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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02559
Wang et al. (2015)
Planet Hunters. VIII. Characterization of 41 Long-Period Exoplanet Candidates from Kepler Archival Data
(Planet Hunters VIII ケプラーアーカイブデータの 41の長周期系外惑星候補の特徴付け)
1回しかトランジットを起こしていない惑星候補は、トランジット継続時間と中心星の特性から軌道周期を推定した。これらのうち 75%の大多数は、軌道長半径 1 - 3 AUに相当する。
また、中心星を特徴付けるために撮像観測と分光観測も行った。背景星の混入の影響を評価するため、33つの恒星の撮像観測を行った。うち、6つでは 4" 以内に恒星質量の伴星が存在することが判明した。また、物理特性の決定のため 6つの較正を高分解能の分光観測を行った。その他の恒星については、NASA Exoplanet Archiveと Kepler Stellar Catalog (Huber et al. 2014)からデータを取得した。
解析の結果、7つの惑星候補を確認した。
トランジットを 1回のみ起こした惑星3つ (KIC 3558849c, KIC 5951468b, KIC 8540376d)、2回起こした惑星 3つ (KIC 8540376c, KIC 9663113c, KIC 10525077b)、4回起こした惑星 (KIC 5437945c)である。
今回の解析を行ったうちの、少なくとも 3回のトランジットを起こした長周期の惑星のうち半数以上が、最大で 41時間のトランジット時刻変動を起こした。これは惑星 (惑星候補)と相互左右している天体が存在する可能性を示している。さらなるトランジットや視線速度観測でそれらの天体の存在が明らかになると考えられる。
arXiv:1512.02559
Wang et al. (2015)
Planet Hunters. VIII. Characterization of 41 Long-Period Exoplanet Candidates from Kepler Archival Data
(Planet Hunters VIII ケプラーアーカイブデータの 41の長周期系外惑星候補の特徴付け)
概要
軌道長半径が 1 AUより大きい系外惑星の存在数の調査はまだ不十分である。ここでは、ケプラーのデータに基づく、Planet Huntersプロジェクトによる 38の系での 41個の長周期惑星候補の解析を行った。これらのうち、17例は 1回のみトランジットを起こし、14例は 2回、10例は 3回以上起こした。1回しかトランジットを起こしていない惑星候補は、トランジット継続時間と中心星の特性から軌道周期を推定した。これらのうち 75%の大多数は、軌道長半径 1 - 3 AUに相当する。
また、中心星を特徴付けるために撮像観測と分光観測も行った。背景星の混入の影響を評価するため、33つの恒星の撮像観測を行った。うち、6つでは 4" 以内に恒星質量の伴星が存在することが判明した。また、物理特性の決定のため 6つの較正を高分解能の分光観測を行った。その他の恒星については、NASA Exoplanet Archiveと Kepler Stellar Catalog (Huber et al. 2014)からデータを取得した。
解析の結果、7つの惑星候補を確認した。
トランジットを 1回のみ起こした惑星3つ (KIC 3558849c, KIC 5951468b, KIC 8540376d)、2回起こした惑星 3つ (KIC 8540376c, KIC 9663113c, KIC 10525077b)、4回起こした惑星 (KIC 5437945c)である。
今回の解析を行ったうちの、少なくとも 3回のトランジットを起こした長周期の惑星のうち半数以上が、最大で 41時間のトランジット時刻変動を起こした。これは惑星 (惑星候補)と相互左右している天体が存在する可能性を示している。さらなるトランジットや視線速度観測でそれらの天体の存在が明らかになると考えられる。
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.01555
Alexander et al. (2015)
Magnetospheres of hot Jupiters: hydrodynamic models & ultraviolet absorption
(ホットジュピターの磁気圏:流体力学モデルと紫外線吸収)
標準的な恒星風に対して、惑星が数 G程度の磁場を持っている場合、典型的には 6 - 9惑星半径程度の磁気圏の空洞を形成することを明らかにした。バウショックは惑星磁気圏の前方に常に形成されるが、ショックの前面のガスはやや超音速な程度 (典型的なマッハ数 M ~ 1.6 - 1.8)であり、ショックは弱い。
このショック構造は紫外線での光度曲線に特徴的なシグナルを示す。軌道位相にして 可視光よりも10 - 20%程度早く始まる、広い吸収の特徴を示す。計算結果を元に再現した光度曲線は、WASP-12bでの観測結果と整合的なものであった。しかし要求される近紫外線領域での光学的深さ (τ ~ 0.1)は、ショックを通過したガスが急速に冷える時のみ実現できることが分かった。
さらにここでは、ショック通過後のガスからの輻射冷却は効率的ではないことを示す。上述の通り冷却が非常に効率的な場合はバウショック構造によるトランジットによって近紫外線領域での光度曲線を説明できるが、そうではないと考えられる。そのため、磁気圏のバウショックは観測されている近紫外線の光度曲線の原因では無いと考えられる。
最後に、このモデルをよく知られた別の二つのホットジュピター (WASP-18b、HD 209458b)に適用した。WASP-18bのような、比較的重く短周期の惑星の紫外線でのトランジット観測が、惑星周辺での吸収の原因の異なるモデルを区別するための直接的なテストになり得るという事が示唆された。
恒星風のモデルとしては、球対称で等温な、いわゆる Parker windモデルを用いている (Parker 1958, Cranmer 2004)。
惑星に関しては、円軌道、一定の公転角速度を仮定している。また ZEUS-2Dの流体の運動量保存の方程式の部分に、惑星の重力と磁場による加速項を追加している。ここでは公転軸と平行な双極子磁場の存在を仮定している。
また Vidotto et al. (2010)では、恒星風の回転の効果は重要だとしているが、かなり速い恒星の自転であっても影響は小さいと考えられる。WASP-12の自転速度は 26 km s-1である。角運動量が保存するという仮定をすれば、WASP-12bの軌道における恒星風の速度の方位角成分は < 10 km s-1である。一方、惑星の軌道速度は 228 km s-1であり、恒星風の回転の影響は十分小さい。
また、恒星磁場も無視している。一般に、惑星の磁気圏界面の位置は、
(恒星風の動圧) + (恒星風の熱圧力) + (恒星風の磁気圧) = (惑星磁気圏内のガス圧) + (惑星磁場の磁気圧)
の釣り合いから決まる。この中で、恒星風の動圧、恒星風の熱圧力、惑星磁場の磁気圧はシミュレーションの中にあらわに含まれている。惑星磁気圏内のガス圧はシミュレーションでは無視している。しかし興味のある範囲 > 5 - 10惑星半径では、通常はガス圧が影響をおよぼすほど大きくなることはない。惑星がロッシュローブオーバーフロー (Roche lobe overflow)を起こしていて大気散逸率が非常に大きい場合や、磁気圏内に衛星やリングなどの他のプラズマ源が存在する場合は影響を及ぼすほど大きくなる場合はある。
恒星風の磁気圧はあらわには含まれていない。しかし恒星風の磁気圧の部分は、恒星風磁場の微分値が重要であり、ほぼ一定の磁気圧の場合はスケーリングのオフセットを引き起こすだけであり全体の結果を大きく変える可能性は無いと考えられる。
これらの仮定では、ショック領域は狭いとしている。しかし今回の流体力学シミュレーションでは、マッハ数は M ~ 1.6 - 1.8とわずかに超音速であった。極超音速の条件をみたすためには、音速が 50 km s-1程度と非現実的なほど小さい値である必要がある。今回の計算では、ショック領域の幅は先行研究の仮定よりも 10 - 100倍広いものになった。
また、先行研究とは紫外線の吸収の取り扱いも異なっている。先行研究では、ショックを通過したガスは ~ 104 Kにまで冷却するとしているが、これは Lai et al. (2010)における "最も楽観的なケース" である。しかし Vidotto et al. (2010, 2011), Llama et al. (2011, 2013)では、冷却の機構については議論されていない。今回のモデルでは、輻射冷却は効率的ではない事が示された。従って ~ 104 Kへの冷却という仮定は正当ではないと考えられる。
ショックを通過したガスが、~ 106 Kから ~ 104 Kまで、105秒以下のタイムスケールで冷えるためのメカニズムが無い場合は、WASP-12bの近紫外線での強い吸収の特徴は説明出来ない。
磁気圏のバウショック以外での近紫外線領域での強い吸収の説明としては、ロッシュローブオーバーフローが挙げられる (Lai et al. 2010, Bisikalo et al. 2013)。ロッシュローブオーバーフローを起こしている段階の惑星の光度曲線の詳細は不明であり、現時点ではロッシュローブオーバーフローによるものと磁気圏でのバウショックによるものの区別は不可能である。しかし WASP-18bのような重い短周期惑星の場合は、ロッシュローブオーバーフロー説と磁気圏バウショック説の直接的な検証が可能であると考えられる。
WASP-18bは中心星 WASP-18が WASP-12と類似しており、惑星の軌道長半径と惑星半径も似ている。磁気圏でのバクショックによるという説の場合は、バウショックの影響は惑星質量には依存せず、近紫外線での光度曲線は恒星風の音速と惑星磁気圏の空間的広がりに依存する。従って、シミュレーションの結果とも合わせると、2つの説の区別は出来ない。
しかし WASP-18bは WASP-12bよりも 7.2倍も重く、ロッシュローブはその分大きいため、大量の大気散逸は起こすことが難しい。従って、WASP-12bと WASP-18bが同様の近紫外線での観測結果を示した場合は、ロッシュローブオーバーフローによるモデルでは説明が出来ない。なぜなら、WASP-18bからは WASP-12bほどの大量のロッシュローブオーバーフローを期待できないからである。そのためこの場合は磁気圏でのバウショックが原因だと推測できる。逆に、WASP-18bで近紫外線での吸収が無い場合は、磁気圏でのバウショックの影響は重要でないと推測できる。
arXiv:1512.01555
Alexander et al. (2015)
Magnetospheres of hot Jupiters: hydrodynamic models & ultraviolet absorption
(ホットジュピターの磁気圏:流体力学モデルと紫外線吸収)
概要
WASP-12bのようなホットジュピター周辺における、恒星風と惑星磁気圏の相互作用の流体力学シミュレーションを行った。標準的な恒星風に対して、惑星が数 G程度の磁場を持っている場合、典型的には 6 - 9惑星半径程度の磁気圏の空洞を形成することを明らかにした。バウショックは惑星磁気圏の前方に常に形成されるが、ショックの前面のガスはやや超音速な程度 (典型的なマッハ数 M ~ 1.6 - 1.8)であり、ショックは弱い。
このショック構造は紫外線での光度曲線に特徴的なシグナルを示す。軌道位相にして 可視光よりも10 - 20%程度早く始まる、広い吸収の特徴を示す。計算結果を元に再現した光度曲線は、WASP-12bでの観測結果と整合的なものであった。しかし要求される近紫外線領域での光学的深さ (τ ~ 0.1)は、ショックを通過したガスが急速に冷える時のみ実現できることが分かった。
さらにここでは、ショック通過後のガスからの輻射冷却は効率的ではないことを示す。上述の通り冷却が非常に効率的な場合はバウショック構造によるトランジットによって近紫外線領域での光度曲線を説明できるが、そうではないと考えられる。そのため、磁気圏のバウショックは観測されている近紫外線の光度曲線の原因では無いと考えられる。
最後に、このモデルをよく知られた別の二つのホットジュピター (WASP-18b、HD 209458b)に適用した。WASP-18bのような、比較的重く短周期の惑星の紫外線でのトランジット観測が、惑星周辺での吸収の原因の異なるモデルを区別するための直接的なテストになり得るという事が示唆された。
モデル
ここでは、ZEUS-2D 流体コード (Stone & Norman 1992)を用いて、恒星風と惑星磁気圏の相互作用を計算している。座標系は動径方向の rと、方位角方向の φの 2次元極座標である。計算グリッドはおおむね各グリッドが四角に近くなるように、すなわち Δr = r Δφ となるように区切っている。恒星風のモデルとしては、球対称で等温な、いわゆる Parker windモデルを用いている (Parker 1958, Cranmer 2004)。
惑星に関しては、円軌道、一定の公転角速度を仮定している。また ZEUS-2Dの流体の運動量保存の方程式の部分に、惑星の重力と磁場による加速項を追加している。ここでは公転軸と平行な双極子磁場の存在を仮定している。
議論
モデルでの仮定とその妥当性について
計算において、流体力学シミュレーションでの簡単化を行っている。その妥当性について議論する。恒星の運動・自転
まず、中心星の動きと自転の効果は無視している。惑星の軌道を固定して恒星の動きを無視するという簡単化は悪く無い。WASP-18bは比較的重く、惑星の質量と中心星の質量比が 7.78 × 10-3と大きいため、惑星の公転に伴う中心星の動きも大きくなる。しかしその場合でも恒星の重心周りの軌道長半径は、惑星の磁気圏のサイズより一桁は小さいため、結果を大きく変えることは無いと考えられる。また Vidotto et al. (2010)では、恒星風の回転の効果は重要だとしているが、かなり速い恒星の自転であっても影響は小さいと考えられる。WASP-12の自転速度は 26 km s-1である。角運動量が保存するという仮定をすれば、WASP-12bの軌道における恒星風の速度の方位角成分は < 10 km s-1である。一方、惑星の軌道速度は 228 km s-1であり、恒星風の回転の影響は十分小さい。
磁場の取り扱い
今回の流体計算では、磁気流体力学 (magnetohydrodynamics, MHD)は直接フルには解かず、惑星の磁場の影響のみを考慮している。ここでの取り扱いは、惑星の磁場が双極子磁場で、公転軸と揃っている場合のみ有効である。しかし興味のある範囲 (5 - 25惑星半径)では双極子成分が卓越すると考えられるため、結果を大きく変えることはないだろう。また、恒星磁場も無視している。一般に、惑星の磁気圏界面の位置は、
(恒星風の動圧) + (恒星風の熱圧力) + (恒星風の磁気圧) = (惑星磁気圏内のガス圧) + (惑星磁場の磁気圧)
の釣り合いから決まる。この中で、恒星風の動圧、恒星風の熱圧力、惑星磁場の磁気圧はシミュレーションの中にあらわに含まれている。惑星磁気圏内のガス圧はシミュレーションでは無視している。しかし興味のある範囲 > 5 - 10惑星半径では、通常はガス圧が影響をおよぼすほど大きくなることはない。惑星がロッシュローブオーバーフロー (Roche lobe overflow)を起こしていて大気散逸率が非常に大きい場合や、磁気圏内に衛星やリングなどの他のプラズマ源が存在する場合は影響を及ぼすほど大きくなる場合はある。
恒星風の磁気圧はあらわには含まれていない。しかし恒星風の磁気圧の部分は、恒星風磁場の微分値が重要であり、ほぼ一定の磁気圧の場合はスケーリングのオフセットを引き起こすだけであり全体の結果を大きく変える可能性は無いと考えられる。
先行研究との比較
今回得られた恒星風や磁気圏の状態の結果や光度曲線は、先行研究 (Vidotto et al. 2010, 2011, Llama et al. 2011, 2013)とは大きく異なる。これは、先行研究ではショック構造を陽に解いていないことが原因である。先行研究では代わりに極超音速 (hypersonic)、マッハ数 M >> 1というショックを仮定し、磁気圏半径においてランキン=ユゴニオの関係式を用いて計算を行っている。これらの仮定では、ショック領域は狭いとしている。しかし今回の流体力学シミュレーションでは、マッハ数は M ~ 1.6 - 1.8とわずかに超音速であった。極超音速の条件をみたすためには、音速が 50 km s-1程度と非現実的なほど小さい値である必要がある。今回の計算では、ショック領域の幅は先行研究の仮定よりも 10 - 100倍広いものになった。
また、先行研究とは紫外線の吸収の取り扱いも異なっている。先行研究では、ショックを通過したガスは ~ 104 Kにまで冷却するとしているが、これは Lai et al. (2010)における "最も楽観的なケース" である。しかし Vidotto et al. (2010, 2011), Llama et al. (2011, 2013)では、冷却の機構については議論されていない。今回のモデルでは、輻射冷却は効率的ではない事が示された。従って ~ 104 Kへの冷却という仮定は正当ではないと考えられる。
ショックを通過したガスが、~ 106 Kから ~ 104 Kまで、105秒以下のタイムスケールで冷えるためのメカニズムが無い場合は、WASP-12bの近紫外線での強い吸収の特徴は説明出来ない。
磁気圏のバウショック以外での近紫外線領域での強い吸収の説明としては、ロッシュローブオーバーフローが挙げられる (Lai et al. 2010, Bisikalo et al. 2013)。ロッシュローブオーバーフローを起こしている段階の惑星の光度曲線の詳細は不明であり、現時点ではロッシュローブオーバーフローによるものと磁気圏でのバウショックによるものの区別は不可能である。しかし WASP-18bのような重い短周期惑星の場合は、ロッシュローブオーバーフロー説と磁気圏バウショック説の直接的な検証が可能であると考えられる。
WASP-12bとWASP-18bの比較
今回の計算結果は、WASP-12bでの近紫外線での強い吸収は ~ 106 Kのマグネトシースによるものよりも、冷たい (~ 104 K)のロッシュローブオーバーフローによるという説を支持する。しかし現在のデータでは 2つの説を区別することは出来ない。WASP-18bは中心星 WASP-18が WASP-12と類似しており、惑星の軌道長半径と惑星半径も似ている。磁気圏でのバクショックによるという説の場合は、バウショックの影響は惑星質量には依存せず、近紫外線での光度曲線は恒星風の音速と惑星磁気圏の空間的広がりに依存する。従って、シミュレーションの結果とも合わせると、2つの説の区別は出来ない。
しかし WASP-18bは WASP-12bよりも 7.2倍も重く、ロッシュローブはその分大きいため、大量の大気散逸は起こすことが難しい。従って、WASP-12bと WASP-18bが同様の近紫外線での観測結果を示した場合は、ロッシュローブオーバーフローによるモデルでは説明が出来ない。なぜなら、WASP-18bからは WASP-12bほどの大量のロッシュローブオーバーフローを期待できないからである。そのためこの場合は磁気圏でのバウショックが原因だと推測できる。逆に、WASP-18bで近紫外線での吸収が無い場合は、磁気圏でのバウショックの影響は重要でないと推測できる。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.01747
Yamazaki et al. (2015)
Optical-infrared flares and radio afterglows from the tidal disruption of Jovian planets by their host star
(木星型惑星の中心星による潮汐破壊が起こす可視・赤外フレアと電波残光)
その結果、バブルの発生直後から発生する可視光・赤外線での放射と、それに引き続く電波での残光として観測されることが分かった。イベント発生直後に起きる可視・赤外領域での放射は、M31と大マゼラン雲における年に数回程度発生するイベントとして、広視野の可視・近赤外突発天体のサーベイで検出可能である。また、その後の電波の残光は 103-4年の間検出可能である。
このような、中心星による惑星の飲み込みや破壊の際の放射についての研究を行った。
arXiv:1512.01747
Yamazaki et al. (2015)
Optical-infrared flares and radio afterglows from the tidal disruption of Jovian planets by their host star
(木星型惑星の中心星による潮汐破壊が起こす可視・赤外フレアと電波残光)
概要
木星型惑星が、潮汐破壊されるほど中心星に近い場合は、破壊された惑星のデブリの流れは恒星表面に落下してエネルギーを注入し、膨張する高温プラズマのバブルを形成する。このバブルからの放射についての研究を行った。その結果、バブルの発生直後から発生する可視光・赤外線での放射と、それに引き続く電波での残光として観測されることが分かった。イベント発生直後に起きる可視・赤外領域での放射は、M31と大マゼラン雲における年に数回程度発生するイベントとして、広視野の可視・近赤外突発天体のサーベイで検出可能である。また、その後の電波の残光は 103-4年の間検出可能である。
研究背景
現実的な条件の元での非理想 MHDシミュレーションでは、重い原始惑星系円盤中では重力不安定によって木星質量の惑星を形成することが示されている (Inutsuka et al. 2010, Machida et al. 2011, Tsukamoto et al. 2015)。中心星に非常に近い場所まで移動してきたホットジュピターの多くは、中心星に飲み込まれるか (Sandquist et al. 1998)、潮汐破壊される (Gu et al. 2003)。ホットジュピターが検出されていない系では既にそれが起きた後である可能性もある (Rice et al. 2008, Inutsuka 2009, Ogihara et al. 2013, 2014)。このような、中心星による惑星の飲み込みや破壊の際の放射についての研究を行った。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02003
Jontof-Hutter et al. (2015)
Robust TTV Mass Measurements: Ten Kepler Exoplanets between 3 and 8 Earth Masses with Diverse Densities and Incident Fluxes
(TTVによる精密な質量測定:様々な密度と日射フラックスの 3 - 8地球質量の間の 10個のケプラー系外惑星)
解析を行って導出した 18の惑星の質量のうち、10の惑星質量が正確性のテストをパスした。これらの惑星は、ケプラー26 (KOI-250), ケプラー29 (KOI-738), ケプラー60 (KOI-2086), ケプラー105 (KOI-115), ケプラー307 (KOI-1576)の中にある惑星である。これらのうち、ケプラー105cの平均密度は地球と似た組成の場合の密度と整合的なものである。
その他の系でも強い TTVシグナルが検出された。しかしそれらの解析から推測された質量は外れ値に敏感であるか、独立して測定したトランジット時刻と整合的な解が見つからなかった。これらの惑星は、ケプラー49 (KOI-248), ケプラー57 (KOI-1270), ケプラー105 (KOI-115), ケプラー177 (KOI-523)の中にある惑星である。ケプラー177cの質量の上限値は、この惑星の平均密度が非常に低く 0.1 g cm-3であることを示唆する。
多くのケースでは、TTVからの軌道の復元における情報の縮退によって軌道離心率には強い制限はかけられない。解析したサンプル中の惑星の 5組のペアでは、永年相互作用が、惑星が取りうる軌道離心率の値の広い範囲における近点の一致を示唆する。またケプラー60の 3つの惑星では、ラプラス共鳴的な解を得た。しかし、秤動を起こしていない解もトランジット時刻のデータと合致する。
6つの惑星系においてこれまでより正確な中心星のパラメータの決定を行った。これにより惑星の密度の制限がかけられる。これらの系外惑星を、質量-半径図上にプロットした結果、海王星より小さい程度の惑星は幅広い平均密度を取り得ることが分かった。また、観測された平均密度の範囲の広さは、中心星から受け取る日射フラックスと反相関の関係にあることも分かった。
今回解析を行って密度を求めた惑星の中で最も高密のものはケプラー105cであり、地球のような岩石主体の密度と整合的である。この惑星は、純粋な岩石から成る場合よりも高密 (鉄コアを持つ)なスーパーアースの一員である。このような惑星は、これまでに知られている中では CoRoT-7b、HD 219134b、ケプラー10b、ケプラー20b、ケプラー36b、ケプラー78b、ケプラー89b、ケプラー93b、ケプラー99b、ケプラー138c、ケプラー406b、WASP-47cがある。
また、惑星質量が 30地球質量以下、半径が 1地球半径以上の惑星の、サイズと日射量の比較を行った。日射量が地球の 300倍を超えるような場合は半径のばらつき (すなわち密度のばらつき)が小さくなり、純粋な岩石を想定した場合に期待される半径 (Rrock)に近い値をとる。日射量が地球の 300倍より少ない場合は半径のばらつきが大きくなり、1Rrock - 6Rrock程度の広い範囲にばらついていることが分かった。したがって、スーパーアースの平均密度の分散は中心星から受ける日射強度と強い反相関の関係にある。
arXiv:1512.02003
Jontof-Hutter et al. (2015)
Robust TTV Mass Measurements: Ten Kepler Exoplanets between 3 and 8 Earth Masses with Diverse Densities and Incident Fluxes
(TTVによる精密な質量測定:様々な密度と日射フラックスの 3 - 8地球質量の間の 10個のケプラー系外惑星)
概要
ケプラーによるトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV)データより、8つの複数惑星系での惑星の力学的質量を測定した。解析を行って導出した 18の惑星の質量のうち、10の惑星質量が正確性のテストをパスした。これらの惑星は、ケプラー26 (KOI-250), ケプラー29 (KOI-738), ケプラー60 (KOI-2086), ケプラー105 (KOI-115), ケプラー307 (KOI-1576)の中にある惑星である。これらのうち、ケプラー105cの平均密度は地球と似た組成の場合の密度と整合的なものである。
その他の系でも強い TTVシグナルが検出された。しかしそれらの解析から推測された質量は外れ値に敏感であるか、独立して測定したトランジット時刻と整合的な解が見つからなかった。これらの惑星は、ケプラー49 (KOI-248), ケプラー57 (KOI-1270), ケプラー105 (KOI-115), ケプラー177 (KOI-523)の中にある惑星である。ケプラー177cの質量の上限値は、この惑星の平均密度が非常に低く 0.1 g cm-3であることを示唆する。
多くのケースでは、TTVからの軌道の復元における情報の縮退によって軌道離心率には強い制限はかけられない。解析したサンプル中の惑星の 5組のペアでは、永年相互作用が、惑星が取りうる軌道離心率の値の広い範囲における近点の一致を示唆する。またケプラー60の 3つの惑星では、ラプラス共鳴的な解を得た。しかし、秤動を起こしていない解もトランジット時刻のデータと合致する。
6つの惑星系においてこれまでより正確な中心星のパラメータの決定を行った。これにより惑星の密度の制限がかけられる。これらの系外惑星を、質量-半径図上にプロットした結果、海王星より小さい程度の惑星は幅広い平均密度を取り得ることが分かった。また、観測された平均密度の範囲の広さは、中心星から受け取る日射フラックスと反相関の関係にあることも分かった。
議論
今回解析を行った惑星の質量は、~ 3 - 8地球質量の範囲である。これらのサイズは 1.31 - 3.35地球半径の間の値を取るため、密度では一桁以上の差がある。これらを質量-半径図 (mass-radius diagram)上にプロットした。これらの惑星の中心星は、0.54太陽質量 (ケプラー26)から 1.04太陽質量 (ケプラー60)までの間にあるため、中心星の特性も大きなばらつきがある。今回解析を行って密度を求めた惑星の中で最も高密のものはケプラー105cであり、地球のような岩石主体の密度と整合的である。この惑星は、純粋な岩石から成る場合よりも高密 (鉄コアを持つ)なスーパーアースの一員である。このような惑星は、これまでに知られている中では CoRoT-7b、HD 219134b、ケプラー10b、ケプラー20b、ケプラー36b、ケプラー78b、ケプラー89b、ケプラー93b、ケプラー99b、ケプラー138c、ケプラー406b、WASP-47cがある。
また、惑星質量が 30地球質量以下、半径が 1地球半径以上の惑星の、サイズと日射量の比較を行った。日射量が地球の 300倍を超えるような場合は半径のばらつき (すなわち密度のばらつき)が小さくなり、純粋な岩石を想定した場合に期待される半径 (Rrock)に近い値をとる。日射量が地球の 300倍より少ない場合は半径のばらつきが大きくなり、1Rrock - 6Rrock程度の広い範囲にばらついていることが分かった。したがって、スーパーアースの平均密度の分散は中心星から受ける日射強度と強い反相関の関係にある。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1512.02141
Lubow & Martin (2015)
The Evolution of Planet-Disk Systems That Are Mildly Inclined to the Orbit of a Binary Companion
(伴星の軌道面に対してやや傾いている惑星-円盤系の進化)
一般的な傾向としては、円盤質量が非常に大きいか、円盤と惑星を隔てるギャップが非常に小さい場合を除けば、惑星と円盤は同一平面を保たない。また、惑星と円盤の相対的な傾きは永年振動 (secular oscillation)を起こすことが分かった。この振動の振幅は、初期の円盤質量が連星の合計質量の ~ 1%かそれ以下の場合、初期の円盤平面の連星軌道面からの角度と関係している。永年共鳴の効果と円盤角度の減衰が、惑星-円盤のずれを増加させる。
円盤質量が惑星質量より大きい場合は永年共鳴の効果は重要な役割を果たす。もし円盤質量が十分に大きい場合は、進化の後期段階において、惑星による円盤ガスの降着は惑星軌道面と円盤面を揃わせる方向にはたらく。
これらの結果は連星系における重い惑星の進化についていくつかの示唆を与える。
arXiv:1512.02141
Lubow & Martin (2015)
The Evolution of Planet-Disk Systems That Are Mildly Inclined to the Orbit of a Binary Companion
(伴星の軌道面に対してやや傾いている惑星-円盤系の進化)
概要
連星系を成している天体の周囲にあり、なおかつ伴星の軌道面とややずれている、惑星-円盤系の進化について調べた。惑星と原始惑星系円盤は初めは同一平面上に存在しているとし、惑星と円盤の進化を解析的手法と流体力学シミュレーションから調べた。一般的な傾向としては、円盤質量が非常に大きいか、円盤と惑星を隔てるギャップが非常に小さい場合を除けば、惑星と円盤は同一平面を保たない。また、惑星と円盤の相対的な傾きは永年振動 (secular oscillation)を起こすことが分かった。この振動の振幅は、初期の円盤質量が連星の合計質量の ~ 1%かそれ以下の場合、初期の円盤平面の連星軌道面からの角度と関係している。永年共鳴の効果と円盤角度の減衰が、惑星-円盤のずれを増加させる。
円盤質量が惑星質量より大きい場合は永年共鳴の効果は重要な役割を果たす。もし円盤質量が十分に大きい場合は、進化の後期段階において、惑星による円盤ガスの降着は惑星軌道面と円盤面を揃わせる方向にはたらく。
これらの結果は連星系における重い惑星の進化についていくつかの示唆を与える。

