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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1910.06882
Turner et al. (2019)
Detection of ionized calcium in the atmosphere of the ultra-hot Jupiter KELT-9b
(ウルトラホットジュピター KELT-9b の大気中の電離カルシウムの検出)

概要

ウルトラホットジュピター KELT-9b は,昼側の温度が 4500 K を超える.これは中期 K 型星と同程度の温度であり,知られている中では最も高温の系外惑星である.極端に高温なため,この惑星は巨大ガス惑星の性質と多様性を調査するための特に興味深い対象である.

ここでは,Calar Alto 3.5 m 望遠鏡の CARMENES を用いて,高スペクトル分解能 (R~94600) でトランジット観測を行った.この観測データから,この惑星の大気から初めて電離したカルシウム (Ca II triplet) の吸収を検出した.ホットジュピターの大気中から Ca II が検出されたのはこれが 2 例目である.

今回の観測では Hα の吸収の存在も確認し,この惑星の広がった水素エンベロープの存在を確認した

今回の検出を大気モデルと比較した.
検出された 4 つのスペクトル線は大気温度が 6100 K から 8000 K の領域に由来しており,Ca II 線は大気の圧力が 50-100 nbar の領域に由来する一方,Hα 線はより低圧 (~10 nbar) の高層大気から来ていると推定される.

Hα 線のラインコアの元となっている高度は 1.33 惑星半径であり,これは惑星のロッシュローブである ~1.91 惑星半径よりは十分内側である.したがって,これは高層大気の散逸を直接見ているわけではなく,Hα 線とその他の観測されたバルマー線,金属原子のスペクトル線は,惑星大気の温度分布,すなわちエネルギー収支を探査することを可能とする大気の温度計として使えることを示す.

KELT-9 の観測

中心星の KELT-9 は A0V/B9V 星であり,惑星 KELT-9b は 0.034 au の距離を公転している (Gaudi et al. 2017).この惑星は,これまで発見されている中で最も高温な系外惑星である.

惑星が非常に高温であることから,金属の吸収線といくつかの近紫外線の共鳴線が,惑星大気の透過スペクトル中に見られるはずと予想されていた (Kitzmann et al. 2018).

鉄原子および鉄イオンは後に HARPS-N の観測で検出された (Hoeijmakers et al. 2018, 2019).また Yan & Henning (2018) は Hα 線での観測で ~1.64 惑星半径まで広がった水素大気を CARMENES 分光器の観測から報告している.この Hα 検出は後に,Cauley et al. (2019) で確認されている.

また HARPS-N を用いた高分散可視光スペクトルがこの惑星のトランジット中に取得され,惑星大気によるロシター効果の検出が報告された.これに合わせて,14 の原子種がこの惑星の大気から検出されたことも報告された.

ここでは,大気中の Ca II (カルシウムイオン) の探査を行った.
Ca II は,ホットジュピターの大気中に存在することが予測されている.スーパーアースである 55 Cnc e (かに座55番星e) では検出が報告されている (Ridden-Harper et al. 2016).また,ホットジュピター KELT-20b でも検出されている (Casasayas-Barris et al. 2019).

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