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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1909.03010
Bourrier et al. (2019)
Optical phase curve of the ultra-hot Jupiter WASP-121b
(ウルトラホットジュピター WASP-121b の可視光の位相曲線)

概要

TESS による WASP-121b の可視光での測光観測結果の解析について報告する.この観測では,トランジットするウルトラホットジュピターの位相曲線を明らかにした.

惑星における最も高温な領域であるホットスポットは恒星直下点にあり,TESS で観測できる高度では,昼側 (2870 K) から夜側 (2200 K 未満) への非効率な熱輸送が存在することが示された.

TESS で測定された二次食の深さは,この惑星に対してこれまでのところ最も短い波長で測定されたものであり,これにより惑星の放射の黒体輻射からの強い乖離を確認した.

完全な放射スペクトルに対する大気の復元は,大気中に温度逆転層が存在することを支持する結果が得られた.これは大気中の VO (酸化バナジウム) の存在や,あるいは存在する可能性のある TiO と FeH によって説明可能である.
また,短波長での強い惑星の放射は,H- イオンの連続波に由来する.

WASP-121b について

この惑星は,いわゆるウルトラホットジュピターと呼ばれる惑星である (Delrez et al. 2016).スペクトル型 F6 の恒星をトランジットする,非常に膨張した半径を持つガス惑星である.

ハッブル宇宙望遠鏡での観測では,惑星の昼側から水の放射の兆候が検出されており,また大気中に温度逆転層が存在することが明らかにされている (Evans et al. 2017).大気高高度での酸化バナジウムと酸化チタンが,この成層圏が生成されている要因として提案されている.

また,別の単一バンドでの二次食の観測では,惑星の昼側の放射は等温の黒体放射からずれていることが示唆されている (Delrez et al. 2016, Kovacs & Kovacs 2019).

さらに,可視光と近赤外線波長での透過スペクトル観測では,大気の縁での水の吸収が検出されており,酸化バナジウムと鉄水素化物が存在する可能性も示唆されている.しかし酸化チタンは検出されなかった (Evans et al. 2016, 2018).

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