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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.02250
de Wit et al. (2018)
Atmospheric reconnaissance of the habitable-zone Earth-sized planets orbiting TRAPPIST-1
(TRAPPST-1 を公転するハビタブルゾーン地球サイズ惑星の大気調査)

概要

近傍の超低温矮星 (ultra-cool dwarf) TRAPPIST-1 をトランジットする 7 つの温暖な地球サイズ系外惑星は,大気研究の対象として適している (Gillon et al. 2016, 2017).これらの惑星の大気の状態は未知であり,広がった原始的な水素主体の大気から,大気が枯渇した状態までの広い可能性が有り得る (Owen & Wu 2013など).惑星大気中の水素は強力な温室効果ガスであり,恒星に近い内側の惑星での居住可能性を妨げる一方,恒星から遠い外側の惑星では居住可能性を高める効果がある (Owen & Mohanty 2016など).大部分が水素で占められた大気は,もし大気中に雲が存在しない場合,トランジットの最中に近赤外線で検出可能なスペクトルの特徴を示す.TRAPPIST-1 系の最も内側の惑星に関しては,そのような特徴を示さないことが分かっている (de Wit et al. 2016).しかし最も外側の惑星は,海王星に類似した大気を持っている可能性が高い (Bolmont et al. 2016,Bourrier et al. 2017).ここでは,TRAPPIST-1 まわりのハビタブルゾーン内,あるいはハビタブルゾーン付近にある,4 つの惑星の大気観測の結果について報告する.ここでのハビタブルゾーンとは,惑星表面に液体の水が存在できるような恒星周囲の領域のことである.

観測の結果,4 つの惑星はいずれも近赤外線で明確なスペクトルの特徴を示さなかった.TRAPPIST-1d, e, f に関しては,それぞれ 8σ, 6σ, 4σ の有意性で,雲を持たない水素主体の大気である可能性を棄却した.一方で TRAPPIST-1g に関しては,そのような大気を持つ可能性の排除はできなかった.

スペクトルの特徴を示さない原因として,大気中の高高度に存在する雲やヘイズの影響が考えられる.しかし TRAPPIST-1 まわりの惑星大気中では,日射量を考慮すると高高度の雲やヘイズを形成するのは難しいと考えられる.そのため今回の観測は,これらの惑星は地球型であり,居住可能な性質を持つ可能性を支持するものである.

観測と結果

ハッブル宇宙望遠鏡での観測

ハッブル宇宙望遠鏡を用いて,TRAPPIST-1d, e, f, g のトランジットを観測した.用いた装置は WFC3 で,観測波長は 1.1 - 1.7 µm の近赤外線である.

観測結果

観測の結果,いずれの惑星も明確なスペクトルの特徴は示さなかった.そのため,雲のない水素分子主体の大気は,TRAPPIST-1d, e, f では棄却される.TRAPPIST-1g では 2σ であったため,雲無しで水素分子主体の大気を持つ可能性を否定できるほどの有意性はない.

TRAPPIST-1b と c については,様々な大気モデルと整合する,例えば水・窒素分子主体の大気,あるいは二酸化炭素主体の大気,様々な化学種で構成される希薄な大気,エアロゾルに占められた大気などである.

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