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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1606.06729
David et al. (2016)
A Neptune-sized transiting planet closely orbiting a 5-10-million-year-old star
(500 - 1000万歳の恒星近傍を公転する海王星サイズのトランジット惑星)
ここでは,軌道周期 5.4 日のトランジット惑星 K2-33b の発見を報告する.この惑星は海王星より 50%大きく,質量は 3.6 木星質量以下である.おそらく真の質量は海王星の数倍程度であろうと考えられる.
中心星は 500 - 1000万歳と若く,2 AU 程度の距離まで広がった薄いダスト円盤を持つ.
トランジット観測では,5.4 日おきに,継続時間が 4.2 時間,深さが 0.23%のトランジットを起こしていることが確認された.
K2-33 は,Upper Scorpius OB Association の一員である.ここは,太陽系に最も近い大質量星形成領域 (~ 145 pc) である.この星団の年齢は,運動学的,ヘルツシュプルング=ラッセル図から,また食連星の分析などから,500 - 1000万歳と推定されている.K2-33 自身も,スペクトル線や自転速度 (スペクトルの吸収線の広がりから算出) などから,若い天体であることが分かっている.
有効温度:3410 K
半径:1.1 太陽半径
質量;0.31 太陽質量
自転周期:6.3 日
軌道長半径:0.0409 AU
半径:5.76 地球質量
質量:3.6 木星質量未満
平衡温度:850 K (黒体を仮定)
arXiv:1606.06729
David et al. (2016)
A Neptune-sized transiting planet closely orbiting a 5-10-million-year-old star
(500 - 1000万歳の恒星近傍を公転する海王星サイズのトランジット惑星)
概要
惑星の形成過程は未解決の問題が多く残されている.中心星近くでの惑星のその場形成は難しく,大きなスケールでの惑星の軌道移動が存在したことを示唆する理論が提案されている.ここでは,軌道周期 5.4 日のトランジット惑星 K2-33b の発見を報告する.この惑星は海王星より 50%大きく,質量は 3.6 木星質量以下である.おそらく真の質量は海王星の数倍程度であろうと考えられる.
中心星は 500 - 1000万歳と若く,2 AU 程度の距離まで広がった薄いダスト円盤を持つ.
観測の詳細
K2-33 とその所属星団
中心星は,USco 161014.75-191909.3,あるいは K2-33 であり,数百万歳の M 型星である.ケプラーの K2 ミッションで観測され,その後 Keck Observatory で視線速度観測が行われた.トランジット観測では,5.4 日おきに,継続時間が 4.2 時間,深さが 0.23%のトランジットを起こしていることが確認された.
K2-33 は,Upper Scorpius OB Association の一員である.ここは,太陽系に最も近い大質量星形成領域 (~ 145 pc) である.この星団の年齢は,運動学的,ヘルツシュプルング=ラッセル図から,また食連星の分析などから,500 - 1000万歳と推定されている.K2-33 自身も,スペクトル線や自転速度 (スペクトルの吸収線の広がりから算出) などから,若い天体であることが分かっている.
パラメータ
K2-33
スペクトル型:M3有効温度:3410 K
半径:1.1 太陽半径
質量;0.31 太陽質量
自転周期:6.3 日
K2-33b
軌道周期:5.42513 日軌道長半径:0.0409 AU
半径:5.76 地球質量
質量:3.6 木星質量未満
平衡温度:850 K (黒体を仮定)
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1606.05247
Brucalassi et al. (2016)
Search for giant planets in M67 III: excess of hot Jupiters in dense open clusters
(M67 での巨大惑星探査 III:高密度の散開星団におけるホットジュピターの超過)
ここでは,主系列星 YBP 401 まわりにホット・ジュピターを発見したことを報告する.また,これまでの探査でホットジュピターを持つことが分かっていた YBP 1194 と YBP 1514 の視線速度観測のアップデートを行った.
これまでの観測サンプルは,主系列星・やや進化して HR 図上で転回点付近に位置する星で合わせて 66 個であり,このうち 3 つがホットジュピターを持っている.ここからこの散開星団がホットジュピターを持っている割合を算出すると,他の星団外の恒星と比べて高く,全体で 4.5 (+4.5, -2.5) %,単独星に限れば 5.6 (+5.4, -2.6) % となることが分かった.
M67 では,恒星の金属量とホットジュピターを持つ割合の関連性は見られなかった.また恒星の質量とも関連性は無かった.
これらの結果と,この星団内で発見されている惑星の軌道離心率がゼロではない有意な値を持つ事を考慮すると,ホットジュピターの形成機構としては,惑星が他の恒星や伴星と近接遭遇し,その後惑星-惑星散乱によって軌道が内側へ移動するという説と定性的には整合的であると言える.このシナリオは,N 体シミュレーションでも予言されるものである.
これまでの観測から,太陽型星のまわりにホットジュピターが存在する確率は,~ 1.2%と考えられている (Wright et al. 2012).
ホットジュピターはその場で形成することは困難だと考えられる.そのため,スノーライン (snow line,雪線,凝結線など) よりも外側の,氷が多く存在して内側より惑星が大きく成長できる領域で形成され,その後何らかの機構によって恒星近傍まで移動してきたと考えられている.
惑星の軌道を移動させる機構としては,円盤との相互作用 (II 型惑星移動,Goldreich & Tremaine 1980など) や,他の惑星との重力散乱 (Rasio & Ford 1996, Lin & Ida 1997) などが提案されている.
その他には,3 体目の天体との遭遇による激しい軌道変化も考えられる.最近の N 体シミュレーションでは,星が生まれた環境の混みあった所では,惑星と恒星の近接遭遇と力学相互作用によってホットジュピターが形成されるという機構が提案されている (Davies et al. 2014など).散開星団は,そのシナリオを検証する事ができる観測対象である.
惑星 YBP 401b は,軌道周期が 4.0873 日,軌道離心率が 0.141,最小質量が 0.41 木星質量である.
YBP 1514b は,軌道周期が 5.1189 日,軌道離心率が 0.332,最小質量が 0.42 木星質量の惑星である.
この結果は,モンテカルロシミュレーションを用いた結果の ~ 5.5%と整合的である (Brucalassi et al. submitted).
星団以外の恒星の観測では,視線速度法を用いた探査では 1.2 ± 0.38%という値が得られており (Wright et al. 2012),M67 中の恒星がホットジュピターを持つ割合は星団外の恒星に比べて大きいと言える.また,ケプラーを用いた観測では,ホットジュピターを持つ割合は 0.4%という値が得られている (Howard et al. 2011).
ただし,異なるサンプルやシミュレーション結果との比較は自明ではないことに注意が必要である.
かつて,散開星団中では惑星は未発見だったが,最近の発見 (Malavolta et al. 2016, Quinn et al, 2012, 2014) は状況を大きく変えた.これらの結果は,初期のサーベイ観測 (Paulson et al. 2004) とは不一致である.Paulson et al. (2004) では,ヒアデス星団中の G 型から M 型星 94 個のまわりにホットジュピターは発見されなかった.
arXiv:1606.05247
Brucalassi et al. (2016)
Search for giant planets in M67 III: excess of hot Jupiters in dense open clusters
(M67 での巨大惑星探査 III:高密度の散開星団におけるホットジュピターの超過)
概要
2008年より,高精度の視線速度観測で散開星団 M67 中の主系列星と進化した星まわりの重い惑星の探査を行ってきた.この探査の主な目標は,散開星団中での巨大ガス惑星形成の長期に渡る探査と,惑星形成が恒星質量と化学組成にどう依存するかの調査である.ここでは,主系列星 YBP 401 まわりにホット・ジュピターを発見したことを報告する.また,これまでの探査でホットジュピターを持つことが分かっていた YBP 1194 と YBP 1514 の視線速度観測のアップデートを行った.
これまでの観測サンプルは,主系列星・やや進化して HR 図上で転回点付近に位置する星で合わせて 66 個であり,このうち 3 つがホットジュピターを持っている.ここからこの散開星団がホットジュピターを持っている割合を算出すると,他の星団外の恒星と比べて高く,全体で 4.5 (+4.5, -2.5) %,単独星に限れば 5.6 (+5.4, -2.6) % となることが分かった.
M67 では,恒星の金属量とホットジュピターを持つ割合の関連性は見られなかった.また恒星の質量とも関連性は無かった.
これらの結果と,この星団内で発見されている惑星の軌道離心率がゼロではない有意な値を持つ事を考慮すると,ホットジュピターの形成機構としては,惑星が他の恒星や伴星と近接遭遇し,その後惑星-惑星散乱によって軌道が内側へ移動するという説と定性的には整合的であると言える.このシナリオは,N 体シミュレーションでも予言されるものである.
※注釈
YBP = Yadov + Bedin + Piotto であり,この散開星団の恒星の観測を行った論文の著者から取られている (Yadov et al. 2008).YBP の後の数字はカタログ上の通し番号.
YBP = Yadov + Bedin + Piotto であり,この散開星団の恒星の観測を行った論文の著者から取られている (Yadov et al. 2008).YBP の後の数字はカタログ上の通し番号.
研究背景
ここでは,ホットジュピターを,質量が 0.3 木星質量より大きく,軌道周期が 10 日未満のものとする.これまでの観測から,太陽型星のまわりにホットジュピターが存在する確率は,~ 1.2%と考えられている (Wright et al. 2012).
ホットジュピターはその場で形成することは困難だと考えられる.そのため,スノーライン (snow line,雪線,凝結線など) よりも外側の,氷が多く存在して内側より惑星が大きく成長できる領域で形成され,その後何らかの機構によって恒星近傍まで移動してきたと考えられている.
惑星の軌道を移動させる機構としては,円盤との相互作用 (II 型惑星移動,Goldreich & Tremaine 1980など) や,他の惑星との重力散乱 (Rasio & Ford 1996, Lin & Ida 1997) などが提案されている.
その他には,3 体目の天体との遭遇による激しい軌道変化も考えられる.最近の N 体シミュレーションでは,星が生まれた環境の混みあった所では,惑星と恒星の近接遭遇と力学相互作用によってホットジュピターが形成されるという機構が提案されている (Davies et al. 2014など).散開星団は,そのシナリオを検証する事ができる観測対象である.
観測結果
YBP 401 とその惑星
中心星の YBP 401 は,スペクトル型 F9V の恒星である.惑星 YBP 401b は,軌道周期が 4.0873 日,軌道離心率が 0.141,最小質量が 0.41 木星質量である.
発見済み惑星のパラメータのアップデート
YBP 1194b は,軌道周期が 6.959 日,軌道離心率が 0.294,最小質量が 0.32 木星質量の惑星である.YBP 1514b は,軌道周期が 5.1189 日,軌道離心率が 0.332,最小質量が 0.42 木星質量の惑星である.
散開星団中のホットジュピター
今回の観測で発見された YBP 401b を合わせて統計を取ると,散開星団 M67 中では,66 個の恒星のうち 3 個がホットジュピターを持ち (~ 4.5%),単独星に限定すれば 53 個中 3 個がホットジュピターを持つことになる (~ 5.6%).この結果は,モンテカルロシミュレーションを用いた結果の ~ 5.5%と整合的である (Brucalassi et al. submitted).
星団以外の恒星の観測では,視線速度法を用いた探査では 1.2 ± 0.38%という値が得られており (Wright et al. 2012),M67 中の恒星がホットジュピターを持つ割合は星団外の恒星に比べて大きいと言える.また,ケプラーを用いた観測では,ホットジュピターを持つ割合は 0.4%という値が得られている (Howard et al. 2011).
ただし,異なるサンプルやシミュレーション結果との比較は自明ではないことに注意が必要である.
かつて,散開星団中では惑星は未発見だったが,最近の発見 (Malavolta et al. 2016, Quinn et al, 2012, 2014) は状況を大きく変えた.これらの結果は,初期のサーベイ観測 (Paulson et al. 2004) とは不一致である.Paulson et al. (2004) では,ヒアデス星団中の G 型から M 型星 94 個のまわりにホットジュピターは発見されなかった.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1606.04556
Bakos et al. (2016)
HAT-P-47b AND HAT-P-48b: Two Low Density Sub-Saturn-Mass Transiting Planets on the Edge of the Period--Mass Desert
(HAT-P-47b と HAT-P-48b:周期-質量平面上の惑星欠乏領域の縁に位置する 2 つの低密度な準土星質量のトランジット惑星)
トランジット法で発見され,観測には HATNet の望遠鏡に加え,ハワイなどの望遠鏡でもフォローアップ観測を行っている.またハワイの Keck-I 望遠鏡の HIRES を用いて視線速度観測を行った.また,すばるの 8.2 m 望遠用の High-Dispersion Spectrograph (HDS) を用いた観測も行った.
発見された惑星を,他の最近見つかった惑星と比較した.土星より軽い程度の惑星 (sub-Saturn, 0.18 - 0.3 木星質量) や海王星より重い程度の惑星 (super-Neptune, 0.05 - 0.18 木星質量) の惑星は,半径は広い範囲にばらついている.この半径は,より重い惑星と比べると,半径と日射の相関が弱い.
この 2 つの惑星は,ロシター効果の測定や大気の特徴付けに適している.前者は惑星の軌道傾斜角を調べ,表面対流層を持つ恒星まわりの惑星は,恒星と惑星との相互作用によって軌道傾斜角が小さくなる傾向にあるという説をテストする事ができる.
今回発見された 2 惑星は,どちらも軌道長半径と半径でプロットした時に短周期の海王星質量惑星の欠乏領域の端に位置している.
有効温度:6703 K
金属量:[Fe/H] = 0.0
質量:1.387 太陽質量
半径:1.515 太陽半径
光度:4.15 太陽光度
年齢:1.5 Gyr
距離:268 pc
軌道長半径:0.0615 AU
質量:0.206 木星質量
半径:1.313 木星半径
平均密度:0.11 g cm-3
平衡温度:1605 K
有効温度:5946 K
金属量:[Fe/H] = 0.02
質量:1.099 太陽質量
半径:1.223 太陽半径
光度:1.67 太陽光度
年齢:4.7 Gyr
距離:305 pc
軌道長半径:0.0543 AU
質量:0.168 木星質量
半径:1.131 木星半径
平均密度:0.14 g cm-3
平衡温度:1361 K
arXiv:1606.04556
Bakos et al. (2016)
HAT-P-47b AND HAT-P-48b: Two Low Density Sub-Saturn-Mass Transiting Planets on the Edge of the Period--Mass Desert
(HAT-P-47b と HAT-P-48b:周期-質量平面上の惑星欠乏領域の縁に位置する 2 つの低密度な準土星質量のトランジット惑星)
概要
HAT-P-47b と HAT-P-48b の 2 つの系外惑星の発見を報告する.この 2 つは,半径が木星より大きい惑星の中では最も低密度な惑星である.また,土星より軽い質量を持つ惑星の中では最も低密度である.トランジット法で発見され,観測には HATNet の望遠鏡に加え,ハワイなどの望遠鏡でもフォローアップ観測を行っている.またハワイの Keck-I 望遠鏡の HIRES を用いて視線速度観測を行った.また,すばるの 8.2 m 望遠用の High-Dispersion Spectrograph (HDS) を用いた観測も行った.
発見された惑星を,他の最近見つかった惑星と比較した.土星より軽い程度の惑星 (sub-Saturn, 0.18 - 0.3 木星質量) や海王星より重い程度の惑星 (super-Neptune, 0.05 - 0.18 木星質量) の惑星は,半径は広い範囲にばらついている.この半径は,より重い惑星と比べると,半径と日射の相関が弱い.
この 2 つの惑星は,ロシター効果の測定や大気の特徴付けに適している.前者は惑星の軌道傾斜角を調べ,表面対流層を持つ恒星まわりの惑星は,恒星と惑星との相互作用によって軌道傾斜角が小さくなる傾向にあるという説をテストする事ができる.
今回発見された 2 惑星は,どちらも軌道長半径と半径でプロットした時に短周期の海王星質量惑星の欠乏領域の端に位置している.
パラメータ
HAT-P-47 系
HAT-P-47
等級:10.694有効温度:6703 K
金属量:[Fe/H] = 0.0
質量:1.387 太陽質量
半径:1.515 太陽半径
光度:4.15 太陽光度
年齢:1.5 Gyr
距離:268 pc
HAT-P-47b
軌道周期:4.732182 日軌道長半径:0.0615 AU
質量:0.206 木星質量
半径:1.313 木星半径
平均密度:0.11 g cm-3
平衡温度:1605 K
HAT-P-48 系
HAT-P-48
等級:12.16有効温度:5946 K
金属量:[Fe/H] = 0.02
質量:1.099 太陽質量
半径:1.223 太陽半径
光度:1.67 太陽光度
年齢:4.7 Gyr
距離:305 pc
HAT-P-48b
軌道周期:4.408650 日軌道長半径:0.0543 AU
質量:0.168 木星質量
半径:1.131 木星半径
平均密度:0.14 g cm-3
平衡温度:1361 K
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1606.04047
Bayliss et al. (2016)
EPIC201702477b: A Long Period Transiting Brown Dwarf from K2
(EPIC201702477b:K2 による長周期のトランジット褐色矮星)
この系はケプラーの K2 ミッションの Campaign 1 で 2 回のトランジットイベントが検出され,惑星候補天体として報告されており,後に系外惑星であると認定された.ここでは,LCOGT 1 m 望遠鏡を用いた観測から,この天体のトランジットを確定させ,また天体暦の値を更新した.
このフォローアップ観測より,~ 30 秒を超えるトランジット時刻変動 (transit timing varation, TTV) の存在は排除された.また,HARPS と SOPHIE の高精度視線速度観測から,質量は 66.9 木星質量,0.757 木星半径,平均密度は 191 ± 51 g cm-3 であると判明した.これは,現在までに発見されている中で最も小さい褐色矮星である.また,水素を起こせる限界の質量よりもわずかに軽い.また,これまでに発見されているどんな惑星,準恒星質量天体,主系列星よりも高密度な天体である.
また,これまでにトランジット法で発見されている褐色矮星は,高質量と低質量の 2 つのグループに別れることが分かった.高質量側の褐色矮星のグループは,測定されている半径は理論的に予測される半径に非常に近い.またこのグループの質量の下限は ~ 60 木星質量にある.これは,褐色矮星の形成過程における,質量依存性のある系からの弾き出しのを示唆するものであるかもしれない.
この欠乏領域の存在は,初めは視線速度法での系外惑星の探査の過程で明らかになった (Marcy & Butler 2000など).その後,視線速度法とアストロメトリ法を組み合わせた探査からも,この欠乏領域の存在は観測バイアスでも見かけのものではなく,実際に存在するものだと示唆された (Sahlmann et al. 2011).また,トランジット法での探査でも同様の結果が得られている.
トランジット法を用いた系外惑星探査プロジェクトである WASP, HATNet, HATSouth, KELT では系外惑星が 179 個発見されているが,13 木星質量を超えるものはわずか 2 つしか発見されていない.見つかっているものは,WASP-30b (Anderson et al. 2011) と KELT-1b (Siverd et al. 2012) である.褐色矮星のような質量が大きい天体は,視線速度でのフォローアップ観測で特徴付けしやすいにも関わらずである.
宇宙空間からの観測では,CoRoT (Rouan et al. 1999) では 3 つのトランジットする褐色矮星が発見されている.CoRoT-3b (Deleuil et al. 2008),CoRoT-15b (Bouchy et al. 2011b),CoRoT-33b (Csizmadia et al. 2015) である.
また,ケプラーでは 4 つ,ケプラー39b (Bouchy et al. 2011a),KOI-205b (Diaz et al. 2013),KOI-415b (Moutou et al. 2013),KOI-189b (Diaz et al. 2014) である.さらに,KOI-554b,KOI-3738b は,光度曲線の変動から,質量は 80 木星質量よりわずかに重いと推定されており,これは褐色矮星の範囲に非常に近い (Lillo-Box et al. 2016).
ただし多くのケプラーで発見された惑星や惑星候補天体は,質量が不明である.巨大ガス惑星と褐色矮星は半径が縮退するため,褐色矮星の頻度に制限をかけることが出来ない.
最近の,ケプラーで検出された大きな惑星候補天体に対する視線速度観測の結果では,軌道周期が 400 日未満の褐色矮星の存在率は 0.29 ± 0.17%と推定されている (Santerne et al. 2016).
しかしコア集積でも 20 - 40 木星質量の天体が形成可能との指摘もあり (Mordasini et al. 2009),さらに重力不安定で惑星が形成できるという指摘もある (Nayakshin & Fletcher 2015).従って巨大ガス惑星と褐色矮星の線引は曖昧である.
これらの違いは形成過程の違いに関係しているという議論がある (Chabrier et al. 2014).そしてその違いが,観測バイアスではなく,褐色矮星欠乏領域の原因になっている可能性がある (Ma & Ge 2014).
有効温度:5517 K
金属量:[Fe/H] = -0.164
半径:0.901 太陽半径
質量:0.870 太陽質量
平均密度:1.18 太陽密度
年齢:8.8 ± 4.1 Gyr
軌道長半径:0.2265 AU
軌道離心率:0.2281
質量:66.9 木星質量
半径:0.757 木星半径
平均密度:191 ± 51 g cm-3
これまでに発見されている,主系列星まわりの褐色矮星 (13 - 80 木星質量) は 12 個存在する.Ma & Ge (2014) では,これらの褐色矮星は 2 つのグループに分けられると主張した.それは,
・原始惑星系円盤中で重力不安定で出来た ~ 45 木星質量以下の褐色矮星
・分子雲の分裂から星形成的に出来た ~ 45 木星質量以上の褐色矮星
の 2 グループである.
この ~ 45 木星質量の境界は,伴星の質量関数 (Grether & Lineweaver 2006) の極小値と,CORALIE 視線速度サーベイによる質量領域の空白 (Sahlmann et al. 2011) と一致する.
今回の EPIC 201702477b は Ma & Ge (2014) でのグループでは明らかに後者になる.
arXiv:1606.04047
Bayliss et al. (2016)
EPIC201702477b: A Long Period Transiting Brown Dwarf from K2
(EPIC201702477b:K2 による長周期のトランジット褐色矮星)
概要
EPIC 201702477b の発見を報告する.この天体はトランジット法によって発見され,長周期 (40.73691 日) で軌道離心率が大きな軌道を持つ (e = 0.2281).この系はケプラーの K2 ミッションの Campaign 1 で 2 回のトランジットイベントが検出され,惑星候補天体として報告されており,後に系外惑星であると認定された.ここでは,LCOGT 1 m 望遠鏡を用いた観測から,この天体のトランジットを確定させ,また天体暦の値を更新した.
このフォローアップ観測より,~ 30 秒を超えるトランジット時刻変動 (transit timing varation, TTV) の存在は排除された.また,HARPS と SOPHIE の高精度視線速度観測から,質量は 66.9 木星質量,0.757 木星半径,平均密度は 191 ± 51 g cm-3 であると判明した.これは,現在までに発見されている中で最も小さい褐色矮星である.また,水素を起こせる限界の質量よりもわずかに軽い.また,これまでに発見されているどんな惑星,準恒星質量天体,主系列星よりも高密度な天体である.
また,これまでにトランジット法で発見されている褐色矮星は,高質量と低質量の 2 つのグループに別れることが分かった.高質量側の褐色矮星のグループは,測定されている半径は理論的に予測される半径に非常に近い.またこのグループの質量の下限は ~ 60 木星質量にある.これは,褐色矮星の形成過程における,質量依存性のある系からの弾き出しのを示唆するものであるかもしれない.
研究背景
褐色矮星の欠乏領域
主系列星のまわりには 13 - 80 木星質量の伴星 (褐色矮星) が少ない事が知られており,これは "brown dwarf desert" として知られている.この欠乏領域の存在は,初めは視線速度法での系外惑星の探査の過程で明らかになった (Marcy & Butler 2000など).その後,視線速度法とアストロメトリ法を組み合わせた探査からも,この欠乏領域の存在は観測バイアスでも見かけのものではなく,実際に存在するものだと示唆された (Sahlmann et al. 2011).また,トランジット法での探査でも同様の結果が得られている.
トランジット法を用いた系外惑星探査プロジェクトである WASP, HATNet, HATSouth, KELT では系外惑星が 179 個発見されているが,13 木星質量を超えるものはわずか 2 つしか発見されていない.見つかっているものは,WASP-30b (Anderson et al. 2011) と KELT-1b (Siverd et al. 2012) である.褐色矮星のような質量が大きい天体は,視線速度でのフォローアップ観測で特徴付けしやすいにも関わらずである.
宇宙空間からの観測では,CoRoT (Rouan et al. 1999) では 3 つのトランジットする褐色矮星が発見されている.CoRoT-3b (Deleuil et al. 2008),CoRoT-15b (Bouchy et al. 2011b),CoRoT-33b (Csizmadia et al. 2015) である.
また,ケプラーでは 4 つ,ケプラー39b (Bouchy et al. 2011a),KOI-205b (Diaz et al. 2013),KOI-415b (Moutou et al. 2013),KOI-189b (Diaz et al. 2014) である.さらに,KOI-554b,KOI-3738b は,光度曲線の変動から,質量は 80 木星質量よりわずかに重いと推定されており,これは褐色矮星の範囲に非常に近い (Lillo-Box et al. 2016).
ただし多くのケプラーで発見された惑星や惑星候補天体は,質量が不明である.巨大ガス惑星と褐色矮星は半径が縮退するため,褐色矮星の頻度に制限をかけることが出来ない.
最近の,ケプラーで検出された大きな惑星候補天体に対する視線速度観測の結果では,軌道周期が 400 日未満の褐色矮星の存在率は 0.29 ± 0.17%と推定されている (Santerne et al. 2016).
褐色矮星の形成過程
巨大ガス惑星がコア集積で形成されるのに対し,褐色矮星は重力不安定か分子雲中での分裂によって形成されると考えられる (Chabrier et al. 2014).しかしコア集積でも 20 - 40 木星質量の天体が形成可能との指摘もあり (Mordasini et al. 2009),さらに重力不安定で惑星が形成できるという指摘もある (Nayakshin & Fletcher 2015).従って巨大ガス惑星と褐色矮星の線引は曖昧である.
これらの違いは形成過程の違いに関係しているという議論がある (Chabrier et al. 2014).そしてその違いが,観測バイアスではなく,褐色矮星欠乏領域の原因になっている可能性がある (Ma & Ge 2014).
パラメータ
EPIC 201702477
等級:14.57有効温度:5517 K
金属量:[Fe/H] = -0.164
半径:0.901 太陽半径
質量:0.870 太陽質量
平均密度:1.18 太陽密度
年齢:8.8 ± 4.1 Gyr
EPIC 201702477b
軌道周期:40.73691 日軌道長半径:0.2265 AU
軌道離心率:0.2281
質量:66.9 木星質量
半径:0.757 木星半径
平均密度:191 ± 51 g cm-3
議論
EPIC 201702477b は,トランジットする褐色矮星の中では 2 番目に軌道周期が長い.これまでに発見されている,主系列星まわりの褐色矮星 (13 - 80 木星質量) は 12 個存在する.Ma & Ge (2014) では,これらの褐色矮星は 2 つのグループに分けられると主張した.それは,
・原始惑星系円盤中で重力不安定で出来た ~ 45 木星質量以下の褐色矮星
・分子雲の分裂から星形成的に出来た ~ 45 木星質量以上の褐色矮星
の 2 グループである.
この ~ 45 木星質量の境界は,伴星の質量関数 (Grether & Lineweaver 2006) の極小値と,CORALIE 視線速度サーベイによる質量領域の空白 (Sahlmann et al. 2011) と一致する.
今回の EPIC 201702477b は Ma & Ge (2014) でのグループでは明らかに後者になる.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1606.03118
Osorio et al. (2016)
A Dwarf Protoplanetary Disk around XZ Tau B
(おうし座XZ星B まわりの小さい原始惑星系円盤)
この観測は ALMA (Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) を用いて行われた.観測されたダストからの放射の半径は ~ 3.4 AU と小さく,また中心の空洞は ~ 1.3 AU の大きさであった.中心の空洞は惑星 (原始惑星) による円盤物質の除去によるものである可能性がある.
円盤の半径が小さいことを考えると,古典的な円盤よりも進化のタイムスケールも短いことが考えられる.例えば,一般的なサイズの円盤では数十年スケールの変動を示すのに対し,この円盤は数ヶ月で観測できる程度の変動を持つ可能性がある.この変動は将来の観測でモニターすることが出来ると考えられる.
また,円盤のモデリングから,円盤の質量はコンパクトな惑星系を形成するのに十分な質量であることが分かった.
この三重星の周囲には,ハッブル宇宙望遠鏡によって膨張する泡状構造が観測されている (Krist et al. 2008).この泡状構造は A/C に付随している (Carrasco-Gonzalez et al. 2009など).高速のジェットは,A/C と B の両方に観測されている (Krist et al. 2008).
arXiv:1606.03118
Osorio et al. (2016)
A Dwarf Protoplanetary Disk around XZ Tau B
(おうし座XZ星B まわりの小さい原始惑星系円盤)
概要
おうし座XZ星B (XZ Tau B) まわりに小さい原始惑星系円盤を発見した.観測的な特徴は古典的な遷移円盤 (transitional disk) だが,一般的なものよりもずっと小さいスケールの円盤である.この観測は ALMA (Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) を用いて行われた.観測されたダストからの放射の半径は ~ 3.4 AU と小さく,また中心の空洞は ~ 1.3 AU の大きさであった.中心の空洞は惑星 (原始惑星) による円盤物質の除去によるものである可能性がある.
円盤の半径が小さいことを考えると,古典的な円盤よりも進化のタイムスケールも短いことが考えられる.例えば,一般的なサイズの円盤では数十年スケールの変動を示すのに対し,この円盤は数ヶ月で観測できる程度の変動を持つ可能性がある.この変動は将来の観測でモニターすることが出来ると考えられる.
また,円盤のモデリングから,円盤の質量はコンパクトな惑星系を形成するのに十分な質量であることが分かった.
おうし座XZ系のその他の特徴
今回の観測対象であるおうし座XZ星Bは,スペクトル型 M2 であり,L1551 分子雲内に存在する若い星である.おうし座XZ星A, C と B で三連星を成している.A と C の間隔は ~ 0.09",A/C ペアと B の間隔は ~ 0.3" である.この三重星の周囲には,ハッブル宇宙望遠鏡によって膨張する泡状構造が観測されている (Krist et al. 2008).この泡状構造は A/C に付随している (Carrasco-Gonzalez et al. 2009など).高速のジェットは,A/C と B の両方に観測されている (Krist et al. 2008).


Upper Scorpius OB Association は,さそり座の領域にある Association (アソシエーション,非常に緩やかに広がった星団) の名称.
Association とは同じ起源を持ち,重力的には束縛されていない状態で同じ方向に運動している星の集団である.またその中で,スペクトル型 O 型と B 型の大質量の恒星を含むものを,OB association と呼ぶ.
Upper Scorpius OB Association は,Scorpius–Centaurus Association (さそり座-ケンタウルス座アソシエーション) という大きな Association の一部分であり,この大きな Association は Upper Scorpius, Upper Centaurus–Lupus, Lower Centaurus–Crux の 3 領域に分割される.
詳細は Scorpius–Centaurus Association - Wikipedia, the free encyclopedia