固定した初期密度条件では、50 Myr経過時の惑星系の割合は星団の質量に従って増加する。EFPの割合は低下する。星団内の混雑した環境では、より多くの近接遭遇が発生する。これによって、星団中心部の高密度領域では、より多くの自由浮遊惑星が生成される。また、無傷の惑星系が星団から放出される割合は低下する。
arXiv:1508.01593
Zheng et al. (2015)
The dynamical fate of planetary systems in young star clusters
(若い星団中の惑星系の力学的な運命)
概要
N体計算を用いて、若い散開星団中での惑星系への力学的な影響を調べた。星団中での惑星のポピュレーションがどのように進化するのかを、星団の内部構造、ビリアル状態、星団の質量と密度、惑星の初期の軌道長半径の影響という観点から計算した。
その結果、星団の一員として生き残る惑星系の割合は、初等的な関数でよく近似できるという結果になった。
惑星系の初期の軌道間隔がある臨界軌道長半径より小さい場合、初期の恒星密度が大きい場合は系から脱出する惑星系の確率が大きくなる。
これらの結果は、惑星を持つ恒星の、星団中での割合と銀河内での割合の違いを説明する要素となる可能性がある。
また、自由浮遊惑星のポピュレーションの予言にもつながるものである。
研究背景
銀河内空間での惑星は多数発見されているが、星団 (散開星団・球状星団)での発見はまだ少数である。太陽を含む恒星の多くは、散開星団中で生まれたと考えられている。
星団中での近接遭遇は、惑星の軌道の再配置や惑星系の破壊を引き起こす。またその結果として自由浮遊惑星を生み出すことにも繋がる。
これまでのN体計算では、1つの惑星を持つ惑星系について、ビリアル平衡かつなめらかな初期の恒星密度分布を持つ散開星団・球状星団を仮定していた。
しかし観測からは、星団は内部構造を持ち、ビリアル平衡ではないことが示唆されている。
ここではN体計算を用いて、星団の異なる初期構造、異なる初期のビリアル状態、広い領域の初期の軌道長半径を仮定して検証を行った。
初期条件と惑星の力学的状態について
初期条件
ここでは惑星系は恒星1つに対し惑星1つと仮定している。また、ガスが散逸した直後の状態を考えている。星団の恒星の数は 1000個、各恒星に対し惑星は1つなので惑星の個数も 1000個を初期条件としている。
恒星の質量関数は、Kroupa (2001)の0.08太陽質量〜10太陽質量までを使用している。
星団の構造については、half mass radiusを 1 pcとしている。
また惑星質量は木星質量とし、初期の軌道長半径は 100 AU (後ほどこれもパラメータとして変化させる)、初期の軌道離心率は 0、軌道配置と軌道の位相はランダムに置いている。
星団の初期質量は 600太陽質量とした。これは星団の典型的な値である。
この条件で ~ 50 Myrにわたって計算を行った。
また星団の初期構造は、MClusterを用いて生成した。
ここでは内部構造について、フラクタルパラメータ Dを使用している。
D = 1.6のクランプが多い構造、D = 2.3の中間的な内部構造を持つもの、D = 3.0の一様分布を持つ構造の3種類の初期構造を準備している。
またビリアル比 Q = -K/Pも変化させている。Kは合計の運動エネルギー、Pは合計のポテンシャルエネルギーである。
初期条件として、Q = 0.5のビリアル平衡が実現されている状態、Q = 0.3の初期にcool collapseを起こす状態、Q = 0.7の初期に膨張を起こす状態の3種類を仮定している。
惑星の力学的状態
ここでは、惑星を以下の4つの状態に分類している。・恒星を周回し、かつ星団内部にある (Bound planetary system, BPS)
・恒星を周回し、かつ星団から脱出している (Escaped planetary system, EPS)
・自由浮遊惑星で、かつ星団内部にある (Bounded free-floating planet, BFP)
・自由浮遊惑星で、かつ星団から脱出している (Escaped free-floating planet, EFP)
計算結果
初めの ~ 5 Myrで、BPSの個数は急減し、BFPの個数は急増する。ただし、Dが大きくなるとそれぞれの減少と増加の度合いは緩くなる。
同様に、Qが大きくなるとそれぞれの減少と増加の度合いは緩くなる。
EPSとBFPの個数は 5 - 10 Myr経過後から増加する。
EPSの個数の増加は Dへの依存が弱い。Q = 0.3と0.5の時もあまり違わないが、0.7の時は個数は倍近くなる。
また初期の軌道長半径を 1 - 10000 AUまで変化させた場合、BPSとBFPは軌道長半径に大きく依存し、ある臨界の軌道長半径を境に大きく割合が変化する。
これはシミュレーション結果から初等的な関数でよくフィッテイング出来る。
D, Qの値次第だが、 220 - 470 AUあたりが臨界の軌道長半径である。
結論
(i) D, Qは、初期 ~ 5 Myrの、初期の内部構造が壊され、ビリアル平衡が達成されるまでの間に強く影響を及ぼす。その後のゆっくりとした進化の過程は、多かれ少なかれ初期状態とは無関係に進化する。しかし、D, Qの初期条件の違いは初期に大きく影響があるものの、最終的な結果に対しては重要である。星団の内部構造が多く、ビリアル平衡から外れている時は、自由浮遊惑星は多く生成される。(ii) D, Qどちらも、惑星系の破壊と、惑星系の星団からの脱出には重要であるが、Dは前者、Qは後者により大きな影響を与える。
(iii) 惑星系の破壊確率は、環境のファクター(D, Qなど)に加え、初期の軌道長半径に大きく依存する。
(iv) 高次の初期の内部構造は、高い惑星系の破壊確率を導く。
(v) 固定した初期密度条件では、50 Myr経過時の惑星系の割合は星団の質量に従って増加する。EFPの割合は低下する。星団内の混雑した環境では、より多くの近接遭遇が発生する。これによって、星団中心部の高密度領域では、より多くの自由浮遊惑星が生成される。また、無傷の惑星系が星団から放出される割合は低下する。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.01338
Richert et al. (2015)
No evidence for protoplanetary disk destruction by OB stars in the MYStIX sample
(MYStiXサンプル中のOB星では原始惑星系円盤の破壊の証拠は認められない)
また理論からは、大質量星は 0.1 pc以内にある星が持つ円盤を光蒸発させることが示されている。
従って、若いOB星が多いH II領域では円盤は光蒸発させられてしまい、惑星形成もおきないことが示唆されている。
この観測ではその説を検証した。
その結果、OB星の付近にある前主系列星周りの原始惑星系円盤が欠乏しているという証拠は得られなかった。これは O2 - O5という非常に明るい恒星の周りでも同じ結果であった。
よって、大質量星形成領域は原始惑星系円盤の生存に、そしておそらくは惑星形成に対して、そこまで"敵対的"では無いという可能性を示している。
arXiv:1508.01338
Richert et al. (2015)
No evidence for protoplanetary disk destruction by OB stars in the MYStIX sample
(MYStiXサンプル中のOB星では原始惑星系円盤の破壊の証拠は認められない)
概要
オリオン星雲中の原始惑星系円盤のハッブル宇宙望遠鏡による撮像と、サブミリ波・電波観測からは、星雲中の主要なO7型星である θ' Ori Cが付近の前主系列星まわりにある原始惑星系円盤を蒸発させている現場が観測されている。また理論からは、大質量星は 0.1 pc以内にある星が持つ円盤を光蒸発させることが示されている。
従って、若いOB星が多いH II領域では円盤は光蒸発させられてしまい、惑星形成もおきないことが示唆されている。
この観測ではその説を検証した。
その結果、OB星の付近にある前主系列星周りの原始惑星系円盤が欠乏しているという証拠は得られなかった。これは O2 - O5という非常に明るい恒星の周りでも同じ結果であった。
よって、大質量星形成領域は原始惑星系円盤の生存に、そしておそらくは惑星形成に対して、そこまで"敵対的"では無いという可能性を示している。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1508.01365
Izidoro et al. (2015)
Terrestrial Planet Formation Constrained by Mars and the Structure of the Asteroid Belt
(火星と小惑星帯の構造による地球型惑星形成への制限)
この大きな質量比を実現するためには、原始惑星系内の 1 - 3 AUの範囲で固体物質が大量に失われる必要がある。そうでない場合は、火星が大きく成長しすぎるために地球と火星の質量比が小さくなってしまう。
Grand Tackモデルでは、巨大ガス惑星の移動によって 1 AU以遠の物質を取り除き、小惑星帯 (asteroid belt)の天体を力学的に励起する。
ここでは、地球型惑星の形成と小惑星帯の進化の計算をN体計算で行った。
初期条件は、微惑星と原始惑星の円盤の動径方向の密度分布を複数仮定し、木星と土星の軌道はほぼ円軌道で同一平面上に置いた。
密度分布が緩やかな円盤を初期条件に置いた場合は、重力自己励起によって小惑星帯は力学的に励起される。
しかしこの場合は火星が大きくなりすぎるという問題がある。
密度分布が半径の - 5.5乗に比例する場合は、地球と火星の質量比は現在のものと近くなる。
しかし今度は、小惑星帯が現在より"冷たすぎる"という結果になる。
結果として、どのような円盤の構造を置いても、地球型惑星の形成と小惑星帯の構造を同時に再現することは出来なかった。
そのため、Grand Tackモデルのような、その他の固体成分の散逸と小惑星帯の励起メカニズムが必要である。
太陽系形成において「火星が大きくなりすぎる問題」ってのがあって、微惑星の分布を普通に考えると火星が大きくなりすぎてしまいます。
だから、何らかの機構で地球以遠の固体物質を減らしてやって、火星の材料を減らすことで火星が大きく成長しすぎるのを防ぐという考えがあります。
例えばここでは、微惑星と原始惑星の密度分布を急にしてやると、火星周辺での固体成分の密度が小さくなることになるから火星が大きくなり過ぎないという結果になっています。
ただその条件だと、火星の質量はOKでも、小惑星帯(メインベルト)の力学的状態が現在と合わず"冷たすぎる"という問題が発生します。
初期のこの辺りでの微惑星や原始惑星の密度を多くする、つまり密度分布を緩やかにすると小惑星帯の力学的状態が合うようになりますが、今度は材料が多いせいでやはり火星が大きくなりすぎる、とのこと。
だから、あちらを立てればこちらが立たずという感じで、単に密度分布のべきを変えるだけでは、火星の質量と小惑星帯の軌道分布を同時に説明することは出来ないという結果になったということです。
Grand Tackモデルでは、ガス惑星が円盤中を内側まで移動してきて、地球より外側あたりの微惑星を散乱させて減らすということが提唱されています。
ここでは、「密度分布のべきをいじるだけでは双方の説明は出来ないから、Grand Tackモデルみたいな機構が必要だ」という結論を出しています。
まぁ、著者がGrand Tackモデルの提唱者グループなので当然かもしれませんが。
arXiv:1508.01365
Izidoro et al. (2015)
Terrestrial Planet Formation Constrained by Mars and the Structure of the Asteroid Belt
(火星と小惑星帯の構造による地球型惑星形成への制限)
概要
太陽系において、地球と火星の質量比は大きい値となっている。この大きな質量比を実現するためには、原始惑星系内の 1 - 3 AUの範囲で固体物質が大量に失われる必要がある。そうでない場合は、火星が大きく成長しすぎるために地球と火星の質量比が小さくなってしまう。
Grand Tackモデルでは、巨大ガス惑星の移動によって 1 AU以遠の物質を取り除き、小惑星帯 (asteroid belt)の天体を力学的に励起する。
ここでは、地球型惑星の形成と小惑星帯の進化の計算をN体計算で行った。
初期条件は、微惑星と原始惑星の円盤の動径方向の密度分布を複数仮定し、木星と土星の軌道はほぼ円軌道で同一平面上に置いた。
密度分布が緩やかな円盤を初期条件に置いた場合は、重力自己励起によって小惑星帯は力学的に励起される。
しかしこの場合は火星が大きくなりすぎるという問題がある。
密度分布が半径の - 5.5乗に比例する場合は、地球と火星の質量比は現在のものと近くなる。
しかし今度は、小惑星帯が現在より"冷たすぎる"という結果になる。
結果として、どのような円盤の構造を置いても、地球型惑星の形成と小惑星帯の構造を同時に再現することは出来なかった。
そのため、Grand Tackモデルのような、その他の固体成分の散逸と小惑星帯の励起メカニズムが必要である。
太陽系形成において「火星が大きくなりすぎる問題」ってのがあって、微惑星の分布を普通に考えると火星が大きくなりすぎてしまいます。
だから、何らかの機構で地球以遠の固体物質を減らしてやって、火星の材料を減らすことで火星が大きく成長しすぎるのを防ぐという考えがあります。
例えばここでは、微惑星と原始惑星の密度分布を急にしてやると、火星周辺での固体成分の密度が小さくなることになるから火星が大きくなり過ぎないという結果になっています。
ただその条件だと、火星の質量はOKでも、小惑星帯(メインベルト)の力学的状態が現在と合わず"冷たすぎる"という問題が発生します。
初期のこの辺りでの微惑星や原始惑星の密度を多くする、つまり密度分布を緩やかにすると小惑星帯の力学的状態が合うようになりますが、今度は材料が多いせいでやはり火星が大きくなりすぎる、とのこと。
だから、あちらを立てればこちらが立たずという感じで、単に密度分布のべきを変えるだけでは、火星の質量と小惑星帯の軌道分布を同時に説明することは出来ないという結果になったということです。
Grand Tackモデルでは、ガス惑星が円盤中を内側まで移動してきて、地球より外側あたりの微惑星を散乱させて減らすということが提唱されています。
ここでは、「密度分布のべきをいじるだけでは双方の説明は出来ないから、Grand Tackモデルみたいな機構が必要だ」という結論を出しています。
まぁ、著者がGrand Tackモデルの提唱者グループなので当然かもしれませんが。

