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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1805.07415
Komacek & Tan (2018)
Effects of dissociation/recombination on the day-night temperature contrasts of ultra-hot Jupiters
(ウルトラホットジュピターの昼夜間温度差における解離・再結合の効果)

概要

最近のウルトラホットジュピターの観測からは,ウルトラホットジュピターの大気中では,低温惑星の大気では発生しないような物理過程が発生している様子が明らかにされている.

二次食 (secondary eclipse) の分光観測からは,ウルトラホットジュピターは 1.1 - 1.7 µm の波長域でスペクトルが特徴に欠けていることが分かっている (Arcangeli et al. 2018,Kreidberg et al. 2018,Mansfield et al. 2018).これはおそらく,解離した水素による連続的な不透明度が原因である (Bell et al. 2017,Lothringer et al. 2018,Parmentier et al. 2018).最近 Bell & Cowan (2018) によって,水素原子が高温の昼側から比較的低温の夜側へ運ばれた際に,水素原子が水素分子へと再結合することで大きな熱が解放され,夜側の大気を温めることが理論的示された.
興味深いことに,ウルトラホットジュピター WASP-103b (Kreidberg et al. 2018) と WASP-33b (Zhang et al. 2018) の最近の位相曲線観測では,位相曲線は比較的小さい振幅を示しており,このことは昼夜間の温度差を減少させる過程が存在していることを示唆している.ここでは,ウルトラホットジュピターの昼夜温度差を解析的な理論を用いて予測した.この理論は Komacek & Showman (2016),Zhang & Showman (2017),Komacek et al. (2017) の手法をアップデートしたものであり,水素分子の解離・再結合,冷却・加熱および大気の平均分子量の変化を含むモデルである新しいモデルでは,Komacek & Showman (2016) の熱力学エネルギー方程式に,以下のエネルギー項を追加した.
\[
\frac{Q_{\rm recomb}}{c_{p}}=\frac{Uq_{\rm bond}\eta_{H}\left(T\right)}{c_{p}\left(T\right)a}
\]
\(U\) は東西風の風速であり,スケールされた運動量方程式を用いて整合的に解かれたものである.また,\(a\) は惑星の半径,\(q_{\rm bond}\) = 2.14 × 108 J kg-1 は水素の解離エネルギー (Bell & Cowan 2018),\(\eta_{H}\left(T\right)\) は水素原子の質量混合率で,モル混合比から計算している.さらに,\(c_{p}\left(T\right)\) は水素分子と水素原子混合ガスの比熱容量を表している.

水素分子の解離は昼側の大気の平均分子量を減少させるため,昼夜間の圧力勾配を増加させる.この効果を,水平方向のジオポテンシャルの差を改良し,昼夜間での比気体定数の違いを考慮することによってモデルに取り入れる.

Komacek et al. (2017) と同様に,昼側と夜側の温度差を,入射フラックスおよび摩擦抵抗のタイムスケールという 2 つの制御パラメータの関数として解く.これらを元に,惑星の表面温度を変えた際の昼夜間の温度差の変化を取り扱う.
摩擦抵抗のタイムスケールは,無限大 (摩擦が働かない) と,104 秒の 2 つで計算を行った.

水素の解離と再結合を無視した場合は,昼夜間の温度差を昼側の温度で規格化した値は,惑星の平衡温度を上げるにつれて大きくなる.しかし解離と再結合の効果を考慮した場合は,非常に高温な領域になると昼夜間温度差は減少に転じることが分かった.これは昼側で解離した水素が夜側で再結合してエネルギーを解放し,夜側を加熱するためである.

ただし,ここで考慮しているよりもさらに高温の惑星 (KELT-9b など) では,夜側の水素も部分的に解離し始めるため,夜側が完全に水素分子で構成されているというここでの理論的な仮定は成り立たない可能性がある.

今回考えている温度範囲内では,ウルトラホットジュピターで観測されている比較的小さい位相曲線の振幅は,水素の解離・再結合の効果で説明することが出来ることをこのモデルは示している.これは Bell & Cowan (2018) での予測の通りである.

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