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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1802.04284
Blank et al. (2018)
A Multi-Year Search For Transits Of Proxima Centauri. I: Light Curves Corresponding To Published Ephemerides
(プロキシマ・ケンタウリのトランジットの複数年の探索.I:公開された天体暦に対応する光度曲線)

概要

Anglada-Escude ́ et al. (2016) によって視線速度法で系外惑星プロキシマb の検出が報告されて以降,プロキシマ・ケンタウリ (Proxima Centauri) は集中的な研究の対象となっている.

プロキシマb は,M 型星プロキシマ・ケンタウリの周りを 11.2 日周期で公転する惑星である.もしプロキシマb が中心星をトランジットしていた場合,プロキシマb の視線速度法とは独立した確認を行うことができる.またトランジットを検出出来た場合,惑星の質量と半径を測定することが出来る.

現在までに,プロキシマ・ケンタウリの光度曲線中にトランジット状のイベントを検出したという,3 つの独立した主張が存在する.それぞれ,MOST 衛星によるもの (2014 - 2015 年の観測),南極の BSST 望遠鏡によるもの (2016 年の観測),Las Campanas Observatory によるもの (2016 年の観測) である.

トランジットが検出された可能性があるというこれらの主張は,中心星に起因する変動性や,ノイズの大きい地上観測であること,また光度曲線の観測時間が限られているという制約が存在する影響により,未だに暫定的なものに留まっている.


ここでは,全地球上の複数の望遠鏡を用いた,2006 - 2017 年に渡るプロキシマ・ケンタウリの測光モニタリングキャンペーンの暫定的な結果について報告する.合計で 329 の観測データセットを解析した.

これまでに公開された暫定的なトランジット検出のデータと合わせて解析した結果,これまでのトランジット検出の主張を独立に検証することはできない.しかし過去に報告された,遍在していて複雑な中心星の変動性の存在を検証した.

これまでの検出の主張に照らして観測データの可能な解釈について議論し,視線速度で発見された惑星に対応するトランジットの存在を,明確に検証したりあるいは否定することが出来るような,観測データの将来的な分析についても議論を行う.

プロキシマb のトランジットについて

プロキシマ・ケンタウリを公転する系外惑星プロキシマb は,Anglada-Escudé ́ et al. (2016) によって発見が報告された.発見は視線速度法を用いて行われた.また,プロキシマb のトランジット状のシグナルは,Kipping et al. (2017),Liu et al. (2017),Li et al. (2017) でそれぞれ報告されている.

Anglada-Escudé ́ et al. (2016) による発見

Anglada-Escudé ́ et al. (2016) では,16 年に渡る 216 セットの視線速度観測データを元に,プロキシマb の発見を報告した.軌道周期は 11.186 日,最小質量は ~ 1.27 地球質量と推定された,

軌道がランダムな配置であった場合のトランジット確率は 1.5% と推定された.
プロキシマb の真の質量が視線速度観測からの最小質量と同じであると仮定し,また地球と同じ密度を持つことを仮定すると,予想されるプロキシマb のトランジット深さは ~ 0.5% と推定される.

また,60 - 500 日の範囲の周期を持つ,別の惑星によると思われるシグナルの兆候が視線速度データ中に見られることも報告している.

Damasso & Del Sordo (2017) による再解析と確認

Damasso & Del Sordo (2017) は Anglada-Escudé ́ et al. (2016) のデータの再解析を行っている.
再解析から,軌道周期は 11.1855 日,軌道長半径は e = 0.17 (+0.21, -0.12) と推定されている.

また,Anglada-Escudé ́ et al. (2016) で報告されていた,さらなる惑星シグナルの可能性については否定的な結果を示している.

Kipping et al. (2017) による測光観測

Kipping et al. (2017) は,広帯域での可視光測光観測を MOST 宇宙望遠鏡を用いて行った.観測は,2014 年に 12.5 日間,2015 年に 31 日間行われた.

また Anglada-Escudé ́ et al. (2016) のデータを再解析し,軌道周期は 11.1856 日と推定した.

Kipping et al. (2017) の行った測光観測からは,光度曲線中にトランジット的なシグナルが検出された.
この結果を GP+transit モデルを用いて,トランジット位相についての前情報無しでモデル化を行った.しかしこの場合,視線速度の解と調和させるのは困難であることを指摘している.

トランジット位相について,事前情報ありでモデル化した結果,視線速度での観測結果とは 1.5 σ の整合性であった.ただしその他のモデルでも試したが,視線速度と一致するようなトランジットのモデルを得ることは出来なかった.

Liu et al. (2017) による測光観測

Liu et al. (2017) では,南極の Kunlun Station Dome A にある Bright Star Survey Telescope (BSST) を用いた測光観測の結果が報告されている.この観測は,2016 年 8 月 29 日から 9 月 21 日までの 10 夜の観測である.

その結果,2.5 σ の信頼度で光度曲線中にトランジット状のイベントが検出された,このトランジット的なシグナルの発生時刻は,視線速度観測から予想される天体暦とは 1 σ 程度の違いを示す.また,Kipping et al. (2017) でのモデルの一つから予測される時期よりも 138 分遅くシグナルが発生している.

トランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) では,17 - 39 分のトランジット時刻の変化が起こり得る.プロキシマb と 2:1 か 3:2 平均運動共鳴にある地球質量の天体が存在した場合,プロキシマの視線速度変動を 3 m/s 未満に押さえつつ,TTV を 30 分程度以上にできることが指摘されている.

Li et al. (2017) による測光観測

Li et al. (2017) は,減光の大きさが 0.5% の単一のトランジット状シグナルを検出した.観測は,Las Campanas Observatory の 30 cm 望遠鏡を用いた,23 夜の測光観測である.

検出されたトランジット状イベントの継続時間は,おおよそ 1 時間であった.このトランジット状イベントが実際に惑星のトランジットによるものだと仮定すると,トランジットモデルからはその惑星の軌道周期は 2 - 4 日と推定された (この軌道周期はプロキシマb とは異なるため,プロキシマb ではない別の惑星も存在することを示唆する).

さらに,この別の惑星の惑星質量は 0.4 地球質量未満である必要があることも指摘している.これは,Anglada-Escudé ́ et al. (2016) での視線速度観測では 2- 4 日周期のシグナルは未検出であるという制約から来るものである.

観測に用いた望遠鏡

・西オーストラリア・Bickley のパース天文台にある,Real Astronomy Experience (RAE) Robotic Telescope (2006 - 2008 年)

・0.4 m と 0.6 m 望遠鏡で世界的に運用される Skynet.今回の観測の多くはこれらの望遠鏡を使用.チリ・セロトロロ,オーストラリア・ニューサウスウェールズのサイディング・スプリング天文台,西オーストラリア・パースにある望遠鏡.

・Kilo degree Extremely Little Telescope (KELT) のフォローアップネットワーク (KELT-FUN) の,Hazelwood,Ellinbank,Mt. Kent CDK700,Ivan Curtis Observatory (ICO).

結果

プロキシマ・ケンタウリのフレアは紫外線から可視光波長の範囲に渡って顕著だが,青い色は恒星の光球に比べて確かに強い.そのため観測には R パスバンドを選択し,測光観測へのフレアの影響の低減を試みた.

しかし,機器の系統,フレア,また ~ 0.5% 程度の変動で ~ 20 分程度ごとに発生すると予測されている低エネルギーフレア (Davenport et al. 2016) は,今回の測光データの中でも顕著に現れた.

データのリダクションと解析の結果,0.5 - 2.0% のレベルの光度曲線データを得た.全体的な結果としては,全てのデータから過去のトランジット観測の個別の確認を行うことは出来なかった.しかし,過去に報告されていた中心星の変動の遍在と複雑性については確認された.

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