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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1507.02388
Udalski et al. (2015)
A Venus-Mass Planet Orbiting a Brown Dwarf: Missing Link between Planets and Moons
(褐色矮星周りの金星質量惑星:惑星と衛星の間のミッシングリンク)
また、若い恒星周りに円盤が多数発見されていることや、ケプラー宇宙望遠鏡によって同一平面上に複数の惑星が存在している系が多数発見されていることは、降着円盤を通じた惑星形成のメカニズムは普遍的であることを示している。
また、ガリレオ衛星のように、衛星の中にも同様の機構で形成されたものが存在する。
今回、重力マイクロレンズを用いて、"中間の系"である、OGLE-2013-BLG-0723LB/Bbの系を発見した。
これは、褐色矮星周りの金星質量の系外惑星の発見である。
この系は、「恒星周りの惑星」という系のスケールダウン版、あるいは、恒星の周りを周回する、「惑星周りの衛星」という系のスケールアップ版であると見なせる。
褐色矮星周りの惑星の発見は、直接撮像、視線速度法、重力マイクロレンズで行われている。
・2MASS J12073346-3932539b (or 2M1207b)
惑星質量:4木星質量
軌道長半径:46 AU
中心星質量:0.024太陽質量
系の年齢:0.008 Gyr
発見手法:直接撮像
(Chauvin et al. 2004)
・2MASS J04414489+2301513b (or 2M044144b)
惑星質量:7.5木星質量
軌道長半径:15 AU
中心星質量:0.019太陽質量
系の年齢:0.001 Gyr
発見手法:直接撮像
(Todorov et al. 2004)
・Cha Hα 8
惑星質量:16 - 30木星質量
軌道長半径:~1 AU
中心星質量:0.07 - 0.10太陽質量
系の年齢:~ 3 Myr
発見手法:視線速度法
(Joergens & Müller 2007)
・OGLE-2012-BLG-0358Lb
惑星質量:1.85木星質量
軌道長半径:0.87 AU
中心星質量:0.022太陽質量
系の年齢:不明
発見手法:重力マイクロレンズ法
(Han et al. 2013)
前3つについては、中心星と惑星の質量比が小さく、また距離も離れている。そのため、連星系のスケールダウン版であると考えられる。
4番目のものは比較的軌道が小さく、質量比も大きい。そのため、コア集積を経て形成された可能性が有る。
重力マイクロレンズ法は、このような褐色矮星にある惑星の中で、岩石や氷主体の惑星を発見するのに適している。この手法では、検出のために惑星や中心星(この場合褐色矮星)からの光は必要ないからである。
大きい方のスパイクは、連星の伴星によるcausticsを通過した際にできた特徴である。
それに2ヶ月先立つ小さいスパイクが、惑星によるものである。
パラメータフィッティングの結果、
惑星質量:0.69地球質量
中心星の褐色矮星質量:0.031太陽質量
伴星の質量:0.097太陽質量
太陽系からの距離:490 pc
褐色矮星と惑星の(投影)距離:0.34 AU
褐色矮星と伴星の(投影)距離:1.74 AU
となった。
金星は 0.815地球質量であるため、今回発見されたOGLE-2013-BLG-0723LBbは金星よりやや軽い程度の惑星である。
中心星であるOGLE-2013-BLG-0723LBは 0.031太陽質量である。
恒星と褐色矮星の境界は 0.08太陽質量程度であるが、これより有意に軽い天体であり、中心星のOGLE-2013-BLG-0723LBは褐色矮星である。
一方、伴星であるOGLE-2013-BLG-0723LAは 0.097太陽質量であり、0.08太陽質量より重いため水素核融合を起こす低質量の恒星である。
しかし、投影された距離で見ると、Bまでの距離とAまでの距離は 5.2倍の違いがある。
もしAの方を惑星が公転している場合、観測されたこの現象が起きる確率は 4%未満となる。
さらにこの場合(Aの方を惑星が公転しているとした場合)、3体の力学的安定性を保証するためには、Bの方は恒星-惑星系の向こう側か手前側に、投影距離よりもファクター3ほど大きな距離にいる必要がある。
これは観測される確率を、さらにファクター 32減らす。
よってAの周りを惑星が公転しているという軌道配置は、不可能なものではないが観測できる確率が非常に低くなる。
この議論は、この惑星は周連星惑星か?という議論に対しても適用できる。
この惑星が、恒星(A)と褐色矮星(B)の投影距離の3倍以上離れた軌道で、AとBの連星の周りを公転する周連星惑星であり、たまたま投影距離ではBに近い位置関係にあるという軌道配置もあり得るが、その場合の観測できる確率は同様に非常に低い。
褐色矮星が自力で光っている恒星(A)のとの連星を成し、惑星を引き連れているという状態は、質量的にも階層構造的にも、「恒星-惑星の系」と「惑星-衛星の系」の中間であると考えられる。
Aの周囲で形成されてAの周りを公転していたが、その後力学的な擾乱を受けてBの周りの軌道に移るという事象は起こりうる。
その場合は、海王星の衛星トリトンの状況と類似している。
天王星-太陽の系と、カリスト-木星の系とこの系(褐色矮星-惑星)のパラメータは類似している。
トリトン-海王星の系とは、大きく違っているわけではない。
その理由は、この系には、他の3つより明るく重い、100 AUのオーダーかそれ以下の距離離れている、4体目の天体が存在しているかもしれないからである。
4体目の存在を示唆する証拠は、アパーチャーに余計な光源が存在したというものである。
この光源は、低質量星であるAのものとするには明る過ぎ、無関係の天体にしては投影距離が近すぎるため、この系の4体目の天体であるかもしれない。
※注釈
"OGLE-2013-BLG-0723LB/Bb"という表記がありますが、これは褐色矮星であるOGLE-2013-BLG-0723LBと、その惑星であるOGLE-2013-BLG-0723LBbの2天体から成る系を指す表記です。
arXiv:1507.02388
Udalski et al. (2015)
A Venus-Mass Planet Orbiting a Brown Dwarf: Missing Link between Planets and Moons
(褐色矮星周りの金星質量惑星:惑星と衛星の間のミッシングリンク)
概要
太陽系の天体がほぼ同一平面上に存在することから、カントは惑星は降着円盤を通じて形成されるというアイデアを得た。また、若い恒星周りに円盤が多数発見されていることや、ケプラー宇宙望遠鏡によって同一平面上に複数の惑星が存在している系が多数発見されていることは、降着円盤を通じた惑星形成のメカニズムは普遍的であることを示している。
また、ガリレオ衛星のように、衛星の中にも同様の機構で形成されたものが存在する。
今回、重力マイクロレンズを用いて、"中間の系"である、OGLE-2013-BLG-0723LB/Bbの系を発見した。
これは、褐色矮星周りの金星質量の系外惑星の発見である。
この系は、「恒星周りの惑星」という系のスケールダウン版、あるいは、恒星の周りを周回する、「惑星周りの衛星」という系のスケールアップ版であると見なせる。
背景など
これまでに、褐色矮星周りの系外惑星は4つ発見されていて、全てが"super-Jupiter"質量である。褐色矮星周りの惑星の発見は、直接撮像、視線速度法、重力マイクロレンズで行われている。
・2MASS J12073346-3932539b (or 2M1207b)
惑星質量:4木星質量
軌道長半径:46 AU
中心星質量:0.024太陽質量
系の年齢:0.008 Gyr
発見手法:直接撮像
(Chauvin et al. 2004)
・2MASS J04414489+2301513b (or 2M044144b)
惑星質量:7.5木星質量
軌道長半径:15 AU
中心星質量:0.019太陽質量
系の年齢:0.001 Gyr
発見手法:直接撮像
(Todorov et al. 2004)
・Cha Hα 8
惑星質量:16 - 30木星質量
軌道長半径:~1 AU
中心星質量:0.07 - 0.10太陽質量
系の年齢:~ 3 Myr
発見手法:視線速度法
(Joergens & Müller 2007)
・OGLE-2012-BLG-0358Lb
惑星質量:1.85木星質量
軌道長半径:0.87 AU
中心星質量:0.022太陽質量
系の年齢:不明
発見手法:重力マイクロレンズ法
(Han et al. 2013)
前3つについては、中心星と惑星の質量比が小さく、また距離も離れている。そのため、連星系のスケールダウン版であると考えられる。
4番目のものは比較的軌道が小さく、質量比も大きい。そのため、コア集積を経て形成された可能性が有る。
重力マイクロレンズ法は、このような褐色矮星にある惑星の中で、岩石や氷主体の惑星を発見するのに適している。この手法では、検出のために惑星や中心星(この場合褐色矮星)からの光は必要ないからである。
観測
中心星の褐色矮星の重力に由来する光度曲線に、2つの特徴的なスパイクが検出されている。大きい方のスパイクは、連星の伴星によるcausticsを通過した際にできた特徴である。
それに2ヶ月先立つ小さいスパイクが、惑星によるものである。
パラメータフィッティングの結果、
惑星質量:0.69地球質量
中心星の褐色矮星質量:0.031太陽質量
伴星の質量:0.097太陽質量
太陽系からの距離:490 pc
褐色矮星と惑星の(投影)距離:0.34 AU
褐色矮星と伴星の(投影)距離:1.74 AU
となった。
金星は 0.815地球質量であるため、今回発見されたOGLE-2013-BLG-0723LBbは金星よりやや軽い程度の惑星である。
中心星であるOGLE-2013-BLG-0723LBは 0.031太陽質量である。
恒星と褐色矮星の境界は 0.08太陽質量程度であるが、これより有意に軽い天体であり、中心星のOGLE-2013-BLG-0723LBは褐色矮星である。
一方、伴星であるOGLE-2013-BLG-0723LAは 0.097太陽質量であり、0.08太陽質量より重いため水素核融合を起こす低質量の恒星である。
BとAのどちらを公転しているのか?
惑星が、OGLE-2013-BLG-0723LBとOGLE-2013-BLG-0723LAのどちらを公転しているかを断言することは困難である。しかし、投影された距離で見ると、Bまでの距離とAまでの距離は 5.2倍の違いがある。
もしAの方を惑星が公転している場合、観測されたこの現象が起きる確率は 4%未満となる。
さらにこの場合(Aの方を惑星が公転しているとした場合)、3体の力学的安定性を保証するためには、Bの方は恒星-惑星系の向こう側か手前側に、投影距離よりもファクター3ほど大きな距離にいる必要がある。
これは観測される確率を、さらにファクター 32減らす。
よってAの周りを惑星が公転しているという軌道配置は、不可能なものではないが観測できる確率が非常に低くなる。
この議論は、この惑星は周連星惑星か?という議論に対しても適用できる。
この惑星が、恒星(A)と褐色矮星(B)の投影距離の3倍以上離れた軌道で、AとBの連星の周りを公転する周連星惑星であり、たまたま投影距離ではBに近い位置関係にあるという軌道配置もあり得るが、その場合の観測できる確率は同様に非常に低い。
議論
この系の特徴について
この系は、惑星と衛星のミッシングリンクである。褐色矮星が自力で光っている恒星(A)のとの連星を成し、惑星を引き連れているという状態は、質量的にも階層構造的にも、「恒星-惑星の系」と「惑星-衛星の系」の中間であると考えられる。
3体の軌道と惑星の形成場所
この惑星は褐色矮星(B)の周りを公転していると考えられるが、かつては恒星(A)の周囲を公転していた可能性はある。Aの周囲で形成されてAの周りを公転していたが、その後力学的な擾乱を受けてBの周りの軌道に移るという事象は起こりうる。
その場合は、海王星の衛星トリトンの状況と類似している。
天王星-太陽の系と、カリスト-木星の系とこの系(褐色矮星-惑星)のパラメータは類似している。
トリトン-海王星の系とは、大きく違っているわけではない。
4体目の存在可能性について
A, B, 惑星の3体のモデルを構築するのは興味深いが、それは時期尚早であるかもしれない。その理由は、この系には、他の3つより明るく重い、100 AUのオーダーかそれ以下の距離離れている、4体目の天体が存在しているかもしれないからである。
4体目の存在を示唆する証拠は、アパーチャーに余計な光源が存在したというものである。
この光源は、低質量星であるAのものとするには明る過ぎ、無関係の天体にしては投影距離が近すぎるため、この系の4体目の天体であるかもしれない。
※注釈
"OGLE-2013-BLG-0723LB/Bb"という表記がありますが、これは褐色矮星であるOGLE-2013-BLG-0723LBと、その惑星であるOGLE-2013-BLG-0723LBbの2天体から成る系を指す表記です。
PR
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1507.02661
Tabeshian & Wiegert (2015)
Detection and Characterization of Extrasolar Planets through Mean-Motion Resonances: Simulations of Hypothetical Debris Disks
(平均運動共鳴を通した系外惑星の検出と特徴の評価:仮想デブリ円盤のシミュレーション)
惑星軌道周辺だけではなく、惑星との平均運動共鳴(mean motion resonance, MMR)の場所にもギャップが開く。そのため、すべてのギャップが惑星を持っている必要は無い。
多くの惑星・デブリ円盤のパラメータに対して、惑星との平均運動共鳴によって開けられるギャップは大きく深いため、検出可能である。ただしこれまでにデブリ円盤のMMRによるギャップの観測例は無い。
ギャップの形状とサイズは、惑星の場所、軌道離心率、惑星の質量、そして不可視の惑星の存在を示唆する可能性がある。
また、観測されるギャップの幅と場所から、惑星の質量を計算するための手法についても記載した。
時間刻みは50日で固定。
計算データは10000年ごとにアウトプットし、1 Myrまで計算した。
中心星は太陽質量とし、円軌道か、わずかに離心率を持つ惑星を1つおいてシミュレーションした。
デブリ円盤を構成する粒子は、
・惑星に遭遇した
・中心星から、10太陽半径いないに接近した
・1000 AU以上の距離に達した
以上の場合は、以降の計算から除外した。
中心星と惑星、中心星と粒子、惑星と粒子の相互作用を計算し、粒子同士の重力相互作用は無視した。
粒子に対しては、ポインティング・ロバートソン効果は無視した。
また、デブリ円盤の質量は惑星以下とした。
惑星質量は、1.0地球質量から9.0木星質量までを計算。
軌道長半径は、木星と同じ 5.204 AUのみとし、その内側あるいは外側にデブリ円盤をおいて計算を行った。
軌道離心率は、0の場合と、木星と同じ 0.0489の場合の計算を行った。
2:1 MMRの位置については、惑星が存在する側と、中心星を挟んで反対側が特に深く明確なギャップが形成された。惑星がある側と、その反対側に、2つのアーク上のギャップが形成されている状態である。
惑星の内側にデブリ円盤があり、惑星の離心率をわずかにつけた場合は、2:1 MMRの場所に加え、さらに内側の 3:1 MMRの位置にも細いギャップが形成された。
惑星の外側にデブリ円盤があり、惑星の離心率が0の場合も、2:1 MMRの位置にギャップが形成された。
ただしこの場合は、惑星が存在する側が特にギャップが深く、中心星を挟んで反対側には明確な構造は見られない。惑星が存在する側に、1つのアーク上のギャップが形成されている状態である。
惑星の外側にデブリ円盤があり、惑星の離心率をわずかにつけた場合は、こちらも2:1 MMRの位置にアーク上のギャップが形成され、さらに外側の3:1 MMRの位置付近にも細いアーク上のギャップが形成された。
arXiv:1507.02661
Tabeshian & Wiegert (2015)
Detection and Characterization of Extrasolar Planets through Mean-Motion Resonances: Simulations of Hypothetical Debris Disks
(平均運動共鳴を通した系外惑星の検出と特徴の評価:仮想デブリ円盤のシミュレーション)
概要
惑星が、力学的に"冷たい"(軌道離心率や軌道傾斜角が小さい)デブリ円盤にギャップを開けるシミュレーション。惑星軌道周辺だけではなく、惑星との平均運動共鳴(mean motion resonance, MMR)の場所にもギャップが開く。そのため、すべてのギャップが惑星を持っている必要は無い。
多くの惑星・デブリ円盤のパラメータに対して、惑星との平均運動共鳴によって開けられるギャップは大きく深いため、検出可能である。ただしこれまでにデブリ円盤のMMRによるギャップの観測例は無い。
ギャップの形状とサイズは、惑星の場所、軌道離心率、惑星の質量、そして不可視の惑星の存在を示唆する可能性がある。
また、観測されるギャップの幅と場所から、惑星の質量を計算するための手法についても記載した。
計算モデル
Wisdom-Holmanアルゴリズム(Wisdom & Holman 1991)に基づく、シンプレクティック積分手法を用いて粒子シミュレーションを行った。時間刻みは50日で固定。
計算データは10000年ごとにアウトプットし、1 Myrまで計算した。
中心星は太陽質量とし、円軌道か、わずかに離心率を持つ惑星を1つおいてシミュレーションした。
デブリ円盤を構成する粒子は、
・惑星に遭遇した
・中心星から、10太陽半径いないに接近した
・1000 AU以上の距離に達した
以上の場合は、以降の計算から除外した。
中心星と惑星、中心星と粒子、惑星と粒子の相互作用を計算し、粒子同士の重力相互作用は無視した。
粒子に対しては、ポインティング・ロバートソン効果は無視した。
また、デブリ円盤の質量は惑星以下とした。
惑星質量は、1.0地球質量から9.0木星質量までを計算。
軌道長半径は、木星と同じ 5.204 AUのみとし、その内側あるいは外側にデブリ円盤をおいて計算を行った。
軌道離心率は、0の場合と、木星と同じ 0.0489の場合の計算を行った。
計算結果など
惑星の内側にデブリ円盤があり、惑星の離心率が0の場合は、2:1 MMRの位置にギャップが形成された。2:1 MMRの位置については、惑星が存在する側と、中心星を挟んで反対側が特に深く明確なギャップが形成された。惑星がある側と、その反対側に、2つのアーク上のギャップが形成されている状態である。
惑星の内側にデブリ円盤があり、惑星の離心率をわずかにつけた場合は、2:1 MMRの場所に加え、さらに内側の 3:1 MMRの位置にも細いギャップが形成された。
惑星の外側にデブリ円盤があり、惑星の離心率が0の場合も、2:1 MMRの位置にギャップが形成された。
ただしこの場合は、惑星が存在する側が特にギャップが深く、中心星を挟んで反対側には明確な構造は見られない。惑星が存在する側に、1つのアーク上のギャップが形成されている状態である。
惑星の外側にデブリ円盤があり、惑星の離心率をわずかにつけた場合は、こちらも2:1 MMRの位置にアーク上のギャップが形成され、さらに外側の3:1 MMRの位置付近にも細いアーク上のギャップが形成された。
アマガー単位 (Amagat)というものの存在を、つい最近初めて知りました。
まずは"Amagat" (あるいは"amg")というものが、いかにも単位っぽく使われているのを見かけたけど、英和辞書で調べても対応する単語は無し。
何かしらの数密度と関係してそうだということは掴めたものの、詳細はその場には載っていなかったので、気になって正体を捜索してみました。
まず、そもそもの問題として"Amagat"の発音が分からない。
綴りに素直に読むと「アマガット」か?いやいや、これは素直にというか英語読みなだけであって、英語由来かどうかの保証もない。
いろいろ調べた結果、由来はフランス語で、発音は「アマガー」だということが判明しました。
最後の"t"を発音しない、いかにもフランス語っぽいですね。
さて、日本語だとほとんど解説が見当たらないこの「アマガー」、やはり数密度の単位であるということが判明しました。
定義は以下のとおり。
さて、具体的な値はと言うと、
このn0というのは、ロシュミット数 (Loschmidt's constant)といって、アボガドロ定数を理想気体のモル体積で割ったものに相当します。
ちなみにmolを用いて表現すると、
要するに大雑把には、ロシュミット数を基準として数密度を表したものが、アマガー単位での数密度になる、という理解でよさそうです。
(もっと深遠な由来があるのかもしれないけど、それは今のところパス)
アマガー単位での数密度をηとすると、
η = n / n0
と表すことができます。nは数密度です。
このアマガー単位、圧力や温度の異なる理想気体に対しては以下のような式で計算することが出来ます。
![\eta=\left(\frac{p}{p_{0}}\right)\left(\frac{T_{0}}{T}\right) [{\rm amg}]](http://latex.codecogs.com/gif.latex?\eta=\left(\frac{p}{p_{0}}\right)\left(\frac{T_{0}}{T}\right)&space;[{\rm&space;amg}])
ここで、
p0 = 1 atm (=101.325 kPa = 1013.25 hPa)
T0 = 273.15 K
です。
ちなみに英語版のWikipediaにはちゃんと記事があって、ちゃんと『アマガーは数密度の実用単位である』と書かれています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Amagat
さらには、『Émile Amagatから名付けられた』との記述もあります。
フランス人の物理学者とのことです。
大気化学など一部の分野では、数密度の単位としてこのアマガー単位を用いることがあるとのこと。
確かに数密度は大抵どの状況でも10の何乗という値になって扱いづらいですからね。
さて余談ですが、このアマガー単位について調べていたら、一つ気になる記述を発見しました。
pdfファイル
(167ページ)
いわく、『アマガーは、モル体積とモル密度の両方で使われることがある』とのこと。
ここでは数密度(モル密度)の方を書いたけど、場合によっては同じアマガーでも体積を指している場合があるということらしい。うーん、実にややこしい。
まずは"Amagat" (あるいは"amg")というものが、いかにも単位っぽく使われているのを見かけたけど、英和辞書で調べても対応する単語は無し。
何かしらの数密度と関係してそうだということは掴めたものの、詳細はその場には載っていなかったので、気になって正体を捜索してみました。
まず、そもそもの問題として"Amagat"の発音が分からない。
綴りに素直に読むと「アマガット」か?いやいや、これは素直にというか英語読みなだけであって、英語由来かどうかの保証もない。
いろいろ調べた結果、由来はフランス語で、発音は「アマガー」だということが判明しました。
最後の"t"を発音しない、いかにもフランス語っぽいですね。
さて、日本語だとほとんど解説が見当たらないこの「アマガー」、やはり数密度の単位であるということが判明しました。
定義は以下のとおり。
1 amg は、1 atm (=101.325 kPa = 1013.25 hPa)、0℃ (= 273.15 K)における、単位体積あたりの理想気体の分子数密度をあらわす
以上。さて、具体的な値はと言うと、
n0 = 1 amg = 2.6867805 × 1025m-3
とのこと。このn0というのは、ロシュミット数 (Loschmidt's constant)といって、アボガドロ定数を理想気体のモル体積で割ったものに相当します。
ちなみにmolを用いて表現すると、
n0 = 1 amg = 44.615036 mol m-3
となります。要するに大雑把には、ロシュミット数を基準として数密度を表したものが、アマガー単位での数密度になる、という理解でよさそうです。
(もっと深遠な由来があるのかもしれないけど、それは今のところパス)
アマガー単位での数密度をηとすると、
η = n / n0
と表すことができます。nは数密度です。
このアマガー単位、圧力や温度の異なる理想気体に対しては以下のような式で計算することが出来ます。
ここで、
p0 = 1 atm (=101.325 kPa = 1013.25 hPa)
T0 = 273.15 K
です。
ちなみに英語版のWikipediaにはちゃんと記事があって、ちゃんと『アマガーは数密度の実用単位である』と書かれています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Amagat
さらには、『Émile Amagatから名付けられた』との記述もあります。
フランス人の物理学者とのことです。
大気化学など一部の分野では、数密度の単位としてこのアマガー単位を用いることがあるとのこと。
確かに数密度は大抵どの状況でも10の何乗という値になって扱いづらいですからね。
さて余談ですが、このアマガー単位について調べていたら、一つ気になる記述を発見しました。
pdfファイル
(167ページ)
いわく、『アマガーは、モル体積とモル密度の両方で使われることがある』とのこと。
ここでは数密度(モル密度)の方を書いたけど、場合によっては同じアマガーでも体積を指している場合があるということらしい。うーん、実にややこしい。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1507.01866
Angerhausen et al. (2015)
First exoplanet transit observation with the Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy: Confirmation of Rayleigh scattering in HD 189733 b with HIPO
(Stratospheric Observatory for Infrared Astronomyによる初めての系外惑星トランジット観測: HD 189733bにおけるレイリー散乱の確認)
HD 189733bの1回のトランジット観測を、B, z' bandで行った。
結果、同バンドでのtransit depthは先行研究と同じ傾向を見せた。
(B band...0.4448 μm、z' band...0.9222 μm)
成層圏を飛ぶことによって、地球大気による吸収を抑えた観測が可能となる。
地球の大気における水分子の吸収は、地上観測を行うときに影響がある。しかし系外惑星大気でも水分子は重要である。
また、SOFIAの温度は 240 K程度であり、地上より低い。そのため、熱雑音によるノイズを減らすことができる。
SOFIAでは、赤外と可視光を同時に観測することができる(FLITECAM, HIPO)。
望遠鏡には大きく分けると、地上に設置する地上望遠鏡と、宇宙空間に飛ばす宇宙望遠鏡があります。
地上望遠鏡は大気の影響を免れることが出来ない代わりに、装置の大型化が容易であることや、修理点検や装置の追加や回収が可能であるなどのメリットがあります。
宇宙望遠鏡は打ち上げた後は機器にほとんどタッチできない代わりに、地球大気の影響を受けずに観測可能というメリットがあります。
しかし、このSOFIAという望遠鏡は、反射望遠鏡を飛行機に搭載して成層圏を飛行し、天文観測を行うというとんでもないものです。
サイトはこちら。
SOFIA ホームページ
サイトの内容を見ると、これまでもいろいろな観測を行って成果を上げているようです。
飛行機の側面に望遠鏡のための穴が空いているのはなかなか壮観です。
arXiv:1507.01866
Angerhausen et al. (2015)
First exoplanet transit observation with the Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy: Confirmation of Rayleigh scattering in HD 189733 b with HIPO
(Stratospheric Observatory for Infrared Astronomyによる初めての系外惑星トランジット観測: HD 189733bにおけるレイリー散乱の確認)
概要
Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy (SOFIA)を用いて、初めての系外惑星のトランジット観測を行った。HD 189733bの1回のトランジット観測を、B, z' bandで行った。
結果、同バンドでのtransit depthは先行研究と同じ傾向を見せた。
(B band...0.4448 μm、z' band...0.9222 μm)
SOFIAについて
SOFIAは、ボーイング747-SPに搭載した2.5 m望遠鏡を用いて、45000フィート (~13716 m)の成層圏から天文観測を行うシステムである。主に赤外線と可視領域を観測する。成層圏を飛ぶことによって、地球大気による吸収を抑えた観測が可能となる。
地球の大気における水分子の吸収は、地上観測を行うときに影響がある。しかし系外惑星大気でも水分子は重要である。
また、SOFIAの温度は 240 K程度であり、地上より低い。そのため、熱雑音によるノイズを減らすことができる。
SOFIAでは、赤外と可視光を同時に観測することができる(FLITECAM, HIPO)。
結果
高層大気におけるヘイズによるレイリー散乱という結果を支持する観測結果を得た。望遠鏡には大きく分けると、地上に設置する地上望遠鏡と、宇宙空間に飛ばす宇宙望遠鏡があります。
地上望遠鏡は大気の影響を免れることが出来ない代わりに、装置の大型化が容易であることや、修理点検や装置の追加や回収が可能であるなどのメリットがあります。
宇宙望遠鏡は打ち上げた後は機器にほとんどタッチできない代わりに、地球大気の影響を受けずに観測可能というメリットがあります。
しかし、このSOFIAという望遠鏡は、反射望遠鏡を飛行機に搭載して成層圏を飛行し、天文観測を行うというとんでもないものです。
サイトはこちら。
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サイトの内容を見ると、これまでもいろいろな観測を行って成果を上げているようです。
飛行機の側面に望遠鏡のための穴が空いているのはなかなか壮観です。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1507.01343
Thiabaud et al. (2015)
Elemental ratios in stars vs planets
(恒星と惑星の元素組成比)
計算したのは、代表的かつ重要な組成比である、Fe/Si, Mg/Si, C/O。
恒星のパラメータには、観測からデータが得られている18の恒星の組成比を用いた。
計算の際は、ギブスのエネルギー最小化法の仮定を用い、惑星の組成を計算した。
また、組成比Fe/Si, Mg/Si, C/Oは、岩石惑星、氷惑星、ガス惑星それぞれで計算した。
結果、Fe/Si, Mg/Siは恒星の組成と同一だった。
C/Oは恒星の組成との相関が弱かった。
円盤は 1 + 1D計算。まず鉛直方向を解き、その後鉛直方向の平均値を用いて半径方向を解く。
惑星形成については、月質量の10個の原始惑星を置く。初期配置は、対数スケールで等間隔に、 0.04 - 30 AUに配置する。
また微惑星サイズは ~1 kmとする。このサイズでは内側へのドリフトは無視できる。
計算モデルには、
・固体惑星コアへの微惑星の降着
・ガス降着。限界コア質量を超えたら暴走的にガスを獲得する
・Type I, II 惑星移動を引き起こす、円盤と惑星の相互作用
・微惑星の軌道を励起する、惑星と微惑星の相互作用
・平均運動共鳴や惑星同士の押し合いを引き起こす、惑星間の重力的相互作用
が含まれている。
これは、Moriarty et al. (2014)で示唆されている、微惑星の組成は進化しないという仮定による。
また、揮発性物質を含んだ計算になっていることも、結果の違いにつながっている。
arXiv:1507.01024
Bakos et al. (2015)
HATS-7b: A Hot Super Neptune Transiting a Quiet K Dwarf Star
(HATS-7b: 静穏なK型星をトランジットするホットスーパーネプチューン)
中心星は、0.849太陽質量、0.815太陽半径、[Fe/H] = +0.250の、K dwarfである。
光度変動が少なく、視線速度の変動も低い。
スペクトルには彩層活動の証拠は見られていない、静穏な恒星である。
理論モデルによると、発見された惑星HATS-7bは、H, Heの割合が 18% (岩石+金属コアと水素・ヘリウムエンベロープを持つ場合)、あるいは 9% (氷コアと水素・ヘリウムエンベロープを持つ場合)である。
土星のH, Heの質量比は 75%であり、HATS-7bは土星とは組成が大きく異なる。
HATS-7bの組成比はむしろ海王星や天王星に近いものである。
そのため"スーパーネプチューン"、大型の海王星と呼べる存在である。
arXiv:1507.01609
Raetz et al. (2015)
WASP-14 b: Transit Timing analysis of 19 light curves
(WASP-14b: 19の光度曲線のトランジットタイミング解析)
多くのパラメータは発見論文(Joshi et al. 2009)を支持するものであった。
また、トランジット時刻の変動 (Transit Timing Variation, TTV)は検出されなかった。
軌道長半径は 0.037 AU、軌道周期は 2.2437764日、軌道離心率は 0.087。
軌道長半径が小さい割には軌道離心率が大きく、通常ならば潮汐散逸で円軌道化されるはずである。
・他の天体が擾乱を与えている
・この系での潮汐による円軌道化のタイムスケールが、系の年齢と同程度か長い
というものが考えられる。
また、
・最近になって現在の軌道になった
ということも考えられる。
Rossiter-McLaughlin effect (ロシター効果)から、恒星の自転軸と惑星の公転軸の有意なズレが検出されており、その値は -33.1°である(Johnson et al. 2009)。
arXiv:1507.01343
Thiabaud et al. (2015)
Elemental ratios in stars vs planets
(恒星と惑星の元素組成比)
概要
惑星形成モデルと組み合わせた化学モデルを用い、太陽質量、太陽光度の恒星まわりでの恒星と惑星の組成を数値計算した。計算したのは、代表的かつ重要な組成比である、Fe/Si, Mg/Si, C/O。
恒星のパラメータには、観測からデータが得られている18の恒星の組成比を用いた。
計算の際は、ギブスのエネルギー最小化法の仮定を用い、惑星の組成を計算した。
また、組成比Fe/Si, Mg/Si, C/Oは、岩石惑星、氷惑星、ガス惑星それぞれで計算した。
結果、Fe/Si, Mg/Siは恒星の組成と同一だった。
C/Oは恒星の組成との相関が弱かった。
計算モデル
過去の論文で用いたモジュールを使用。円盤は 1 + 1D計算。まず鉛直方向を解き、その後鉛直方向の平均値を用いて半径方向を解く。
惑星形成については、月質量の10個の原始惑星を置く。初期配置は、対数スケールで等間隔に、 0.04 - 30 AUに配置する。
また微惑星サイズは ~1 kmとする。このサイズでは内側へのドリフトは無視できる。
計算モデルには、
・固体惑星コアへの微惑星の降着
・ガス降着。限界コア質量を超えたら暴走的にガスを獲得する
・Type I, II 惑星移動を引き起こす、円盤と惑星の相互作用
・微惑星の軌道を励起する、惑星と微惑星の相互作用
・平均運動共鳴や惑星同士の押し合いを引き起こす、惑星間の重力的相互作用
が含まれている。
結果について
C/Oの値について、これまでの研究(Madhusudhan et al. 2012)と異なり、恒星のC/Oが大きくなっても惑星のC/Oは大きくならない。これは、Moriarty et al. (2014)で示唆されている、微惑星の組成は進化しないという仮定による。
また、揮発性物質を含んだ計算になっていることも、結果の違いにつながっている。
arXiv:1507.01024
Bakos et al. (2015)
HATS-7b: A Hot Super Neptune Transiting a Quiet K Dwarf Star
(HATS-7b: 静穏なK型星をトランジットするホットスーパーネプチューン)
概要
0.120木星質量、0.563木星半径、軌道周期 3.1853日の"Super-Neptune"を発見した。中心星は、0.849太陽質量、0.815太陽半径、[Fe/H] = +0.250の、K dwarfである。
光度変動が少なく、視線速度の変動も低い。
スペクトルには彩層活動の証拠は見られていない、静穏な恒星である。
理論モデルによると、発見された惑星HATS-7bは、H, Heの割合が 18% (岩石+金属コアと水素・ヘリウムエンベロープを持つ場合)、あるいは 9% (氷コアと水素・ヘリウムエンベロープを持つ場合)である。
土星のH, Heの質量比は 75%であり、HATS-7bは土星とは組成が大きく異なる。
HATS-7bの組成比はむしろ海王星や天王星に近いものである。
そのため"スーパーネプチューン"、大型の海王星と呼べる存在である。
arXiv:1507.01609
Raetz et al. (2015)
WASP-14 b: Transit Timing analysis of 19 light curves
(WASP-14b: 19の光度曲線のトランジットタイミング解析)
概要
ヨーロッパとアジアの5つの天文台にある6つの望遠鏡を用いて得た 13回のトランジットイベント、合計 19セットの光度曲線を解析し、惑星、恒星とそれらの幾何学的配置を決定した。多くのパラメータは発見論文(Joshi et al. 2009)を支持するものであった。
また、トランジット時刻の変動 (Transit Timing Variation, TTV)は検出されなかった。
WASP-14bについて
パラメータ
惑星は、1.240木星半径、7.59木星質量であり、平均密度は木星の 3.73倍である。平衡温度は 1872 K。軌道長半径は 0.037 AU、軌道周期は 2.2437764日、軌道離心率は 0.087。
軌道長半径が小さい割には軌道離心率が大きく、通常ならば潮汐散逸で円軌道化されるはずである。
特徴など
軌道離心率がやや大きい理由については、・他の天体が擾乱を与えている
・この系での潮汐による円軌道化のタイムスケールが、系の年齢と同程度か長い
というものが考えられる。
また、
・最近になって現在の軌道になった
ということも考えられる。
Rossiter-McLaughlin effect (ロシター効果)から、恒星の自転軸と惑星の公転軸の有意なズレが検出されており、その値は -33.1°である(Johnson et al. 2009)。

