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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.11006
Lynch et al. (2018)
The detectability of radio emission from exoplanets
(系外惑星からの電波放射の検出可能性)

概要

太陽系内の磁場を持った惑星と同様に,磁場を持った系外惑星は電波の波長での強い放射を行う.電波放射は惑星の磁場を直接トレースし,系外惑星からの電波の検出はこれらの特徴の物理パラメータへの制約を与える.

発見されている系外惑星に対して予測される電波の放射特性に関する大規模な比較研究は,明るく観測可能な電波放射を生成するためには,どのような惑星の物理パラメータが重要であるのかを特定するのに役立つ.

最新の比較研究が行われて以降,数千もの系外惑星が発見されている.ここでは,系外惑星からの電波フラックス密度と,最大放射周波数に関する新しい推定について報告する.

この研究の対象は,スペクトル型が F から M 型の,前主系列星および主系列星の周りを公転する,既知の系外惑星である.
計算の結果,観測可能な電波放射を生成できると予想される系外惑星は,若い恒星を公転するホットジュピターである.系が若い場合は恒星の磁場が強く,また恒星風が高密度であることが予測される.これらの特徴は,惑星からの明るく観測可能な電波放射の生成に対して重要な要素である.

また,Murchison Widefield Array の全天円偏光サーベイの結果を用いて,4.0 - 45.0 mJy の範囲の 3 σ の値を用い,系外惑星からの電波の 200 MHz での放射の感度限界を与える.

さらに,Giant Metre Wave Radio Telescope の観測キャンペーンから,おうし座V830星b からの電波放射に関して,3 σ で 4.5 mJy という上限値を報告する.この惑星は,初めて前主系列星を公転しているホットジュピターとして発見されたものである.今回の結果は,この天体からの低周波電波放射の上限についての初めての報告である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.11124
King et al. (2018)
The XUV environments of exoplanets from Jupiter-size to super-Earth
(木星サイズからスーパーアースまでの系外惑星の XUV 環境)

概要

中心星に近い位置にいる惑星は,中心星からの強い高エネルギー放射にさらされる.極端紫外線 (EUV) と X 線の放射 (あわせて XUV) は,揮発性物質のエンベロープを持った惑星からの質量損失を駆動すると考えられている.

ここでは,X 線天文衛星 XMM-Newton を用いた 6 個の近傍のトランジット惑星を持っている恒星の観測を行った.いずれも,軌道周期 10 日未満の短周期惑星を持つ恒星である.恒星からの XUV 放射と惑星への輻射水準を特徴付けることが目的である.

観測できない EUV 放射を再構成するために,現在の世代の X 線観測装置の標準的なバンドに適用可能な,Solar TIMED/SEE データからの関係を導出した.

今回の観測対象のうち,WASP-80b と HD 149026b は最も高い XUV 輻射水準だが,HAT-P-11b はおそらく Ly α 波長での大気散逸の探査に最も適した候補であると予想される.これは,HAT-P-11 系が太陽系に近いことが原因である.

4 つの小さい惑星は,その他の大きな惑星と比べると,その一生の間により大きな割合の質量を失った可能性があると考えられる.また,WASP-80b の近紫外線波長でのトランジットを,XMM-Newton の Optical Monitor を用いて検出した

観測対象

今回の観測対象は,GJ 436,GJ 3479,HAT-P-11,HD 97658,HD 149026,WASP-80 の 6 個の惑星系である.

これらの恒星が持つ惑星のうち,GJ 436b,GJ 3470b,HAT-P-11b はいずれも海王星サイズの惑星である.

WASP-80b の近紫外線トランジット

近紫外線トランジット結果と過去の観測との比較

近紫外線 (NUV) での WASP-80 てのトランジット結果より,\(R_{\rm p}/R_{*}\) は 0.125 (+0.029, -0.039) と測定された.これはトランジット深さが 1.6 (+0.5, -0.7) % であることに相当し,NUV での惑星半径が 0.69 (+0.16, -0.22) 木星半径であることに対応している.

この惑星の発見報告論文では,可視光での \(R_{\rm p}/R_{*}\) は 0.17126 と測定されている (Triaud et al. 2013),一方 Mancini et al. (2014) では 0.17058,Kirk et al. (2018) では 0.17113 と測定されている.

また Kirk et al. (2018) では,惑星の半径に可視光と近赤外に渡って大きな変動が存在する兆候が検出されたと報告している.

NUV での浅いトランジットの可能性

今回の観測結果は過去の可視光での観測結果と整合しているが,ベストフィットのトランジット深さは可視光でのトランジット深さより 1.59 σ 浅い.これは,NUV トランジットが可視光でのトランジットより浅い兆候を示しているものであるかもしれない.

測定されたトランジット深さの不確実さを考えると,より高い精度に制限できる可能性のある NUV でのフォローアップ観測が望ましい.

可視光よりも浅い NUV トランジットに関しては,先例がないわけではない.地上観測では,Turner et al. (2016) によって,NUV の U バンドで WASP-1b と WASP-36b の 2 つのホットジュピターで 3.6 σ,2.6 σ の信頼度で可視光よりも浅いトランジット深さが報告されている.物理的には,NUV での浅いトランジットは,惑星が恒星の暗い領域を隠していると考えることで説明できる.この説明が成り立つためには,惑星がトランジットして書くしている恒星の領域と,その他の明るい領域でのコントラストが,可視光よりも NUV のほうが大きい必要がある.

惑星のトランジットに隠されていない領域にある白斑が,この効果を起こしうる.白斑のスペクトルモデリングでは,白斑領域とその他の領域の間の強度におけるコントラストは,恒星円盤面の縁に近い領域と同様に,可視光と赤外線よりも紫外線のほうが大きくなることが示されている (Unruh et al. 1999,Norris et al. 2017).
実際に,WASP-52b のトランジット光度曲線の特徴が恒星表面の白斑に起因するという解釈が,Kirk et al. (2016) によって行われている.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



Detection of hydrogen sulfide above the clouds in Uranus’s atmosphere
Irwin et al. (2018)
Detection of hydrogen sulfide above the clouds in Uranus’s atmosphere
(天王星大気の雲の上での硫化水素の検出)

概要

可視光から近赤外線までの観測からは,天王星の主要な雲層の雲頂は気圧にして 1.2 - 3 bar の間に存在することが示されている.その組成は,アンモニアまたは硫化水素の氷で主成分であると広く考えられているが,まだ明確に同定されていない.

ここでは,天王星大気中での気相の H2S (硫化水素) の明確な検出の証拠を報告する
天王星の雲層の上部の 1.57 - 1.59 µm の波長域での観測から,雲頂での硫化水素のモル分率は 0.4 - 0.8 ppm と推定される.

この検出より,天王星大気中で硫黄/窒素存在度は 1 を超えると制約できた.これは太陽組成の 4.4 - 5.0 倍以上に相当する,また,観測された雲の下での硫化水素モル分率の下限値として,1.0 - 2.5 × 10-5 という値を与えた.

これらの圧力水準での気相の硫化水素の検出は,1.2 - 3 bar の圧力範囲にある天王星の雲の主要な成分は,硫化水素の氷である可能性が高いという説を補強するものである.







「天王星はおならのような臭いがする」として話題になった記事の,元ネタとなる論文です.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1804.09695
Thirouin & Sheppard (2018)
The Plutino population: An Abundance of contact binaries
(プルーティーノの人口:接触連星の存在度)

概要

4.3m Lowell’s Discovery Channel Telescope を用いて,12 個の Plutino 天体 (※注釈:冥王星と似た軌道を持ち,海王星と 3:2 軌道共鳴に入っている天体.定訳は無いが「冥王星族」など) を観測した.これらの天体の光度曲線データの初期結果を提供する.

観測した 12 個の天体のうち 3 つ 2014 JL80, 2014 JO80, 2014 JQ80 は,単独の細長い形状で説明できる大きな光度曲線振幅を示す.しかしその他の多くは,光度曲線の形状より,おそらくは接触連星系 (contact binary system) であると考えられる

接触連星の可能性がある天体は,自転周期は 6.3 - 34.9 時間,光度曲線の極大から極大への変動の大きさは 0.6 - 0.8 mag であった.その他の 9 個の Plutinos の光度曲線振幅と,自転周期を制約できる部分的な光度曲線を提供.

過去のデータと合わせ,Plutino の ~ 40% が接触連星の可能性があると推定した.
興味深いことに,海王星と 3:2 軌道共鳴にいる接触連星候補天体は,全てが H > 6 mag と小さい絶対等級を持つことを発見した.今回のサンプルと過去の研究から,Plutino のうちサイズが小さいものは,最大で ~ 50% が接触連星の可能性がある.

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arXiv:1804.09159
Sun et al. (2018)
Photometric Follow-up Transit (Primary Eclipse) Observations of WASP-43 b and TrES-3b and A Study on Their Transit Timing Variations
(WASP-43b と TrES-3b のトランジット (一次食) 測光フォローアップ観測とそれらのトランジット時刻変動の研究)

概要

Xuyi (盱眙) Near-Earth Object Survey Telescope を用いて,WASP-43b のフォローアップ観測と,TrES-3b の 4 回のトランジットの観測を行った.微分測光と光度曲線解析から,2 つの系の物理パラメータを導出し,過去の結果と合うことを確認した.

トランジットデータを過去の結果と比較し,両方の系の O-C 残差を線形と二次関数の両方でフィットした.線形フィッティングからは,軌道周期とトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) を得る.その結果,周期的な TTV が存在する明確な証拠は得られなかった.

TTV が検出されなかったことから,既存の惑星と 1:2 平均運動共鳴の位置に惑星が存在したと仮定した場合の質量の上限値として,WASP-43 系で 1.826 地球質量,TrES-3 系で 1.504 地球質量という値を与えた.

二次関数でフィットした場合,WASP-43b は軌道崩壊による長期間の TTV を持っている可能性があることが分かった.軌道崩壊率 (軌道周期の減少率) は 1 年あたり -0.005248 ± 0.001714 秒と推定される.この結果から,恒星の潮汐クオリティパラメータの下限値は 1.5 × 105 と推定される.

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