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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.10010
Damiano et al. (2018)
Near-IR transmission spectrum of HAT-P-32 b using HST/WFC3
(HST/WFC3 を用いた HAT-P-32b の近赤外透過スペクトル)
観測結果からトランジットスペクトルを抽出するために,異なる解析メソッドを使用した.パラメトリックな手法と,非パラメトリック (Independent Component Analysis, ICA) な手法の両方である.それぞれの結果の比較を行った.
最終的に得られたスペクトルは,全て 0.5σ 以内で整合的な結果となった.ICA を用いた場合の結果の不定性は,パラメトリックな手法を用いた場合よりもファクター ~ 1.6 - 1.8 大きくなった.この違いは,パラメトリックな手法と比較すると,ICA を用いた場合は機器の系統についての何らかの仮定が存在しないため,解析の客観性が高くなることとのトレードオフとして不定性が高くなることに起因する.そのため,ICA で得られたエラーバーは悪いケースの推定に相当する.
得られた透過スペクトルを解釈するため,ベイズ解析スペクトル復元コード T -REx を使用した.
その結果,大気中に水蒸気が存在すると考えた場合と整合的なスペクトルであることが分かった,水蒸気の混合比は log H2O = -3.45 (+1.83, -1.65) と推定される,
また,大気中の雲の存在とも整合的な結果であった.雲頂は 5.16 - 1.73 bar の圧力領域に位置していると推定される.
大気中の水蒸気の混合比と雲の存在とを非相関化し,この惑星の大気中に存在するであろうその他の分子種を同定するためには,より広い波長での分光データが必要である.
これまでに,地上からの可視光領域でのトランジット分光観測が行われている,その結果は,特徴に欠けた透過スペクトルであることが分かっている (Gibson et al. 2013,Zhao et al. 2014,Nortmann et al. 2016,Mallonn & Strassmeier 2016).
また,Zhao et al. (2014) では二次食 (secondary eclpse) の観測結果の解釈として,この惑星の大気中に温度逆転層の存在を示唆している.
今回は,Hartman et al. (2011) で得られた ハッブル宇宙望遠鏡/WFC3 での近赤外線トランジットスペクトルのデータの解析を行った.
arXiv:1802.10010
Damiano et al. (2018)
Near-IR transmission spectrum of HAT-P-32 b using HST/WFC3
(HST/WFC3 を用いた HAT-P-32b の近赤外透過スペクトル)
概要
ハッブル宇宙望遠鏡の Wide Field Camera 3 を用いた,ホットジュピター HAT-P-32b の近赤外線トランジットスペクトルの分析について報告する.この惑星は,これまでに発見されている中で最も膨張した半径を持つ系外惑星の一つである.そのため,惑星大気のトランジット分光測定の非常に良いターゲットである.観測結果からトランジットスペクトルを抽出するために,異なる解析メソッドを使用した.パラメトリックな手法と,非パラメトリック (Independent Component Analysis, ICA) な手法の両方である.それぞれの結果の比較を行った.
最終的に得られたスペクトルは,全て 0.5σ 以内で整合的な結果となった.ICA を用いた場合の結果の不定性は,パラメトリックな手法を用いた場合よりもファクター ~ 1.6 - 1.8 大きくなった.この違いは,パラメトリックな手法と比較すると,ICA を用いた場合は機器の系統についての何らかの仮定が存在しないため,解析の客観性が高くなることとのトレードオフとして不定性が高くなることに起因する.そのため,ICA で得られたエラーバーは悪いケースの推定に相当する.
得られた透過スペクトルを解釈するため,ベイズ解析スペクトル復元コード T -REx を使用した.
その結果,大気中に水蒸気が存在すると考えた場合と整合的なスペクトルであることが分かった,水蒸気の混合比は log H2O = -3.45 (+1.83, -1.65) と推定される,
また,大気中の雲の存在とも整合的な結果であった.雲頂は 5.16 - 1.73 bar の圧力領域に位置していると推定される.
大気中の水蒸気の混合比と雲の存在とを非相関化し,この惑星の大気中に存在するであろうその他の分子種を同定するためには,より広い波長での分光データが必要である.
HAT-P-32b について
HAT-P-32b は,平衡温度が 1786 K のホットジュピターである (Hartman et al. 2011).0.79 木星質量,1.789 木星半径と,最も膨張した半径を持つ部類のホットジュピターである.これまでに,地上からの可視光領域でのトランジット分光観測が行われている,その結果は,特徴に欠けた透過スペクトルであることが分かっている (Gibson et al. 2013,Zhao et al. 2014,Nortmann et al. 2016,Mallonn & Strassmeier 2016).
また,Zhao et al. (2014) では二次食 (secondary eclpse) の観測結果の解釈として,この惑星の大気中に温度逆転層の存在を示唆している.
今回は,Hartman et al. (2011) で得られた ハッブル宇宙望遠鏡/WFC3 での近赤外線トランジットスペクトルのデータの解析を行った.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.10067
Skowron et al. (2018)
OGLE-2017-BLG-0373Lb: A Jovian Mass-Ratio Planet Exposes A New Accidental Microlensing Degeneracy
(OGLE-2017-BLG-0373Lb:木星質量比惑星が予期せぬマイクロレンズ縮退を顕在化させる)
光度曲線を解析した結果,惑星を持っているレンズ系は明白なマイクロレンズトポロジーを持つ一方で,このトポロジー内でデータを同じように良くフィットする 2 つの配置があることを示す.その 2 つの解は,惑星と中心星の質量比が 2.5 倍異なり,それぞれ 1.5 × 10-3 と 0.6 × 10-3 である.
今回の解の縮退は,観測データにギャップが存在することが原因の「偶発的な縮退」であることを示す.我々はこれを “caustic-chirality degeneracy” と呼称する.ここでは,この縮退の数学的な起源について追求した.これにより,将来的に同様の縮退した系を簡単に見つけることができると考えられる.
銀河モデルに基づいたベイズ推定を行った結果,中心星の質量は 0.25 (+0.30, -0.15) 太陽質量,レンズ天体までの距離は 5.9 (+1.3, -1.95) kpc と推定される.
レンズ天体とソース天体の相対固有運動は比較的速く,9 mas yr-1 である.そのため,およそ 10 年後に高分解能撮像観測を行うことによって,中心星の質量と距離が決定できる可能性がある.同じ観測によって,原理的には惑星と恒星の質量比の縮退を解くことができるが,実際には困難だろうと考えられる.
arXiv:1802.10067
Skowron et al. (2018)
OGLE-2017-BLG-0373Lb: A Jovian Mass-Ratio Planet Exposes A New Accidental Microlensing Degeneracy
(OGLE-2017-BLG-0373Lb:木星質量比惑星が予期せぬマイクロレンズ縮退を顕在化させる)
概要
重力マイクロレンズ惑星 OGLE-2017-BLG-0373Lb の発見を報告する.光度曲線を解析した結果,惑星を持っているレンズ系は明白なマイクロレンズトポロジーを持つ一方で,このトポロジー内でデータを同じように良くフィットする 2 つの配置があることを示す.その 2 つの解は,惑星と中心星の質量比が 2.5 倍異なり,それぞれ 1.5 × 10-3 と 0.6 × 10-3 である.
今回の解の縮退は,観測データにギャップが存在することが原因の「偶発的な縮退」であることを示す.我々はこれを “caustic-chirality degeneracy” と呼称する.ここでは,この縮退の数学的な起源について追求した.これにより,将来的に同様の縮退した系を簡単に見つけることができると考えられる.
銀河モデルに基づいたベイズ推定を行った結果,中心星の質量は 0.25 (+0.30, -0.15) 太陽質量,レンズ天体までの距離は 5.9 (+1.3, -1.95) kpc と推定される.
レンズ天体とソース天体の相対固有運動は比較的速く,9 mas yr-1 である.そのため,およそ 10 年後に高分解能撮像観測を行うことによって,中心星の質量と距離が決定できる可能性がある.同じ観測によって,原理的には惑星と恒星の質量比の縮退を解くことができるが,実際には困難だろうと考えられる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.09276
Tingay et al. (2018)
A Serendipitous MWA Search for Narrow-band and Broad-band Low Frequency Radio Transmissions from 1I/2017 U1 'Oumuamua
(オウムアムアからの狭帯域と広帯域の低周波数電波放射の偶然の MWA による探査)
オウムアムアは特異な軌道と形態的な特性を持っているため,オウムアムアは恒星間の宇宙機であるという,興味深いがとても有り得そうもない説も提唱されている.これに基いて,オウムアムアに関連した知的生命の兆候を示す可能性のあるシグナルが存在しないか調査を行った.
ここでは,電波データ中に,
1) インパルス性の狭帯域シグナル
2) 持続的な狭帯域シグナル
3) インパルス性の広帯域シグナル
が存在するかどうか調査した.
その結果,地球起源ではない電波シグナルは検出されなかった.
なお,1.1–11.6 GHz での SETI 観測 (Enriquez et al. 2018) でも,オウムアムアからの特徴的な電波は検出されていない.観測結果を元に,オウムアムアからの Equivalent Isotropic Radiated Power (EIRP,等価等方輻射電力) の上限値について,各ケース別に 1) 7 kW,2) 840 W,3) 100 kW という値を与えた.これらの送信機電力は十分に人間の技術能力の範囲内であるため,地球外文明にとっても妥当な値である.
地球外知的生命探査 (Search for Extraterrestrial Intelligence, SETI) 実験でポジティブな結果が検出される可能性は非常に小さいが,MWA や将来の Square Kilometre Array (SKA) のような次世代電波望遠鏡は,ある種の SETI 実験を容易にし,さらに天体物理観測の観点でも小さな副産物を得ることが可能である.
このことは,将来の SETI 実験のコストは非常に小さいことを意味し,大きなターゲットリストを観測することによって,低確率であるポジティブな検出率と,部分的にはバランスをとることが可能である.
arXiv:1802.09276
Tingay et al. (2018)
A Serendipitous MWA Search for Narrow-band and Broad-band Low Frequency Radio Transmissions from 1I/2017 U1 'Oumuamua
(オウムアムアからの狭帯域と広帯域の低周波数電波放射の偶然の MWA による探査)
概要
Murchison Widefield Array (マーチソン・ワイドフィールド・アレイ,MWA) の 72 - 102 MHz 波長域で 2017 年 11 月 28 日に取得したデータを調査した.この時,恒星間天体 1I/2017 U1 ‘Oumuamua (オウムアムア) が観測視野中に偶然含まれている.オウムアムアの観測は,時間分解能が 0.5 秒,周波数分解能は 10 kHz であった.オウムアムアは特異な軌道と形態的な特性を持っているため,オウムアムアは恒星間の宇宙機であるという,興味深いがとても有り得そうもない説も提唱されている.これに基いて,オウムアムアに関連した知的生命の兆候を示す可能性のあるシグナルが存在しないか調査を行った.
ここでは,電波データ中に,
1) インパルス性の狭帯域シグナル
2) 持続的な狭帯域シグナル
3) インパルス性の広帯域シグナル
が存在するかどうか調査した.
その結果,地球起源ではない電波シグナルは検出されなかった.
なお,1.1–11.6 GHz での SETI 観測 (Enriquez et al. 2018) でも,オウムアムアからの特徴的な電波は検出されていない.観測結果を元に,オウムアムアからの Equivalent Isotropic Radiated Power (EIRP,等価等方輻射電力) の上限値について,各ケース別に 1) 7 kW,2) 840 W,3) 100 kW という値を与えた.これらの送信機電力は十分に人間の技術能力の範囲内であるため,地球外文明にとっても妥当な値である.
地球外知的生命探査 (Search for Extraterrestrial Intelligence, SETI) 実験でポジティブな結果が検出される可能性は非常に小さいが,MWA や将来の Square Kilometre Array (SKA) のような次世代電波望遠鏡は,ある種の SETI 実験を容易にし,さらに天体物理観測の観点でも小さな副産物を得ることが可能である.
このことは,将来の SETI 実験のコストは非常に小さいことを意味し,大きなターゲットリストを観測することによって,低確率であるポジティブな検出率と,部分的にはバランスをとることが可能である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.08865
Brahm et al. (2018)
EPIC247098361b: a transiting warm Saturn on an eccentric P=11.2 days orbit around a V=9.9 star
(EPIC247098361b:V = 9.9 の恒星の周りの P = 11.2 日の離心軌道にあるトランジットするウォームサターン)
この惑星は,質量が 0.397 木星質量,半径は 1.00 木星半径で,軌道長半径は 0.1036 AU とやや大きいため,平衡温度もやや低く 1030 K である.中心星は V = 9.9 と明るい F 型星で,軌道離心率が 0.258 の軌道を公転している,軌道周期は 11.2 日である.
等級が 10 よりも明るい恒星を公転するウォームジュピターのうち,物理パラメータがよく特徴付けられているものは僅かであり,この惑星はその 4 個のうちの 1 個となる.
惑星の重元素存在量は 20 ± 7 地球質量と推定される,この値は,巨大惑星形成のスタンダードなモデルと整合的なものである.
中心星 EPIC 247098361 は明るいため,追加観測の対象として適している.また,中心星からやや離れた軌道にある巨大惑星の大気と軌道進化の研究対象としても興味深い対象である.
中心星からやや離れている (0.1 AU 以上) ため,ウォームジュピターの内部構造は,ホットジュピターほどは潮汐・磁場・輻射機構からの影響を受けない.そのため,巨大惑星の内部組成と,それが惑星系の全体的な性質 (恒星質量,金属量,惑星の数) に対してどのような依存性を持つかを,理論的モデルを用いてより直接的に調べることができる.
同様に,一般にウォームジュピターでは惑星と恒星の相互作用があまり強くないため,ウォームジュピターの spin-orbit angle (恒星の自転軸と惑星の公転軸の角度) の分布を研究することで,高軌道離心率惑星移動モデルによる予測を検証することができる (Petrovich & Tremaine 2016).
しかし,明るい恒星まわりのウォームジュピターの検出には強い検出バイアスが存在する.惑星がトランジットを起こす確率は軌道長半径に反比例するため,検出できる可能性が低くなる.さらに,軌道周期が 10 日よりも長い惑星をトランジットで検出するための duty cycle は,典型的な地上サーベイにとっては高すぎるという問題がある.
有効温度:6154 K
金属量:[Fe/H] = 0.10
質量:1.192 太陽質量
半径:1.161 太陽半径
光度:1.718 太陽光度
年齢:12.6 億歳
軌道離心率:0.258
質量:0.397 木星質量
半径:1.000 木星半径
平衡温度:1030 K
軌道長半径:0.10355 AU
arXiv:1802.08865
Brahm et al. (2018)
EPIC247098361b: a transiting warm Saturn on an eccentric P=11.2 days orbit around a V=9.9 star
(EPIC247098361b:V = 9.9 の恒星の周りの P = 11.2 日の離心軌道にあるトランジットするウォームサターン)
概要
ケプラーの K2 ミッションで得られた測光データと地上からの分光観測から,EPIC 247098361b を発見した.この惑星は,質量が 0.397 木星質量,半径は 1.00 木星半径で,軌道長半径は 0.1036 AU とやや大きいため,平衡温度もやや低く 1030 K である.中心星は V = 9.9 と明るい F 型星で,軌道離心率が 0.258 の軌道を公転している,軌道周期は 11.2 日である.
等級が 10 よりも明るい恒星を公転するウォームジュピターのうち,物理パラメータがよく特徴付けられているものは僅かであり,この惑星はその 4 個のうちの 1 個となる.
惑星の重元素存在量は 20 ± 7 地球質量と推定される,この値は,巨大惑星形成のスタンダードなモデルと整合的なものである.
中心星 EPIC 247098361 は明るいため,追加観測の対象として適している.また,中心星からやや離れた軌道にある巨大惑星の大気と軌道進化の研究対象としても興味深い対象である.
ウォームジュピターの特性
トランジットするウォームジュピター (ここでは周期が 10 日より長い巨大惑星) は,惑星や軌道進化の研究対象として興味深い存在である.中心星からやや離れている (0.1 AU 以上) ため,ウォームジュピターの内部構造は,ホットジュピターほどは潮汐・磁場・輻射機構からの影響を受けない.そのため,巨大惑星の内部組成と,それが惑星系の全体的な性質 (恒星質量,金属量,惑星の数) に対してどのような依存性を持つかを,理論的モデルを用いてより直接的に調べることができる.
同様に,一般にウォームジュピターでは惑星と恒星の相互作用があまり強くないため,ウォームジュピターの spin-orbit angle (恒星の自転軸と惑星の公転軸の角度) の分布を研究することで,高軌道離心率惑星移動モデルによる予測を検証することができる (Petrovich & Tremaine 2016).
しかし,明るい恒星まわりのウォームジュピターの検出には強い検出バイアスが存在する.惑星がトランジットを起こす確率は軌道長半径に反比例するため,検出できる可能性が低くなる.さらに,軌道周期が 10 日よりも長い惑星をトランジットで検出するための duty cycle は,典型的な地上サーベイにとっては高すぎるという問題がある.
パラメータ
EPIC 247098361
等級:V = 9.899有効温度:6154 K
金属量:[Fe/H] = 0.10
質量:1.192 太陽質量
半径:1.161 太陽半径
光度:1.718 太陽光度
年齢:12.6 億歳
EPIC 247098361b
軌道周期:11.168454 日軌道離心率:0.258
質量:0.397 木星質量
半径:1.000 木星半径
平衡温度:1030 K
軌道長半径:0.10355 AU
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1802.08868
Quarles et al. (2018)
Stability Limits of Circumbinary Planets: Is There a Pile-up in the Kepler CBPs?
(周連星惑星の安定限界:ケプラー CBP の累積は存在するか?)
ここでは Holman & Wiegert (1999) の研究を拡張し,高速・簡易で正確な安定性限界の決定を行うことが出来る数値ツールを開発した.150 万回程度の,初期に円軌道で同一平面の系の完全な N 体シミュレーションに基づくグリッド補完法を使用した.
この結果を,ケプラーで発見されている CBP 系 9 個と比較した.その結果,ケプラーの CBP 系の 55% は,発見されている周連星惑星よりもさらに内側の軌道に,等質量のさらなる惑星が存在できる事を発見した.そのため,ケプラーの CBP 系での安定性限界付近の軌道への pile-up についての強い証拠は発見されなかった.
周連星惑星の形成機構を正確に特徴づけるためには,周連星惑星のさらなる検出が必要であると考えられる.将来的な Transiting Exoplanet Survey Satellite による観測で,周連星惑星の発見数が増加することが期待される.
arXiv:1802.08868
Quarles et al. (2018)
Stability Limits of Circumbinary Planets: Is There a Pile-up in the Kepler CBPs?
(周連星惑星の安定限界:ケプラー CBP の累積は存在するか?)
概要
周連星惑星 (circumbinary planets, CBPs) の軌道長半径の安定限界ははっきりと定義されておらず,また惑星の軌道か内側の連星軌道のいずれかを定義する初期パラメータに依存し得る.ここでは Holman & Wiegert (1999) の研究を拡張し,高速・簡易で正確な安定性限界の決定を行うことが出来る数値ツールを開発した.150 万回程度の,初期に円軌道で同一平面の系の完全な N 体シミュレーションに基づくグリッド補完法を使用した.
この結果を,ケプラーで発見されている CBP 系 9 個と比較した.その結果,ケプラーの CBP 系の 55% は,発見されている周連星惑星よりもさらに内側の軌道に,等質量のさらなる惑星が存在できる事を発見した.そのため,ケプラーの CBP 系での安定性限界付近の軌道への pile-up についての強い証拠は発見されなかった.
周連星惑星の形成機構を正確に特徴づけるためには,周連星惑星のさらなる検出が必要であると考えられる.将来的な Transiting Exoplanet Survey Satellite による観測で,周連星惑星の発見数が増加することが期待される.
天文・宇宙物理関連メモ vol.300 Mallonn et al. (2016) HAT-P-32b の多波長トランジット観測
天文・宇宙物理関連メモ vol.538 Mallonn & Wakeford (2017) HAT-P-32b の近紫外線地上トランジット観測