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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.05523
Moore et al. (2019)
The Rotation-Disk Connection in Young Brown Dwarfs: Strong Evidence for Early Rotational Braking
(若い褐色矮星での自転と円盤のつながり:初期の自転減速の強い証拠)
自転周期の全サンプル中の中央値は 1.28 日であった.このうち,褐色矮星と思われる天体の自転周期の中央値は 0.84 日であった.
この自転周期のサンプルから,褐色矮星での初期の自転減速の証拠を見出した.これは,中心天体と周囲の円盤との相互作用によるものだと考えられる.
周囲に円盤を持った天体の自転周期の中央値は,持っていない天体よりも少なくとも 50% 長い.
2 つの褐色矮星は ‘disk-locking' の直接の証拠を光度曲線中に示す.これは自転周期と似たタイムスケールで再帰的に現れる光度曲線のディップという形で見られる.
異なる年齢の褐色矮星の自転周期サンプルとの比較から,100万-1000万歳の間の自転周期の進化の途中で,自転の減速が必要があることは明らかである.数百万年にわたる固定された自転周期と,それに続く天体の収縮による自転の加速は,観測データと一致する.
若い褐色矮星は恒星と同じ自転の律速の影響を受けているが,それはおそらく初期条件によって決まる,より非常に高速の自転で始まっていると結論付けた.
arXiv:1901.05523
Moore et al. (2019)
The Rotation-Disk Connection in Young Brown Dwarfs: Strong Evidence for Early Rotational Braking
(若い褐色矮星での自転と円盤のつながり:初期の自転減速の強い証拠)
概要
Upper Scorpius 星形成領域にある,褐色矮星と非常に低質量の恒星の自転周期をケプラー K2 で測定した.合わせて 104 個の天体の自転周期の測定を行った.Upper Scorpius 星形成領域の推定年齢に依存するが,このうち 1/3 が褐色矮星である.自転周期の全サンプル中の中央値は 1.28 日であった.このうち,褐色矮星と思われる天体の自転周期の中央値は 0.84 日であった.
この自転周期のサンプルから,褐色矮星での初期の自転減速の証拠を見出した.これは,中心天体と周囲の円盤との相互作用によるものだと考えられる.
周囲に円盤を持った天体の自転周期の中央値は,持っていない天体よりも少なくとも 50% 長い.
2 つの褐色矮星は ‘disk-locking' の直接の証拠を光度曲線中に示す.これは自転周期と似たタイムスケールで再帰的に現れる光度曲線のディップという形で見られる.
異なる年齢の褐色矮星の自転周期サンプルとの比較から,100万-1000万歳の間の自転周期の進化の途中で,自転の減速が必要があることは明らかである.数百万年にわたる固定された自転周期と,それに続く天体の収縮による自転の加速は,観測データと一致する.
若い褐色矮星は恒星と同じ自転の律速の影響を受けているが,それはおそらく初期条件によって決まる,より非常に高速の自転で始まっていると結論付けた.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.05018
Kennedy et al. (2019)
A circumbinary protoplanetary disc in a polar configuration
(極配置にある周連星原始惑星系円盤)
惑星を形成するためのダストが豊富な円盤はほとんど全ての若い恒星の周りに存在するが,軌道面が揃っていない惑星を形成し得る周連星円盤の存在はこれまでに知られていなかった.
ここでは HD 98800 系における,他の惑星形成円盤と似た特性を持った,しかし大きく傾いた周連星円盤の発見を報告する.
連星からのトルクはこの円盤を安定した極配置の状態に留めている.今回の発見は,この配置にある不揃いの周連星円盤が存在し,軌道面が不揃いの惑星を形成するのに十分長い時間生き残ることができるという初めての証拠である.極軌道における惑星の存在は,周連星惑星の存在頻度は単独星よりも高いことを意味する可能性がある.
周連星惑星の発見における最も強い観測バイアスは,惑星の軌道平面が連星の軌道平面に近く揃っていないと,発見するのが非常に困難という点である.このようなバイアスが存在するにも関わらず,揃った軌道面を持った周連星惑星の存在頻度は,単独星周りの類似した惑星の存在頻度と同等であることが分かっている.ただし周連星惑星自体の発見数が少ないため不定性は大きい.
もし,これまでに発見されていない軌道面が不揃いの惑星も存在する場合,周連星惑星の形成は単独星周りでの惑星形成よりも容易である可能性がある..
HD 98800A と B,あるいは HD 98800AaAb と BaBb の 2 つの連星ペアが各々 1 au 程度の軌道長半径で存在しており,2 つの連星ペアの軌道長半径は 54 au である.
HD 98800BaBb の連星はよく特徴づけされており,軌道離心率は 0.785 である.今回の観測でのデータを用いると,HD 98800A と B の軌道は軌道離心率 0.52,軌道周期は 246 年である.
HD 98800AaAb ペアの特性は確かではないが,その詳細は今回の結果には影響を与えない.
HD 98800 BaBb ペアが明るい周連星円盤を持つことは 1980 年代の発見以降知られていた.この円盤は恒星系に影響されていると考えられており,円盤内縁は BaBb 連星によって切り取られている.また円盤外縁は HD 98800A によって外から切り取られている.
円盤は当初は内側の連星と同一平面に存在すると思われていたが,高分解の観測では異なる配置にある可能性が示唆されていた.また円盤が大量のガスを持っているかどうかは不明であり,ガスが豊富な「惑星形成」円盤か,ガスが欠乏した「デブリ」円盤のどちらでもあり得ると解釈されてきた.
この系で酸素が検出されたこと,また HD 98800B で水素分子からの放射が観測されたことから,このペアはガスが豊富な円盤からの降着を受けていることが示唆されており,前者の解釈が支持されている.
ダストと一酸化炭素の内縁はそれぞれ 2.5 au と 1.6 au と推定され,また外側円盤は 4.6 au と 6.4 au と推定される.ダストと一酸化炭素は同じ配置であることと整合的である.
天球に対する角度は 26° か 154°,であり,誤差は ±1°.154° のケースは,極配置 (BaBb の軌道面と BaBb の近点方向のどちらにも垂直) からわずか 4° 離れた配置である.26° のケースは連星の軌道面から 48° 離れた配置 (ここではややずれたケースと呼称).計算から,このような配置での円盤は安定に存在しうると推定される.
しかしシミュレーションは,ある範囲の角運動量を持った分子雲物質からの形成は,単独系であっても不揃いの円盤を形成する可能性があり,またそのような系は実際に観測されている.そのため不揃いの周連星円盤を形成するためには必ずしも外部天体が必要とは限らない.
今回の結果は,周連星惑星はこれまでに思われていたよりも一般的であることを示唆している.
円盤が連星軌道面に初期にランダムに配置されていたと仮定し,また円盤は連星の軌道に影響しない程度に軽いとし,連星の軌道離心率が 0.8 まで一様に分布しているとすると,およそ 45% の円盤が極配置に進化する.
最も離心率が高い連星の周りの周連星円盤は極配置になりやすいことが分かった.これまでに知られているトランジットする周連星惑星は,連星の離心率が 0.52 以下のものばかりであり,また 8/9 は 0.22 未満であるということと整合的な結果である.
ここでのポピュレーション推定はシンプルなものであるが,極円盤と惑星は週連星円盤形成の一般的な結果であることを示している.
arXiv:1901.05018
Kennedy et al. (2019)
A circumbinary protoplanetary disc in a polar configuration
(極配置にある周連星原始惑星系円盤)
概要
これまでにトランジット法で発見されている周連星惑星は,連星の軌道面によく沿った軌道を持っている.軌道面が揃っていない周連星惑星が存在する可能性はあるが,それらは検出が難しいためまだ発見されていない.惑星を形成するためのダストが豊富な円盤はほとんど全ての若い恒星の周りに存在するが,軌道面が揃っていない惑星を形成し得る周連星円盤の存在はこれまでに知られていなかった.
ここでは HD 98800 系における,他の惑星形成円盤と似た特性を持った,しかし大きく傾いた周連星円盤の発見を報告する.
連星からのトルクはこの円盤を安定した極配置の状態に留めている.今回の発見は,この配置にある不揃いの周連星円盤が存在し,軌道面が不揃いの惑星を形成するのに十分長い時間生き残ることができるという初めての証拠である.極軌道における惑星の存在は,周連星惑星の存在頻度は単独星よりも高いことを意味する可能性がある.
背景
これまでに,11 個の周連星惑星が 9 つの食連星系にトランジット法を用いて発見されている.これらの惑星の軌道長半径は 0.08 - 0.23 au の範囲にある.周連星惑星の発見における最も強い観測バイアスは,惑星の軌道平面が連星の軌道平面に近く揃っていないと,発見するのが非常に困難という点である.このようなバイアスが存在するにも関わらず,揃った軌道面を持った周連星惑星の存在頻度は,単独星周りの類似した惑星の存在頻度と同等であることが分かっている.ただし周連星惑星自体の発見数が少ないため不定性は大きい.
もし,これまでに発見されていない軌道面が不揃いの惑星も存在する場合,周連星惑星の形成は単独星周りでの惑星形成よりも容易である可能性がある..
HD 98800 系について
ここでは HD 98800 系の観測について報告する.この恒星はよく知られた階層的な四重星系であり,44.9 pc の距離にある.年齢が ~ 1000 万歳の TW Hydrae アソシエーションの一員である.HD 98800A と B,あるいは HD 98800AaAb と BaBb の 2 つの連星ペアが各々 1 au 程度の軌道長半径で存在しており,2 つの連星ペアの軌道長半径は 54 au である.
HD 98800BaBb の連星はよく特徴づけされており,軌道離心率は 0.785 である.今回の観測でのデータを用いると,HD 98800A と B の軌道は軌道離心率 0.52,軌道周期は 246 年である.
HD 98800AaAb ペアの特性は確かではないが,その詳細は今回の結果には影響を与えない.
HD 98800 BaBb ペアが明るい周連星円盤を持つことは 1980 年代の発見以降知られていた.この円盤は恒星系に影響されていると考えられており,円盤内縁は BaBb 連星によって切り取られている.また円盤外縁は HD 98800A によって外から切り取られている.
円盤は当初は内側の連星と同一平面に存在すると思われていたが,高分解の観測では異なる配置にある可能性が示唆されていた.また円盤が大量のガスを持っているかどうかは不明であり,ガスが豊富な「惑星形成」円盤か,ガスが欠乏した「デブリ」円盤のどちらでもあり得ると解釈されてきた.
この系で酸素が検出されたこと,また HD 98800B で水素分子からの放射が観測されたことから,このペアはガスが豊富な円盤からの降着を受けていることが示唆されており,前者の解釈が支持されている.
観測結果
この系を ALMA の 230 GHz (1.3 mm) で観測した.一酸化炭素の J = 2-1 の回転遷移とダスト連続波であり,どちらも強く検出された.ダストと一酸化炭素の内縁はそれぞれ 2.5 au と 1.6 au と推定され,また外側円盤は 4.6 au と 6.4 au と推定される.ダストと一酸化炭素は同じ配置であることと整合的である.
天球に対する角度は 26° か 154°,であり,誤差は ±1°.154° のケースは,極配置 (BaBb の軌道面と BaBb の近点方向のどちらにも垂直) からわずか 4° 離れた配置である.26° のケースは連星の軌道面から 48° 離れた配置 (ここではややずれたケースと呼称).計算から,このような配置での円盤は安定に存在しうると推定される.
連星軌道面とずれた原始惑星系円盤の形成メカニズム
シミュレーションからは,このような結果は星形成のカオス的な振る舞いの自然な帰結である可能性が示唆される.一つの可能性は,元々別々だった 2 つの連星系が重力的に結びつき,その過程で BaBb の円盤がずれたというものである.またその過程で,A の周りの円盤を破壊したかも知れない.しかしシミュレーションは,ある範囲の角運動量を持った分子雲物質からの形成は,単独系であっても不揃いの円盤を形成する可能性があり,またそのような系は実際に観測されている.そのため不揃いの周連星円盤を形成するためには必ずしも外部天体が必要とは限らない.
今回の結果は,周連星惑星はこれまでに思われていたよりも一般的であることを示唆している.
円盤が連星軌道面に初期にランダムに配置されていたと仮定し,また円盤は連星の軌道に影響しない程度に軽いとし,連星の軌道離心率が 0.8 まで一様に分布しているとすると,およそ 45% の円盤が極配置に進化する.
最も離心率が高い連星の周りの周連星円盤は極配置になりやすいことが分かった.これまでに知られているトランジットする周連星惑星は,連星の離心率が 0.52 以下のものばかりであり,また 8/9 は 0.22 未満であるということと整合的な結果である.
ここでのポピュレーション推定はシンプルなものであるが,極円盤と惑星は週連星円盤形成の一般的な結果であることを示している.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.05338
Affer et al. (2019)
HADES RV programme with HARPS-N at TNG. X. A super-Earth around the M dwarf Gl686
(TNG の HARPS-N による HADES 視線速度プログラム X.M 矮星 Gl 686 まわりのスーパーアース)
このサーベイは,北半球から観測できる M 型矮星に主に注力している.このプログラムの一部として,Gl 686 (グリーゼ686) の視線速度を取得した.この恒星は 8.2 pc の距離にある M1 矮星である.これらの視線速度測定では,その内部誤差を大きく超える視線速度の分散の存在が示された.
集中的な観測キャンペーンによって得られたデータの解析から,この超過分散は 15.53 日周期のコヒーレントシグナルによるものであることを示す.
APACHE と EXORAP プログラムによってほぼ同時期に測光観測も行われ,これによって恒星活動を特徴付けた.これは恒星活動に関連した周期的な変動と惑星の伴星の存在によるシグナルとを区別するために行われたものである.また ASA 測光データを用いても補完を行った.軌道要素と惑星の最小質量を推定するためのベイズフレームワークを使用し,また恒星活動由来のノイズを適切に取り扱った.
他の観測キャンペーンから利用可能なこの天体の視線速度測定の利用可能なデータも使用した.HIRES,HAPRS と HARPS-N での 20 年以上にわたる観測で取得された視線速度データを用いて解析を行った.これにより,この周期的なシグナルと,恒星の物理パラメータの特徴付けを行った.
その結果,スーパーアースの検出に成功した.
検出されたのは Gl 686b (グリーゼ686b) であり,軌道周期 15.532 日,7.1 地球質量である.
恒星の活動指標の解析とガウシアン過程フレームワーク,および測光観測データから,恒星の自転周期は 37 日と推定される.また 20 年以上にわたる長期間における黒点の配置の変動の存在が明らかになった.観測された 2000 日程度の恒星の周期性は,恒星の活動サイクルが存在していることを示唆する.
arXiv:1901.05338
Affer et al. (2019)
HADES RV programme with HARPS-N at TNG. X. A super-Earth around the M dwarf Gl686
(TNG の HARPS-N による HADES 視線速度プログラム X.M 矮星 Gl 686 まわりのスーパーアース)
概要
HArps-n red Dwarf Exoplanet Survey (HADES) では,スペクトルサブタイプの狭い範囲における詳細な視線速度測定の徹底した解析を通じて,低質量惑星の現在の統計を広げることに対して大きな貢献をしている.HARPS-N 分光器を用いることで,数地球質量の小さい惑星を検出するのに必要な精度に到達している.このサーベイは,北半球から観測できる M 型矮星に主に注力している.このプログラムの一部として,Gl 686 (グリーゼ686) の視線速度を取得した.この恒星は 8.2 pc の距離にある M1 矮星である.これらの視線速度測定では,その内部誤差を大きく超える視線速度の分散の存在が示された.
集中的な観測キャンペーンによって得られたデータの解析から,この超過分散は 15.53 日周期のコヒーレントシグナルによるものであることを示す.
APACHE と EXORAP プログラムによってほぼ同時期に測光観測も行われ,これによって恒星活動を特徴付けた.これは恒星活動に関連した周期的な変動と惑星の伴星の存在によるシグナルとを区別するために行われたものである.また ASA 測光データを用いても補完を行った.軌道要素と惑星の最小質量を推定するためのベイズフレームワークを使用し,また恒星活動由来のノイズを適切に取り扱った.
他の観測キャンペーンから利用可能なこの天体の視線速度測定の利用可能なデータも使用した.HIRES,HAPRS と HARPS-N での 20 年以上にわたる観測で取得された視線速度データを用いて解析を行った.これにより,この周期的なシグナルと,恒星の物理パラメータの特徴付けを行った.
その結果,スーパーアースの検出に成功した.
検出されたのは Gl 686b (グリーゼ686b) であり,軌道周期 15.532 日,7.1 地球質量である.
恒星の活動指標の解析とガウシアン過程フレームワーク,および測光観測データから,恒星の自転周期は 37 日と推定される.また 20 年以上にわたる長期間における黒点の配置の変動の存在が明らかになった.観測された 2000 日程度の恒星の周期性は,恒星の活動サイクルが存在していることを示唆する.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.03716
Hjorth et al. (2019)
EPIC 249624646: a warm Jupiter and a mini-Neptune in a triple-star system
(EPIC 249624646:三重星系におけるウォームジュピターとミニネプチューン)
フォローアップの分光観測と補償光学撮像観測で,トランジットシグナルは惑星由来であることが確定した.この観測には,FIES,HARPS,HAPRS-N,IRCS を使用した.
また,補償光学撮像と Gaia のデータから,2 つの M 型矮星の伴星を発見した.距離はそれぞれ 113 AU と 2467 AU である.
視線速度観測,K2 の測光観測,中心星の特徴付けから,内側を公転する惑星はミニネプチューンで,半径が 3.06 地球半径,軌道周期が 9.2 日と推定される.この惑星の半径は,半径の谷の上に位置することが示唆される.また日射量は地球の 400 倍であり,スーパーアース砂漠の中には存在しない.
外側のウォームジュピターは,0.774 木星質量,1.006 木星半径,軌道周期は 48.4 日,軌道離心率は 0.241 未満である.軌道離心率が小さめであることと,内側にミニネプチューンが存在することから,このウォームジュピターはその場形成か,あるいは円盤移動で形成されたことが示唆される.
半径:1.511 太陽半径
有効温度:6302 K
金属量:[Fe/H] = -0.06
年齢:40 億歳
距離:275.0 pc
質量:21.1 地球質量未満
半径:3.06 地球半径
軌道長半径:0.0923 AU
平衡温度:1230 K
質量:0.774 木星質量
半径:1.006 木星半径
軌道長半径:0.305 AU
平衡温度:676 K
半径:0.354 太陽半径
有効温度:3548 K
半径:0.263 太陽半径
有効温度:3397 K
arXiv:1901.03716
Hjorth et al. (2019)
EPIC 249624646: a warm Jupiter and a mini-Neptune in a triple-star system
(EPIC 249624646:三重星系におけるウォームジュピターとミニネプチューン)
概要
三重星系にある明るい (V=11.11) 晩期 F 型星 EPIC 249624646 を公転する,2 つのトランジット惑星の発見を報告する.この惑星は,ケプラー K2 ミッションの Campaign 15 の期間の観測で検出されたものである,フォローアップの分光観測と補償光学撮像観測で,トランジットシグナルは惑星由来であることが確定した.この観測には,FIES,HARPS,HAPRS-N,IRCS を使用した.
また,補償光学撮像と Gaia のデータから,2 つの M 型矮星の伴星を発見した.距離はそれぞれ 113 AU と 2467 AU である.
視線速度観測,K2 の測光観測,中心星の特徴付けから,内側を公転する惑星はミニネプチューンで,半径が 3.06 地球半径,軌道周期が 9.2 日と推定される.この惑星の半径は,半径の谷の上に位置することが示唆される.また日射量は地球の 400 倍であり,スーパーアース砂漠の中には存在しない.
外側のウォームジュピターは,0.774 木星質量,1.006 木星半径,軌道周期は 48.4 日,軌道離心率は 0.241 未満である.軌道離心率が小さめであることと,内側にミニネプチューンが存在することから,このウォームジュピターはその場形成か,あるいは円盤移動で形成されたことが示唆される.
パラメータ
EPIC 249624646
質量:1.194 太陽質量半径:1.511 太陽半径
有効温度:6302 K
金属量:[Fe/H] = -0.06
年齢:40 億歳
距離:275.0 pc
EPIC 249624646b
軌道周期:9.21165 日質量:21.1 地球質量未満
半径:3.06 地球半径
軌道長半径:0.0923 AU
平衡温度:1230 K
EPIC 249624646c
軌道周期:48.36685 日質量:0.774 木星質量
半径:1.006 木星半径
軌道長半径:0.305 AU
平衡温度:676 K
伴星
EPIC 249624646B
質量:0.368 太陽質量半径:0.354 太陽半径
有効温度:3548 K
EPIC 249624646C
質量:0.253 太陽質量半径:0.263 太陽半径
有効温度:3397 K
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1901.03680
van der Marel et al. (2019)
Protoplanetary disk rings and gaps across ages and luminosities
(年齢と光度の観点からの原始惑星系円盤リングとギャップ)
ここでは 16 個の多重リング状構造がダスト連続波で検出されている円盤についての研究を行った.ALMA のアーカイブデータを用いて,円盤の構造とギャップの場所を系統的に比較した.
比較対象の範囲は,中心星のスペクトル型は早期型から晩期型まで,年齢は 50 万年未満から 1000 万年以上まで,光度は ~0.2 から 40 太陽光度までであり,全体的に広がる円盤から内側にダストの空洞を持つ遷移円盤までを含む.
恒星の年齢は,新しい Gaia データの距離を用いて更新した.
円盤中のギャップの場所は,観測から得られた強度分布へのシンプルな半径方向フィッティングを用いて導出した.また輻射輸送モデルを用いて円盤の温度構造を計算した.
解析の結果,円盤中に見られるギャップ半径は一般的に,最も主要な分子のスノーラインの軌道半径とは対応していない.そのため,スノーラインモデルは多重リング系の共通の起源としては否定されるだろう.
さらに,惑星の共鳴と関連している可能性のあるギャップの場所には系統的な傾向は見られなかった.
最後に,円盤の外縁は解析したサンプルの中の最も古い円盤では減少しており,もし多重リング円盤が同様に進化しているのであれば,外側のダストリングはガスと共に散逸するか,あるいは微惑星ベルトに進化することを示唆している.
2. 主要な分子種である一酸化炭素,二酸化炭素,メタン,窒素,アンモニアなどのスノーラインを個々のターゲットにおける輻射輸送モデルから導出した.その位置と,観測されたギャップの場所との間に相関は見られなかった.そのため,スノーラインシナリオは円盤中のギャップとリングの存在を説明できない.
3. 惑星は,特に円盤の粘性が低く,ギャップがサブネプチューン質量の惑星で説明できる場合は,観測されているギャップを説明できる可能性がある.
4. 連続円盤の外縁はサンプル中では最も古い円盤で減少する傾向がある.そのため,外側リングのダスト粒子は内側リングよりも早く無くなることを示唆している.この結果は,外側のダストリングはガスと共に散逸するか,あるいは大きな微惑星に成長し,デブリ円盤やカイパーベルトに見られるような微惑星ベルトを形成することを示唆している.
5. 内側のダストの空洞が形成された遷移円盤は,外側円盤に異なるギャップ構造を持たないように思われる.このことは,リング円盤が遷移円盤に進化する進化シナリオを示唆している.
arXiv:1901.03680
van der Marel et al. (2019)
Protoplanetary disk rings and gaps across ages and luminosities
(年齢と光度の観点からの原始惑星系円盤リングとギャップ)
概要
HL Tau (おうし座HL星) の原始惑星系円盤でのの多重リング構造の発見以降,ALMA のデータは,全てではないにせよ多くの原始惑星系円盤がスペクトル型や年齢に関係なくリングとギャップを持っていることを示唆している.この構造の起源は不明確である.ここでは 16 個の多重リング状構造がダスト連続波で検出されている円盤についての研究を行った.ALMA のアーカイブデータを用いて,円盤の構造とギャップの場所を系統的に比較した.
比較対象の範囲は,中心星のスペクトル型は早期型から晩期型まで,年齢は 50 万年未満から 1000 万年以上まで,光度は ~0.2 から 40 太陽光度までであり,全体的に広がる円盤から内側にダストの空洞を持つ遷移円盤までを含む.
恒星の年齢は,新しい Gaia データの距離を用いて更新した.
円盤中のギャップの場所は,観測から得られた強度分布へのシンプルな半径方向フィッティングを用いて導出した.また輻射輸送モデルを用いて円盤の温度構造を計算した.
解析の結果,円盤中に見られるギャップ半径は一般的に,最も主要な分子のスノーラインの軌道半径とは対応していない.そのため,スノーラインモデルは多重リング系の共通の起源としては否定されるだろう.
さらに,惑星の共鳴と関連している可能性のあるギャップの場所には系統的な傾向は見られなかった.
最後に,円盤の外縁は解析したサンプルの中の最も古い円盤では減少しており,もし多重リング円盤が同様に進化しているのであれば,外側のダストリングはガスと共に散逸するか,あるいは微惑星ベルトに進化することを示唆している.
結論
1. 円盤は本質的に多様であり,系統的な進化の効果を示すような,年齢の関数としてのギャップとリングの位置に明確な傾向は見られなかった.2. 主要な分子種である一酸化炭素,二酸化炭素,メタン,窒素,アンモニアなどのスノーラインを個々のターゲットにおける輻射輸送モデルから導出した.その位置と,観測されたギャップの場所との間に相関は見られなかった.そのため,スノーラインシナリオは円盤中のギャップとリングの存在を説明できない.
3. 惑星は,特に円盤の粘性が低く,ギャップがサブネプチューン質量の惑星で説明できる場合は,観測されているギャップを説明できる可能性がある.
4. 連続円盤の外縁はサンプル中では最も古い円盤で減少する傾向がある.そのため,外側リングのダスト粒子は内側リングよりも早く無くなることを示唆している.この結果は,外側のダストリングはガスと共に散逸するか,あるいは大きな微惑星に成長し,デブリ円盤やカイパーベルトに見られるような微惑星ベルトを形成することを示唆している.
5. 内側のダストの空洞が形成された遷移円盤は,外側円盤に異なるギャップ構造を持たないように思われる.このことは,リング円盤が遷移円盤に進化する進化シナリオを示唆している.