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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.05518
Jones et al. (2018)
HD2685 b: A Hot-Jupiter orbiting an early F-type star detected by TESS
(HD 2685b:TESS で検出された早期 F 型星を公転するホットジュピター)

概要

HD 2685 を公転するトランジット巨大惑星の確認について報告する.中心星 HD 2685 は 6801 K と比較的高温である.トランジットのシグナルは,TESS ミッションの Sector 1 の期間中に得られたデータから得られた.

中心星のドップラー速度測定を,CHIRON,CORALIE,DEROS を用いて行った.また,測光データを CHAT と LCOGT を用いて取得し,トランジットシグナルが惑星由来であることを確認した.

測光観測と視線速度測定を合わせた解析では,惑星 HD 2685b は軌道周期 4.12692 日,1.18 木星質量,1.44 木星半径と導出された.この系は,円軌道にある膨張した半径を持つトランジットホットジュピターの典型例である.

中心星の可視光での等級は 9.6 等と明るく,トランジットするホットジュピターを持つ惑星系としては最も明るい部類であり,今後の TESS の 2 年間のミッションで検出されるであろう惑星系の良い前例となる.また地上観測での惑星大気の特徴付けを行う良い対象でもある.さらに,ロシター効果を用いて自転と公転の軸のズレを測定する対象としても適している.

観測

測光観測を行ったのは,チリの Las Campanas Observatory の Chilean-Hungarian Automated Telescope (CHAT),南アフリカ・サザーランドの South Africa Astronomical Observatory (SAAO) 0.4 m 望遠鏡の Las Cumbres Observatory Global Telescope (LCOGT) である.

分光観測は,チリの Cerro Tololo Inter-American Observatory の CHIRON SMARTS 1.5 m 望遠鏡,同じくチリの La Silla Observatories の Swiss 1.2 m Euler telescope に搭載された Fiber-fed Extended Range Optical Spectrograph (FEROS) を用いて行われた.

パラメータ

HD 2685
有効温度:6801 K
金属量:[Fe/H] = 0.02
質量:1.44 太陽質量
半径:1.57 太陽半径
距離:197.98 pc
光度:4.70 太陽光度
年齢:13 億歳
HD 2685b
軌道周期:4.12692 日
質量:1.18 木星質量
半径:1.44 木星半径
軌道長半径:0.0568 AU
平衡温度:2061 K

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.05742
Temple et al. (2018)
WASP-190b: Tomographic discovery of a transiting hot Jupiter
(WASP-190b:トランジットするホットジュピターのトモグラフィーでの発見)

概要

WASP-190b の発見について報告する.
惑星の軌道周期は 5.37 日で,スペクトル型 F6IV-V で有効温度が 6400 K,1.35 太陽質量で 1.6 太陽半径とやや膨張した恒星をトランジットしている.惑星は 1.15 木星半径,1.0 木星質量で,やや膨張した半径を持つホットジュピターである.

惑星の公転軸は恒星の自転軸とはややずれており.21 度である.これはドップラートモグラフィー (Doppler tomography) を用いて測定された.軸の角度の測定においては,ロシター・マクローリン効果の解析と,ドップラートモグラフィーの手法を比較した.その結果,後者の方が恒星の射影した自転速度 \(v \sin i\) と λ により良い制約を与えられることが判明した.

パラメータ

WASP-190
スペクトル型:F6IV-V
有効温度:6400 K
金属量:[Fe/H] = -0.02
質量:1.35 太陽質量
半径:1.6 太陽半径
WASP-190b
軌道周期:5.367753 日
軌道長半径:0.0663 AU
質量::1.0 木星質量
半径:1.15 木星半径
平衡温度:1500 K

惑星の公転軸と中心星の自転軸の角度は,ドップラートモグラフィーでによる測定では 21 ± 6°,ロシター効果による測定では 23 ± 12° である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.05920
Tal-Or et al. (2018)
Prospects for detecting the astrometric signature of Barnard's Star b
(バーナード星b のアストロメトリの特徴の検出可能性)

概要

バーナード星で低振幅の視線速度の変動が発見され,最小質量が 3.2 地球質量で軌道周期 233 日程度の惑星の存在が示唆されている.

バーナード星は太陽に近く,正確なアストロメトリ観測から惑星の真の質量が測定できるかどうかが興味の対象になっている.ここでは,現在と将来のアストロメトリ観測装置の能力と限界についてレビューをする.バーナード星の視線速度の解析結果と,軌道配置に対して等方的な確率分布を仮定した.

その結果,バーナード星b によるバーナード星の位置変動を Gaia の観測で検出できる可能性は,ほんの 1% 程度に過ぎないと判明した.ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測の場合は,検出確率は 10% 程度になる.もしハッブル宇宙望遠鏡で検出されなかった場合,惑星質量の上限値は ~8 地球質量となることが示唆される.これはスーパーアースの質量範囲内である.

次の 10 年では,Wide-Field Infrared Space Telescope (WFIRST) によって惑星の真の質量を 99% 程度の確率で測定できるだろう.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.05955
Ribas et al. (2018)
A super-Earth planet candidate orbiting at the snow-line of Barnard's star
(バーナード星のスノーラインを公転するスーパーアース惑星候補)

概要

太陽系から 1.8 pc の距離にあるバーナード星 (Gl 699) は,既知の恒星の中で最も大きな見かけの運動をする赤色矮星である.単独で存在する星としては太陽に最も近い距離にあり,ケンタウルス座アルファ星の三重星系に次いで近い.

バーナード星は既知の赤色矮星の中では磁気的に最も不活発なものの一つであり,太陽系より年老いていると考えられる.そのため視線速度法やアストロメトリ,直接撮像での系外惑星探査の主要なターゲットである.様々な観測ではそれぞれ感度限界が異なるものの,これまでの全ての観測では惑星の発見報告には至っていない.

ここでは,バーナード星の高精度視線速度装置を用いた多数の観測から,233 日周期の低振幅だが有意なシグナルを検出したことを報告する.機器の系統の影響の解析と共に,独立して測光と分光モニタリング観測も行い,惑星質量の天体が公転していると考えると検出されたシグナルが最もよく説明できることを示す.

今回発見された惑星候補は低温なスーパーアースで,最小質量は 3.2 地球質量である.バーナード星のスノーラインの近くを公転している.

バーナード星の視線速度の 20 年にわたるデータセットから,恒星の磁気活動サイクルに起因すると思われる長周期の変調の存在も明らかになった.ただしこのシグナルは,より遠方を公転する惑星に起因している可能性もある.

バーナード星は太陽に近いため,惑星候補天体のバーナード星からの角距離は最大で 220 ミリ秒角になる.そのため,直接撮像やアストロメトリ観測での追加観測の良いターゲットである.

バーナード星の特徴

太陽系に最も近い赤色矮星は,ケンタウルス座アルファ星系に存在するプロキシマ・ケンタウリであり,2 番目に近い赤色矮星がバーナード星である.

バーナード星の X 線放射は非常に弱く,また Hα 線での放射は検出されていない.恒星彩層の放射指数も低く,自転周期も遅い.金属量はわずかに太陽より少ない値である.また,厚い銀河系円盤の運動集団に属していることから,磁気的活動が非常に低い水準であることが示唆されており,太陽よりも年老いていると考えられる.見かけの明るさと変動性の小ささから,バーナード星はしばしば中間的な M 側矮星のベンチマークであるとみなされる

今回の観測では,CARMENES 分光器を用いてバーナード星を観測して視線速度を測定した.また HARPS,HARPS-N も使用した.

パラメータ

バーナード星
スペクトル型:M3.5V
質量:0.163 太陽質量
半径:0.178 太陽半径
光度:0.00329 太陽光度
有効温度:3278 K
自転周期:140 日
年齢:70-100 億歳
バーナード星b
軌道周期:232.80 日
軌道離心率:0.32
最小質量:3.23 地球質量
軌道長半径:0.404 AU
日射量:地球の 0.0203 倍
平衡温度:105 K 以下

アストロメトリの最小半振幅:0.0133 mas
角距離:221 mas

バーナード星b の公転半径は,バーナード星のスノーラインがあると思われる距離 (0.4 AU) に近い.スノーライン周辺は惑星形成に適した場所だと考えられている.またスーパーアースは低質量星周りで最も普遍的な種類の惑星である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.05292
Hellier et al. (2018)
WASP-166b: a bloated super-Neptune transiting a V = 9 star
(WASP-166b:V = 9 の恒星をトランジットする膨張したスーパーネプチューン)

概要

スーパーネプチューン WASP-166b の発見について報告する.この惑星は,いわゆる “Neptune desert” の中に存在する希少な天体であるように思われる.

惑星の表面重力が小さく,また中心星が明るいのため,大気の特徴付けを行う観測対象として適している.視線速度の測定では,恒星の磁気活動によると思われる変動が見られた.

パラメータ

WASP-166
スペクトル型:F9
有効温度:6050 K
金属量:[Fe/H] = 0.19
質量:1.10 太陽質量
半径:1.22 太陽半径
WASP-166b
軌道周期:5.443526 日
質量:0.102 木星質量
半径:0.63 木星半径
軌道長半径:0.0642 AU
平衡温度:1270 K

ロシター効果の測定から,恒星の自転軸と惑星の公転軸の確度は -3 ± 5 度と推定される.

Neptune desert 中の惑星

この惑星は質量が 1.9 海王星質量であり,WASP サーベイで発見された中では最も低質量な惑星である.半径はやや膨張している.

これまでに発見されている系外惑星の軌道周期と半径の分布では,軌道周期 5 日未満にはホットネプチューンと呼ばれる惑星が存在せず,軌道周期 10 日未満でも存在個数が少ないという "Neptune desert" の存在が知られている (Mazeh et al. 2016).この特徴を明確にするため,惑星が受ける日射量と惑星質量のプロットに今回発見された WASP-166b を図示すると,分布の空白地帯のちょうど真ん中に来る.

この砂漠領域は,内側に移動する惑星への中心星からの輻射の結果だろうと考えられている (Sestovic et al. 2018,Owen & Lai 2018など).木星質量の惑星は光蒸発を生き延び,潮汐軌道崩壊で内側へ移動し続けることが出来るが,表面重力の小さい海王星惑星は蒸発してしまう.

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