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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.11393
Reggiani et al. (2017)
A protoplanet candidate in the transition disk around the Herbig Ae star MWC 758
(ハービッグAe星 MWC 758 まわりの遷移円盤中の原始惑星候補)
ここでは,ハービッグ A5 星である MWC 758 を観測した.
観測には Keck II 望遠鏡の近赤外カメラに搭載された L band vector vortex coronagraph と,NIRC2 分光器を使用した.この観測は,この系における惑星天体の存在に制限を与えることによって,円盤に見られるスパイラル構造の性質を明らかにすることを目的としている.
ハイコントラスト撮像観測からは,中心星から射影距離 20 AU の位置に,明るい点状の放射があることが判明した.また,2 つの渦状腕 (spiral arm) の存在を確認した.これらの 2 つの渦状腕は,過去の偏光観測によって既に発見されていたものと同一である.さらに,3 つ目の渦状腕が存在することも発見した.
中心星から 0.6 秒角を超える範囲内には,5 木星質量を超える天体の存在は確認されなかった.
ここでは,今回観測された L バンドでの明るい放射は,円盤内部に存在してガスを降着している原始惑星の存在によって引き起こされているという説を提案する.
しかし,円盤の非対称構造による可能性も排除できない.
観測されているスパイラル構造は,おそらくこの原始惑星候補天体とは関連していないと考えられる.ただし,惑星が傾いて離心率が大きい軌道にあり,さらに一つかそれ以上の未検出の惑星質量天体がスパイラル構造の縁か外側にいる場合は別である.
今回発見された点状の光源の真の性質と,その光源と渦状腕との関係性を明らかにするためには,将来的な観測とさらなるシミュレーションが必要である.
これらの質量と年齢の推定は,過去のヒッパルコスによる観測を元にした距離の推定値,200 pc (van den Ancker et al. 1998) および 279 pc (van Leeuwen 2007) にもとづいていた.Gaia による新しい測定による距離に基づくと,これまでの推定よりも年齢は古く,また質量は軽くなる.今回は中心星の質量を 1.5 太陽質量と推定した.
ダストのミリメートル放射からは,この円盤は半径が 55 au 空洞 (cavity) を持っていることが示唆されているが,赤外線での偏光強度観測からは,散乱光中に明確な空洞の証拠は得られなかった (Grady et al. 2013など).
すばる望遠鏡の High Contrast Instrument with Adaptive Optics (HiCIAO) を用いた,Ks バンド (2.15 µm) 直接撮像と H バンド (1.65 µm) の偏光撮像では,2 つの渦状腕が検出され,さらに星から 0”.1 (15 au) に至る偏光を検出した (Grady et al. 2013).
Very Large Telescope (VLT) の Spectro-Polarimetric High-contrast Exoplanet REsearch (SPHERE) を用いた Y バンド (1.04 µm) の観測でも,少なくとも 14 au の範囲に至る散乱光が確認されている (Benisty et al. 2015).
Isekka et al. (2010) によるミリメートルダストの分布と CO 放射の非対称性から,この円盤は 23 au 以内を公転する低質量の天体によって,重力的に擾乱を受けている可能性が示唆されている.なお 23 au という距離は,この天体までの距離が 151 pc であると仮定した場合の推定である.
また,センチメートルダストの非対称分布も,ミリメートルダストの場所に伴っていることが分かっている (Marino et al. 2015).
流体力学シミュレーションからは,円盤の構造はより大きな距離の ~ 170 au にある重い惑星か褐色矮星によって引き起こされているという可能性も指摘されている (Dong et al. 2015).
その他の観測からは,中心星から 0”.25 の射影距離に 12 木星質量程度の天体が存在する可能性は否定された.また同様に,0”.5 の距離での 5 木星質量,1” の距離での 3 木星質量の存在の可能性も否定された.
arXiv:1710.11393
Reggiani et al. (2017)
A protoplanet candidate in the transition disk around the Herbig Ae star MWC 758
(ハービッグAe星 MWC 758 まわりの遷移円盤中の原始惑星候補)
概要
遷移円盤 (transitional disk) は,新しく生まれた惑星を探すための非常に良い観測対象であり,また惑星形成の初期段階を調べるための場所でもある.ここでは,ハービッグ A5 星である MWC 758 を観測した.
観測には Keck II 望遠鏡の近赤外カメラに搭載された L band vector vortex coronagraph と,NIRC2 分光器を使用した.この観測は,この系における惑星天体の存在に制限を与えることによって,円盤に見られるスパイラル構造の性質を明らかにすることを目的としている.
ハイコントラスト撮像観測からは,中心星から射影距離 20 AU の位置に,明るい点状の放射があることが判明した.また,2 つの渦状腕 (spiral arm) の存在を確認した.これらの 2 つの渦状腕は,過去の偏光観測によって既に発見されていたものと同一である.さらに,3 つ目の渦状腕が存在することも発見した.
中心星から 0.6 秒角を超える範囲内には,5 木星質量を超える天体の存在は確認されなかった.
ここでは,今回観測された L バンドでの明るい放射は,円盤内部に存在してガスを降着している原始惑星の存在によって引き起こされているという説を提案する.
しかし,円盤の非対称構造による可能性も排除できない.
観測されているスパイラル構造は,おそらくこの原始惑星候補天体とは関連していないと考えられる.ただし,惑星が傾いて離心率が大きい軌道にあり,さらに一つかそれ以上の未検出の惑星質量天体がスパイラル構造の縁か外側にいる場合は別である.
今回発見された点状の光源の真の性質と,その光源と渦状腕との関係性を明らかにするためには,将来的な観測とさらなるシミュレーションが必要である.
MWC 758 について
MWC 758 の概要
MWC 758 は,若い恒星状天体 (young stellar object, YSO) であり,年齢は 3.5 ± 2 Myr (Meeus et al. 2012) と推定されている.距離は 151 pc (Gaia Collaboration 2016) であり,おうし座星形成領域 (Taurus star-forming region) の端に近い位置にある.質量は 2.0 太陽質量である.これらの質量と年齢の推定は,過去のヒッパルコスによる観測を元にした距離の推定値,200 pc (van den Ancker et al. 1998) および 279 pc (van Leeuwen 2007) にもとづいていた.Gaia による新しい測定による距離に基づくと,これまでの推定よりも年齢は古く,また質量は軽くなる.今回は中心星の質量を 1.5 太陽質量と推定した.
遷移円盤とスパイラル構造の検出
スペクトルエネルギー分布 (spectrum energy distribution, SED) から,この天体は pre-transition disk (遷移円盤に進化する段階の円盤) に分類されている (Grady et al. 2013).ダストのミリメートル放射からは,この円盤は半径が 55 au 空洞 (cavity) を持っていることが示唆されているが,赤外線での偏光強度観測からは,散乱光中に明確な空洞の証拠は得られなかった (Grady et al. 2013など).
すばる望遠鏡の High Contrast Instrument with Adaptive Optics (HiCIAO) を用いた,Ks バンド (2.15 µm) 直接撮像と H バンド (1.65 µm) の偏光撮像では,2 つの渦状腕が検出され,さらに星から 0”.1 (15 au) に至る偏光を検出した (Grady et al. 2013).
Very Large Telescope (VLT) の Spectro-Polarimetric High-contrast Exoplanet REsearch (SPHERE) を用いた Y バンド (1.04 µm) の観測でも,少なくとも 14 au の範囲に至る散乱光が確認されている (Benisty et al. 2015).
Isekka et al. (2010) によるミリメートルダストの分布と CO 放射の非対称性から,この円盤は 23 au 以内を公転する低質量の天体によって,重力的に擾乱を受けている可能性が示唆されている.なお 23 au という距離は,この天体までの距離が 151 pc であると仮定した場合の推定である.
また,センチメートルダストの非対称分布も,ミリメートルダストの場所に伴っていることが分かっている (Marino et al. 2015).
流体力学シミュレーションからは,円盤の構造はより大きな距離の ~ 170 au にある重い惑星か褐色矮星によって引き起こされているという可能性も指摘されている (Dong et al. 2015).
その他の観測からは,中心星から 0”.25 の射影距離に 12 木星質量程度の天体が存在する可能性は否定された.また同様に,0”.5 の距離での 5 木星質量,1” の距離での 3 木星質量の存在の可能性も否定された.
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.10863
Ndugu et al. (2017)
Planet population synthesis driven by pebble accretion in cluster environments
(星団環境でペブル降着によって駆動される惑星のポピュレーション生成)
ここでは,新しく形成された星団からの背景加熱が,原始惑星系円盤の構造に与える影響を考慮した,また,それが円盤内での惑星形成にどのように影響を与えるかについても調べた.
ここでの惑星形成モデルは,ペブル集積 (pebble accretion) を含むコア降着シナリオを元に構築している.このモデルを元に,形成されうる惑星のポピュレーションを合成して,観測結果との比較を行った.
ここでのシミュレーションにおける巨大惑星は,速いタイプ II 惑星移動に伴って大きな距離を移動する.これは,円盤の大きな粘性によって引き起こされるものである (α = 5.4 × 10-3).
低温の木星型惑星 (軌道長半径 > 1 AU) は円盤の外側に起源を持つのに対し,ホットジュピター (< 0.1 AU) は円盤の内側に起源を持つと考えられる.
ペブル集積を介した巨大ガス惑星形成は,恒星の金属量との相関と整合的である.つまり,金属量が大きな環境では,より多くのガス惑星が形成される.
しかし,星団内ではなく孤立した恒星のポピュレーションに対する計算を行った結果,低金属量の環境においても多くの巨大惑星が形成されることになり,これは金属量の高い恒星の周りで巨大惑星がよく発見されるという観測事実と対立する.
このことは,一般的なペブル降着モデルフレームワーク内では,惑星形成は非常に効率的であることを示唆している.
一方で,星団内の環境にある恒星周りの原始惑星系円盤においては,低金属量ではどのような巨大惑星も形成するのが難しいという結果になった.これは観測と一致する.
この違いは,円盤の外側領域における温度の増加が原因である.すなわり,円盤外側領域での温度の増加により,惑星のコア降着タイムスケールが長くなることによってこの違いが生まれる.
従って,外側円盤の構造と惑星の形成場所が,巨大惑星の存在頻度と,低温のガス惑星およびホットジュピターの形成効率を左右していると結論づけた.
arXiv:1710.10863
Ndugu et al. (2017)
Planet population synthesis driven by pebble accretion in cluster environments
(星団環境でペブル降着によって駆動される惑星のポピュレーション生成)
概要
星団の中にある原始惑星系円盤の進化は,その星団の年齢と恒星の密度に依存する.例えば,年齢が若く恒星の面密度が高い星団では,原始惑星系円盤は外部からの光蒸発と恒星遭遇によって破壊される.ここでは,新しく形成された星団からの背景加熱が,原始惑星系円盤の構造に与える影響を考慮した,また,それが円盤内での惑星形成にどのように影響を与えるかについても調べた.
ここでの惑星形成モデルは,ペブル集積 (pebble accretion) を含むコア降着シナリオを元に構築している.このモデルを元に,形成されうる惑星のポピュレーションを合成して,観測結果との比較を行った.
ここでのシミュレーションにおける巨大惑星は,速いタイプ II 惑星移動に伴って大きな距離を移動する.これは,円盤の大きな粘性によって引き起こされるものである (α = 5.4 × 10-3).
低温の木星型惑星 (軌道長半径 > 1 AU) は円盤の外側に起源を持つのに対し,ホットジュピター (< 0.1 AU) は円盤の内側に起源を持つと考えられる.
ペブル集積を介した巨大ガス惑星形成は,恒星の金属量との相関と整合的である.つまり,金属量が大きな環境では,より多くのガス惑星が形成される.
しかし,星団内ではなく孤立した恒星のポピュレーションに対する計算を行った結果,低金属量の環境においても多くの巨大惑星が形成されることになり,これは金属量の高い恒星の周りで巨大惑星がよく発見されるという観測事実と対立する.
このことは,一般的なペブル降着モデルフレームワーク内では,惑星形成は非常に効率的であることを示唆している.
一方で,星団内の環境にある恒星周りの原始惑星系円盤においては,低金属量ではどのような巨大惑星も形成するのが難しいという結果になった.これは観測と一致する.
この違いは,円盤の外側領域における温度の増加が原因である.すなわり,円盤外側領域での温度の増加により,惑星のコア降着タイムスケールが長くなることによってこの違いが生まれる.
従って,外側円盤の構造と惑星の形成場所が,巨大惑星の存在頻度と,低温のガス惑星およびホットジュピターの形成効率を左右していると結論づけた.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.11099
Bayliss et al. (2017)
NGTS-1b: A hot Jupiter transiting an M-dwarf
(NGTS-1b・M 型矮星をトランジットするホットジュピター)
中心星 NGTS-1 の有効温度は 3916 K で,惑星の軌道周期は 2.764 日である.
この惑星は,Next Generation Transit Survey (NGTS) の一環で発見された.
惑星の質量は 0.812 木星質量であり,M 型矮星をトランジットする惑星の中では最も重い.惑星の半径は 1.33 木星半径であった.
惑星は中心星をかすめるような位置関係でトランジットを起こしているため (grazing transit),惑星の半径は,データのモデリングと既知の巨大ガス惑星のポピュレーションからの密度に対する prior を置いて推定を行った.
NGTS-1b は,M 型矮星の周りに発見された 3 番目のトランジット巨大惑星である.
今回の発見は,M 型矮星まわりの近接ガス惑星は,太陽型星周りでのホットジュピターの既知のポピュレーションと同様に形成され移動するという考えを補強するものである.
中心星の活動星を確認したが,明確な活動星は示さなかった.
また運動学的には,この恒星が厚い銀河円盤のに属している天体であることが示唆される.
中心星の光度は K = 11.9 で,惑星のトランジット深さは 2.5%であり,ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) の透過光分光観測を介して M 型矮星まわりの巨大惑星の組成を探査するための有力候補である.
M 型星のまわりでは,惑星と中心星の半径比 \(R_{\rm p}/R_{\rm star}\) と質量比 \(M_{\rm p}/M_{\rm star}\) が太陽型星周りでの惑星系よりずっと大きいため,トランジットや視線速度法で惑星を検出しやすい.また中心星の光度が小さいためハビタブルゾーンが恒星に近い.そのためハビタブルゾーンにある惑星の検出がしやすい (恒星近傍の惑星のほうが検出しやすいため).
さらに,M 型矮星は銀河系内で最も一般的な恒星であり,銀河系の恒星の~ 75%を占める (Henry et al. 2006).
しかし,系外惑星の観測という点では M 型星には困難な点が多い.
元々の光度が小さいため,他のタイプの恒星に比べると見かけの等級がずっと暗く,正確な測光観測や視線速度の測定が難しくなる.また M 型矮星のスペクトルには分子による吸収が多く,これは太陽型星に多いシャープな構造を持つ金属の線とは異なり,精密な視線速度測定を行うことを難しくしている.さらに中心星の有効温度が低いため,フラックスの極大が可視光領域の外にあり (赤外線),多くの測光観測や分光観測がターゲットとしている可視光領域からは外れている.
このような困難はあるものの,M 型矮星周りの惑星探査は進行している,特に,地球サイズの系外惑星 GJ 1132b (Berta-Thompson et al. 2015) や,スーパーアース GJ 1213b (Charbonneau et al. 2009) などが,地上からのトランジットサーベイプロジェクト MEarth で検出されている (Nutzman & Charbonneau 2008).
また,大きな視線速度サーベイブログラムが HARPS を用いて行われている.
このようなサーベイプログラムの中に,広視野の Next Generation Transit Survey (NGTS) がある.
このサーベイは,スペクトル型が K 型や早期 M 型の恒星まわりのトランジット観測を目的とし,地上から達成できる限界の測光精度で観測を行っている.
Meyer et al. (2017) によると,M 型矮星周りでの 1 - 10 木星質量の惑星の存在頻度は 0.07 である.
これまでに M 型星をトランジットする巨大惑星は,2 個発見されているのみである.発見されているのは,ケプラー45b (0.505 木星質量,0.96 木星半径,Johnson et al. 2012),HATS-6b (0.32 木星質量,1.00 木星半径,Hartman et al. 2015).
また,WASP-80b (0.55 木星質量,0.95 木星半径,Triaud et al. 2013) は早期 M 型星に非常に近い低質量の主星をトランジットしており,物理的特性はケプラー45b に類似している.
しかしケプラーの統計からは,M 型星周りだけではなく太陽型星周りでもホットジュピターは希少であることが分かっている.
有効温度:3916 K
質量:0.617 太陽質量
半径:0.573 太陽半径
距離:224 pc
軌道離心率:0.016
質量:0.812 木星質量
半径:1.33 木星半径
軌道長半径:0.0326 AU
平衡温度:790 K
トランジットは grazing なので惑星半径の精度はあまり良くなく,また得られる推定値は使用した density prior に強く影響される.
低質量星周りでは力学的な時間スケールが長く,惑星形成プロセスにかかる時間が長くなる.また,原始惑星系円盤の質量は中心星質量に概ね比例するため,惑星となる材料が少ない.そのため M 型星まわりでの巨大惑星の存在頻度の決定は,惑星の形成過程への重要な新しい見識を与えるはずである.
太陽型星の場合,中心星の金属量が増加すると巨大惑星の存在頻度も高くなることが長く知られている (Fischer & Valenti 2005).太陽よりも明確に金属量が少ない恒星周りでは,巨大惑星はわずかしか発見されていない.
しかし同様の相関は,海王星質量やスーパーアースに対しては見られず,中心星の金属量と海王星質量惑星・スーパーアースの存在頻度は独立しているように思われる (Sousaet al. 2008; Buchhave & Latham 2015; Jenkins et al. 2017).
M 型矮星を対象とした最も規模の大きい視線速度サーベイでは,最小質量が 0.1 - 1.0 木星質量の範囲にある惑星で,軌道周期が 10 日未満の惑星の存在頻度の上限は ~ 1% (Bonfis et al. 2013) と推定されている.
しかしこの結果は,FGK 型星まわりよりも M 型星周りではホットジュピターの存在頻度が低いという制限は与えない.FGK 星周りでは,ケプラーミッションから 0.55 - 2 木星半径で 10 日未満の惑星は 0.43 ± 0.05%と推定されている.
WASP や HATNet のような小さい望遠鏡を用いたサーベイでは,M 型星のような非常に暗く赤い天体は検出しない,そのため M 型矮星のポピュレーションの大部分をカバーすることが出来ない.
一方で,MEarth のような大型望遠鏡を用いて単独の恒星をモニターするサーベイでは,ホットジュピターの存在頻度を探査するといった目的にかなうほどの,十分な個数の M 型星をカバーすることが出来ない.
また,1 m 口径の宇宙望遠鏡であるケプラーは視野内の M 型星をモニター出来るが,100 平方度の視野しかカバーしないため,観測可能な数は 4000 個程度に限られる.
そのため NGTS は現在,M 型星まわりのホットジュピターの存在頻度を探るために最も適しているサーベイプロジェクトである.NGTS では,通常の探査キャンペーンの一環として,1 年あたり 20000 個の早期型 M 型星をモニターする予定である.
arXiv:1710.11099
Bayliss et al. (2017)
NGTS-1b: A hot Jupiter transiting an M-dwarf
(NGTS-1b・M 型矮星をトランジットするホットジュピター)
概要
早期 M 型矮星をトランジットするホットジュピター NGTS-1b の発見について報告する.中心星 NGTS-1 の有効温度は 3916 K で,惑星の軌道周期は 2.764 日である.
この惑星は,Next Generation Transit Survey (NGTS) の一環で発見された.
惑星の質量は 0.812 木星質量であり,M 型矮星をトランジットする惑星の中では最も重い.惑星の半径は 1.33 木星半径であった.
惑星は中心星をかすめるような位置関係でトランジットを起こしているため (grazing transit),惑星の半径は,データのモデリングと既知の巨大ガス惑星のポピュレーションからの密度に対する prior を置いて推定を行った.
NGTS-1b は,M 型矮星の周りに発見された 3 番目のトランジット巨大惑星である.
今回の発見は,M 型矮星まわりの近接ガス惑星は,太陽型星周りでのホットジュピターの既知のポピュレーションと同様に形成され移動するという考えを補強するものである.
中心星の活動星を確認したが,明確な活動星は示さなかった.
また運動学的には,この恒星が厚い銀河円盤のに属している天体であることが示唆される.
中心星の光度は K = 11.9 で,惑星のトランジット深さは 2.5%であり,ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) の透過光分光観測を介して M 型矮星まわりの巨大惑星の組成を探査するための有力候補である.
M 型星まわりの惑星探査
これまでの M 型星まわりの惑星探査
最近の M 型星周りでの惑星発見で特に興味深いのは,プロキシマ・ケンタウリ (Anglada-Escud ́e et al. 2016) と TRAPPIST-1 (Gillon et al. 2017) の発見である.※関連記事
天文・宇宙物理関連メモ vol.295 Anglada-Escudé et al. (2016) プロキシマ・ケンタウリにおける系外惑星候補の検出
天文・宇宙物理関連メモ vol.389 Gillon et al. (2017) TRAPPIST-1 まわりの 7 つの惑星の発見
天文・宇宙物理関連メモ vol.295 Anglada-Escudé et al. (2016) プロキシマ・ケンタウリにおける系外惑星候補の検出
天文・宇宙物理関連メモ vol.389 Gillon et al. (2017) TRAPPIST-1 まわりの 7 つの惑星の発見
M 型星のまわりでは,惑星と中心星の半径比 \(R_{\rm p}/R_{\rm star}\) と質量比 \(M_{\rm p}/M_{\rm star}\) が太陽型星周りでの惑星系よりずっと大きいため,トランジットや視線速度法で惑星を検出しやすい.また中心星の光度が小さいためハビタブルゾーンが恒星に近い.そのためハビタブルゾーンにある惑星の検出がしやすい (恒星近傍の惑星のほうが検出しやすいため).
さらに,M 型矮星は銀河系内で最も一般的な恒星であり,銀河系の恒星の~ 75%を占める (Henry et al. 2006).
しかし,系外惑星の観測という点では M 型星には困難な点が多い.
元々の光度が小さいため,他のタイプの恒星に比べると見かけの等級がずっと暗く,正確な測光観測や視線速度の測定が難しくなる.また M 型矮星のスペクトルには分子による吸収が多く,これは太陽型星に多いシャープな構造を持つ金属の線とは異なり,精密な視線速度測定を行うことを難しくしている.さらに中心星の有効温度が低いため,フラックスの極大が可視光領域の外にあり (赤外線),多くの測光観測や分光観測がターゲットとしている可視光領域からは外れている.
このような困難はあるものの,M 型矮星周りの惑星探査は進行している,特に,地球サイズの系外惑星 GJ 1132b (Berta-Thompson et al. 2015) や,スーパーアース GJ 1213b (Charbonneau et al. 2009) などが,地上からのトランジットサーベイプロジェクト MEarth で検出されている (Nutzman & Charbonneau 2008).
また,大きな視線速度サーベイブログラムが HARPS を用いて行われている.
このようなサーベイプログラムの中に,広視野の Next Generation Transit Survey (NGTS) がある.
このサーベイは,スペクトル型が K 型や早期 M 型の恒星まわりのトランジット観測を目的とし,地上から達成できる限界の測光精度で観測を行っている.
M 型星まわりの巨大惑星
半径が 0.5 - 4 地球半径の小型の惑星は,M 型星周りではよく見られる一方で (Dressing & Charbonneau 2013) で,巨大ガス惑星は極めて希少である.Meyer et al. (2017) によると,M 型矮星周りでの 1 - 10 木星質量の惑星の存在頻度は 0.07 である.
これまでに M 型星をトランジットする巨大惑星は,2 個発見されているのみである.発見されているのは,ケプラー45b (0.505 木星質量,0.96 木星半径,Johnson et al. 2012),HATS-6b (0.32 木星質量,1.00 木星半径,Hartman et al. 2015).
また,WASP-80b (0.55 木星質量,0.95 木星半径,Triaud et al. 2013) は早期 M 型星に非常に近い低質量の主星をトランジットしており,物理的特性はケプラー45b に類似している.
しかしケプラーの統計からは,M 型星周りだけではなく太陽型星周りでもホットジュピターは希少であることが分かっている.
パラメータ
NGTS-1
スペクトル型:M0有効温度:3916 K
質量:0.617 太陽質量
半径:0.573 太陽半径
距離:224 pc
NGTS-1b
軌道周期:2.647298 日軌道離心率:0.016
質量:0.812 木星質量
半径:1.33 木星半径
軌道長半径:0.0326 AU
平衡温度:790 K
議論
NGTS-1b は M 型矮星まわりをトランジットする 3 番目の巨大ガス惑星であり,それらの中では最も重い.トランジットは grazing なので惑星半径の精度はあまり良くなく,また得られる推定値は使用した density prior に強く影響される.
M 型星周りの希少な巨大惑星
惑星形成理論では,M 型矮星まわりでは FGK 型星と比べて巨大惑星は希少であることが示唆されている (Kennedy & Kenyon 2008).低質量星周りでは力学的な時間スケールが長く,惑星形成プロセスにかかる時間が長くなる.また,原始惑星系円盤の質量は中心星質量に概ね比例するため,惑星となる材料が少ない.そのため M 型星まわりでの巨大惑星の存在頻度の決定は,惑星の形成過程への重要な新しい見識を与えるはずである.
太陽型星の場合,中心星の金属量が増加すると巨大惑星の存在頻度も高くなることが長く知られている (Fischer & Valenti 2005).太陽よりも明確に金属量が少ない恒星周りでは,巨大惑星はわずかしか発見されていない.
しかし同様の相関は,海王星質量やスーパーアースに対しては見られず,中心星の金属量と海王星質量惑星・スーパーアースの存在頻度は独立しているように思われる (Sousaet al. 2008; Buchhave & Latham 2015; Jenkins et al. 2017).
巨大惑星探査の困難
視線速度探査
巨大ガス惑星の存在頻度を探査すること,特に M 型矮星まわりのホットジュピターを探査することは難しい.これは中心星が暗く,視線速度サーベイでモニターすることが難しいためである,M 型矮星を対象とした最も規模の大きい視線速度サーベイでは,最小質量が 0.1 - 1.0 木星質量の範囲にある惑星で,軌道周期が 10 日未満の惑星の存在頻度の上限は ~ 1% (Bonfis et al. 2013) と推定されている.
しかしこの結果は,FGK 型星まわりよりも M 型星周りではホットジュピターの存在頻度が低いという制限は与えない.FGK 星周りでは,ケプラーミッションから 0.55 - 2 木星半径で 10 日未満の惑星は 0.43 ± 0.05%と推定されている.
トランジット探査
トランジットサーベイも,視線速度サーベイと同様の困難さに直面している.中心星の光度が小さいため,M 型星のうちごく一部だけしか測光観測でモニターできないという点である.WASP や HATNet のような小さい望遠鏡を用いたサーベイでは,M 型星のような非常に暗く赤い天体は検出しない,そのため M 型矮星のポピュレーションの大部分をカバーすることが出来ない.
一方で,MEarth のような大型望遠鏡を用いて単独の恒星をモニターするサーベイでは,ホットジュピターの存在頻度を探査するといった目的にかなうほどの,十分な個数の M 型星をカバーすることが出来ない.
また,1 m 口径の宇宙望遠鏡であるケプラーは視野内の M 型星をモニター出来るが,100 平方度の視野しかカバーしないため,観測可能な数は 4000 個程度に限られる.
そのため NGTS は現在,M 型星まわりのホットジュピターの存在頻度を探るために最も適しているサーベイプロジェクトである.NGTS では,通常の探査キャンペーンの一環として,1 年あたり 20000 個の早期型 M 型星をモニターする予定である.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.09974
Ryu et al. (2017)
OGLE-2016-BLG-1190Lb: First Spitzer Bulge Planet Lies Near the Planet/Brown-Dwarf Boundary
(OGLE-2016-BLG-1190Lb:惑星/褐色矮星境界付近にある初めてのスピッツァーバルジ惑星)
この天体は,銀河バルジ・腕の領域における,初めてのスピッツァー宇宙望遠鏡で検出されたマイクロレンズ惑星と思われる天体である.
この天体の推定質量は 13.4 ± 0.9 木星質量であり,これは重水素燃焼を起こす限界に近い.すなわち,“惑星” と “褐色矮星” の便宜上の境界の質量を持つ.
この惑星の存在は,このような天体が実際に “惑星” なのか (主星の円盤の中で形成されたのか),もしくは “failed star” なのか (ガスの分裂によって形成され,恒星になりそこねた低質量の天体なのか) についての疑問を投げかけるもの.
この疑問点は,銀河の円盤とバルジ・腕部分の惑星を比較することによって解明される可能性があり,これはスピッツァー宇宙望遠鏡によるマイクロレンズプログラムの目標でもある.
主星は G 型矮星で,0.89 太陽質量,軌道長半径は 2.0 AU であった.
パラメータの推定にあたっては,ケプラーの K2 ミッションの Campaign 9 のマイクロレンズデータを使用し,レンズ天体の質量の縮退を解いた.
距離:6.74 kpc
軌道長半径:2.04 AU
軌道周期:3.05 年
arXiv:1710.09974
Ryu et al. (2017)
OGLE-2016-BLG-1190Lb: First Spitzer Bulge Planet Lies Near the Planet/Brown-Dwarf Boundary
(OGLE-2016-BLG-1190Lb:惑星/褐色矮星境界付近にある初めてのスピッツァーバルジ惑星)
概要
重力マイクロレンズ法によって検出された天体 OGLE-2016-BLG-1190Lb について報告する.この天体は,銀河バルジ・腕の領域における,初めてのスピッツァー宇宙望遠鏡で検出されたマイクロレンズ惑星と思われる天体である.
この天体の推定質量は 13.4 ± 0.9 木星質量であり,これは重水素燃焼を起こす限界に近い.すなわち,“惑星” と “褐色矮星” の便宜上の境界の質量を持つ.
この惑星の存在は,このような天体が実際に “惑星” なのか (主星の円盤の中で形成されたのか),もしくは “failed star” なのか (ガスの分裂によって形成され,恒星になりそこねた低質量の天体なのか) についての疑問を投げかけるもの.
この疑問点は,銀河の円盤とバルジ・腕部分の惑星を比較することによって解明される可能性があり,これはスピッツァー宇宙望遠鏡によるマイクロレンズプログラムの目標でもある.
主星は G 型矮星で,0.89 太陽質量,軌道長半径は 2.0 AU であった.
パラメータの推定にあたっては,ケプラーの K2 ミッションの Campaign 9 のマイクロレンズデータを使用し,レンズ天体の質量の縮退を解いた.
パラメータ
OGLE-2016-BLG-1190L
質量:0.89 太陽質量距離:6.74 kpc
OGLE-2016-BLG-1190Lb
質量:13.38 木星質量軌道長半径:2.04 AU
軌道周期:3.05 年
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1710.10083
Kirk et al. (2017)
LRG-BEASTS III: Ground-based transmission spectrum of the gas giant orbiting the cool dwarf WASP-80
(LRG-BEASTS III:低温の矮星 WASP-80 を公転する巨大ガス惑星の地上からの透過スペクトル)
合計で 2 回の惑星トランジットを観測し,4640 - 8840 Å の波長帯で惑星大気の透過スペクトルを取得した.
得られた透過スペクトルは,過去に報告されていたカリウムの検出報告とは非整合的な結果を示し,代わりにヘイズの存在と整合的な結果となった.また 100 Å の分解能では,大気中のナトリウムの吸収の兆候は見られなかった.
これまでに,HAT-P-18b でヘイズによるレイリー散乱のスロープの検出 (Kirk et al. 2017),WASP-52b の雲の多い大気 (Louden et al. 2017) の検出を報告している.
中心星の半径が比較的小さく,それに対して惑星半径は比較的大きいため,トランジット深さは 2.9%と大きくなり,大気の透過スペクトル観測に適した対象である.
過去のトランジット測光観測では,この惑星はヘイズの多い大気であることが示唆されており,波長による惑星半径の大きな変化は無いことが報告されている (Fukui et al. 2014; Mancini et al. 2014; Triaud et al. 2015).
しかし Sedaghati et al. (2017) では VLT/FORS2 を用いて,圧力で広がったカリウムの吸収線の検出を報告している.この結果は,この惑星は晴れていて低金属量の大気を持つことを示唆している.
これとは対照的に,Parviainen et al. (2017) では Gran Telescopio Canarias (GTC) を用いた観測結果から,スペクトルは平坦に近く,カリウムの吸収の証拠は見られなかった事が報告されている.
Sedaghati et al. (2017) で発見の主張があった,カリウムの広い吸収線の証拠は見られなかった.また,ナトリウムの吸収も 100 Å の分解能では見られなかった.
かわりに,Fukui et al. (2014), Mancini et al. (2014), Triaud et al.(2015),Parviainen et al. (2017) によって得られている結果とよく一致した.
中心星の WASP-80 は光球の変動に欠けており (Triaud et al. 2013),恒星の変動によってこの観測結果の食い違いを引き起こすとは考えにくい.そのため,Sedaghati et al. (2017) の VLT/FORS データの中に残差の系統誤差が存在した可能性がある.
The Low Resolution Ground-Based Exoplanet AtmosphereSurvey using Transmission Spectroscopy (LRG-BEASTS,‘large beasts’) とあるので,LRG-BEASTSは「ラージビースト (ビースツ?)」と読むようです.
日本語に直訳するなら,「透過分光観測による低分散系外惑星大気地上サーベイ」あたりでしょうか.
arXiv:1710.10083
Kirk et al. (2017)
LRG-BEASTS III: Ground-based transmission spectrum of the gas giant orbiting the cool dwarf WASP-80
(LRG-BEASTS III:低温の矮星 WASP-80 を公転する巨大ガス惑星の地上からの透過スペクトル)
概要
LRG-BEASTS プログラムの一環として,Willian Herschel Telescope (WHT) の ACAM を用いて,低温の矮星 WASP-80 を公転するホットジュピター WASP-80b の地上からの透過スペクトル観測を行った.これは低分散グリズム分光器を用いたホットジュピターの地上からの透過スペクトルサーベイにおける 3 番目の論文である.合計で 2 回の惑星トランジットを観測し,4640 - 8840 Å の波長帯で惑星大気の透過スペクトルを取得した.
得られた透過スペクトルは,過去に報告されていたカリウムの検出報告とは非整合的な結果を示し,代わりにヘイズの存在と整合的な結果となった.また 100 Å の分解能では,大気中のナトリウムの吸収の兆候は見られなかった.
背景
LRG-BEAST について
The Low Resolution Ground-Based Exoplanet AtmosphereSurvey using Transmission Spectroscopy (LRG-BEASTS,‘large beasts’) は,ホットジュピターの大気の特徴付けを行うためのプログラムである.これまでに,HAT-P-18b でヘイズによるレイリー散乱のスロープの検出 (Kirk et al. 2017),WASP-52b の雲の多い大気 (Louden et al. 2017) の検出を報告している.
WASP-80b について
WASP-80b は巨大ガス惑星で,半径は 0.986 木星半径である.中心星の WASP-80 は半径が 0.593 太陽半径で,比較的低温の矮星である (Mancini et al. 2014).中心星の半径が比較的小さく,それに対して惑星半径は比較的大きいため,トランジット深さは 2.9%と大きくなり,大気の透過スペクトル観測に適した対象である.
過去のトランジット測光観測では,この惑星はヘイズの多い大気であることが示唆されており,波長による惑星半径の大きな変化は無いことが報告されている (Fukui et al. 2014; Mancini et al. 2014; Triaud et al. 2015).
しかし Sedaghati et al. (2017) では VLT/FORS2 を用いて,圧力で広がったカリウムの吸収線の検出を報告している.この結果は,この惑星は晴れていて低金属量の大気を持つことを示唆している.
これとは対照的に,Parviainen et al. (2017) では Gran Telescopio Canarias (GTC) を用いた観測結果から,スペクトルは平坦に近く,カリウムの吸収の証拠は見られなかった事が報告されている.
結果と考察
今回得られた透過スペクトルは,レイリー散乱スロープでよく再現出来る.高高度にあるヘイズの存在を示唆している.Sedaghati et al. (2017) で発見の主張があった,カリウムの広い吸収線の証拠は見られなかった.また,ナトリウムの吸収も 100 Å の分解能では見られなかった.
かわりに,Fukui et al. (2014), Mancini et al. (2014), Triaud et al.(2015),Parviainen et al. (2017) によって得られている結果とよく一致した.
中心星の WASP-80 は光球の変動に欠けており (Triaud et al. 2013),恒星の変動によってこの観測結果の食い違いを引き起こすとは考えにくい.そのため,Sedaghati et al. (2017) の VLT/FORS データの中に残差の系統誤差が存在した可能性がある.
The Low Resolution Ground-Based Exoplanet AtmosphereSurvey using Transmission Spectroscopy (LRG-BEASTS,‘large beasts’) とあるので,LRG-BEASTSは「ラージビースト (ビースツ?)」と読むようです.
日本語に直訳するなら,「透過分光観測による低分散系外惑星大気地上サーベイ」あたりでしょうか.
MWC は "Mount Wilson Catalog" から来ており,Mount Wilson Observatory (ウィルソン山天文台) で観測されカタログにまとめられた,輝線星のカタログを意味している.