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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1709.02017
Esplin & Luhman (2017)
A Survey For Planetary-mass Brown Dwarfs in the Taurus and Perseus Star-forming Regions
(おうし座とペルセウス座星形成領域における惑星質量褐色矮星のサーベイ)

概要

おうし座の星形成領域 (star-forming region) における,惑星質量褐色矮星のサーベイの初期結果を報告する.このサーベイでは,複数の地上望遠鏡と宇宙望遠鏡の装置を用いた,恒星の固有運動と測光観測から,おうし座領域における褐色矮星候補天体を同定した.

いくつかの有望な候補天体の分光観測結果から,おうし座領域における 18 個の新しい天体を発見した.これらの天体のスペクトル型は,中期 M 型から早期 L 型の範囲である.この中には,extinction-correlated Ks で知られている中で最も暗い 4 つの天体を含む.

これらの天体の質量の推定値は,天体の進化モデルを用いると 4 - 5 木星質量となる.

発見されたもののうち最も低温の天体の 2 つ (スペクトル型が M9.25 と M9.5 の 2 つ) は,中間赤外線でのスペクトルの超過を示した.これは,これらの天体が円盤を持っていることを示唆している.

M9 - L2 と M9 - L3 のスペクトル型を持つ 2 つの天体は,スペクトル型が L0 よりも晩期の型のスペクトルと比較すると,中間赤外領域での色が赤い特徴を示す.しかし,スペクトル型が L0 より早期の天体については測光学的な色はあまりよく定義されていないため,これが円盤が存在することによる超過であるかは不明瞭である.

また,Luhman et al. (2016) で同定されたペルセウス座領域の NGC 1333 星団と IC 348 のメンバー候補天体のスペクトルを取得した.そのうち,8 個の候補天体が星団のメンバーの可能性があると判断された,そのうちの 3 つは,星団の中で最も暗く,最も軽い ( ~ 5 木星質量) ものの一つである.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1709.01527
Niraula et al. (2017)
Three Small Super-Earths Transiting the nearby star GJ 9827
(近傍星 GJ 9827 をトランジットする 3 つの小さいスーパーアース)

概要

GJ 9827 まわりの 3 つのトランジット惑星の発見について報告する.この発見は,ケプラーの K2 ミッションにおける Campaign 12 観測の一環として行われた.

中心星の GJ 9827 は,光度が V = 10.39 の K6V 星であり,距離は 30.3 pc である.ケプラーおよびケプラーの K2 ミッションで惑星が発見された恒星としては,最も太陽系に近いものである

視線速度のフォローアップ観測,高分解能撮像観測,および軌道周期の比が尽数関係に近い複数トランジット天体が検出されたことから,今回の検出における偽陽性確率 (※注釈:シグナルが惑星由来ではない確率) は非常に低い.

惑星 GJ 9827b, c, d の軌道周期は,1:3:5 の平均運動共鳴に非常に近い.
暫定的な解析から,これらの惑星は大気観測を行う候補として適していることが示される.さらに,3 つの惑星の半径は岩石惑星とガス惑星の境界にまたがって存在しており,岩石惑星とガス惑星を分ける閾値に関する我々の理解をを深める可能性がある.

パラメータ

GJ 9827
別名;EPIC 246389858
有効温度:4255 K
半径:0.651 太陽半径
質量:0.659 太陽質量
金属調:[Fe/H] = -0.28
自転周期:16.9 日
距離:30.3 pc
スペクトル型:K6V
GJ 9827b
軌道周期:1.208957 日
半径:1.75 地球半径
軌道長半径:0.020 AU
平衡温度:1043.5 K
GJ 9827c
軌道周期:3.64802 日
半径:1.36 地球半径
軌道長半径:0.042 AU
平衡温度:721.9 K
GJ 9827d
軌道周期:6.20141 日
半径:2.10 地球半径
軌道長半径:0.060 AU
平衡温度:604.9 K

近接した軌道を持つスーパーアース系

今回発見された 3 惑星については,3 分よりも大きいトランジット時刻変動は発見されなかった.

しかし 3 惑星の周期は 1:3:5 に近い.GJ 9827b と GJ 9827c の軌道周期は,3:1 からのズレは + 0.5%であり,GJ 9827c と GJ 9827d の軌道周期の 5:3 からのずれは + 2.0%であった.
このような,完全な共鳴からの小さい正のずれは,他のケプラー複数惑星系でも報告されている (Fabricky et al. 2014).

岩石惑星とガス惑星を分ける閾値は,1.5 地球半径と考えられている (Weiss & Marcy 2014).これを元にすると,GJ 9827c は岩石,GJ 9827d はガス惑星であることが示唆される.GJ 9827b については半径は岩石惑星とガス惑星の境界上にある.






arXiv:1709.01957
Rodriguez et al. (2017)
A System of Three Super Earths Transiting the Late K-Dwarf GJ 9827 at Thirty Parsecs
(30 パーセクにある晩期 K 型矮星 GJ 9827 をトランジットする 3 つのスーパーアースの系)

概要

GJ 9827 を公転する,3 つの小さいトランジット惑星の発見を報告する.これらの惑星は,K = 7.2 の明るい晩期 K 型星の周りを公転している.

今回発見された惑星の半径は,岩石を主成分とする惑星とガスを主成分とする惑星の遷移領域にある.GJ 9827b と GJ 9827c は,岩石惑星とガス惑星の間の半径分布のギャップの中,あるいはその付近に位置している.

この系までの距離はおよそ 30 pc であり,ケプラーの K2 ミッションで発見された中で一番近い系外惑星である.これらの惑星は,将来的なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での大気観測に適した対象である.

パラメータ

GJ 9827
別名:HIP 115752,2MASS J23270480-0117108,EPIC 246389858
KS バンド等級:7.193
V バンド等級:10.250
有効温度:4270 K
金属量:[m/H] = -0.5
距離:30.32 pc
スペクトル型:K6V
質量:0.85 太陽質量
半径:0.630 太陽半径
光度:0.119 太陽光度
GJ 9827b
軌道周期:1.2089819 日
軌道長半径:0.0211 AU
半径:1.64 地球半径
平衡温度:1119 K
GJ 9827c
軌道周期:3.648086 日
軌道長半径:0.0440 AU
半径:1.29 地球半径
平衡温度:774 K
GJ 9827d
軌道周期:6.201472 日
軌道長半径:0.0627 AU
半径:2.08 地球半径
平衡温度:648 K

その他

GJ 9827b と GJ 9827c は 1:3 軌道共鳴の 0.5%外側だが,GJ 9827d は他の惑星との整数比とは離れている.







同じ GJ 9827 という恒星の周りでの同時の惑星の発見報告です.
ケプラーは K2 ミッションに移行してからは,観測データは公開して有志の研究者チームがそれを解析するという手法を取っているため,異なる研究者チームが同じ天体のシグナルを解析した場合,このように発見報告がほぼ同時になることがあります.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1709.01642
Pu & Valencia (2017)
Ohmic Dissipation in Mini-Neptunes
(ミニネプチューン中でのオーム散逸)

概要

惑星に磁場と弱く電離した風が存在する状況では,木星型惑星や低質量惑星のエンベロープでは電流のオーム散逸が発生することが期待される.木星型惑星のエンベロープ中でのこの過程はこれまでに研究されているが,ミニネプチューン (mini-Neptunes,小型の海王星型惑星) での研究は存在しない.

ここでは,惑星の内部構造と熱進化のモデルから,ミニネプチューンの半径収縮を止めるのに必要なエネルギーの注入について調べた.この必要なエネルギーは,惑星質量とエンベロープの割合が大きくなるのに伴い大きくなる.

恒星から輻射によって受け取るエネルギーを 1 として必要なエネルギーを比較すると,オーム加熱によるエネルギーの必要量は小さく,10-5 程度となる.これは,太陽系外の木星型惑星で必要な値である 10-2 よりも数桁小さいものである

また磁気誘導方程式を解くことによって,オーム加熱によるエネルギーは,低質量の惑星の中と,エンベロープ割合が大きい惑星では,より容易に散逸することも示された.

ここで得られた上記 2 つの傾向を合わせることで,ミニネプチューン内部でのオーム散逸は,惑星の半径を膨張させるのに十分な強度を得られる事を示した (平衡温度 1400 K の惑星で,1015 W が必要量).

これは,ミニネプチューンの半径を決める原因の一つはオーム散逸であることを示唆している.従って,高温のミニネプチューン中のオーム散逸と水素・ヘリウム存在度の間にはトレードオフの関係があり,このような惑星の組成の解釈において新しい縮退を加えることとなる.さらに,ミニネプチューン内部でのオーム散逸は,ミニネプチューンを大気蒸発に対してより脆弱なものにするだろう (大気散逸を増加させることになるだろう).

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arXiv:1709.01732
Kiefer et al. (2017)
Detection of a repeated transit signature in the light curve of the enigma star KIC 8462852: a 928-day period?
(謎めいた恒星 KIC 8462852 の光度曲線中の繰り返しのトランジットシグナルの検出:926 日周期?)

概要

謎めいた恒星 KIC 8462852 は,それぞれ相関がないと思われるタイミングでの短く深いの減光を起こしていることが,ケプラーの奇妙な光度曲線の解析から明らかになっている.しかし中心星の特性は,奇妙な減光を起こすことを覗いては,静穏な 10 億歳の F3V 星に典型的なものである.

観測されている減光のパターンは,彗星の塵の尾によるトランジットがあった場合に発生する吸収特性に類似している.そのため,奇妙な減光の説明として,系外彗星 (exocomet) シナリオが提唱されている.

ここでは,ケプラーの測光観測データを再解析し,新しい高精度の光度曲線を抽出した.その結果,同定した 22 回のフラックス減光イベントのうち,2 イベントが明確な類似性を示す事を発見した

この 2 つのイベントは 928.25 日離れて発生し,4.4 日に渡って継続し,この時の恒星の光度は 1000 ppm 減少する.これらのイベントの光度曲線は,巨大なリングを持つ天体による掩蔽.あるいは,ダスト生成率が 105 - 106 kg/s である,半ダースの系外彗星の連続したトランジットによって説明可能である.

これらの 2 つの類似した減光イベントが同じ天体のトランジットに関連していると仮定すると,周期は 928.25 日となる.この周期を元にした次のトランジットは 2017 年 3 月に発生することが期待されていたが,悪天候のため地上からの分光観測はできなかった.その次のイベントは 2019 年の 10 月 3 - 8 日の間に起きると予測される.

KIC 8462852 について

KIC 8462852 は,スペクトル型が F3V の,454 pc の距離にある恒星である (Hippke et al. 2016).

ケプラーの測光データから,奇妙な光度曲線を示していることが判明している.この減光は,深さが最大で ~ 20%である (Boyajian et al. 2016).KIC 8462852 は一般的な F 型星だと考えられており,この奇妙な振る舞いの説明として,恒星自身の不安定性である可能性は排除される.さらに最近,この恒星のフラックスが 200 日程度にわたって ~ 2.5%の減光を示したことが報告されている (Montet & Simon 2016).その一方で,過去の 100 年あまりの間に撮られた写真乾板の綿密な解析から,1 年あたり 0.3%のペースでの継続的な減光を起こしている疑いもある (Schaefer 2016).

この頻繁な,しかし非周期的な減光の説明として最も有名なシナリオは,星周物質がトランジットしているというものである.星周物質の候補としては,彗星や (Boyajian et al. 2016など),微惑星の破片 (Bodman & Quillen 2016) が考えられている.

この状況は β Pic (がか座ベータ星) で見られるシグナルと類似していて,がか座ベータ星の場合も系外彗星によると考えると説明できる (Ferlet et al. 1987など).しかしがか座ベータ星のケースとは対照的に,KIC 8462852 は年齡が若くなく (10 億歳),またがか座ベータ星では見られている星周ガスやダストは赤外線では検出されていない.

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arXiv:1709.01875
Parviainen et al. (2017)
The GTC exoplanet transit spectroscopy survey VIII. Flat transmission spectrum for the warm gas giant WASP-80
(GTC 系外惑星トランジット分光サーベイ VIII.暖かい巨大ガス惑星 WASP-80b の平坦な透過スペクトル)

概要

WASP-80b の大気の透過光分光観測結果について報告する,この惑星は平衡温度が ~ 800 K の温暖な膨張したガス惑星である.

地上望遠鏡を用いて,520 - 910 nm の範囲で透過光分光観測を行った.この波長帯の観測によって,惑星大気中の K と Na の存在の有無と,存在した場合はその存在度を探ることが出来る.また高高度の雲の存在や,スペクトルの青い側でのレイリー散乱の存在を探ることが出来る.

Gran Telescopio CANARIAS にある OSIRIS 分光器を用いて,この惑星のトランジット分光観測を行った.
520 - 910 nm の間の透過スペクトルを,20 nm 幅のパスバンドで観測した.また K I と Na I の共鳴二重線の周辺の波長帯を 6 nm 幅のパスバンドで観測した.新しい観測結果と過去の 27 セットの光度曲線も合わせてモデル化を行った.

その結果,平坦な透過光スペクトルを検出した.スペクトル中には,レイリー散乱や,K I と Na I 吸収の証拠は発見されなかった.合計 2 回の観測を独立して解析した結果,どちらも整合的な結果となった.

得られた平坦なスペクトルより,大気特性に制約を与えることが出来る.この惑星の場合,高高度に雲があるというモデルが,大気の金属量が太陽金属量で雲なしとするモデル,および太陽より小さい金属量で雲なしとするモデルよりも合うことが分かる.

WASP-80 系について

WASP-80 は,V = 11.87 と明るい,晩期 K / 早期 M 型星である.軌道周期が 3.07 日の WASP-80b を持っている.WASP-80b は 0.56 木星質量,0.99 木星半径と,低い表面重力を持つ (Mancini et al. 2014).惑星の半径が比較的大きいため,トランジット深さは ~ 3%程度となる.

この惑星は平衡温度が ~ 800 K であり,Fortney et al. (2008) による系外惑星のクラス分けでは,pL class (大気中に温度逆転層が存在しない) に属する可能性が高いとされる.pL class に属する惑星では,レイリー散乱と K I と Na I 共鳴二重線吸収が透過スペクトル中に検出されることが期待される.また,K I の吸収は最近検出報告がある (Sedaghati et al. 2017).これは Very Large Telescope (VLT) の FORS2 分光器を用いた分光観測を元にしている.

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