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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1810.02172
Alexoudi et al. (2018)
Deciphering the atmosphere of HAT-P-12b: solving discrepant results
(HAT-P-12b の大気の解読:矛盾した結果の解決)

概要

ホットジュピター HAT-P-12b の大気について,これまでに異なる 2 グループによる観測結果は異なる解を導いている.

Mallonn et al. (2015) では,地上望遠鏡での広帯域測光観測を用いて,この惑星の大気の透過スペクトルは平坦で特徴に欠けていると発表している.これは,大気中の濃い雲の被覆による波長依存性の無い吸収に起因すると解釈される.
一方で Sing et al. (2016) では,ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測で,可視光波長でヘイズによって引き起こされていると思われるレイリー散乱を検出している.

この研究の主目的は,この非整合性の原因を見つけ,他の系外惑星大気の将来の解析におけるこのような不一致を防ぐためのフィードバックを与えることである.

2 つの手法を介して,この惑星の大気に関して観測された差異について調査を行った.また,可視光波長領域でのさらなる広帯域観測を行い,過去の測定結果を詳細に補強した.加えて,公開されているデータの一様な再解析を行うことで,系統誤差および 2 つの異なるグループの独立した解析結果を評価した.

その結果,過去の双方の研究における解析ステップを繰り返すと,軌道パラメータに対する偏位した値が前述の不一致の原因であることが分かった

今回の研究では,これらのパラメータを用いて惑星のスペクトル勾配が縮退することを示した.全データを均質に再解析を行った結果,2 つの過去のデータと新しい観測結果はいずれも整合的な透過スペクトルに収束し,低振幅のスペクトルのスロープの存在と,大気中のカリウム吸収の暫定的な検出を示した.

議論

過去の 2 つの研究グループによる解析結果の不一致は,異なる解析ツールを使用したことが原因ではないことを見出した.違いを生み出していたのは,使用した惑星の軌道パラメータにおける差異であった.

どちらのグループも,傾斜角 \(i\) と \(a/R_{\star}\) は波長に依存せず,最終的な光度曲線フィットまで固定していたが異なる値を導出していた.Mallonn et al. (2015) の値は過去の値と一致していた一方,Sing et al. (2016) での 2 つのスピッツァー宇宙望遠鏡の光度曲線フィットはわずかに異なる軌道パラメータを示していた.この 2 つのパラメータセットを用いると,不一致したスペクトルを再現することが出来た.

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