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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.00285
Shibaike et al. (2019)
The Galilean Satellites Formed Slowly from Pebbles
(ガリレオ衛星はペブルからゆっくりと形成された)

概要

木星の形成に伴って,木星周囲のガス円盤から 4 つの主要なガリレオ衛星が形成されたことは広く受け入れられている.しかし,小さな粒子 (ペブル) と衛星の両方が内側への速い移動過程にさらされるため,形成の詳細は分かっていない.

ここでは,ガリレオ衛星系の起源についての新しいシナリオを提案する.これは,複数の微惑星の種を捕獲し,その後ペブルのゆっくりとした降着を起こすという考えに基づくものである.

天体の内側への移動を止めるために円盤内側での切り取り半径を設定し,物理的・力学的・組成および構造の制約に対して一致するように,モデルのその他のパラメータを調整する.

このシナリオでは,ガニメデの質量はペブル孤立質量によって自然に決定される.ここでのゆっくりとしたペブル降着シナリオでは,ガリレオ衛星の以下の特徴を再現することが出来る.(1) ガリレオ衛星の質量,(2) イオ,エウロパ,ガニメデの相互 2:1 平均運動共鳴への捕獲,(3) 全 4 衛星の氷の質量割合,(4) カリストの氷-岩石の部分的な分化および他の衛星の完全な分化.
このシナリオは,これらの異なる特徴を同時に再現するという特徴がある.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.10732
Oza et al. (2019)
Sodium and Potassium Signatures of Volcanic Satellites Orbiting Close-in Gas Giant Exoplanets
(近接巨大ガス系外惑星を公転する火山衛星のナトリウムとカリウムの特徴)

概要

太陽系外衛星は,一般に従来の探査では検出できないほど小さい.
太陽系内で最も活発な天体であるイオを参考に,ナトリウム (Na I) とカリウム (K I) のガスが,太陽系外のイオのような天体からの地質学的活動の放出の兆候として検出されうるかを検証した.

多数の近接ガス惑星の解析で,アルカリ金属の確実な検出が報告されているものを解析した結果,イオサイズの衛星は,惑星の潮汐の Q 値が 1011 未満の場合に,軌道崩壊に対して安定である結論付けた.

シンプルな大気流出推定から,この潮汐エネルギーにより,イオが木星のナトリウム外気圏に供給している質量放出率よりも 105±2 倍大きなものが駆動されると推定した.

いくつかの系外イオの柱密度は,平均的には系外惑星の透過スペクトルの透過幅に要求される 1010±1 Na cm-2 を供給するのに十分である.さらに,木星の広がったナトリウム外気圏 (~1000 木星半径) の観測と,透過分光における木星大気両方のベンチマーク観測からは,純粋に外因性の同様のナトリウムの柱密度をもたらす.
概念実証として,WASP-49b の「高高度」のナトリウムを,イオで観測されたナトリウムの分布と同様の電離律速の雲にフィッティングした.

系外衛星のシグナルを検出するための今後の観測としては,他の火山性揮発性物質の分光学的探査に加え,時間依存の食への入りと出のモニタリングを推奨する.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.09925
Blunt et al. (2019)
Radial Velocity Discovery of an Eccentric Jovian World Orbiting at 18 au
(18 au を公転するエキセントリックな木星型惑星の視線速度での検出)

概要

Keck/HIRES と McDonald/Tull,およびより最近の自動惑星検出望遠鏡による 20 年にわたる視線速度観測から,近傍の恒星 HR 5183 (HD 120066) の周囲に,軌道周期 74 年で最小質量が 3 木星質量の惑星が存在することを発見した.惑星軌道は e ~ 0.84 と非常に高軌道離心率で,太陽系に置き換えた場合,木星軌道から海王星軌道以遠までを往復する軌道となる.

注意深いサーベイ計画により,惑星が近点を通過の前後およびその最中の視線速度観測に成功し,詳細な軌道パラメータへの制約が得られた.

惑星の軌道離心率を励起させうる恒星や惑星の伴星の探査も行ったが,候補天体は発見できなかった.そのため,擾乱天体は系から放出された可能性が示唆される.
主星から 15000 au 以上離れた距離にある恒星質量の伴星を発見はしたものの,これは惑星に対して影響を及ぼすには現在の位置が遠すぎる.

惑星の軌道は恒星から 30 au (天球上での角度は 1”) 以上離れるため,直接撮像や恒星の位置天文学で探査可能である.惑星による恒星の位置の変化は Gaia で検出できる可能性が非常に高い.また 10 µm 波長での撮像で惑星が検出可能だと推定される.

今回の発見は,長周期の木星型惑星を発見し特徴づけるためには,長期的な視線速度サーベイが重要であることを示すものである.このような種類の惑星は,複数の重い惑星を含む惑星系の力学的な進化に重要な洞察を与える.

パラメータ

HR 5183
別名:HD 120066
有効温度:5794 K
金属量:[Fe/H] = 0.10
半径:1.53 太陽半径
質量:1.07 太陽質量
年齢:77 億歳
距離:31.49 pc
HR 5183b
軌道周期:1010.21 日 (74 年)
軌道離心率:0.84
最小質量:3.23 木星質量
軌道長半径:18 au
近点距離:2.88 au
平衡温度:171.0 K (近点付近),50.2 K (遠点付近)

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.08585
Mayo et al. (2019)
An 11 Earth-Mass, Long-Period Sub-Neptune Orbiting a Sun-like Star
(太陽類似星を公転する 11 地球質量の長周期サブネプチューン)

概要

これまでに数千個もの系外惑星が検出され特徴付けられているが,観測バイアスのため質量が測定されている長周期の低質量惑星は少なく,このような惑星への我々の理解も遅れている.ここでは長周期の系外惑星ケプラー538b の質量推定と特徴付けについて報告する.

この惑星は,等級が V = 11.27 の太陽型星ケプラー538 を公転しており,中心星は 0.892 太陽質量,0.8717 太陽半径である.ケプラー538b は 2.215 地球半径のサブネプチューン惑星で,軌道周期は 81.73778 日である.この惑星はケプラー538 系内で知られている唯一の惑星である.

Keck I 望遠鏡に設置されている HIRES と,TNG の HARPS-N を用いた観測で,視線速度を収集した.また,ガウス過程で恒星活動を特徴付けた.

ケプラーによる測光観測データと視線速度の半値全幅観測を同時にモデリングし,視線速度の半振幅を 1.68 m s-1 と測定した.ここから,惑星質量は 10.6 地球質量と推定される.

ケプラー538b は,視線速度法で質量が測定されている軌道周期 50 日以上の惑星の中では最も小さい.惑星は水の氷を主成分とするかなりの量の氷成分と,岩石・金属,および少量の気体から構成されていると考えられる.

この論文で使用されているような洗練されたモデル化技術と,将来の超高分散かつ安定性の高い分光器を用いた観測で,これらのあまり理解が進んでいないパラメータ領域にある系外惑星の質量を測定できることが期待される.これにより,惑星の組成と輻射フラックスの間の関係,および岩石惑星からガス惑星への遷移が惑星の平衡温度にどう依存するかを理解する手助けになるだろう.

パラメータ

ケプラー538b は Morton et al. (2016) によって初めて存在が実証された惑星である.
この系内でこれまでに存在が知られているのはケプラー538b の一つのみである.117.76 日周期の 2 番目のトランジット惑星候補も報告されているが,この実在には大きな疑問符が付いている.
ケプラー538
有効温度:5547 K
金属量:[Fe/H] = -0.15
半径:0.8717 太陽半径
質量:0.892 太陽質量
距離:156.66 pc
年齢:53 億歳
ケプラー538b
軌道周期:81.73778 日
軌道離心率:0.041
半径:2.215 地球半径
質量:10.6 地球質量
密度:5.4 g cm-3
日射量:地球の 2.99 倍
平衡温度:380 K (アルベド 0.3 を仮定した場合),350 K (0.5 の場合)

2 つ目の惑星の可能性について

ケプラーカタログの初期のいくつかの版には,ケプラー538 系には 117.76 日周期の弱いトランジットシグナルがあり,K00365.02 という惑星候補として登録されていた.しかし初期のカタログの 1 つは,これを偽陽性として記録している (Mullally et al. 2015),また最終的なカタログでは,その周期での候補の検出は見られないとしている (Thompson et al. 2018).

NASA の系外惑星カタログでは,この惑星候補は 0.62 地球半径だと報告されている.純粋な鉄の組成を仮定した場合の上限質量は 0.37 地球質量であり,この質量は HARPS-N などのいかなる検出器の検出限界未満である.

しかし厳密性のため 2 惑星モデルでの観測結果のフィッティングも実行した.その結果,今回の解析結果において 2 番目の惑星候補の影響は無視できると結論付けた.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1908.08754
Sánchez-López et al. (2019)
Water vapor detection in the transmission spectra of HD 209458 b with the CARMENES NIR channel
(CARMENES 近赤外チャンネルでの HD 209458b の透過スペクトルからの水蒸気の検出)

概要

ホットジュピター HD 209458b の大気中からの水蒸気の検出と,近赤外線での多バンド観測について報告する.観測には CARMENES を使用した.

惑星大気中の水蒸気の吸収線は,惑星がトランジットを起こしている最中の視線速度の大きな変化により,ドップラーシフトを起こす.このシフトの大きさは数十 km s-1 になる一方で,地球由来のスペクトル,および恒星のスペクトルは準静的であると考えられる.このシフトの利点を生かして,解析ツールの SYSREM を用いて地球と恒星のスペクトル線を除去した.
得られた残差のスペクトルは惑星の分子による数千のシグナルを含み,これらはノイズレベルを下回る.

惑星の大気吸収のモデルと残差スペクトルの相互相関から,これらのスペクトル線の情報を復元した.その結果,シグナルノイズ比が 6.4 の相互相関シグナルを発見し,HD 209458b の大気中に水蒸気が存在することを明らかにした.

検出されたシグナルの合計の青方偏位は -5.2 km s-1 であり,大きなエラーバーがあるものの,ホットジュピターの昼夜境界における昼側から夜側への風の検出であると考えられる

また,多バンドでの水蒸気の検出も報告する.0.96-1.06 µm の波長域での水の吸収を S/N = 5.8 で検出し,また 1.06-1.26 µm バンドでも検出の兆候が得られ,こちらは S/N = 2.8 であった.
1.26-1.62 µm の波長帯では明確な惑星による吸収シグナルは見られなかった.

0.96-1.06 µm のバンドで有意な水のシグナルが検出されたのはこれが初めてである.また,これまでの水の検出が報告されている波長としてはもっとも長波長である
より強い水の吸収シグナルが期待される 1.15-1.4 µm での検出が決定的なものではなかった原因は,おそらく観測条件が好ましくなかったことが原因である.

0.96-1.06 µm での水が HD 209458b では検出され,HD 189733b では困難であることは,後者ではエアロゾルによる強い消散があることを支持する.

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