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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.07519
Auclair-Desrotour & Leconte (2018)
Semidiurnal thermal tides in asynchronously rotating hot Jupiters
(非同期自転ホットジュピターでの半日周期熱潮汐)

概要

熱潮汐 (thermal tide) は,ホットジュピターの大気を非同期回転の状態にすることができるが,これらの惑星は,通常は自転と公転が同期した状態に固定されていると考えられる.
ここでは,自転するホットジュピターの,中心星による半日周期の熱潮汐の力に対する潮汐応答について調べた.惑星大気の質量分布の変動を引き起こす潮汐波の構造,それらの潮汐周波数への依存性,そしてそれらの強い帯状風を生成する能力を同定することで調査を行った.

第一原理的な全球のモデリングを行った.これは,Arras & Socrates (2010) によるアプローチを一般化し,自転をしている非断熱的な惑星への適用を試みたものである.
ここでは,天体に及ぼされるトルクと,それに伴う進化のタイムスケール,ならびにゼロ周波数限界における大気の平衡潮汐応答を解析的に導出した.

最後に,熱潮汐の方程式を,散逸と自転を含めた 3 つのケースについて数値的に積分した.


潮汐で生成された慣性重力波と,それに関連する共鳴は,1 - 30 日の範囲で潮汐トルクを大きく増幅するという結果となった.このトルクは,全球的に大気を非同期回転の状態にする,また,その符号は潮汐周波数に依存する.潮汐応答の共振挙動 (resonant behavior) は自転によって増幅され,通常のケースではいくつかの Hough mode に強制されるが,輻射冷却はそれを正規化して振幅を減少させる傾向がある.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.07707
Popovas et al. (2018)
Pebble dynamics and accretion onto rocky planets. I. Adiabatic and convective models
(ペブル動力学と岩石惑星への降着 I.断熱と対流モデル)

概要

火星質量と地球質量の planetary embryo 付近での,ガスと粒子の入れ子格子の高分解流体力学シミュレーションを行った.シミュレーションは,planetary embryo の表面から,ガス円盤の数スケールハイトの距離までの範囲で行い,鉛直方向のダイナミックレンジは ~ 1.4 × 105 である.

このシミュレーションの結果,ペブルサイズの粒子は容易に惑星へ降着し,最小質量円盤モデルの 10%の表面密度を持つモデルの場合,ペブルの降着率は粒子サイズがメートルサイズの範囲まで継続して上昇するという結果が得られた.

惑星のヒル球を通過して出入りするガスの質量フラックスは,Hill rate \(\Sigma\Omega R_{\rm H}^{2}\) と整合的であった.

より小さいサイズの粒子の場合は,主にガスの流れに従って流出するが,0.3 - 1 cm サイズの粒子では合計の降着率は 7 × 10-5 地球質量/年に到達した.この状態でも,一定量の割合はヒル球を再び離れる.
また,ボンディ球を横切る全てのペブルサイズの粒子は,惑星に実質的に降着する.

これらのシミュレーションは,降着によって駆動されるエンベロープ内の対流を分解するのに十分な解像度を持つ.10-6 地球質量/年の降着率で駆動される対流は,ペブル降着率を大きく変えないという結果となった.

また,キャンセル効果により,ペブルサイズの粒子は円盤の表面密度とほとんど独立であることを発見した.これにより,特定の粒子サイズについて正確な降着率を推定する事ができる.サイズが 0.3 - 1 cm の粒子の場合,成長時間は 1 AU にある地球質量惑星の場合 40 万年で,1.5 AU にある 0.1 地球質量惑星では 120 万年となった.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.06548
Dang et al. (2018)
Detection of a Westward Hotspot Offset in the Atmosphere of a Hot Gas Giant CoRoT-2b
(高温の巨大ガス惑星 CoRoT-2b の大気中の西向きのホットスポットのずれの検出)

概要

短周期惑星は,数百 K から数千 K もの昼夜間の温度差を持つ.また,東向きのホットスポット (惑星表面で最も高温な点) のずれを示す (Knutson et al. 2007).これは,最も高温な領域が恒星直下点 (sub-stellar point) の東側にずれているというものである.この現象は,大気中の東向きの風によって熱が移流していることによって発生すると広く解釈されている (Showman & Guillot 2002).

ここでは,ホットジュピター CoRoT-2b の熱位相観測を,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC 装置を用いて行った.この観測から,ホットスポットが西向きにずれていることが判明した.西向きのずれの検出としては,これまでに最も確実な検出である.

ホットスポットの西向きのずれの大きさは 23 ± 4° であり,これまでの他の 9 つの惑星に対する同等の観測の結果とは対照的である (Cowan et al. 2012,Kutson et al. 2012など).

CoRoT-2b が示す特異なフラックスマップは,非同期自転によって発生する西向きの風か (Rauscher & Kempton 2014),磁場の影響による西向きの風か (Rogers & Komacek 2014, Rogers 2017),あるいは部分的な雲の影響,つまり惑星の東半球からのフラックスが雲によって隠されていることによって起きると考えられる (Demory et al. 2013, Parmentier et al. 2016, Lee et al. 2016, Roman & Rauscher 2017).非同期自転,あるいは磁場が原因である場合は,この惑星の異常に大きい半径も同時に説明できる可能性がある (Rogers & Komacek 2014, Guillot & Havel 2011).一方で部分的な雲の被覆が原因の場合は,この惑星の昼側からの放射スペクトルに特徴が欠けていることを同時に説明出来る可能性がある (Moses et al. 2013, Wilkins et al. 2014).

もしこの惑星が非同期自転で,公転と自転が潮汐的に固定されていない場合,このことは恒星と惑星の潮汐相互作用に関する我々の理解が不完全であることを意味する.また,もし西向きのずれが惑星磁場の影響である場合,今回の結果は系外惑星の磁場を研究する機会を与えるものとなる.もし惑星が東半球を覆う雲を持っている場合,このことは潮汐固定された惑星における大規模循環に関する我々の理解が不完全であることを意味している.

CoRoT-2b について

これまでの観測

CoRoT-2b の可視光での位相曲線は CoRoT ミッションによって取得され,惑星の幾何学的アルベドに 0.12 という上限値を与えている (Alonso et al. 2010, Snellen et al. 2010).

その後の近赤外と中間赤外の観測 (地上からと宇宙空間からの両方) では,惑星の放射スペクトルは通常の太陽組成や黒体放射では説明できないことが指摘されている (Wilkins et al. 2014など).そのため,惑星の中間赤外放射に影響を与えるシリケイト雲の存在を含むモデルや,ハッブル宇宙望遠鏡の WFC3 で取得された特徴に欠けるスペクトルを説明するための,光学的に厚い昼側の雲の存在や,鉛直方向に等温な分布を持つ大気のモデルなどが提案されている.

スピッツァー宇宙望遠鏡/IRAC での観測

ここでは,スピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC で 4.5 µm 波長での観測を行った.今回発見されたもっとも重要な特徴は,ホットスポットの西向きのずれである.観測された位相曲線の極大は二次食の時刻の 2.7 ± 0.4 時間後である (※注釈:東向きにずれている場合は二次食の前に極大が来る).

今回の観測では合計 2 回の二次食と 1 回のトランジットを検出した.食の深さは,過去にスピッツァー宇宙望遠鏡の IRAC による観測で報告されていたよりも小さいものであった (Gillon et al. 2010, Deming et al. 2011).
また,可視光でのの幾何学的アルベドは 0.08 ± 0.04 と推定され,これは過去の CoRoT データからの上限と整合的である.

他の惑星との比較

4.5 µm の波長での全位相曲線は,これまでに 9 個の惑星で検出されている.
それぞれ,WASP-12b (Cowan et al. 2012),HD 189733b (Knutson et al. 2012),WASP-18b (Maxted et al. 2013),HD 209458b (Zellem et al. 2014),WASP-14b (Wong et al. 2015),WASP-19b,HAT-P-7b (Wong et al. 2016),55 Cnc e (Demory et al. 2016),WASP-43b (Stevenson et al. 2017) である.これらのうち全てが,東向きのホットスポットのずれを示すか,あるいは大きなずれを示さないものである.そのため,今回の CoRoT-2b の中間赤外線での観測による,西向きへの 23° のずれの検出は独特な結果である.

その他の西向きへのずれの検出は,ケプラーの可視光データからケプラー7b において報告されている.これは非一様の雲からの反射光に起因するものだと考えられる (Demory et al. 2013).

熱再循環効率と昼夜間温度差

観測結果から,昼側から夜側への熱再循環効率 \(\epsilon\) と,ボンドアルベド \(A_{\rm B}\) を導出した.この系は若い (1 億 - 3 億歳) のと,惑星の半径が大きいことから,惑星は形成時の残余熱か潮汐加熱による内部加熱があることが期待される.しかしこれは恒星からの外部加熱によって弱められる.

ボンドアルベドの推定値は ~ 35% 程度であり,これは可視光の幾何学的アルベドである 12% よりも大きい (Alonso et al. 2009, Snellen et al. 2010).ボンドアルベドが可視光での幾何学的アルベドより大きくなる事は他のホットジュピターでも報告されている (Schwartz & Cowan 2015).

また昼夜間の温度差は,同程度の輻射温度を持つホットジュピター HD 209458b に示唆されている値よりも大きい.これは CoRoT-2b は夜側への熱輸送が非効率であることを示唆している.

観測結果の解釈

水蒸気の非検出とスペクトル

この惑星の放射スペクトルは解釈が困難である.その理由は,どのスペクトルモデルも不定性の範囲内で観測結果に一致しないからである.

これまでの観測データとあわせ,幾何学的アルベドを 0.12 とし,惑星昼側の有効温度 1693 K で観測結果のフィットを行った.ホットジュピター大気は水蒸気を含んでいることがあるため,ハッブル宇宙望遠鏡のデータにも 4.5 µm 波長のデータにも,水蒸気による吸収の特徴が存在することが期待される.しかしこの惑星ではそれは見られなかった.

これが意味する可能性は,これまでの観測が
1) 水蒸気のバンドの中と外の波長で同じ圧力領域を探査している
2) 大気中の垂直方向に等温な領域を探査している
というものである.例えば,光学的に厚い雲が存在した場合は雲が大気の深い場所の観測を阻み,水の吸収特徴がスペクトル中に欠乏する可能性がある (Delorme et al. 2017).

西向きのホットスポットのずれとその原因

この惑星は HD 209458b と似た輻射温度であるため,大気の全球循環モデルは東向きへのホットスポットのずれが存在することを予測する.この東向きのずれは,惑星光球付近での速く幅広い赤道ジェットに起因する.

CoRoT-2b で東向きではなく西向きのずれが検出されたことに関して,考えられる可能性としてここで提案するのは次の 3 つのシナリオである.
1) 準同期自転による西向きの風 (Rauscher & Kempton 2014)
2) 磁場の影響による西向きの風 (Rogers & Komacek 2014, Rogers 2017)
3) 中間赤外で光学的に厚い非一様な雲 (Demory et al. 2013, Parmentier et al. 2016, Lee et al. 2016, Roman & Rauscher 2017).

これらの 3 つのどれか,あるいは複合である可能性がある.実際には自転周期は風の方向に影響を与え,また風の方向は雲のパターンに影響を与えるため,これらのシナリオは完全に独立ではなく,因果関係を持つ可能性がある.
準同期自転による西向きの風
この惑星の光度曲線は,他の惑星の位相曲線に見られるような,トランジット付近あるいはトランジット前の明確なトラフ構造ではなく,幅の広い極小を示す.

惑星が準同期自転を起こしている場合は西向きの大気循環を起こしうるだけではなく,惑星全体の風と温度のパターンも,通常の東向きジェットとは異なるものとなる.例えば,HD 209458b で自転を準同期自転にした場合のシミュレーション結果も,位相曲線では長い極小を示すことが指摘されている (Rauscher & Kempton 2015).
磁場の影響による西向きの風
CoRoT-2b の温度は高いため,大気中でアルカリ金属が衝突電離を起こし,部分電離した大気を持つ.この場合,惑星の磁場が一時的な指向性の風を形成して HAT-P-7b に見られるような大気の変動を生み出す可能性がある (Armstrong et al. 2016).また中心星は比較的若くスペクトル的に活発であるため,惑星は強い X 線と極端紫外線にさらされる.そのため,時間変動性のある光電離が発生する可能性もある.

ホットジュピターの大気中での磁気的活動はよく分かっていないが,光電離が惑星の磁気ダイナモと大気の時間変動性のある結合を引き起こす可能性がある.ホットスポットの大きな西向きのずれを説明するための磁場強度を推定すると,~ 230 G 程度となる.

最近の研究では,活動的内部を持ったいくつかのホットジュピターは,磁場が 250 G 程度になる可能性が指摘されている (Yadav & Thongren 2017).膨張した半径を持つ惑星は内部エントロピーが高い可能性を示唆する.そのため,このような惑星が深くに位置した強い磁場を持つ可能性は有り得ると考えられる.

また,磁気効力との結合効果は惑星の風速を低下させるため (Menou 2012),昼から夜への熱の再分配効率が低いことや,光度曲線が広い極小を持つことを説明できる可能性がある.
中間赤外で光学的に厚い非一様な雲
いくつかのホットジュピターは非一様な雲を持ち,非自明な反射位相変動を引き起こす.先述の通り,ケプラー7b の可視光での位相曲線は,ホットスポットの西向きのずれがあることを示している.これは,恒星直下子午線の西側に位置する,反射性の雲の存在で説明することが出来る.この雲は,東向きのジェットによって夜側の雲が移流してきたものと考えられる.

ケプラー7b とは対照的に,CoRoT-2b の場合は異なるエアロゾル形成機構と輸送機構が必要である.
惑星の平衡温度を考慮すると,昼側の半球には MnS,Cr,MgSiO3 の雲が形成される.4.5 µm 波長での熱放射をブロックできるくらいの大きな粒子による,東側半球を覆う非一様な雲が存在すれば,この惑星の異様な光度曲線を説明することが出来る.

雲形成における現状の理解では,雲は低温な夜側半球で形成されやすい.そのため西向きの風が存在すれば,東側半球が雲に覆われる事が期待される.
それとは別に,昼側で生成される光化学ヘイズと通常の東向きのジェットの組み合わせによっても,恒星直下点の東側にエアロゾルが存在することが可能である (Kempton et al. 2017).

今回の位相曲線の原因が非一様な雲によるものだとすると,昼側の放射スペクトルは黒体放射と晴れたスペクトルの平均した値を観測しているということに相当する.このことは,なぜ観測がこれまでのスペクトルモデルと一致しないかの説明にもなる.しかしこの場合,他の惑星の位相曲線も雲によって変形されている可能性が示唆される.

提案された仮説の妥当性と検証可能性

これらの 3 つの説は,この惑星の他の特徴を説明できる可能性があるため魅力的である.

非同期自転は潮汐加熱を引き起こし,加熱によるエネルギーがもし十分深くに注入されていた場合,惑星半径の収縮を阻害し,この惑星の膨張した半径を説明できる (Arras & Socrates 2010),磁場の影響も,昼夜間の大きな温度差と膨張半径を説明できる可能性がある.また部分的な雲の場合も,この惑星の昼側の異常なスペクトルの説明になる可能性がある.

これらのシナリオを区別するためには,4.5 µm を含む広いスペクトル範囲での位相曲線のスピッツァー宇宙望遠鏡かジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での観測が必要である.
非同期自転の場合は全ての波長で位相曲線に影響を与える一方で,雲の被覆が原因の場合は,反射光やスペクトル放射特性が卓越する短波長においてその特徴が現れる可能性がある.一方で,磁場の影響による循環の場合は,アルフベンタイムスケール (この場合 ~ 23 日) で変動することが示唆される.そのため,同じ波長での新しい位相曲線の観測で極大の位置が異なる可能性がある.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1801.06234
Biddle et al. (2018)
K2 reveals pulsed accretion driven by the 2 Myr old hot Jupiter CI Tau b
(K2 が明らかにする 200 万歳のホットジュピターおうし座CI星b に駆動されるパルス状の降着)

概要

CI Tau (おうし座CI星) は,年齢が 200 万歳程度と若い,古典的おうし座 T 型星 (classical T Tauri star) であり,おうし座星形成領域に存在している.この天体のまわりには,視線速度観測から木星サイズの惑星 CI Tau b (おうし座CI星b) がおよそ 9 日周期で公転していることが示唆されている.

ここでは,ケプラー K2 ミッションでのこの恒星の測光変動を解析した.光度曲線からは,恒星の自転周期は ~ 6.6 日であると判明した.
CI Tau b がトランジットしている証拠は発見できなかったが,9 日程度の周期のシグナルが光度曲線中に存在していた.これは,惑星-円盤相互作用によって引き起こされていると考えられる.つまり,惑星によって恒星への物質の降着が擾乱を受けており.そのため惑星の公転周期である 9 日程度での光度の周期的な変動が存在する.

おうし座T型星まわりの惑星と CI Tau b

T Tauri 星まわりの惑星は,発見が難しいものの幾つかの手法で検出されている.V830 Tau b (おうし座V830星b,Donati et al. 2016),K2-33b (Mann et al. 2016, David et al. 2016),TAP 26b (Yu et al. 2017) などである.

我々のグループでは,視線速度によって CI Tau b を検出している (Johns-Krull et al. 2016).この観測からは,最小質量は 8.08 木星質量,軌道周期は 8.9891 日と推定されている.また,CI Tau の周囲には星周円盤が発見されている (Guilloteau et al. 2014),惑星の軌道が円盤の傾きと同じ 45.7° ならば,惑星の真の質量は 11.29 木星質量となる.

観測結果とその解釈

なお,この天体のケプラー K2 観測での名称は EPIC 247584113 である.

K2 の光度曲線には,~ 6.6 日と ~ 9.0 日の周期的シグナルが検出された.6.6 日の方は恒星の自転周期に対応しており,この値は恒星の v sini の測定結果とも整合する.

もし 9.0 日周期の方が自転周期起源だとすると,恒星の半径の見積もりが非物理的に大きすぎる値となってしまう.9.0 日周期の方は,惑星の軌道周期と整合的である.

ここでは,惑星が円盤から恒星へのの降着に擾乱を与えて光度変動を引き起こしている可能性を示唆する.
知られている限りでは,木星サイズの惑星が,星周円盤から恒星への降着に影響を与えるという仮説についてのシミュレーションは存在しない.しかしブラックホール連星では,この系の質量比と同程度の状態で,連星の軌道周期と同じタイムスケールで降着の変化による光度の変動が発生することを示すシミュレーションが存在する (D’Orazio et al. 2013).

D’Orazio et al. (2013) のシナリオでは恒星・円盤・惑星の相互作用をシミュレーションしているわけではないが,円盤の切り取り半径よりも内側にいる惑星が,その軌道周期と似た周期で恒星への降着を変動させる可能性が示唆される.

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arXiv:1801.06249
Diez Alonso et al. (2018)
A system of three transiting super-Earths in a cool dwarf star
(低温な矮星の 3 つのトランジットスーパーアース系)

概要

ケプラーの K2 観測 campaign 13 の観測データから,低温の恒星 LP415-17 をトランジットする 3 つのスーパーアースを検出した.

HAPRS-N/TNG で取得した高分散スペクトルから,恒星は中期から晩期の K 型矮星である事が分かった.スペクトル合成モデルから,この恒星の有効温度,表面重力,金属量を示唆し,また進化モデルから恒星半径が 0.58 太陽半径であると導出した.

惑星半径はそれぞれ 1.8,2.6,1.9 地球半径で,軌道周期は 6.34,13.85,40.72 日であった.

高分散撮像観測からは,視線方向に別の天体の混入は確認されなかった.
最も遠方の惑星は軌道長半径が 0.18 AU であり,これはこの系のハビタブルゾーンの内縁に近い.

パラメータ

LP415-17
別名:EPIC 210897587,2MASS 04215245+2121131
有効温度:4258 K
金属量:[Fe/H] = -0.3
半径:0.58 太陽半径
質量:0.65 太陽質量
自転周期:29.6 日
距離:82 pc
LP415-17b
軌道周期:6.342 日
軌道長半径:0.0562 AU
半径:1.8 地球半径
平衡温度:708 K

Weiss & Marcy (2014) の質量-半径関係から推定した質量は 4.7 地球質量
LP415-17c
軌道周期:13.850 日
軌道長半径:0.0946 AU
半径:2.6 地球半径
平衡温度:583 K

Weiss & Marcy (2014) の質量-半径関係から推定した質量は 6.5 地球質量
LP415-17d
軌道周期:40.718 日
軌道長半径:0.1937 AU
半径:1.9 地球半径
平衡温度:381 K

Weiss & Marcy (2014) の質量-半径関係から推定した質量は 4.9 地球質量






arXiv:1801.06957
Hirano et al. (2018)
EPIC 210897587: A Bright Metal-Poor M Dwarf with Three Transiting Super-Earths
(EPIC 210897587:3 つのトランジットスーパーアースを持つ明るい低金属量 M 型矮星)

概要

EPIC 210897587 まわりの 3 つのスーパーアースのトランジットの発見を報告する.中心星は比較的明るい早期 M 型星 (V = 12.81 mag) で,ケプラー K2 ミッションの Campaign 13 で観測された.

系を特徴付けて惑星候補を確定させるため,スペックル撮像と高分散可視光の分光観測 (視線速度測定含む) を行った.また,中心星の K2 の光度曲線及び分光観測での特徴付けから,惑星のサイズと軌道周期を決定した.


最も外側の惑星 EPIC 210897587.3 はこの系のハビタブルゾーンに近く,日射量は地球の 1.67 倍と推定される.この惑星の半径は,小さい岩石惑星と大きいガス豊富な惑星の中間の値である.
この惑星の居住可能性を評価するため,3D の全球気候シミュレーションを行った.シミュレーションは,自転は潮汐固定され,地球的な組成と大気を持つと仮定して行った.

その結果,日射が地球の ~ 1.5 倍程度より小さい場合であれば,この惑星は温暖な表面温度を維持可能であることが分かった.


EPIC 210897587 は,トランジット惑星を持つことが知られている M 型矮星の中では可視光で最も明るいものの一つである.そのためこの系は,ドップラー法での質量測定,トランジット分光観測とその他のフォローアップ観測を行う価値があると考えられる.

パラメータ

EPIC 210897587
別名:2MASS J04215245+2121131
有効温度:3919 K
金属量:[Fe/H] = -0.42
半径:0.526 太陽半径
質量:0.540 太陽質量
光度:0.059 太陽光度
距離:62.3 pc
EPIC 210897587.1
軌道周期:6.34365 日
半径:1.55 地球半径
軌道長半径:0.0546 AU
日射量:地球の 19.9 倍
EPIC 210897587.2
軌道周期:13.85402 日
半径:1.95 地球半径
軌道長半径:0.0920 AU
日射量:地球の 7.0 倍
EPIC 210897587.3
軌道周期:40.6835 日
半径:1.64 地球半径
軌道長半径:0.1886 AU
日射量:地球の 1.67 倍







同じ天体まわりでのほぼ同時の惑星発見報告論文です.

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