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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.03422
Skowron et al. (2015)
MOA 2011-BLG-028Lb: a Neptune-mass Microlensing Planet in the Galactic Bulge
(MOA 2011-BLG-028Lb:銀河バルジ中の海王星質量のマイクロレンズ惑星)
重力マイクロレンズによる光度曲線の解析から、主星と惑星の質量比は 1.2 × 10-4でり、質量は 12 - 60地球質量である。この系は 7.38 kpcの距離にあり、またバーデの窓 (Baade's window)の方向にも近い。
(※バーデの窓:銀河系中心方向で星間ダストが局所的に少ないため減光が少なく、地球から観測することが出来る領域のこと)
重力マイクロレンズイベントが発生した時の主星と惑星の投影距離は 3.1 - 5.2 AUであった。光度曲線にはパララックス効果は見られなかったため恒星質量 (とそれに伴う惑星質量)の決定に関しては不定性が大きくなる。周辺から混入した光が少なく、また主星は非常に明るく重くはないという観測結果から質量に制約をかけている。
arXiv:1512.03422
Skowron et al. (2015)
MOA 2011-BLG-028Lb: a Neptune-mass Microlensing Planet in the Galactic Bulge
(MOA 2011-BLG-028Lb:銀河バルジ中の海王星質量のマイクロレンズ惑星)
概要
銀河バルジ中の、0.8太陽質量の恒星の周りに海王星質量の惑星 MOA 2011-BLG-028Lb を発見した。このマイクロレンズイベントは、MOA 2011-BLG-028/OGLE-2011-BLG-0203 である。重力マイクロレンズによる光度曲線の解析から、主星と惑星の質量比は 1.2 × 10-4でり、質量は 12 - 60地球質量である。この系は 7.38 kpcの距離にあり、またバーデの窓 (Baade's window)の方向にも近い。
(※バーデの窓:銀河系中心方向で星間ダストが局所的に少ないため減光が少なく、地球から観測することが出来る領域のこと)
重力マイクロレンズイベントが発生した時の主星と惑星の投影距離は 3.1 - 5.2 AUであった。光度曲線にはパララックス効果は見られなかったため恒星質量 (とそれに伴う惑星質量)の決定に関しては不定性が大きくなる。周辺から混入した光が少なく、また主星は非常に明るく重くはないという観測結果から質量に制約をかけている。
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02649
Hands & Alexander (2015)
There might be giants: unseen Jupiter-mass planets as sculptors of tightly-packed planetary systems
(狭い範囲に集まった惑星系の "彫刻家" としての不可視の木星質量惑星)
ここでは、N体シミュレーションに原始惑星系円盤による効果を加えたものを用いて、スーパーアース質量の複数の惑星が狭い範囲に存在し、さらにその外側に未検出の巨大ガス惑星が存在するという状況のシミュレーションを行った。この系は、例えばケプラー11やケプラー32の系のような、4 - 5個のスーパーアースが恒星に近い狭い範囲に軌道を持っているという状態に近いものだが、さらにそこにケプラーでは発見されていないだろう長周期の巨大惑星を追加したという系になっている。
シミュレーションの結果、外側に存在する巨大惑星は、比較的軌道間隔の広い 1次の平均運動共鳴 (1:2 軌道共鳴など)を破壊する傾向にあることが判明した。従って、内側の惑星は 1次の平均運動共鳴から外れ、さらに軌道間隔の狭い共鳴状態へと移動することが出来る。これにより内側の惑星の配置はコンパクトなものになり、またラプラス共鳴の連なりが形成される確率を上げるはたらきがある。
タイトルの "There might be giants"、直訳すれば「(そこには)巨人がいるかもしれない」という意味、あるいは "giant" だけで巨大惑星を意味することもあるので「(そこには)巨大惑星がいるかもしれない」という意味になります。が、アメリカの有名なバンドに "They might be giants" という名前のバンドがいるため、これをもじったものかもしれません。
arXiv:1512.02649
Hands & Alexander (2015)
There might be giants: unseen Jupiter-mass planets as sculptors of tightly-packed planetary systems
(狭い範囲に集まった惑星系の "彫刻家" としての不可視の木星質量惑星)
概要
ケプラーによる系外惑星のサーベイのデータは、特に軌道周期が 1年を超えるものに関しては完全ではない。(※観測のバイアスや観測期間等の問題から、完全なサーベイは出来ていないという意味) そのため、発見されている系外惑星系が未検出の巨大惑星を持っている可能性は存在する。そのような惑星が存在した場合、その系の惑星の最終的な軌道配置に対して影響を与えることが考えられる。ここでは、N体シミュレーションに原始惑星系円盤による効果を加えたものを用いて、スーパーアース質量の複数の惑星が狭い範囲に存在し、さらにその外側に未検出の巨大ガス惑星が存在するという状況のシミュレーションを行った。この系は、例えばケプラー11やケプラー32の系のような、4 - 5個のスーパーアースが恒星に近い狭い範囲に軌道を持っているという状態に近いものだが、さらにそこにケプラーでは発見されていないだろう長周期の巨大惑星を追加したという系になっている。
シミュレーションの結果、外側に存在する巨大惑星は、比較的軌道間隔の広い 1次の平均運動共鳴 (1:2 軌道共鳴など)を破壊する傾向にあることが判明した。従って、内側の惑星は 1次の平均運動共鳴から外れ、さらに軌道間隔の狭い共鳴状態へと移動することが出来る。これにより内側の惑星の配置はコンパクトなものになり、またラプラス共鳴の連なりが形成される確率を上げるはたらきがある。
タイトルの "There might be giants"、直訳すれば「(そこには)巨人がいるかもしれない」という意味、あるいは "giant" だけで巨大惑星を意味することもあるので「(そこには)巨大惑星がいるかもしれない」という意味になります。が、アメリカの有名なバンドに "They might be giants" という名前のバンドがいるため、これをもじったものかもしれません。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02706
Zhou et al. (2015)
Discovery of Rotational Modulations in the Planetary-Mass Companion 2M1207b: Intermediate Rotation Period and Heterogeneous Clouds in a Low Gravity Atmosphere
(惑星質量天体 2M1207bの自転による変動の発見:中間的な自転周期と低重力大気中における不均一な雲)
2M1207の連星系を、ハッブル宇宙望遠鏡の Wide Field Camera 3 (WFC3)で観測した。主星の 2M1207 は平坦な光度曲線と整合的な結果を得た。しかし伴星の 2M1207bは、光度曲線に明確な変動があることが確認された。変動の振幅は、F125W のフィルターで 1.36%、F160W のフィルターで 0.78%であった。
この変動はサインカーブでフィットすることができ、両バンドでほぼ同じである 10.7時間の変動であった。
また、2M1207b のJバンド・Hバンドでの振幅の比は、異なる J-H での色を持つが同一のスペクトル型である他の褐色矮星と似ているものであった。
今回の自転周期の測定は、直接撮像で発見されている太陽系外の惑星質量天体の自転周期を測定した初めての例である。
2M1207b の年齢と近赤外線での光度を褐色矮星の冷却モデル (Baraffe et al. 2003など)と合わせると、この天体は 2.3 - 4.8木星質量であると考えられる。中心星は褐色矮星質量であり、周囲には円盤が発見されているが (Sterzuk et al. 2004)、伴星と主星の質量比が大きいことと、2天体間の間隔が広いことなどから、連星的な重力的な分裂による形成過程で作られたと考えられている (Lodato et al. 2005, Mohanty et al. 2007)。
今回の 2M1207bの自転周期は木星よりも長い (自転が遅い)が、おおむねトレンドとは矛盾しない。また若いガス惑星や惑星質量天体は半径が大きくその分自転周期も長くなるが、冷えて収縮するとスピンアップして自転周期は短くなる。このスピンアップした後の自転周期は、太陽系惑星の質量と自転周期のトレンドによく一致する。これはがか座ベータ星についても同様である。
がか座ベータ星はおそらく原始惑星系円盤内で形成され、2M1207bはおそらく分子雲からの分裂で連星的に形成されたと考えられ、形成過程は大きく異なるが、それでも同じトレンドと整合的であるということが示された。
arXiv:1512.02706
Zhou et al. (2015)
Discovery of Rotational Modulations in the Planetary-Mass Companion 2M1207b: Intermediate Rotation Period and Heterogeneous Clouds in a Low Gravity Atmosphere
(惑星質量天体 2M1207bの自転による変動の発見:中間的な自転周期と低重力大気中における不均一な雲)
概要
褐色矮星の自転に起因する光度の変動は、非常に低温な大気における、経度方向・垂直方向の雲構造や雲の進化などの特徴に対して強い制限を与える。さらに周期的な光度変化による光度曲線からは、極めて低温の天体の自転周期を直接探るヒントにもなる。ここでは、惑星質量天体である 2M1207bの高精度かつ時間分解した初めての測光観測の結果について報告する。2M1207の連星系を、ハッブル宇宙望遠鏡の Wide Field Camera 3 (WFC3)で観測した。主星の 2M1207 は平坦な光度曲線と整合的な結果を得た。しかし伴星の 2M1207bは、光度曲線に明確な変動があることが確認された。変動の振幅は、F125W のフィルターで 1.36%、F160W のフィルターで 0.78%であった。
この変動はサインカーブでフィットすることができ、両バンドでほぼ同じである 10.7時間の変動であった。
また、2M1207b のJバンド・Hバンドでの振幅の比は、異なる J-H での色を持つが同一のスペクトル型である他の褐色矮星と似ているものであった。
今回の自転周期の測定は、直接撮像で発見されている太陽系外の惑星質量天体の自転周期を測定した初めての例である。
2M1207系について
2M1207b は、太陽系外で直接撮像で発見された初めての惑星質量天体 (planetary-mass object)である (Chauvin et al. 2004)。2M1207b とその中心星 2M 1207 は、Chauvin et al. (2005)と Song et al. (2006)によって、重力的に束縛されていることが確認された。両者は 0.78" 離れており、この系までの距離が 52.4 pc であることを考慮すると 41.2 AU に相当する。2M1207b の年齢と近赤外線での光度を褐色矮星の冷却モデル (Baraffe et al. 2003など)と合わせると、この天体は 2.3 - 4.8木星質量であると考えられる。中心星は褐色矮星質量であり、周囲には円盤が発見されているが (Sterzuk et al. 2004)、伴星と主星の質量比が大きいことと、2天体間の間隔が広いことなどから、連星的な重力的な分裂による形成過程で作られたと考えられている (Lodato et al. 2005, Mohanty et al. 2007)。
自転周期のトレンドとの比較
太陽系の惑星の自転周期と質量の間には一定の関係があり、質量が大きい方が自転周期は短い。これまでに太陽系外惑星で自転周期の推定がされたものはがか座ベータ星bのみであるが、この惑星の自転周期は太陽系の惑星の自転周期のトレンドと矛盾しない。(がか座ベータ星は重い惑星であり、自転周期は木星よりも短い)今回の 2M1207bの自転周期は木星よりも長い (自転が遅い)が、おおむねトレンドとは矛盾しない。また若いガス惑星や惑星質量天体は半径が大きくその分自転周期も長くなるが、冷えて収縮するとスピンアップして自転周期は短くなる。このスピンアップした後の自転周期は、太陽系惑星の質量と自転周期のトレンドによく一致する。これはがか座ベータ星についても同様である。
がか座ベータ星はおそらく原始惑星系円盤内で形成され、2M1207bはおそらく分子雲からの分裂で連星的に形成されたと考えられ、形成過程は大きく異なるが、それでも同じトレンドと整合的であるということが示された。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02965
Endl et al. (2015)
Two New Long-Period Giant Planets from the McDonald Observatory Planet Search and Two Stars with Long-Period Radial Velocity Signals Related to Stellar Activity Cycles
(マクドナルド天文台惑星探査による2つの新しい長周期巨大惑星と恒星活動サイクルに関連した2つの恒星の長周期視線速度シグナル)
HD 95872bは最小質量が 4.6木星質量、軌道長半径が 5.2 AUである。りゅう座プサイ1星Bb (ψ1 Dra Bb)は最小質量が 1.5木星質量、軌道長半径は 4.4 AUである。従って、これらの惑星は木星類似の惑星であると考えられる。これらの惑星は、マクドナルド天文台にある 2.7 m望遠鏡に搭載されている分光器を用いて、およそ 15年に渡る精密な視線速度観測によって発見されたものである。
りゅう座プサイ1星Bでは、惑星による視線速度シグナルの他に、長周期の非線形のトレンドも検出されている。これは、木星と土星のペアのような、さらなる惑星の存在を示唆するものである。また、りゅう座プサイ1星Aは、別の恒星の伴星による大きな視線速度の振幅を持っている。このさらなる伴星は、スペックつ画像によって観測された。
また、HD 10086と HD 102870 (おとめ座ベータ星)にも、惑星によるものと整合的な視線速度のシグナルが検出された。しかしこれは、惑星の公転運動によるものではなく、恒星活動に起因する視線速度飲みかけの変動だと考えられる。このようなシグナルの区別のためには、恒星の磁気的な活動のモニタリングが重要であるということを意味している。つまり、長周期の恒星活動サイクルは、木星類似の惑星によるシグナルを "模倣" する可能性がある。
等級:V = 9.895
距離:7.56 pc
有効温度:5312 K
金属量:[Fe/H] = 0.41 dex
質量:0.95太陽質量
年齢:10.0 Gyr
最小質量:4.6木星質量
軌道離心率:0.06
軌道長半径:5.2 AU
等級:V = 5.699
距離:22.16 pc
有効温度:6212 K
金属量:[Fe/H] = 0.01 dex
質量:1.19太陽質量
年齢:3.3 Gyr
最小質量:1.53木星質量
軌道離心率:0.40
軌道長半径:4.43 AU
りゅう座プサイ1星Aは、別名としてりゅう座31番星A、HR 6636、HD 162003、HIP 86614という名前を持ち、スペクトル型が F5Vである。りゅう座プサイ1星Bは、別名としてりゅう座31番星B、HR 6637、HD 162004、HIP 86620という名前を持つ。この 2つの恒星の天球面上での間隔は 667 AUである。
りゅう座プサイ1星Aには、不可視の伴星 (最小質量 ~ 50木星質量)の存在が、視線速度観測から示唆されている (Toyota et al. 2009)。今回の観測では、軌道周期が 6649日、最小質量 551木星質量、軌道長半径 8.7 AU、軌道離心率 e = 0.674の伴星が検出された。
arXiv:1512.02965
Endl et al. (2015)
Two New Long-Period Giant Planets from the McDonald Observatory Planet Search and Two Stars with Long-Period Radial Velocity Signals Related to Stellar Activity Cycles
(マクドナルド天文台惑星探査による2つの新しい長周期巨大惑星と恒星活動サイクルに関連した2つの恒星の長周期視線速度シグナル)
概要
HD 95872、HD 162004 (りゅう座プサイ1星B)の周りに、それぞれ 1つずつ計 2個の新しい系外惑星を発見した。マクドナルド天文台での惑星探査の一環であり、視線速度法による観測を行っている。HD 95872bは最小質量が 4.6木星質量、軌道長半径が 5.2 AUである。りゅう座プサイ1星Bb (ψ1 Dra Bb)は最小質量が 1.5木星質量、軌道長半径は 4.4 AUである。従って、これらの惑星は木星類似の惑星であると考えられる。これらの惑星は、マクドナルド天文台にある 2.7 m望遠鏡に搭載されている分光器を用いて、およそ 15年に渡る精密な視線速度観測によって発見されたものである。
りゅう座プサイ1星Bでは、惑星による視線速度シグナルの他に、長周期の非線形のトレンドも検出されている。これは、木星と土星のペアのような、さらなる惑星の存在を示唆するものである。また、りゅう座プサイ1星Aは、別の恒星の伴星による大きな視線速度の振幅を持っている。このさらなる伴星は、スペックつ画像によって観測された。
また、HD 10086と HD 102870 (おとめ座ベータ星)にも、惑星によるものと整合的な視線速度のシグナルが検出された。しかしこれは、惑星の公転運動によるものではなく、恒星活動に起因する視線速度飲みかけの変動だと考えられる。このようなシグナルの区別のためには、恒星の磁気的な活動のモニタリングが重要であるということを意味している。つまり、長周期の恒星活動サイクルは、木星類似の惑星によるシグナルを "模倣" する可能性がある。
各系のパラメータ
HD 95872系
HD 95872
スペクトル型:K0V等級:V = 9.895
距離:7.56 pc
有効温度:5312 K
金属量:[Fe/H] = 0.41 dex
質量:0.95太陽質量
年齢:10.0 Gyr
HD 95872b
周期:4375日最小質量:4.6木星質量
軌道離心率:0.06
軌道長半径:5.2 AU
りゅう座プサイ1星B系
りゅう座プサイ1星B
スペクトル型:G0V等級:V = 5.699
距離:22.16 pc
有効温度:6212 K
金属量:[Fe/H] = 0.01 dex
質量:1.19太陽質量
年齢:3.3 Gyr
りゅう座プサイ1星Bb
周期:3117日最小質量:1.53木星質量
軌道離心率:0.40
軌道長半径:4.43 AU
りゅう座プサイ1星系について
りゅう座プサイ1星は実視連星になっており、主星がりゅう座プサイ1星A、伴星がりゅう座プサイ1星Bである。りゅう座プサイ1星Aは、別名としてりゅう座31番星A、HR 6636、HD 162003、HIP 86614という名前を持ち、スペクトル型が F5Vである。りゅう座プサイ1星Bは、別名としてりゅう座31番星B、HR 6637、HD 162004、HIP 86620という名前を持つ。この 2つの恒星の天球面上での間隔は 667 AUである。
りゅう座プサイ1星Aには、不可視の伴星 (最小質量 ~ 50木星質量)の存在が、視線速度観測から示唆されている (Toyota et al. 2009)。今回の観測では、軌道周期が 6649日、最小質量 551木星質量、軌道長半径 8.7 AU、軌道離心率 e = 0.674の伴星が検出された。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02998
Llama & Shkolnik (2015)
Transiting the Sun II: The impact of stellar activity on Lyman-α transits
(太陽のトランジットII:ライマンアルファ線でのトランジットにおける恒星活動の影響)
その結果、シミュレーションのうち 75%では設定した値と合致する正しい半径比を得た。しかし光度曲線に短周期の大きい変動が存在する場合は半径比を間違えることがある。模擬観測から得られた半径比の最大値は、設定した値よりも 50%大きい物であった。これは、観測から報告されているライマンアルファ線での大きな半径比と比較すると十分小さいものである。従って、太陽と同程度の活動度を示す恒星周りの場合、恒星活動単体ではライマンアルファ線での深いトランジットの原因とは成り得ない。
同様のシミュレーションを、トランジットを起こさない場合についても行った。その結果、恒星活動はかに座55番星bのライマンアルファ線でのトランジットを模倣するような変動は起こさなかった。そのため、かに座55番星bは部分的に中心星をトランジットする外気圏を持つというこれまでの結果を補強する結果となった。
さらに、太陽のライマンアルファ線での活動を人工的に強めたモデルを作り、さらに活動的な恒星のトランジットについても調査した。その場合、半径は最大で設定した値の 3倍程度となった。この値も、HD 189733や GJ 436においてライマンアルファ線で観測されている深いトランジットよりも十分小さい値であった。そのため、これらの惑星は大きな外気圏を持ち、おそらくは散逸する大気の彗星の尾状の構造のトランジットが起きているというこれまでの解釈を支持する。
Ehrenreich et al. (2012)は、暖かい木星型惑星かに座55番星bの広がった外気圏のライマンアルファ線でのトランジットを報告した。この惑星は可視光線でのトランジットは報告されておらず、広がった惑星の外気圏が恒星をかすめるようにトランジットしてライマンアルファ線で観測されたと考えられている。さらに、M型星をまわるホットネプチューン GJ 436bのライマンアルファ線での深いトランジットも観測されている (Ehrenreich et al. 2015)。
強い輻射を受けているホットジュピター WASP-12bの近紫外線での観測では、可視光でのトランジットより 3倍ほど深いトランジットが得られている (Fossati et al. 2010, Haswell et al. 2012)。このトランジットは非対称の光度曲線を示し、惑星による食の始まりは可視光よりも早かったものの、食の終わりは可視光と同時であった。ここで観測していた波長は Mg II線に対応しており、この大きな吸収は重元素が待機中に存在することを示している、しかし早い食の始まりは、惑星の前方にある磁気圏のバウショックによるものである可能性もある (Vidotto et al. 2010, Llama et al. 2011)。
HD 189733bの観測では、2010年4月の観測ではライマンアルファ線でのトランジットが見られなかったのに対し、2011年9月の観測では深いトランジット (可視光での 10倍程度)が見られている (Lecavelier des Etangs et al. 2012)。このような大きな変動は、惑星の外気圏の大きな変動によるものだと示唆されている。
しかし惑星大気による変動以外にも、恒星活動がトランジット深さに影響を及ぼす可能性もある。例えば恒星の活動領域を惑星が遮った場合は、惑星と恒星の半径比を過大評価する場合がある。ここでは、太陽の観測結果を元に、活動的な恒星をホットジュピターがトランジットした場合の模擬観測結果をシミュレーションし、惑星と恒星の半径比がどう変化して見えるかを評価する。
arXiv:1512.02998
Llama & Shkolnik (2015)
Transiting the Sun II: The impact of stellar activity on Lyman-α transits
(太陽のトランジットII:ライマンアルファ線でのトランジットにおける恒星活動の影響)
概要
太陽の高エネルギーにおける観測は、恒星活動が存在する中心星をトランジットする系外惑星の特徴を精密に測定するための我々の能力の限界を測る良い機会を与えてくれる。ここでは、惑星・恒星の半径比 Rp/R* の測定における恒星の活動度の影響を見積もるため、NASAの SDO/EVEでの太陽のライマンアルファ線観測データに合わせ、ホットジュピターが太陽をトランジットした場合のデモンストレーションを行った。その結果、シミュレーションのうち 75%では設定した値と合致する正しい半径比を得た。しかし光度曲線に短周期の大きい変動が存在する場合は半径比を間違えることがある。模擬観測から得られた半径比の最大値は、設定した値よりも 50%大きい物であった。これは、観測から報告されているライマンアルファ線での大きな半径比と比較すると十分小さいものである。従って、太陽と同程度の活動度を示す恒星周りの場合、恒星活動単体ではライマンアルファ線での深いトランジットの原因とは成り得ない。
同様のシミュレーションを、トランジットを起こさない場合についても行った。その結果、恒星活動はかに座55番星bのライマンアルファ線でのトランジットを模倣するような変動は起こさなかった。そのため、かに座55番星bは部分的に中心星をトランジットする外気圏を持つというこれまでの結果を補強する結果となった。
さらに、太陽のライマンアルファ線での活動を人工的に強めたモデルを作り、さらに活動的な恒星のトランジットについても調査した。その場合、半径は最大で設定した値の 3倍程度となった。この値も、HD 189733や GJ 436においてライマンアルファ線で観測されている深いトランジットよりも十分小さい値であった。そのため、これらの惑星は大きな外気圏を持ち、おそらくは散逸する大気の彗星の尾状の構造のトランジットが起きているというこれまでの解釈を支持する。
研究背景
恒星からのライマンアルファ線 (121.6 nm, 遠紫外線)は惑星の高層大気によく吸収されるため、系外惑星の広がった高層大気の存在を探る手段となり得る。ハッブル宇宙望遠鏡の STISでの観測では、太陽型星を公転するホットジュピター HD 209458bにおける深いライマンアルファ線でのトランジットが観測されている (Vidal-Madjar et al. 2003, 2004, Linsky et al. 2010, Ben-Jaffel & Sona hosseini 2010)。また K1型星を公転する HD 189733bでの検出例もある (Lecavelier des Etangs et al. 2010, 2012, Bourrier et al. 2013)。Ehrenreich et al. (2012)は、暖かい木星型惑星かに座55番星bの広がった外気圏のライマンアルファ線でのトランジットを報告した。この惑星は可視光線でのトランジットは報告されておらず、広がった惑星の外気圏が恒星をかすめるようにトランジットしてライマンアルファ線で観測されたと考えられている。さらに、M型星をまわるホットネプチューン GJ 436bのライマンアルファ線での深いトランジットも観測されている (Ehrenreich et al. 2015)。
強い輻射を受けているホットジュピター WASP-12bの近紫外線での観測では、可視光でのトランジットより 3倍ほど深いトランジットが得られている (Fossati et al. 2010, Haswell et al. 2012)。このトランジットは非対称の光度曲線を示し、惑星による食の始まりは可視光よりも早かったものの、食の終わりは可視光と同時であった。ここで観測していた波長は Mg II線に対応しており、この大きな吸収は重元素が待機中に存在することを示している、しかし早い食の始まりは、惑星の前方にある磁気圏のバウショックによるものである可能性もある (Vidotto et al. 2010, Llama et al. 2011)。
HD 189733bの観測では、2010年4月の観測ではライマンアルファ線でのトランジットが見られなかったのに対し、2011年9月の観測では深いトランジット (可視光での 10倍程度)が見られている (Lecavelier des Etangs et al. 2012)。このような大きな変動は、惑星の外気圏の大きな変動によるものだと示唆されている。
しかし惑星大気による変動以外にも、恒星活動がトランジット深さに影響を及ぼす可能性もある。例えば恒星の活動領域を惑星が遮った場合は、惑星と恒星の半径比を過大評価する場合がある。ここでは、太陽の観測結果を元に、活動的な恒星をホットジュピターがトランジットした場合の模擬観測結果をシミュレーションし、惑星と恒星の半径比がどう変化して見えるかを評価する。

