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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.11065
Yun et al. (2019)
Properties of Density and Velocity Gaps Induced by a Planet in a Protoplanetary Disk
(原始惑星系円盤内の惑星によって誘起される密度と速度ギャップの特性)

概要

原始惑星系円盤とその中に存在する惑星との重力相互作用は,最近の ALMA による観測で発見されている,円盤内のギャップとリング構造の形成メカニズムのひとつである.

円盤に形成されるギャップの特性を,ガス面密度だけではなく回転速度分布からも測定して定量化するため,原始惑星系円盤の 2 次元流体力学シミュレーションを実行した.ここでのパラメータは 3 つ,中心星に対する惑星の質量比 \(q\),円盤のスケールハイト \(h_{\rm p}\) に対する惑星軌道半径 \(r_{\rm p}\) の比,粘性 \(\alpha\).

その結果,ガス面密度のギャップ深さ \(\delta_{\Sigma}\) は,単一の無次元パラメータ \(K=q^{2}\left(h_{p}/r_{p}\right)^{-5}\alpha^{-1}\) に依存し,\(\delta_{\Sigma}=\left(1+0.046K\right)^{-1}\) と表すことが出来る.これは Kanagawa et al. (2015a) と整合的な結果である.

また回転速度におけるギャップ深さ \(\delta_{V}\) は,\(\delta_{V}=0.007\left(h_{p}/r_{p}\right)K^{1.38}/\left(1+0.06K^{1.03}\right)\) で与えられる.

面密度と回転速度両方におけるギャップ幅は,惑星質量が円盤の熱的質量 (\(M_{\rm th}\)) 程度の場合は,\(4.7h_{\rm p}\) の最小値を取る.一方で \(M_{p}/M_{\rm th}\) が 1 から増加もしくは減少すると,ギャップ幅はべき乗則で増加する.
このようなギャップ幅の最小値は,sub-thermal な惑星によって励起される渦状腕は,円盤ガスに衝撃を与えてギャップを開く前に伝播する必要があることに由来する.

ここで得られた関係を過去の研究結果のギャップ深さおよび幅と比較し,観測への適用可能性について議論する.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.11246
Oberg & Wordsworth (2019)
Jupiter's composition suggests its core assembled exterior to the N2 snowline
(木星の組成はその核が窒素スノーラインより外側で集積したことを示唆する)

概要

木星の大気は,C, N, S, P Ar, Kr と Xe に富んだ組成をしており,これらの元素の存在度は太陽組成と比較すると 3 倍程度大きい.

巨大ガス惑星のエンベロープは,主に大気中での固体の溶解によって物質量が豊富となり,この太陽組成に対する増加分が一定の値であることは不可解な問題である.それは,木星が質量を獲得した領域では,これらの元素のうちのいくつかは固体の状態では存在し得なかったと考えられるからである.

特に深刻なのが,アルゴンと,窒素原子の主要な運搬役である窒素分子であり,これらの物質は原始太陽系星雲の外側領域の,温度が 21-26 K の領域でしか凝縮しない.

ここでは,木星の一様な元素存在量増加の謎のもっともらしい解決策として,木星のコアは 30 au 以遠の窒素分子とアルゴンのスノーラインより外側で形成されたというモデルを提案する
このシナリオでは,ネオンよりも重い全ての揮発性物質は,太陽組成と同じ割合でコアに含まれる.

コアへのエンベロープの降着と微惑星爆撃の間,コアのいくらかはエンベロープと混合し,現在の 重元素増加のパターンを生み出す.このシナリオでは,木星の最終的な質量獲得領域における窒素が欠乏のペブルと微惑星降着による大きな汚染があった場合でも,現在の大気組成を自然に再現できることを示す.

遠距離での巨大惑星のコア形成は,最近のペブル降着を介した巨大惑星コア形成のモデルと整合的である.これらのモデルては,コアとエンベロープの形成過程の間の急速な内側移動に対抗するため,コアが木星の現在の位置よりも外側で形成されることを要求する.
このシナリオが一般的な場合,巨大ガス惑星のコア形成は原始惑星系円盤の 10-100 au で見られているギャップの説明になる可能性がある.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.09219
Watson et al. (2019)
Doppler tomography as a tool for detecting exoplanet atmospheres
(系外惑星大気を検出するツールとしてのドップラートモグラフィー)

概要

高分散のドップラー分光観測は,トランジット系外惑星および非トランジット系外惑星の大気中の分子種を同定する強力なツールである.現在,このようなデータは,公転する惑星からのドップラーシフトのシグナルを検出するために,相互相関技術を用いて解析されている.

ここでは,現在使用されている相互相関手法と比較し,ドップラートモグラフィーの技術が系外惑星大気に予想される微妙なシグナルを検出することに関して,より良い感度を持っていることを示す.これは部分的には,すべてのデータが同時にフィットされるという事実と組合わさり,ノイズを抑制するように作用する正則化統計を使用することが要因である.さらにこの手法は,スペクトル線の重複,ラインパターンの繰り返し,または誤ったラインリストの使用によって生じる可能性がある,スペクトルの特徴の混入を効果的に抑制することも可能である.

これらの問題は,従来の相互相関アプローチではこの技術に固有のエイリアシングの問題のため混乱が生じる場合があるが,ドップラートモグラフィーではこれらの影響を受けにくい.特に,ドップラートモグラフィーは複数のラインの種 (同位体置換体など) を同時に検出するのに適している.

最後に,この手法を τ Boo b (うしかい座タウ星b) の大気に応用し,強い CO (一酸化炭素) の検出を確認することで,この手法の有効性を実証した.この手法により惑星の視線速度の半振幅を測定し,過去の報告値と一致したことを確認した.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.08674
Mancini et al. (2019)
The highly inflated giant planet WASP-174b
(大きく膨張した巨大惑星 WASP-174b)

概要

トランジットする WASP-174b の発見が過去に報告されている.中心星は F 型星で,惑星は巨大惑星である.しかし,惑星質量は 1.3 木星質量未満,半径は 0.7-1.7 木星半径と,これまでにあまり制約されていなかった.

ここでは,この惑星の軌道要素と物理特性を詳細に制約するための観測を実施した.
HATSouth で得られた測光データと,新しい多バンドの高品質 (最高で 0.37 mmag の精度) 測光フォローアップ観測のデータを用いた.また TESS の観測データも使用した.

その結果,この惑星が中心星をかすめるようにトランジットしていることを,高い信頼度で確認した,

またトランジットを 4 つの可視光のバンドで同時に観測し,トランジット深さが恒星の周辺減光効果によってどのように変化するかを確認した.これにより,惑星の円盤面のうち 76% 程度が,実際に中心星を隠している (トランジット中心時刻にて) と推定された.

以上より,この惑星は 0.330 木星質量,1.435 木星半径で,大きく膨張した半径を持つ高温の巨大ガス惑星であると推定される.そのため,大気の透過スペクトル観測の良い対象である.平均密度は 0.135 g cm-3 で,質量と半径が精密に測定されている中では最も低密度の惑星のひとつである.

WASP-174b について

この惑星は,Temple et al. (2018) で発見が報告された.しかし視線速度観測の精度が低く,惑星質量は 1.3 木星質量という上限値のみが得られていた.またかすめるようなトランジット (grazing transit) を起こしているため,惑星半径を正確に測定できていなかった.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.07984
Šubjak et al. (2019)
TOI-503: The first known brown dwarf-Am star binary from the TESS mission
(TOI-503:TESS ミッションからの初の褐色矮星と Am 星の連星)

概要

TESS ミッションで発見された,中間質量のトランジットする褐色矮星 TOI-503b について報告する.

TOI-503b は TESS で発見された初めての褐色矮星で,metallic-line A-type star (Am 星) を 3.6772 日周期で公転している.光度曲線からは,褐色矮星は中心星をかすめるようにトランジットしていることが示唆され,そのため褐色矮星の半径測定の精度には限界がある.推定される半径は (1.34 (+0.26, -0.15) 木星半径である.

FIES, Ondˇrejov, PARAS, Tautenburg, および TRES での高分散分光観測を行い,褐色矮星の質量を 53.7 木星質量と推のした.

中心星は 1.80 太陽質量,1.70 太陽半径で,有効温度は 7650 K,金属量はやや大きく,[Fe/H] = 0.61 dex である.
恒星の等時線から,この系の年齢を ~1.8 億歳と推定した,これは RIK 72b (Upper Scorpius stellar association にある ~1000 万歳の年老いた褐色矮星) と AD 3116b (プレセペ星団にある ~6 億歳の年老いた褐色矮星) の中間の年齢である.

この褐色矮星は,その場形成された可能性について議論する.これは,この系の年齢が若く,なおかつこの恒星の周りで褐色矮星が円軌道化されるのには長い時間が必要であることに基づくものである.

この褐色矮星は,主系列星を公転する,短周期の中間質量の褐色矮星の一員に加わった.また A 型星をトランジットする褐色矮星としては HATS-70b に次いで 2 番目である.また Am 星 (metallic-lined A star) まわりの褐色矮星としては初めての発見である

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