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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.05248
Vanderburg et al. (2016)
Two Small Planets Transiting HD 3167
(HD 3167 をトランジットする 2 つの小さい惑星)

概要

ケプラー K2 ミッションにより,明るい (V = 8.94) 近傍の G 型星 HD 3167 まわりに,2 つのスーパーアースサイズのトランジット惑星を発見した.

中心星は,複数のトランジット惑星を持つ恒星の中でも最も太陽系に近い部類に入る (45.8 pc).そのため,フォローアップ観測の良いターゲットである.また,中心星は彩層活動が活発ではなく,時点も遅いため,視線速度法を用いた惑星の質量測定のための観測にも適している.将来的なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) での観測対象としても適している.

パラメータ

HD 3167
別名:EPIC 220383386, HIP 2736
等級:8.94
質量:0.88 太陽質量
半径:0.83 太陽半径
金属量:[M/H] = 0.00
有効温度:5367 K
距離:45.8 pc
HD 3167b
軌道周期:0.959627 日
惑星半径:1.585 地球半径
平衡温度:1560 K
HD 3167c
軌道周期:29.8452 日
惑星半径:2.89 地球半径
平衡温度:500 K

※惑星の平衡温度は惑星のアルベドが 0 - 0.7 まで一様に分布しているとし,また完全な熱の再分配が行われていることを仮定している.

議論

視線速度観測の可能性

主星は明るく近い恒星である.また自転速度は 2 km s-1 未満であり,活動度は低い.

HD 3167b が岩石惑星であり,質量が 4 地球質量の場合は,恒星の視線速度は 3 m s-1 となる.また,HD 3167c の場合は質量が 5 地球質量とすると視線速度は 1 m s-1,15 地球質量であれば 3 m s-1 であり,この大きさであれば現在の分光観測で検出可能である.

また,HD 3167c は大気の特徴付けのためのフォローアップ観測の対象に適しており,その他の GJ 1214b や GJ 3470b, かに座 55 番星e などに次ぐレベルで観測しやすいと予想される.

惑星系の特徴

これまでに知られている多くの複数惑星系とは異なり,この惑星系の 2 つの惑星の距離は離れている.各惑星の軌道周期の比率 Pb/Pc = 31.1 という値は,他の惑星系での値と比べても上位 1%に入る (Coughlin et al. 2015).従ってこの系には,他にもトランジットを起こさない惑星が存在する可能性があり,視線速度で検出が出来るかもしれない.

HD 3167b は超短周期 (Ultra-short period, USP, Sanchis-Ojeda et al. 2014) 惑星である.
Sanchis-Ojeda et al. (2014) によると,USP 惑星は 2 地球半径より小さい傾向がある.これは,強い日射によって外層のエンベロープを失ってしまったと考えられ,HD 3167b は岩石が主要成分であると考えられる.

また,HD 3167b は周期が短いため,HD 3167c の大気観測をしている最中に HD 3167b のトランジットが被る可能性がある (de Wit et al. 2016 などで類似の例が報告されている).

なお,トランジットイベントが惑星であると確定させる手段には,統計的検証方法 (Morton et al. 2015) を用いている.HD 3167b, c 両惑星の偽陽性確率 (false positive probability, FPP) は 10-3, 10-4 である.この 2 惑星は K2 の field 8 の視野内に位置しているが,この領域は高銀緯であるため恒星の密度が低い.そのため背景星の混入が少なくなっている.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.05255
Buie et al. (2016)
Surveying the Inner Solar System with an Infrared Space Telescope
(赤外線宇宙望遠鏡による内部太陽系のサーベイ)

概要

地球に脅威を与えうる内部太陽系の天体のサーベイ観測について,計画されている Sentinel Space Telescope による将来的な観測を念頭に置いた解析を行った.Sentinel は赤外線宇宙望遠鏡であり,金星と同程度の軌道長半径で太陽を中心とした軌道に投入される計画の望遠鏡である.

解析の主な結果は,
  1. 観測ターゲットにする天体のサイズ範囲は調査設計に影響を与える
  2. 観測ターゲットにする天体サンプルの軌道分布も調査設計に影響を与える
  3. サーベイ中の観測アーク長の最小値は,サーベイのパフォーマンスの重要な基準となる
  4. 今後 100 年のうちに地球に損害を与えうる天体を同定するという目標を達成するためには,直径が 15 - 30 m の小ささの天体を考慮するべきである
というものである.

Sentinel は計画されている 6.5 年のサーベイ観測期間中に,直径が 40 m より大きいすべての天体のうちの 50%を発見することが出来るだろう.また Sentinel は他の観測プロジェクトと同様に 140 m を超える天体のサーベイには効果的だが,より小さい天体の捜索に適用した場合はより有効である.

また,小さいロケット推進で人間が到達できるような小天体を発見する事に対しても有効だろうと考えられる.

また,地上観測と宇宙空間からの観測の相互作用についても考察した.
Sentinel が Large Synoptic Survey Telescope (LSST) と共同でサーベイを行った場合についての調査も行った.この場合,Sentinel + LSST の共同で,Sentinel の 6.5 年間の観測,LSST での 10 年間の観測期間を想定すると,直径 40 m 以上の小天体を 70%以上発見することが可能である

Sentinel Space Telescope

地球近傍小惑星サーベイと Sentinel Space Telescope

地球近傍小惑星 (near earth asteroids, NEAs) は地球への衝突の危険性のある天体群である.NEA のサーベイプロジェクトとしては,NEAT (Pravdo et al. 1999),LINEAR (Stokes et al. 2000),Pan-STARRS (Jedicke et al. 2003, 2006) と,Catalina Sky Survey (カタリナ・スカイサーベイ,Larson et al. 2007) などがある.

宇宙空間からの赤外線領域での観測では,地球を周回する WISE 望遠鏡による NEA の検出が行われており, 200 個の NEA が発見されている (Mainzer et al. 2015).

現在の NEA サーベイでは,年間 2000 個程度の新規発見が続いている.この検出ペースは,2022 年に完成する予定の Large Synoptic Survey Telescope (LSST, Ivezi ́c et al. 2007, 2014) によって 2 桁増加すると予想される.

LSST では,10 年の間に 140 m より大きい,潜在的に危険な小惑星 (potentially hazardous asteroids, PHAs) の 82%あまりを検出できるとされている.しかし小さい天体の検出率はより低くなることが予想され,例えばツングースカ爆発の原因とされる 40 m 天体の検出率は 10 年で 34%と予想される.

Sentinel ミッション (Lu et al. 2013, Reitsema et al. 2014) は,金星と同じくらいの距離で太陽を周回して地球近傍小惑星を検出するために提案された赤外線宇宙望遠鏡の計画である.

Sentinel Space Telescope の想定スペック

望遠鏡の口径:50 cm (遮蔽なし),受動的に 60 K まで冷却
ピクセルスケール:2.15 秒角/ピクセル
視野:2° × 5.5°
観測波長:5 - 10.2 µm
露出:180 秒
観測サイクル:28 日
軌道長半径:0.66 AU,太陽を中心とし,金星と類似した軌道
軌道離心率:0.091 (未確定)
軌道傾斜角:0.27° (未確定)





Sentinel Space Telescope という将来の赤外線宇宙望遠鏡に関する論文です.Sentinel には「歩哨,監視員」といった意味があり,金星の軌道に近い太陽を回る軌道に入り,そこから地球近傍小惑星をサーベイする計画はまさに歩哨といった感じがします.
特に定まった日本語訳はまだ無いようですが,下手に意訳せずそのまま「センチネル宇宙望遠鏡」あたりが妥当なところでしょうか.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.05263
Crossfield et al. (2016)
197 Candidates and 104 Validated Planets in K2's First Five Fields
(K2 の最初の 5 視野内の 197 個の惑星候補と 104 の確定した惑星)

概要

NASA のケプラー K2 ミッションの最初の 1 年 (Campaign 0 - 4) で観測した 5 視野内で検出された,197 の惑星候補イベントについて報告する.これらの候補について,集中的な測光観測,恒星の分光観測,高分解能撮像観測,統計的な検証を行った.

その結果,197 の惑星候補イベントのうち,104 個が惑星であることを確定させ,またそのうち 57 個は複数惑星系内の惑星であった.また,30 イベントは惑星由来ではない偽陽性 (false positive) であると判断され,残り 63 イベントはまだ確定されていない惑星候補イベントである.
上記の 104 個の確定した惑星のうち,今回が初の発見報告となるのは 64 個であり,残り 40 個は既に別の論文で惑星と判明していたものである.

今回確定した 104 個の惑星は,大きさは 2.3 地球半径,軌道周期 8.6 日の中央値を持ち,それらの中心星は有効温度 5300 K,ケプラーでの等級は 12.7 等級の中央値を持つ.

これらの中で特に興味深いのは,2 地球半径より小さい惑星は 37 個あり,そのうち 15 個は等級が 11.5 等級より明るい恒星の周りに存在する点である.うち 5 個は地球と同程度の水準の日射を受けており,そのいくつかは複数惑星系内にある.その一例が,M 型矮星 K2-72 のまわりに平均運動共鳴に近い状態で存在している,4 つの惑星である.

これまでのケプラー K2 ミッションでの成果を外挿すると,計画されている全 4 年のミッション中に,K2 では 500 - 1000 個の惑星の発見が期待される.ただしこれは効率的なフォローアップ観測がされた場合の話である.

結果の概観

197 の惑星候補イベントに対して偽陽性確率 (false positive probability, FPP) の評価を行ったところ,63 のイベントでははっきりとした傾向が出なかった (0.01 < FPP < 0.99).これらの候補イベントは典型的には大きな半径 (惑星だと仮定した場合) を持つ (3 地球半径以上).

惑星が受ける日射量の幅は広く,地球と同程度から 10000 倍以上までとなっている.予想された通り,最も低温と考えられる惑星は K 型星,M 型星の周囲を公転している.しかし,ここで計算した恒星のパラメータは,広帯域のカラーもしくは Huber et al. (2016) の情報,あるいはその両方を用いているため,不定性が大きく,バイアスも残っている.これらの恒星と惑星の特性をより強く制限するためのフォローアップ分光観測が現在進行中である (Dressing et al. in prep, Martinez et al. in prep).

個別の惑星についての注釈

今回確定された 104 個の惑星のうち,64 個が新しく確定したものである.

今回新たに確定した惑星

K2-72
K2-72 (EPIC 206209135) は,5.57 日周期の惑星候補 (Vanderburg et al. 2016) を持つ矮星である.今回,さらに 3 つの惑星候補イベントを発見し,合計 4 イベントは全て惑星であると確定した.

恒星 K2-72 の半径は Huber et al. (2016) では 0.23 太陽半径とされていたがこれはおそらく過小評価であり,Maldonado et al. (2015) の半径-質量依存性を用いると 0.40 太陽半径と示唆される.これより惑星の半径を求めると,4 惑星は 1.2 - 1.5 地球半径を持つ惑星だと考えられる.

4 惑星の軌道周期は 5.58, 7.76, 15.19, 24.19 日である.いくつかの惑星の日射量は,地球の日射量と同程度である.また,いくつかの惑星ペアは平均運動共鳴に近く,K2-72 c と d の軌道は 2:1 平均運動共鳴に近く,K2-72b と c は 7:5 の平均運動共鳴に近い.

中心星は暗いため,視線速度観測のための分光観測や惑星大気組成の観測は難しいが,惑星の軌道周期が整数比に近いことから,系内の惑星の質量と平均密度をトランジット時刻変動 (transit timing variations, TTV) から推測することが可能かもしれない.
複数惑星系
Campaign 4 の視野内に,4 つの複数惑星系 (惑星数は 2 個) を同定した.同定したのは,K2-80 (EPIC 210403955), K2-83 (EPIC 210508766), K2- 84 (EPIC 210577548) と K2-90 (EPIC 210968143) である.

これらの惑星のうち低次の平均運動共鳴に入っているものは存在しなかったが,トランジットしない別の惑星が存在し,それらが軌道共鳴に近い状態にあって TTV で検出される可能性はある.
K2-65
K2-65 (EPIC 206144956) は Campaign 3 の視野内にあり,1.6 地球半径の惑星を持つ.

軌道周期は 13 日と比較的長く,予測される視線速度変動の大きさも 1 m s-1 程度かそれ以下だが,中心星が明るく (V = 10.8, J = 9.0),惑星サイズが比較的小さく,また惑星の受け取る日射量が低い (地球の 45 倍) ことから,将来的な視線速度法での観測の良い対象である.
K2-89
K2-89 (EPIC 210838726) も視線速度法でのフォローアップ観測の対象となりうる.

この恒星は M 型星で,軌道周期が 1 日でおおよそ地球サイズの強く日射を受ける惑星を持っている.惑星による視線速度の大きさはおおむね 1 m s-1 と予想され,また中心星は特別明るくはないものの (Kp = 13.3, K = 10.1),計画されている高精度のドップラー分光観測で検出可能な範囲にあると期待される.

既に同定されていた惑星

K2-3 と K2-26
K2-3 (EPIC 201367065) まわりの K2-3b, K2-3c, K2-3d,K2-26 (EPIC 202083828) まわりの K2-26b は,M 型星まわりの小型の海王星型惑星として既に同定されていた (Crossfield et al. 2015, Schlieder et al. 2016).
また,K2-3b はドップラー分光観測によって確定されていた (Almenara et al. 2015).今回はこれらの報告とは独立して惑星の同定を行った.

ただしここで我々が推定した恒星のパラメータは,過去のこれらの発見論文中で分光学的に導出されているより精度の高い推定値に比べると,系統的に過小評価されていることに注意が必要である.
K2-10 と K2-27
K2-10b (EPIC 201577035b) と K2-27b (EPIC 201546283b) はこれまでに惑星と同定されている (Montet et al. 2015, Van Eylen et al. 2016).

今回の論文ではどちらも FPP < 0.01 となり,独立して惑星の同定を行った.
WASP-47
WASP-47 (EPIC 206103150) は,ホットジュピターの WASP-47b (Hellier et al. 2012),軌道周期 1.5 年の巨大惑星 WASP-47c (Neveu-VanMalle et al. 2016,視線速度法で検出),さらに短周期のトランジット惑星 WASP-47d, WASP-47e を持つ (Becker et al. 2015).今回の解析では,3 つのトランジット惑星に対し,FPP < 0.01 を得た.従ってこれも独立した惑星の同定である.
K2-19
K2-19 (EPIC 201505350) まわりには,K2-19b, K2-19c の惑星が発見されており,その軌道周期は 7.9 日と 11.9 日と 3:2 の軌道共鳴に入っている (Armstrong et al. 2015, Narita et al. 2015, Barros et al. 2015).また,2.5 日周期の 3 番目の惑星候補が同定され,惑星と確定されている (Sinukoff et al. 2016).

今回の解析では,これら 3 つ全ての惑星を同じく同定した.
K2-21 と K2-24
K2-21 (EPIC 206011691) は K2-21b, K2-21c が同定されている (Petigura et al. 2015).この 2 惑星は 1.5 - 2 地球半径で, 軌道周期は 5.3 の尽数関係になっている.また,K2-24 (EPIC 203771098) は K2-24b, K2-24c が同定されている (Petigura et al. 2016).この 2 惑星は低密度で小型の土星より軽い惑星であり,軌道周期は 2:1 の尽数関係にある.今回の解析では全ての惑星に対して FPP < 0.01 となり,惑星の存在を確認した.
K2-22
K2-22 (EPIC 201637175) は短周期岩石惑星 K2-22b を持つことが報告されている.この惑星は周期が 9 時間で,崩壊しつつあると考えられている (Sanchis-Ojeda et al. 2015).

今回の解析では,このシグナルは惑星によるものだという可能性が高いと考えられる (FPP = 15%).しかし,解析コードの vespa は,大きく変化するトランジット深さ (1% から 10-3 未満まで変化) には適用できないため,導出された FPP は信頼度が低い.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.03512
Zhou et al. (2016)
KELT-17b: A hot-Jupiter transiting an A-star in a misaligned orbit detected with Doppler tomography
(KELT-17b:A 型星をトランジットする,ドップラートモグラフィーで軸のずれが検出されたホットジュピター)

概要

KELT プロジェクトによって,トランジット法で惑星 KELT-17b を発見した.中心星の KELT-19 (BD+14 1881) は視等級 9.23 の A 型星である.また惑星の公転軸は,中心星の自転軸に対して -115.9° ずれている

惑星はトランジット法に加え,視線速度観測と,ドップラートモグラフィー (Dopper tomography) によっても確認された.中心星の自転軸と惑星の公転軸のずれの配置 (spin-orbit misalignment) から,恒星の差動回転の度合いに制限をかけることが出来た.KELT-17 は,剛体回転と,太陽と同程度の差動回転率の両方と整合的である.

KELT-17 は,トランジット惑星が存在することが確認されている中では 4 番目の A 型星である.質量は 1.635 太陽質量,有効温度は 7454 K,天球面上に投影した自転速度は 44.2 km s-1 であり,トランジット惑星を持つ恒星の中では,最も重く,高温で,高速自転をしている部類の恒星である.

ドップラートモグラフィーについて

自転速度が速い重い恒星まわりの惑星は,ドップラートモグラフィー (Doppler tomography) によって存在を確認することが出来る.

惑星が恒星をトランジットしている最中,惑星は自転している恒星の手前を通過していることになるため,恒星からのスペクトル線の分布がトランジットに伴って変化する.
恒星の自転が比較的遅い場合は,この変化は恒星の合計の見かけの速度の変化として観測され,これは Rossiter-McLaughlin effect (ロシター・マクローリン効果) として知られている (Rossiter 1924, McLaughlin 1924).一方,自転によるスペクトル線の広がり (broadening) がその他の要素よりも大きい恒星の場合は,トランジットする惑星の "影" が,恒星の自転によって広がったスペクトル線の形状への侵入という形で分解することが出来る.これが,惑星のドップラートモグラフィーによる検出 (Doppler tomopgraphic detection) である.

ドップラートモグラフィーは,A 型星のまわりの 3 惑星で検出されている.WASP-33b (Collier Cameron et al. 2010など),KOI-13b (Szabo et al. 2011など),HAT-P-57b (Hartman et al. 2015) である.また,その他の 9 惑星でも検出されている.確認されているのは,WASP-3b (Miller et al. 2010),WASP-38b (Brown et al. 2012),CoRoT-11b (Gandolfi et al. 2012),HAT-P-2b, ケプラー25c (Albrecht et al. 2013),KOI-13b (Johnson et al. 2014),KOI-12b (Bourrier et al. 2015),ケプラー7b, HAT-P-56b (Bieryla et al. 2015) である.

惑星の分光学的な影 (spectroscopic shadow) の深さと幅は,中心星と惑星の半径比と直接関係している.
ドップラートモグラフィーで得られた半径比と,トランジット測光観測でのトランジット深さから得られた半径比が対応していれば,トランジットによる惑星検出の偽陽性 (false positive) にありがちな,背景星の変動による偽シグナルの混入の可能性が排除できる.特に,背景の食連星の混入とトランジットを区別するのに適している.なぜならば,背景の食連星の混入の場合は,ドップラートモグラフィーではシグナルは現れないからである.

パラメータ

KELT-17
質量:1.635 太陽質量
半径:1.645 太陽半径
光度:7.51 太陽光度
有効温度:7454 K
金属量:[Fe/H] = -0.18
KELT-17b
軌道周期:3.0801716 日
軌道長半径:0.04881 AU
質量:1.31 木星質量
半径:1.525 木星半径
平均密度:0.46 g cm-3
平衡温度:2087 K

KELT-17 系の特徴

KELT-17 系での,主星の自転軸と惑星の公転軸のずれ (spin-orbit misalignment) は -115.9° である.

中心星の KELT-17 の投影した自転速度は 44.2 km s-1 である.トランジット惑星を持つ恒星の中でこれよりも自転速度が大きいのは,WASP-33 (Collier Cameron et al. 2010),KELT-1 (Siverd et al. 2012),KOI-12 (Bourrier et al. 2015),KOI-13 (Szabo et al. 2011),KELT-7 (Bieryla et al. 2015),HAT-P-57 (Hartman et al. 2015) のみである.

また,KELT-17 は 1.635 太陽質量と,トランジット惑星を持つ恒星の中では上位 3%に入る重さであり,表面温度は上位 0.5%に入る高さである.

惑星の KELT-17b は,理論的な予測よりも大きな半径を持つ惑星である.中心星から受けている日射は,4.31 × 109 erg cm-2 s-1 であり,これは膨張半径を持つための経験的な閾値 2 × 108 erg cm-2 s-1 (Demory & Seager 2011) よりも大きい.

現在のところ,トランジット惑星を持つ恒星の中で,有効温度が 6250 K よりも高いのは 26 個ある.このうちの 70%では,大きな spin-orbit misalignment (> 10°)が検出されている.実際に,A 型星まわりに発見されている 4 惑星は大きく軸がずれている.

KELT-17 系で,恒星の自転軸と惑星の公転軸が揃うために必要なタイムスケールは ~ 1011 年である (Hansen 2012より).従って,この軸のずれは,恒星と惑星の潮汐相互作用によって発生したのではなく,このずれている状態は中心星の手系列段階の寿命の間にわたって安定だろうと考えられる.

KELT-17b は super-synchronous (超同期) の状態にある.中心星の自転周期の上限値は ~ 1.7 日であり,惑星の公転周期は ~ 3.08 日である.これは,他の F, A 型星まわりの惑星でも見られる状態である.より低温な恒星まわりにケプラーによって発見されている惑星の中には,超同期状態にあるものは発見されていない (Walkowicz & Basri 2013).

惑星の潮汐の Q 値を 105 と仮定すると,Goldreich & Soter (1966) による円軌道化のタイムスケールは ~ 107 年となる.従って,惑星の軌道は円軌道化されているだろうと考えられる.







Spin-orbit misalignment の適切な日本語訳って無いんでしょうか.直訳だと「自転-軌道のずれ」となりそうですが,今ひとつピンときません.「自転-公転軸不整合」とかでしょうか.

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arXiv:1607.03134
Oshagh et al. (2016)
Can stellar activity make a planet seem misaligned?
(恒星の活動は惑星の公転軸が揃っていないように見せるか?)

概要

惑星が恒星をトランジットする際に,惑星が恒星の活動領域 (active region) を隠すことによって,高精度のトランジット光度曲線にアノマリー (anomaly, 異常) が生じることが知られている.そしてこのアノマリーは惑星半径などのパラメータの見積もりの誤りを引き起こしうる.

トランジット光度曲線と,Rossiter-McLaughlin effect (ロシター・マクローリン効果) の背後にある物理,恒星と惑星の配置は同じであるため,恒星表面の活動領域を惑星が隠すことによるロシター効果への影響も発生すると考えられる.

ここでは,ロシター効果のテストを行い,活動領域の惑星による掩蔽が,ロシター効果による恒星の自転軸と惑星の公転軸のずれの測定にどの程度影響を与えるかを調べた.

その結果,恒星活動による軸のずれの不正確な推定は最大 30° 程度と有意に影響があり,特に惑星軌道が edge-on (公転面を真横から見ている状態) で,軸が揃っており,惑星が小さい場合にはその影響が大きいことが判明した.つまり,軸が揃っている惑星は,恒星表面活動によって軸がずれているように見えてしまいやすいという事が分かった.

これは言い換えれば,恒星の自転軸と惑星の公転軸が大きくずれているという観測結果は,恒星活動の存在を考慮しないことによって生じるバイアスによって引き起こされている可能性は低い,と言うことも出来る.また,近赤外線などの長波長でのロシター効果の測定によって,活動領域が存在する場合でも精度を上げることが出来るだろうと考えられる.

Rossiter-McLaughlin effect (ロシター効果) について

恒星は自転しているため,観測者側に向かってくる側はスペクトルが青方偏移,去る側は逆に赤方偏移する.ここを惑星がトランジットする時,惑星が隠している側がどちら側かによって,みかけの視線速度のシグナルに変動が発生する.これを,Rossiter-McLaughlin effect (ロシター・マクローリン効果,あるいは単に Rossiter effect, ロシター効果とも) と呼ぶ (Rossiter 1924, McLaughlin 1924).

ロシター効果による視線速度の見かけの変動の解析から,恒星の自転軸と惑星の公転軸の角度を測定する事ができる (Winn et al. 2005など).

高精度分光観測の時代になると,この軸の角度のずれの測定は,その他の二次効果に影響を受ける.その例が,恒星表面の対流による青方偏移 (Shponer & Brown 2011),恒星の差動回転の効果 (Albrecht et al. 2012),トランジットする惑星の質量による重力マイクロレンズ効果 (Oshagh et al. 2013) である.

さらに,恒星表面の黒点やプラージュ (plage, 明るい領域) などの活動領域を惑星が隠すことによっても,トランジット光度曲線にアノマリーが生じる事が知られている (Sanchis-Ojeda et al. 2011など).

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