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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.04707
Petrucci et al. (2017)
A search for transit timing variations and orbital decay in WASP-46b
(WASP-46b のトランジット時刻変動と軌道崩壊の調査)

概要

アルゼンチンの Estación Astrofísica de Bosque Alegre (EABA) にある1.54 m 望遠鏡と,アルゼンチンの Complejo Astronómico El Leoncito (CASLEO) の Ho-racio Ghielmetti の 0.40 m 望遠鏡,2.15 m Jorge Sahade telescopes を用いて,系外惑星 WASP-46b の 12 回のトランジット観測を行った.

今回得られた結果と,先行研究で得られている 37 セットの光度曲線とを合わせて解析し,この惑星系の物理パラメータを更新した,


またトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) を介して,トランジットしない他の惑星の存在の可能性について調査を行った.

6 年間にわたる観測データから,トランジット時刻の分散が 1.66 分である事が分かった.しかしトランジット時刻変動には周期的な変動は発見されなかった.そのため,この比較的大きな値を持つ分散は,恒星の活動がトランジット中心時刻の測定に影響を及ぼしていることが原因であると解釈される.

このトランジット時刻の分散の値から,WASP-46b と 2:1 共鳴を起こしているの 2.3 地球質量以上の惑星,3:2 共鳴を起こしている 4.6 地球質量以上の惑星,4:3 共鳴を起こしている 7 地球質量以上の惑星,および 5:4 共鳴を起こしている 9.3 地球質量以上の惑星の存在は否定される.

6 年間の観測および典型的な光度曲線の観測精度が 2 × 10-3 であるにもかかわらず,WASP-46b の軌道周期が減少している兆候は明確に示せなかった.このことから,潮汐の Q 値の下限値として 7 × 103 を与えた

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.02211
Wells et al. (2017)
Transit Visibility Zones of the Solar System Planets
(太陽系惑星のトランジット観測可能領域)

概要

太陽系外にいる観測者は,太陽系の惑星のトランジットを検出できるだろうか?

ここでは,太陽系の惑星のトランジットを検出できる領域について調べた.太陽系外にいる観測者の分布がランダムであると仮定し,太陽系の惑星 1 つ,もしくは複数の惑星のトランジットを検出できる確率について報告する.

その結果,少なくとも 1 つの太陽系惑星のトランジットを検出できる可能性は,観測者が天球上にランダムに位置していると仮定した場合は 2.518%となる事が分かった,また,少なくとも 2 つの場合は 0.229%,3 つだと 0.027%となった.


さらに,太陽系の惑星のトランジットを検出可能な幾何学的位置に存在している,68 個の系外惑星を同定した.またその数が,現在進行中のケプラー K2 ミッションによってどれだけ数が増えうるかについても議論した.

現在分かっている系外惑星の存在頻度を用いると,地球のトランジットを観測できる領域の中には,13 等級より明るい G, K 型星の周りを公転する温暖な地球サイズの惑星の個数は 3.2 ± 1.2 個 であると推定される.また,16 等級より明るい M 型星の周りの温暖な地球サイズ惑星の場合は,6.6 (+1.3, -0.8) 個存在すると推定される.

太陽系惑星のトランジットの概要

複数トランジットを検出できる確率

水星と火星のトランジットを両方ともに検出できる位置にいる確率は 2.83 × 10-4 であった.

まだ,金星と地球の場合は 3.16 × 10-4,地球と火星の場合は 2.80 × 10-4,地球と木星の場合は 1.05 × 10-4,木星と土星の場合は 1.05 × 10-5,天王星と海王星の場合は 8.44 × 10-7,などとなった.

太陽系惑星のトランジットを検出可能な主な系外惑星系

木星・土星・天王星のトランジットを検出できる系外惑星:EPIC 211913977b

地球・木星のトランジットを検出できる系外惑星:HATS-11b
金星・火星のトランジットを検出できる系外惑星:HD 181342b,HD 50554b,K2-26b

地球のトランジットを検出できる系外惑星:HATS-11b,1RXS 1609b,LkCa 15b,WASP-47b, c, d, e,WASP-68b,WD 1145+017b

現在発見されている系外惑星系のうち,水星は 34 個の惑星系からトランジットが観測可能である.これは水星が太陽に近く,またトランジット観測範囲が比較的天球の広い範囲を掃くためである.

同様に,金星のトランジットを観測可能な惑星系は 9 個,地球は 6 個,火星は 8 個,木星は 2 個,土星は 2 個,天王星は 1 個であった (重複カウントあり).
海王星のトランジットを検出できる既知の系外惑星系は存在しなかった.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.03826
Wang & Dai (2017)
Evaporation of Low-Mass Planet Atmospheres: Multidimensional Hydrodynamics with Consistent Thermochemistry
(低質量惑星大気の蒸発:整合的な熱化学を伴った多次元流体力学)

概要

直接的な観測および統計的な観測的証拠から,サブネプチューン質量の惑星の大気の侵食において,大気の光蒸発が重要である事が示唆されている.

ここではフルの流体力学シミュレーションを整合的な熱化学と ray-tracing の輻射輸送を組み合わせ,中心星からの高エネルギー光子による大気の光蒸発の物理の研究を行った.

シミュレーションからは,パラメータ空間中に,惑星間空間からの圧力によって大気が平衡状態になれないような領域が存在することを同定した.そのためこのパラメータ中では,惑星の大気はパーカー風による損失によって特に影響を受けやすい.

この領域では,質量が 3 地球質量未満の場合に水素・ヘリウムに主体の大気が失われる.
光蒸発アウトフローの数値シミュレーションでは,典型的なアウトフロー速度は 30 km/s であり,質量放出率は惑星が 5 地球質量の場合に 4 × 10-10 地球質量/年 となった.(これは質量が 5 地球質量で,全質量のうち 10-2 が大気である惑星の場合).

超音速のアウトフローは,恒星風のラム圧によって抑えられない (基準モデルでは,遷移音速点での合計圧力の最大 5 倍になる).
恒星風によって影響を受けたアウトフローは惑星の夜側の方向に直線状になるが,この場合の質量放出率は,基準モデルに比べて 25%程度減るだけであった.

パラメータ空間を調べた結果,光蒸発の風を駆動するには極端紫外線 (extreme ultraviolet, EUV) による光電離が重要である事がわかった.X 線などのその他のエネルギー放射は二次的な重要性に留まる.

大気中の主要な冷却機構は,再結合やライマンアルファ線による冷却よりも,分子の回転振動遷移による冷却と,大気の断熱膨張によって占められる.

駆動されるアウトフローの風速はほとんどのケースにおいて,アウトフローが駆動される高度における脱出速度よりも十分速い.そのため,質量放出率は過去の研究で示されていたような,EUV での光球サイズ REUV の 3 乗ではなく,2 乗に比例する.
また,6 地球質量程度より軽い惑星では,大気が大きく減少する.

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arXiv:1710.03239
Hirano et al. (2017)
Planetary Systems around Low-mass Stars Unveiled by K2
(K2 によって明らかにされた低質量星周りの惑星系)

概要

ケプラー K2 ミッションで観測された低質量星周りの惑星候補の検出と,それらのフォローアップ観測について報告する.

光度曲線の解析,補償光学撮像観測,可視光での分光観測 (低分散と高分散両方,視線速度測定含む) から,ケプラー K2 の Campaign 5 - 10 の間に観測された,12 個の低質量星周りで合計 16 個の惑星を確定させた.

今回確定させた 16 個の惑星のうち 12 個は今回の研究で新しく確定したもので,軌道周期は 0.96 - 33 日の範囲にある.これらの惑星のうちの一つである EPIC 220621087.01 については,地上からのトランジット測光観測を行い,この天体の天体暦を更新した.

また,EPIC 220187552 で得られていたシグナルは偽陽性であり,惑星由来でないことを同定した.これは,高分解能の撮像観測によって視野中に複数の恒星が見られたことと,高分散スペクトル中に二重線が見られたことに基づく判断である.


今回発見した K2 ミッションでの M 型矮星まわりの惑星と,過去に存在が確定している惑星を合わせ,惑星半径の恒星輻射と金属量 [Fe/H] への依存性を調べた,

中間サイズの惑星 (2 - 5 地球半径) は,おそらく大気の光蒸発による半径収縮を経験したように思われ,また最も低温な M 型矮星まわりの低い日射量においても収縮が起きている兆候を発見した.

3 地球半径程度よりも大きい半径を持つ惑星は,もっとも金属量豊富な部類の M 型矮星の周りのみで発見された.

最も低温な M 型矮星 (有効温度 ≲ 3500 K) では,惑星サイズと金属量の間に相関が見られた.

パラメータ

EPIC 211331236 系

EPIC 211331236
スペクトル型:M1.0V
有効温度:3676 K
金属量:[Fe/H] = -0.22
半径:0.513 太陽半径
質量:0.532 太陽質量
光度:0.044 太陽光度
距離:100 pc
EPIC 211331236.01
軌道周期:1.291563 日
半径:2.03 地球半径
軌道長半径:0.0188 AU
日射量:地球の 123.6 倍
EPIC 211331236.02
軌道周期:5.44425 日
半径:1.94 地球半径
軌道長半径:0.0491 AU
日射量:地球の 18.1 倍
EPIC 211331236 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.

EPIC 211331236.01 は Pope et al. (2016) で検出が報告され,後に Dressing et al. (2017) で存在が確定した,また Dressing et al. (2017) では EPIC 211331236.02 の検出を報告している.

ここでは,それらとは独立の観測で惑星の存在を確定した.

トランジット時刻には,明確なトランジット時刻変動 (transit timing variaiton, TTV) のシグナルは見られなかった.

EPIC 211924657 系

EPIC 211924657
スペクトル型:M3.0V
有効温度:3385 K
金属量:[Fe/H] = -0.02
半径:0.350 太陽半径
質量:0.358 太陽質量
光度:0.015 太陽光度
距離:86 pc
EPIC 211924657.01
軌道周期:2.644646 日
半径:2.20 地球半径
軌道長半径:0.0266 AU
日射量:地球の 20.7 倍
EPIC 211924657 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.
今回のサンプルの中で最も低温の恒星である.

Pope et al. (2016) と Dressing et al. (2017) で,惑星候補の存在が報告されていた,また TTV シグナルの存在の可能性についても報告されていた.

今回の観測でも TTV のシグナルを検出した.強いシグナルであり,非常に重い惑星が存在しているか,あるいは軌道共鳴に入っている惑星があるかだと考えられる.ただし TTV シグナルの詳細な解析にはここでは立ち入らない.

この恒星は可視光では非常に暗いが,近赤外線では視線速度観測を行い惑星の質量が決定できる可能性がある.Weiss & Marcy (2014) の経験的な質量-半径関係によると,この惑星の半径から,質量は 5.6 地球質量と推定される.この質量に相当する視線速度の半振幅は 5.1 m/s である.

EPIC 212006344 系

EPIC 212006344
有効温度:3903 K
金属量:[Fe/H] = 0.37
半径:0.612 太陽半径
質量:0.644 太陽質量
光度:0.079 太陽光度
距離:74 pc
EPIC 212006344.01
軌道周期:2.219315 日
半径:1.22 地球半径
軌道長半径:0.0288 AU
日射量:地球の 95.7 倍
EPIC 212006344 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.
中心星は非常に金属量が豊富な恒星である.

この恒星では,Pope et al. (2016) で惑星候補の検出が報告されており,後に Dressing et al. (2017) で惑星の存在が確定されている.

この恒星の視線速度の測定も行ったが変動は小さく,非検出とみなせる程度であった.視線速度変動の 1 σ の上限値から与えられる質量の上限値は 2.9 地球質量であった.これは,惑星の組成が地球と幾分か似ていることを示唆するものである.今後の詳細な観測による質量決定に期待したい.

EPIC 212069861 系

EPIC 212069861
有効温度:3880 K
金属量:[Fe/H] = -0.02
半径:0.592 太陽半径
質量:0.615 太陽質量
光度:0.051 太陽光度
距離:156 pc
EPIC 212069861.01
軌道周期:30.9542 日
半径:2.66 地球半径
軌道長半径:0.1641 AU
日射量:地球の 2.7 倍
EPIC 212069861 系の概要
観測は K2 の Campaign 5 の期間に行われた.

惑星候補は Pope et al. (2016) で検出が報告され,後に Dressing et al. (2017) で確定された.

この惑星のボンドアルベドを地球と同じ 0.3 であると仮定すると,平衡温度は 325 K となり,ハビタブルゾーンの付近にあると期待される.

惑星のトランジット深さは中間的な値の ~ 0.2%であり,これは口径 2 m 級望遠鏡で可能である.しかし軌道周期が長いため,完全なトランジットを観測出来る機会は少ない.

EPIC 213715787 系

EPIC 213715787
有効温度:3672 K
金属量:[Fe/H] = 0.19
半径:0.554 太陽半径
質量:0.583 太陽質量
光度:0.051 太陽光度
距離:88 pc
EPIC 213715787.01
軌道周期:0.961917 日
半径:1.38 地球半径
軌道長半径:0.0159 AU
日射量:地球の 200.1 倍
EPIC 213715787 系の概要
観測は K2 の Campaign 7 の期間に行われた.

この惑星は超短周期 (ultra-short period, USP) の軌道にある惑星である.検出・確定はこれが初めての報告である.exoplanet.eu のデータによると,M 型矮星まわりにおける USP 惑星 (軌道周期 1 日未満) としては 7 番目の発見例である.

なおこれまでの M 型矮星周りの超短周期惑星は,ケプラー32f,ケプラー42c,ケプラー732c,KOI-1843.03 (Rappaport et al. 2013),K2-22b (Sanchis-Ojeda et al. 2015),EPIC 229913918b (Smith et al. 2017) である.
興味深いことに,これらの惑星は軌道周期の増加にともなって半径が増大する傾向を示す.

EPIC 220194974 系

EPIC 220194974
有効温度:4079 K
金属量:[Fe/H] = -0.11
半径:0.632 太陽半径
質量:0.650 太陽質量
光度:0.101 太陽光度
距離:121 pc
EPIC 220194974.01
軌道周期:4.38395 日
半径:1.33 地球半径
軌道長半径:0.0454 AU
日射量:地球の 48.8 倍
EPIC 220194974.02
軌道周期:6.92260 日
半径:1.73 地球半径
軌道長半径:0.0616 AU
日射量:地球の 26.5 倍
EPIC 220194974.03
軌道周期:9.7579 日
半径:1.64 地球半径
軌道長半径:0.0774 AU
日射量:地球の 16.8 倍
EPIC 220194974 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

この恒星は,EPIC 220194953 と重力的に束縛されている可能性がある.固有運動を測定した結果同じ固有運動を共有していることが分かったため,束縛されていると考えられる.
天球上に射影した恒星間距離は 1100 AU である.EPIC 220194953 の周りにも惑星が存在しないかどうか期待される.

EPIC 220194974.01 と EPIC 220194974.02 の軌道周期は,2:3 の平均運動共鳴 (mean motion resonance, MMR) に近い.

TTV を測定したが,明確なシグナルは検出され無かった.これは,おそらく惑星の質量が軽いためである.

EPIC 220522664 系

EPIC 220522664
スペクトル型:M1.0V
有効温度:3745 K
金属量:[Fe/H] = 0.11
半径:0.568 太陽半径
質量:0.595 太陽質量
光度:0.049 太陽光度
距離:118 pc
EPIC 220522664.01
軌道周期:11.3320 日
半径:1.64 地球半径
軌道長半径:0.0830 AU
日射量:地球の 7.0 倍
EPIC 220522664 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

EPIC 220598331 系

EPIC 220598331
スペクトル型:M2.5V
有効温度:3499 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
半径:0.436 太陽半径
質量:0.457 太陽質量
光度:0.026 太陽光度
距離:110 pc
EPIC 220598331.01
軌道周期:10.59357 日
半径:2.00 地球半径
軌道長半径:0.0727 AU
日射量:地球の 4.9 倍
EPIC 220598331 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

EPIC 220598331.01 は,軌道周期と惑星サイズの観点で EPIC 220522664.01 と類似している.ただし恒星の表面温度が低い事は違う

EPIC 220621087 系

EPIC 220621087
スペクトル型:M1.5V
有効温度:3585 K
金属量:[Fe/H] = -0.32
半径:0.429 太陽半径
質量:0.440 太陽質量
光度:0.028 太陽光度
距離:62.7 pc
EPIC 220621087.01
軌道周期:3.385592 日
半径:1.35 地球半径
軌道長半径:0.0365 AU
日射量:地球の 20.8 倍
EPIC 220621087 系の概要
観測は K2 の Campaign 8 の期間に行われた.

惑星の EPIC 220621087.01 は,サイズ的には地球型惑星であることが示唆される.

視線速度を測定したが,この系が食連星である可能性は除外された.

EPIC 201128338 系

EPIC 201128338
スペクトル型:M0.0V
有効温度:3940 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
半径:0.631 太陽半径
質量:0.654 太陽質量
光度:0.087 太陽光度
距離:112 pc
EPIC 201128338.01
軌道周期:32.6527 日
半径:2.81 地球半径
軌道長半径:0.1735 AU
日射量:地球の 2.9 倍
EPIC 201128338 系の概要
観測は K2 の Campaign 10 の期間に行われた.

惑星 EPIC 201128338.01 はミニネプチューンサイズである.

惑星のボンドアルベドを 0.3 と仮定すると,平衡温度は 331 K となり,ハビタブルゾーンの近くに位置している.

トランジット深さが ~ 0.2%と中間的な大きさであり,可視光と近赤外線双方で,地上からの視線速度観測が期待される.質量-半径関係からは ~ 7.0 地球質量が期待され,この質量は ~ 1.9 m/s の半振幅の視線速度変動に対応している.

EPIC 201598502 系

EPIC 201598502
スペクトル型:M3.0V
有効温度:3720 K
金属量:[Fe/H] = -0.26
半径:0.495 太陽半径
質量:0.512 太陽質量
光度:0.043 太陽光度
距離:126 pc
EPIC 201598502.01
軌道周期:7.51554 日
半径:2.00 地球半径
軌道長半径:0.0601 AU
日射量:地球の 11.8 倍
EPIC 201598502 系の概要
観測は K2 の Campaign 10 の期間に行われた.

EPIC 228934525 系

EPIC 228934525
スペクトル型:M0.0V
有効温度:3978 K
金属量:[Fe/H] = 0.19
半径:0.649 太陽半径
質量:0.672 太陽質量
光度:0.096 太陽光度
距離:133 pc
EPIC 228934525.01
軌道周期:3.67635 日
半径:2.23 地球半径
軌道長半径:0.0408 AU
日射量:地球の 57.5 倍
EPIC 228934525.02
軌道周期:7.95478 日
半径:2.10 地球半径
軌道長半径:0.0683 AU
日射量:地球の 20.5 倍
EPIC 228934525 系の概要
観測は K2 の Campaign 10 の期間に行われた.

2 つの惑星の軌道周期は 2:1 共鳴に近い値であった.なお TTV のシグナルは検出されなかった.

その他

EPIC 220187552 系

この天体においても,トランジット状のシグナルが検出された.シグナルの周期は 17.09 日で,減光の深さは 0.245%,継続時間は 1.64 時間であった.

しかしこの系は, ~ 0”.3 離れた少なくとも 2 つの恒星からなる.
トランジットの光度曲線は V 字型であり,連星の grazing transit (かすめるような食連星) によるシグナルだと考えられる.従ってこの恒星は,伴星 (晩期 M 型星か褐色矮星) との食連星である.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1710.03454
Agarwal et al. (2017)
A binary main belt comet
(連星メインベルト彗星)

概要

小惑星は原始的な太陽系天体であり,衝突によって,あるいは高速自転による破壊を通じて進化する.この過程を通じて,連星小惑星を形成する可能性があり,またダストを放出することがある.ダストの放出は直接的に,あるいは場合によっては凍結した揮発性物質が外部に暴露されることによって起きる.

メインベルト彗星 (main-belt comets, MBCs,火星と木星の間の小惑星帯に存在する彗星) と呼ばれるグループでは,内部から掘り起こされた揮発性物質の昇華によって,一時的な彗星的な活動を引き起こすことがある.

揮発性物質の昇華によって彗星に与えられるトルクは彗星の自転速度に大きな影響を与え,二葉の彗星核に分裂する可能性がある.


キロメートルサイズのメインベルト彗星 288P (300163) は,2011 年に近日点を通過した周辺で,数ヶ月間の彗星的な活動を見せた.この活動は水氷の昇華によって維持され,本体は速い回転を持つと考えられている一方で,少なくとも1つの構成要素は 16 時間でゆっくり回転している.

288 P は,7.5 × 106 年前の破壊的な衝突の最中に,直径が ~ 10 km の前駆体から形成された,少なくとも 11 個の小惑星の若い族の一部である.

ここでは,288P は連星メインベルト彗星である事を報告する

この天体は,その軌道間隔,構成要素のサイズがほぼ等しいこと,軌道離心率が大きいこと,また彗星的な活動を起こすという点において,これまでに知られている連星小惑星とは異なる.また観測からは,288P の活動の駆動源は昇華が原因であることの強い証拠が発見された.

さらに,昇華によるトルクは連星の軌道進化に対して重要な役割を果たす可能性があることを示す.


2011 年からのハッブル宇宙望遠鏡の観測では,分解能の限界において 288P が連星である可能性が示されていた.

その後の近日点通過 (2016 年 11 月 8 日,太陽から 2.45 AU) を起こす少し前に,288P は地球の近くを通過した (2016 年 9 月11 日,1.45 AU).この時は距離が近いため,288P が連星であることをハッブル宇宙望遠鏡の観測で十分に分解することができた

ケプラーの第三法則から,この系の質量は 1.3 × 1012 - 1.1 × 1013 kg の範囲であると推定できる.ただしそれぞれの要素の形状が不明のため,平均密度はあまり制限できなかった.

連星の 2 つの構成要素は,平均輝度が類似しているため,両者は似たサイズであることが示唆される.どちらがダストの供給源かは決定できなかった.
また,連星軌道の離心率は > 0.6 であり,軌道周期は 100, 135, 175 日のいずれかである.

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