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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.06836
Buchhave et al. (2016)
A 1.9 Earth radius rocky planet and the discovery of a non-transiting planet in the Kepler-20 system
(ケプラー20系内の 1.9 地球半径の岩石惑星とトランジットしていない惑星の発見)
惑星の組成と半径の関係について,岩石惑星とガス惑星の境界線は,~ 1.6 地球半径程度にあるという研究が存在する (Rogers et al. 2015, Weiss & Marcy 2014).ケプラー20b はこの遷移半径よりも大きな半径を持つ (~ 1.9 地球半径).しかしこれまでの観測では,この惑星の組成を十分に制限できない程度の精度でしか質量を推定できていなかった.
ここでは,HARPS-N で104 セットの視線速度観測を行い,さらに Keck/HIRES の 30 セットのアーカイブデータを合わせて解析した.加えて,ケプラーの測光観測のデータ解析のアップデートを行い,中心星を星震学 (asteroseismology) を用いた解析も行って質量と半径を決定した (0.948 太陽質量,0.964 太陽半径).
解析の結果,ケプラー20b の軌道周期は 3.7 日,半径は 1.868 地球半径で,質量は 9.70 (+1.41, -1.44) 地球質量となった.平均密度は 8.2 (+1.5, -1.3) g cm-3 となり,これは地球と同じ鉄・シリケイト比の組成を持つ岩石惑星であることを示唆する.ケプラー20b は,これまでに確認されている中で,岩石で出来ている最も重い惑星である.
さらに視線速度観測から,19.96 地球質量,軌道周期 ~ 34 日のトランジットしていない惑星 ケプラー20g を検出した.この惑星は,ケプラー20f (軌道周期 ~ 11 日) とケプラー20d (軌道周期 ~ 78 日) の間を公転している.
これまでに合計 5 つの惑星が発見されており,全て水星の軌道長半径よりも内側に相当する位置を公転している.
しかしこれらの惑星の質量推定は不定性が大きく,惑星の組成については粗い制約しかかけられていなかった.
また近年では,多くの研究者らによって,岩石惑星とガス惑星を分ける境界は,惑星半径が 1.5 - 1.7 地球半径程度にあるという説が提案されている.
有効温度:5495 K
金属量:[m/H] = 0.07
質量:0.948 太陽質量
半径:0.964 太陽半径
年齢:7.6 Gyr
軌道離心率:0.15
軌道長半径:0.2055 AU
質量:19.96 地球質量
平衡温度:524 K
内側から,ケプラー20b, e, c, f, g, d という順番に公転している.
arXiv:1608.06836
Buchhave et al. (2016)
A 1.9 Earth radius rocky planet and the discovery of a non-transiting planet in the Kepler-20 system
(ケプラー20系内の 1.9 地球半径の岩石惑星とトランジットしていない惑星の発見)
概要
ケプラー20 は,等級が V = 12.5 の太陽型星である.これまでに 5 つの惑星が発見されており,5 つとも太陽系で言うと水星の軌道より内側の狭い領域を公転している.惑星の組成と半径の関係について,岩石惑星とガス惑星の境界線は,~ 1.6 地球半径程度にあるという研究が存在する (Rogers et al. 2015, Weiss & Marcy 2014).ケプラー20b はこの遷移半径よりも大きな半径を持つ (~ 1.9 地球半径).しかしこれまでの観測では,この惑星の組成を十分に制限できない程度の精度でしか質量を推定できていなかった.
ここでは,HARPS-N で104 セットの視線速度観測を行い,さらに Keck/HIRES の 30 セットのアーカイブデータを合わせて解析した.加えて,ケプラーの測光観測のデータ解析のアップデートを行い,中心星を星震学 (asteroseismology) を用いた解析も行って質量と半径を決定した (0.948 太陽質量,0.964 太陽半径).
解析の結果,ケプラー20b の軌道周期は 3.7 日,半径は 1.868 地球半径で,質量は 9.70 (+1.41, -1.44) 地球質量となった.平均密度は 8.2 (+1.5, -1.3) g cm-3 となり,これは地球と同じ鉄・シリケイト比の組成を持つ岩石惑星であることを示唆する.ケプラー20b は,これまでに確認されている中で,岩石で出来ている最も重い惑星である.
さらに視線速度観測から,19.96 地球質量,軌道周期 ~ 34 日のトランジットしていない惑星 ケプラー20g を検出した.この惑星は,ケプラー20f (軌道周期 ~ 11 日) とケプラー20d (軌道周期 ~ 78 日) の間を公転している.
ケプラー20 星系について
ケプラー20 星系での最初の惑星候補の検出は,Borucki et al. (2011) によってトランジット法でなされた.その後,Gautier et al. (2012) でケプラー20b, c, d の 3 惑星の存在を確認し,同時にケプラー20b, c の質量を測定した.さらに,Fressin et al. (2012) が,地球サイズの惑星のケプラー20e, f を検出した.これまでに合計 5 つの惑星が発見されており,全て水星の軌道長半径よりも内側に相当する位置を公転している.
しかしこれらの惑星の質量推定は不定性が大きく,惑星の組成については粗い制約しかかけられていなかった.
また近年では,多くの研究者らによって,岩石惑星とガス惑星を分ける境界は,惑星半径が 1.5 - 1.7 地球半径程度にあるという説が提案されている.
パラメータ
ケプラー20
等級:12.51有効温度:5495 K
金属量:[m/H] = 0.07
質量:0.948 太陽質量
半径:0.964 太陽半径
年齢:7.6 Gyr
ケプラー20g
軌道周期:34.940 日軌道離心率:0.15
軌道長半径:0.2055 AU
質量:19.96 地球質量
平衡温度:524 K
この系について
今回新たに検出されたのはケプラー20g で,これがケプラー20 星系における 6 個目の惑星の発見である.ケプラー20b, c, d, e, f はトランジット法による発見だが,ケプラー20g はトランジットをしておらず,視線速度法による検出である.内側から,ケプラー20b, e, c, f, g, d という順番に公転している.
その他
ケプラー10c は,質量が 17.2 地球質量,半径が 2.35 地球半径と,今回質量を精密に求めたケプラー20b よりも重い惑星である.しかし平均密度は 7.1 g cm-3 とケプラー20b よりも小さく,想定される組成もシリケイト 100%よりも軽い組成である (Dumusque et al. 2014).PR
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.06908
Coleman et al. (2016)
Exploring plausible formation scenarios for the planet candidate orbiting Proxima Centauri
(プロキシマ・ケンタウリを公転する惑星候補のもっともらしい形成過程の探求)
研究の目的は,各形成シナリオ間で系の惑星の多重性,プロキシマb の水や揮発性物質の保有量,軌道離心率にどのような違いが出るかを検証し,今後のさらなる観測でそのシナリオを検証する準備をすることである.
考えられるプロキシマb の形成シナリオは,
1. のシナリオの場合,プロキシマb は検出可能な程度の軌道離心率を持っていることが期待され,また複数惑星系になる可能性が高い.
2. のシナリオの場合も複数の惑星が形成される可能性が高い.複数惑星系であった場合,惑星は平均運動共鳴に捕獲されているかもしれない.また,この場合は惑星への物質の降着はスノーラインの外側で起きるものが主要になるため,水を多く獲得し,海洋惑星 (ocean planet) になる可能性がある.
3. のシナリオの場合,プロキシマb は軌道離心率が小さい軌道を持つことが期待される.また,この場合も水を多く獲得しうるため,海洋惑星になっている可能性がある.
4. のシナリオの場合も,プロキシマb は軌道離心率が小さいことが期待される.この場合はスノーラインより内側で水は気体で存在するため,惑星に降着する物質は岩石が多く,乾燥した環境の惑星になると期待される.
今後の観測でプロキシマb やプロキシマ・ケンタウリ系の詳細が判明すれば,惑星の形成過程への情報ももたらされると考えられる.
プロキシマ・ケンタウリ系が複数惑星系であり,プロキシマb の水保有量が中程度であれば,1. のシナリオが有力である.複数惑星系でプロキシマb が海洋惑星であれば,2. が有力である.
軌道の形状からは,軌道離心率がやや大きい場合は 1. もしくは 2. だと考えられ,逆に円軌道であれば 3. もしくは 4. だと予想される.また,プロキシマb が水を持ち,プロキシマ・ケンタウリまわりに短周期の惑星が他に存在しないのであれば,3. もしくは 4. である可能性が高い.
arXiv:1608.06908
Coleman et al. (2016)
Exploring plausible formation scenarios for the planet candidate orbiting Proxima Centauri
(プロキシマ・ケンタウリを公転する惑星候補のもっともらしい形成過程の探求)
概要
プロキシマ・ケンタウリまわりに発見された惑星プロキシマb の,可能な形成シナリオ 4 つを提案する.研究の目的は,各形成シナリオ間で系の惑星の多重性,プロキシマb の水や揮発性物質の保有量,軌道離心率にどのような違いが出るかを検証し,今後のさらなる観測でそのシナリオを検証する準備をすることである.
考えられるプロキシマb の形成シナリオは,
- 原始惑星系円盤のガスが晴れた後に,惑星の種 (planetary embryo) と微惑星が局所的に集まった箇所で巨大衝突を介してその場形成された
- 複数の惑星の種が形成され,ガス円盤内で互いに衝突して形成された
- 1 つの惑星の種が遠方で形成し,ペブル (pebble, ミリ〜センチ程度の固体粒子) や微惑星を膠着しながら内側に移動してきた
- スノーラインよりも内側でペブル集積によって形成された
1. のシナリオの場合,プロキシマb は検出可能な程度の軌道離心率を持っていることが期待され,また複数惑星系になる可能性が高い.
2. のシナリオの場合も複数の惑星が形成される可能性が高い.複数惑星系であった場合,惑星は平均運動共鳴に捕獲されているかもしれない.また,この場合は惑星への物質の降着はスノーラインの外側で起きるものが主要になるため,水を多く獲得し,海洋惑星 (ocean planet) になる可能性がある.
3. のシナリオの場合,プロキシマb は軌道離心率が小さい軌道を持つことが期待される.また,この場合も水を多く獲得しうるため,海洋惑星になっている可能性がある.
4. のシナリオの場合も,プロキシマb は軌道離心率が小さいことが期待される.この場合はスノーラインより内側で水は気体で存在するため,惑星に降着する物質は岩石が多く,乾燥した環境の惑星になると期待される.
今後の観測でプロキシマb やプロキシマ・ケンタウリ系の詳細が判明すれば,惑星の形成過程への情報ももたらされると考えられる.
プロキシマ・ケンタウリ系が複数惑星系であり,プロキシマb の水保有量が中程度であれば,1. のシナリオが有力である.複数惑星系でプロキシマb が海洋惑星であれば,2. が有力である.
軌道の形状からは,軌道離心率がやや大きい場合は 1. もしくは 2. だと考えられ,逆に円軌道であれば 3. もしくは 4. だと予想される.また,プロキシマb が水を持ち,プロキシマ・ケンタウリまわりに短周期の惑星が他に存在しないのであれば,3. もしくは 4. である可能性が高い.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.06827
Turbet et al. (2016)
The habitability of Proxima Centauri b II. Possible climates and Observability
(プロキシマ・ケンタウリb の居住可能性 II. あり得る気候状態と観測可能性)
ここでは,三次元の全球気候モデル (Global Climate Model, GCM) を用いて,プロキシマb の大気運動と水の循環のシミュレーションを行った.自転モードとしては,1 : 1 の同期回転,2 : 3 の共鳴状態という,取りうる 2 つのケースでシミュレーションを行った.
また,制約が付けられていない水の保有量と,大気の温室効果についてはパラメータ化した.なお二酸化炭素と窒素大気を想定している.
その結果,広い大気組成の範囲内で,惑星表面には液体の水が存在できるという結果が得られた.
例えば,地球の海水量の 60%の水を持ち,自転と公転が同期している場合を想定した場合,1 bar の気圧の窒素をの存在を仮定すると,常に表面に液体の水が存在することが示された.これは温度の高い恒星直下点でも同様である.
また,二酸化炭素分圧が 1 bar 以上であれば,水は惑星の全体を覆うことになる.
水の量が少ない場合は,水は夜側の半球にトラップされ,温室効果ガスの量次第では氷河か湖を形成する.
同期回転していないケースでは,水が多い条件の場合,完全凍結のスノーボール状態にならないためには,最低でも二酸化炭素分圧が ~ 10 mbar である必要がある (~ 1 bar の窒素大気を仮定した場合).また,惑星が乾燥して水が少ない環境であった場合,水が極域に極冠として固定されないためには,~ 0.5 bar の二酸化炭素分圧が必要である.
さらに,GCM を用いて惑星の反射・放射スペクトルと位相曲線を生成した.これについても,異なる自転状態と表面の揮発性物質組成の場合それぞれのケースで生成した.
その結果,プロキシマb の大気の特徴付けは,今後の大型望遠鏡 (European Extreme Large Telescope, E-ELT) による,10-7 のコントラストの直接撮像で行うことが可能だろうと予想される.
プロキシマb の予想される等級からは,高分散分光観測と,水・酸素・二酸化炭素を含む分子の特徴の探査が可能であると考えられる.
熱放射の位相曲線を捉えることは困難であるが,ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では可能になるかもしれない.
また,プロキシマb は将来の赤外線干渉計観測の良いターゲットである.今後 10 年以内に,プロキシマb を撮像観測し,惑星がハビタブルかどうかを決定できるかもしれない.
引き続き,プロキシマb の居住可能性についての論文です.
この論文は直前の Ribas et al. (2016) と続きになっている論文です.
arXiv:1608.06827
Turbet et al. (2016)
The habitability of Proxima Centauri b II. Possible climates and Observability
(プロキシマ・ケンタウリb の居住可能性 II. あり得る気候状態と観測可能性)
概要
太陽に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン内に,最小質量 1.3 地球質量の惑星が視線速度法で検出された (Anglada-Escudé et al. 2016).このプロキシマb は,過去に高温な時期を経験し,また中心星は活発ではあるが,表面の居住可能性を保つことが出来るだけの揮発性物質を持つことが出来ると考えられている (Ribas et al. 2016).ここでは,三次元の全球気候モデル (Global Climate Model, GCM) を用いて,プロキシマb の大気運動と水の循環のシミュレーションを行った.自転モードとしては,1 : 1 の同期回転,2 : 3 の共鳴状態という,取りうる 2 つのケースでシミュレーションを行った.
また,制約が付けられていない水の保有量と,大気の温室効果についてはパラメータ化した.なお二酸化炭素と窒素大気を想定している.
その結果,広い大気組成の範囲内で,惑星表面には液体の水が存在できるという結果が得られた.
例えば,地球の海水量の 60%の水を持ち,自転と公転が同期している場合を想定した場合,1 bar の気圧の窒素をの存在を仮定すると,常に表面に液体の水が存在することが示された.これは温度の高い恒星直下点でも同様である.
また,二酸化炭素分圧が 1 bar 以上であれば,水は惑星の全体を覆うことになる.
水の量が少ない場合は,水は夜側の半球にトラップされ,温室効果ガスの量次第では氷河か湖を形成する.
同期回転していないケースでは,水が多い条件の場合,完全凍結のスノーボール状態にならないためには,最低でも二酸化炭素分圧が ~ 10 mbar である必要がある (~ 1 bar の窒素大気を仮定した場合).また,惑星が乾燥して水が少ない環境であった場合,水が極域に極冠として固定されないためには,~ 0.5 bar の二酸化炭素分圧が必要である.
さらに,GCM を用いて惑星の反射・放射スペクトルと位相曲線を生成した.これについても,異なる自転状態と表面の揮発性物質組成の場合それぞれのケースで生成した.
その結果,プロキシマb の大気の特徴付けは,今後の大型望遠鏡 (European Extreme Large Telescope, E-ELT) による,10-7 のコントラストの直接撮像で行うことが可能だろうと予想される.
プロキシマb の予想される等級からは,高分散分光観測と,水・酸素・二酸化炭素を含む分子の特徴の探査が可能であると考えられる.
熱放射の位相曲線を捉えることは困難であるが,ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では可能になるかもしれない.
また,プロキシマb は将来の赤外線干渉計観測の良いターゲットである.今後 10 年以内に,プロキシマb を撮像観測し,惑星がハビタブルかどうかを決定できるかもしれない.
※関連記事
天文・宇宙物理関連メモ vol.295 Anglada-Escudé et al. (2016) プロキシマ・ケンタウリにおける系外惑星候補の検出
天文・宇宙物理関連メモ vol.306 Ribas et al. (2016) 輻射・自転・水の保有量を考慮したプロキシマb の居住可能性
天文・宇宙物理関連メモ vol.295 Anglada-Escudé et al. (2016) プロキシマ・ケンタウリにおける系外惑星候補の検出
天文・宇宙物理関連メモ vol.306 Ribas et al. (2016) 輻射・自転・水の保有量を考慮したプロキシマb の居住可能性
引き続き,プロキシマb の居住可能性についての論文です.
この論文は直前の Ribas et al. (2016) と続きになっている論文です.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.06813
Ribas et al. (2016)
The habitability of Proxima Centauri b. I. Irradiation, rotation and volatile inventory from formation to the present
(プロキシマ・ケンタウリb の居住可能性 I. 形成から現在までの輻射,自転と揮発性物質の保有量)
惑星が受けている強い輻射の推定を行った.その結果,プロキシマb は地球の 30 倍の極端紫外線 (extreme ultraviolet, EUV),250 倍の X 線を受けていると推定される.さらに,プロキシマb がこれまでに受けてきたスペクトルのモデリングのために重要な,恒星のスペクトルの時間進化の計算も行った.
また,プロキシマb の自転軸傾斜角は 0 であろうということや,自転は公転と同期しているか,3 : 2 の共鳴 (spin-orbit resonence) に入っているかのどちらかであろうという推定を行った.自転がどのようになっているかは,プロキシマb の軌道離心率と,三軸不等性の度合いにも依存する.
次に,プロキシマb の水保有量の進化についても調べた,改善したエネルギー律速の大気散逸の定式を用い,計算した中心星のスペクトルエネルギー分布を合わせ,惑星からの水素の散逸を計算した.
その結果,中心星のプロキシマ・ケンタウリが強い水準の恒星活動を行っているにも関わらず,プロキシマb は形成後 100 - 200 万年経過した後にハビタブルゾーンに入る前に,地球の海の水量よりも少ない程度しか失わないという事が分かった.
ここでの研究における最も大きな不定性は,プロキシマb が持っていたであろう初期の水の量である.これは惑星形成モデルで制限を付けることが出来ていないパラメータである.
様々な結果より,プロキシマb は居住可能な惑星 (ハビタブルプラネット) の候補であると言える.
プロキシマb はプロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーンの中にあると考えられており,地球が受ける日射の 65 - 70%程度を受けている.この日射の大きさは,惑星の軌道周期,中心星の質量 (Delfosse et al. 2000),全放射光度 (Demory et al. 2009など) を元に算出している.
この系におけるハビタブルゾーンの内縁と外縁での日射量は,それぞれ地球が受ける日射量の 0.9 倍と 0.2 倍である (Kopparapu et al. 2013).ただし自転周期が公転周期と同期している惑星の場合,内縁は 1.5 倍にまで近付くことが出来ると考えられている (Yang et al. 2013, Kopparapu et al. 2016).
中心星のプロキシマ・ケンタウリは質量が太陽の 12%しかなく,また光度は恒星が形成した後に大きく変化する.進化の結果,太陽系とは異なり,プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーンは時間を追うごとに内側へ移動する.そのため,プロキシマb はハビタブルゾーンの内縁よりも内側 (ハビタブルゾーンよりも高温な側) にしばらくの間存在していたと考えられる.
ハビタブルゾーンの内縁より内側にいる間は,惑星から大量の水の損失が発生するため,ハビタブルゾーンに入る頃には現在の金星のように乾燥した環境になっている可能性がある.さらに自転も異なる.地球の場合は自転周期は公転周期よりもずっと短いが,プロキシマb の場合は潮汐力によって自転周期が影響を受ける.
arXiv:1608.06813
Ribas et al. (2016)
The habitability of Proxima Centauri b. I. Irradiation, rotation and volatile inventory from formation to the present
(プロキシマ・ケンタウリb の居住可能性 I. 形成から現在までの輻射,自転と揮発性物質の保有量)
概要
プロキシマ・ケンタウリb (プロキシマb) は,最小質量が 1.3 地球質量で,太陽に最も近い低質量の活発な恒星プロキシマ・ケンタウリ (Proxima Centauri) のハビタブルゾーン内を公転する惑星である.ここでは,プロキシマb の居住可能性についての研究を行った.惑星が受けている強い輻射の推定を行った.その結果,プロキシマb は地球の 30 倍の極端紫外線 (extreme ultraviolet, EUV),250 倍の X 線を受けていると推定される.さらに,プロキシマb がこれまでに受けてきたスペクトルのモデリングのために重要な,恒星のスペクトルの時間進化の計算も行った.
また,プロキシマb の自転軸傾斜角は 0 であろうということや,自転は公転と同期しているか,3 : 2 の共鳴 (spin-orbit resonence) に入っているかのどちらかであろうという推定を行った.自転がどのようになっているかは,プロキシマb の軌道離心率と,三軸不等性の度合いにも依存する.
次に,プロキシマb の水保有量の進化についても調べた,改善したエネルギー律速の大気散逸の定式を用い,計算した中心星のスペクトルエネルギー分布を合わせ,惑星からの水素の散逸を計算した.
その結果,中心星のプロキシマ・ケンタウリが強い水準の恒星活動を行っているにも関わらず,プロキシマb は形成後 100 - 200 万年経過した後にハビタブルゾーンに入る前に,地球の海の水量よりも少ない程度しか失わないという事が分かった.
ここでの研究における最も大きな不定性は,プロキシマb が持っていたであろう初期の水の量である.これは惑星形成モデルで制限を付けることが出来ていないパラメータである.
様々な結果より,プロキシマb は居住可能な惑星 (ハビタブルプラネット) の候補であると言える.
ハビタブルゾーンについて
ハビタブルゾーンの概要
惑星の居住可能性 (ハビタビリティ) には水の存在が重要だが,惑星が受ける中心星からの輻射は水が液体でいられる程度には小さく,なおかつ表面を維持するのに十分な温度である 273 K を,少なくとも局地的には超えている必要がある.この中心星からの日射に関する 2 つの制約が,ハビタブルゾーンの両端を決める (Kasting et al. 1993).プロキシマb はプロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーンの中にあると考えられており,地球が受ける日射の 65 - 70%程度を受けている.この日射の大きさは,惑星の軌道周期,中心星の質量 (Delfosse et al. 2000),全放射光度 (Demory et al. 2009など) を元に算出している.
この系におけるハビタブルゾーンの内縁と外縁での日射量は,それぞれ地球が受ける日射量の 0.9 倍と 0.2 倍である (Kopparapu et al. 2013).ただし自転周期が公転周期と同期している惑星の場合,内縁は 1.5 倍にまで近付くことが出来ると考えられている (Yang et al. 2013, Kopparapu et al. 2016).
プロキシマb の居住可能性
プロキシマb の日射量は地球と近いが,居住可能性という意味では状況は大きく異なる.中心星のプロキシマ・ケンタウリは質量が太陽の 12%しかなく,また光度は恒星が形成した後に大きく変化する.進化の結果,太陽系とは異なり,プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーンは時間を追うごとに内側へ移動する.そのため,プロキシマb はハビタブルゾーンの内縁よりも内側 (ハビタブルゾーンよりも高温な側) にしばらくの間存在していたと考えられる.
ハビタブルゾーンの内縁より内側にいる間は,惑星から大量の水の損失が発生するため,ハビタブルゾーンに入る頃には現在の金星のように乾燥した環境になっている可能性がある.さらに自転も異なる.地球の場合は自転周期は公転周期よりもずっと短いが,プロキシマb の場合は潮汐力によって自転周期が影響を受ける.
ここでの研究内容
今回の研究で調べたのは以下の内容である.- 原始惑星系円盤内で発生する水の輸送から,プロキシマb の初期の水の保有量を推定する.
- プロキシマb からの大気の散逸量を推定するためにはプロキシマ・ケンタウリのスペクトルの情報 (特に水分子を分解する遠紫外線,ライマンアルファ線,高層大気を加熱して散逸を加速する軟 X 線や極端紫外線) が必要である.また恒星風の影響も考慮する必要がある.そのため,プロキシマ・ケンタウリの高エネルギー放射と恒星風の見積もりを行う.
- プロキシマ・ケンタウリの半径・光度などの進化と,高エネルギー放射と粒子風の進化を推定する.
- 惑星の軌道長半径,軌道離心率,自転周期を含んだ,系の潮汐進化.
- 上記の情報を用いて,惑星がハビタブルゾーンに入るまでの惑星からの揮発性物質の損失 (特に水と背景ガスについて) の推定.
- なお大気の散逸量の推定には,流体力学シミュレーション (Owen & Alvarez 2016) に基づいた,エネルギー律速散逸 (Lammer et al. 2003など) の改良版の形式を利用した.このモデルは,褐色矮星まわりの惑星 TRAPPIST-1b (Gillon et al. 2016) からの水の損失を推定する際にも用いられたものである (Bolmont et al. 2016).
結果
初期の水保有量
- 現在のところ,プロキシマb が初期に保有しうる水の量には制約を与えることが出来ない.
- 惑星形成シナリオからは,ほとんど乾燥した環境の惑星から,地球的な水の保有量の惑星,大量の水を持ち "water world" のような状態の惑星まで,広い範囲の水保有量が有り得る.
プロキシマ・ケンタウリの高エネルギー放射とその進化
- プロキシマ・ケンタウリの観測より,0.6 - 170 nm の間のいくつかの波長帯における高エネルギー放射の推定を行った.
- 現在のプロキシマb は,0.6 - 118 nm の範囲内では 306 erg s
- cm
- ,遠紫外線の 118 - 170 nm では 147 erg s
- cm
- の放射を受けている.ここでの高エネルギー放射の数値は,短いタイムスケールで見ると,中心星が静穏な状態の放射と,エネルギーの幅が大きい短いタイムスケールでのフレアイベントに伴う放射の合計したものになっている.
- プロキシマb は,現在の地球の 60 倍の X 線・極端紫外線 (XUV) のフラックスを受け,10 倍の遠紫外線のフラックスを受ける.プロキシマ・ケンタウリのスペクトルは,現在の太陽のスペクトルよりも "硬い".そのため,X 線の寄与は,極端紫外線の寄与よりも相対的に大きくなる.
- プロキシマ・ケンタウリの XUV フラックスの,誕生から現在までの 4.8 Gyr (48 億年) の間の進化についても調べ,2 つの異なる極端なケースについて検証した.
- 1 つは,最初の 3 Gyr の間は,プロキシマb は現在の地球の 150 倍の XUV フラックスを受け,その後べき乗のスケーリングで減衰していくというものである.もう 1 つは,地球の現在の値の 60 倍の値に固定するというものである.プロキシマb が合計で晒された XUV は,地球が受けた量の 7 - 16 倍となる.
プロキシマ・ケンタウリからの恒星風
- 間接的な観測より,プロキシマ・ケンタウリの質量放出率の上限は,太陽の質量放出率の 20%である.
- 幾何学的な配置の違いを考慮して推定すると,プロキシマb は現在の地球よりも 4 - 80 倍大きな粒子フラックスを受けることとなる.また,この値は,寿命の間概ね一定となる.
系の潮汐進化と自転状態
- 潮汐による影響の解析も行った.この解析には中心星の影響も考慮しているが,その他の恒星潮汐がプロキシマ・ケンタウリに与える影響については無視できる.従って,恒星の進化の経緯,特に恒星の自転周期は,プロキシマb の軌道には影響はない.
- 一方で,潮汐によって軌道離心率と軌道長半径は非常に小さい変化を受ける.従って,プロキシマb は形成初期の軌道離心率をほぼ維持している可能性がある (~ 0.1 程度の変化が有り得る).
- また,現在の自転の状態の推定を行った.初期の軌道離心率の残余の影響で,三軸不等性の大きさ次第では 3 : 2 の自転・公転の共鳴状態 (spin-orbit resonance) に入る可能性がある.
- 惑星の軌道が円軌道かそれに近い形状であれば,自転と公転周期が一致した同期回転状態になっているだろう.現実的な三軸不等性の大きさを考えると,
- .
水の損失
- プロキシマb は 2 つの主要な状態を経験したと考えられる.1 つ目は,原始惑星系円盤が消失したあとの数百万年間であり,この間は惑星表面に水が液体で存在するには高温すぎる環境である.その後,2 つめのハビタブルゾーン内の状態に入る.この両方のフェーズにおいて,プロキシマb は大気損失を経験する.
- 初期のフェーズにおける暴走的な大気損失によって,プロキシマb は地球の海水量未満程度の水を失う.
- このフェーズに背景大気がどの程度生き残るかは強い制限は付けられない.
- 最も厳しい制限の場合,最大で ~ 100 bar 相当の窒素分子が失われる.この状況下では,ハビタブルゾーン内に惑星がいる時に水は高層大気に存在し,散逸しやすい.そのため,地球の海水量の 16 - 21 倍の水が損失しうる.
- また,4.8 Gyr の間,背景大気を保持し続ける可能性もある.この場合は水の損失量は遥かに少なくなる.
惑星表層環境の進化
- 暴走的な散逸を起こしている間,水の散逸によって,最大で 100 bar 相当の酸素が,酸素分子の形で大気に残る可能性がある.これは,アストロバイオロジー (宇宙生物学) 的な観点で 2 つの意味で重要である.
- 1 つ目は,プロキシマb の大気・表面・海・地殻は,ハビタブルゾーンに入る際には強く酸化されている可能性があるという点である.これは,生命の起源として重要な,前生物学的化学プロセスを阻害しうる環境である.
- 2 つめは,生物の存在を示す兆候 (biosignature) の探査の際に,非生物的な原因による酸素の蓄積と,その後に発生するオゾン層の形成を考慮する必要があるという点である.
- その他にも,XUV 加熱によって引き起こされる大気の拡大と,プロキシマ・ケンタウリからの恒星風によるプロキシマb の磁気圏の圧縮により,揮発性物質が非熱的な散逸過程によってかなり失われる可能性がある.これを定量的に評価するためには,惑星の固有磁場,誘導磁場,実際の恒星風の風圧,大気組成などの未知のファクターが必要である.
結論
- これらの結果を総合すると,プロキシマb は大量の揮発性物質を失い,居住可能性の乏しい惑星になる可能性もある.しかし同様に,濃い大気を持ち,一定の海を持つ可能性も考えられる.もちろん全ては,初期に惑星が持っていた水の量と,その後にはたらくプロセスの効率に依存する.
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- 先日話題になった,プロキシマ・ケンタウリまわりの地球型惑星発見の関連論文です.
- こちらは同じ観測グループの人達が,プロキシマb の居住可能性について,プロキシマ・ケンタウリの放射の進化や惑星の軌道進化,水の損失などを含めて調べた結果となっています.
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.04760
Obermeier et al. (2016)
K2 Discovers a Busy Bee: An Unusual Transiting Neptune Found in the Beehive Cluster
(K2 による Busy Bee の発見:Beehive Cluster における特異なトランジット海王星型惑星)
ケプラーによる系外惑星探査では,小さく低温な恒星周りに大量の小型な惑星を発見してきた.従って,星団もトランジットによる系外惑星の探査対象となる.ケプラーの K2 ミッションでは,黄道面に近い星団や星形成領域も観測領域に入っている.
ここでは,中間的な年齢 (800 Myr) の散開星団である,Beehive Cluster (別名 Praesepe, プレセペ星団) 内での初めてのトランジット惑星の発見を報告する.
今回発見されたのは,スペクトル型 M3.0 の K2-95 のまわりの惑星である.K2 ミッションの Campaign 3 の視野内にあり,有効温度 3471 K,半径は 0.402 太陽半径である.また金属量は太陽とほぼ等しい.発見された惑星 K2-95b は半径が 3.47 地球半径,軌道周期が 10.134 日である.
測光観測,中/高分解能の分光観測,補償光学を用いた撮像観測,スペックル撮像でフォローアップ観測を行った.また過去のアーカイブデータからも,このトランジットシグナルが偽陽性 (惑星以外によって引き起こされているシグナル) である可能性を排除した.
この惑星のサイズは,M 型星まわりの惑星としては特異である.M 型星が海王星サイズのトランジット惑星を持つのは稀であると考えられる.
K2-95b の比較的大きな半径は,最近の星団内で発見されている惑星である K2-25b (ヒアデス星団内),K2-33b (Upper Scorpius 内) の値と整合的である.そのため,惑星の進化や形成過程には星団の内外で系統的な違いが存在することを示唆している.この惑星は,星団外の恒星と星団内の恒星まわりでは,惑星の分布が異なることを確かめるための良い対象となるだろう.
その後のさらなる観測では,14 の惑星は散開星団内に発見されている.例えば,NGC 6811 (Meibom et al. 2013),NGC 2423 (Lovis & Mayor 2007),M67 (Brucalassi et al. 2014, 2016),Beehive (Presepe) (Quinn et al. 2012など),Hyades (Sato et al. 2007など),Upper Scorpius (David et al. 2016など) である.
これに加えて,Tauras-Auriga (おうし座・ぎょしゃ座) の星形成領域にある 2 Myr 程度の年齢の恒星周りに,視線速度法によって惑星が発見されている.
星団内のトランジット惑星は全てケプラー宇宙望遠鏡を用いて検出されている.ケプラーの 2 個目のリアクションホイールが故障した後は,K2 ミッションとして新たにトランジット惑星の探査を行っている.
Beehive cluster (M44),別名プレセペは,K2 の Campaign 5 の視野内にある散開星団である.ここでは,K2 によるプレセペの観測データの解析を行うことによって惑星を発見した.
金属量:[Fe/H] = 0.11
有効温度:3471 K
質量:0.402 太陽半径
半径:0.361 太陽質量
光度:0.021 太陽光度
距離:171 pc
軌道長半径:0.0653 AU
半径:3.47 地球半径
今回惑星が発見された星団は日本語ではプレセペ星団という名称の方が有名ですが,"Beehive Cluster" という愛称でも呼ばれているようです.「蜂の巣星団」という意味があります."蜂の巣星団" 内での惑星の発見ということで,それにひっかけて論文のタイトルも "a Busy Bee" としたようです.なお busy bee の方には「働き者」という意味があります.
arXiv:1608.04760
Obermeier et al. (2016)
K2 Discovers a Busy Bee: An Unusual Transiting Neptune Found in the Beehive Cluster
(K2 による Busy Bee の発見:Beehive Cluster における特異なトランジット海王星型惑星)
概要
散開星団 (open cluster) はこれまでの系外惑星探査の対象となってきたが,現在までに僅かな数の惑星しか発見されていない.ケプラーによる系外惑星探査では,小さく低温な恒星周りに大量の小型な惑星を発見してきた.従って,星団もトランジットによる系外惑星の探査対象となる.ケプラーの K2 ミッションでは,黄道面に近い星団や星形成領域も観測領域に入っている.
ここでは,中間的な年齢 (800 Myr) の散開星団である,Beehive Cluster (別名 Praesepe, プレセペ星団) 内での初めてのトランジット惑星の発見を報告する.
今回発見されたのは,スペクトル型 M3.0 の K2-95 のまわりの惑星である.K2 ミッションの Campaign 3 の視野内にあり,有効温度 3471 K,半径は 0.402 太陽半径である.また金属量は太陽とほぼ等しい.発見された惑星 K2-95b は半径が 3.47 地球半径,軌道周期が 10.134 日である.
測光観測,中/高分解能の分光観測,補償光学を用いた撮像観測,スペックル撮像でフォローアップ観測を行った.また過去のアーカイブデータからも,このトランジットシグナルが偽陽性 (惑星以外によって引き起こされているシグナル) である可能性を排除した.
この惑星のサイズは,M 型星まわりの惑星としては特異である.M 型星が海王星サイズのトランジット惑星を持つのは稀であると考えられる.
K2-95b の比較的大きな半径は,最近の星団内で発見されている惑星である K2-25b (ヒアデス星団内),K2-33b (Upper Scorpius 内) の値と整合的である.そのため,惑星の進化や形成過程には星団の内外で系統的な違いが存在することを示唆している.この惑星は,星団外の恒星と星団内の恒星まわりでは,惑星の分布が異なることを確かめるための良い対象となるだろう.
研究背景
これまでの各種星団における惑星のトランジットサーベイは,47 Tuc (きょしちょう座47) (Gilliland et al. 2000など),NGC 2301 (Howell et al. 2005),NGC 7789 (Bramich & Horne 2006) があるが,これらではトランジット惑星は発見されなかった.その後のさらなる観測では,14 の惑星は散開星団内に発見されている.例えば,NGC 6811 (Meibom et al. 2013),NGC 2423 (Lovis & Mayor 2007),M67 (Brucalassi et al. 2014, 2016),Beehive (Presepe) (Quinn et al. 2012など),Hyades (Sato et al. 2007など),Upper Scorpius (David et al. 2016など) である.
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M67 中の全ての惑星,NGC 2423 中の惑星と,ヒアデス星団・プレセペ星団のそれぞれ 1 個の惑星は視線速度法で検出されていた.NGC 6811 内の全ての惑星,ヒアデスと Upper Scorpius 内のそれぞれ 1 個の惑星はトランジット法で検出されていた.どの惑星も,大量にガスをまとった巨大ガス惑星である.天文・宇宙物理関連メモ vol.269 David et al. (2016) 若い海王星サイズの惑星 K2-33b
天文・宇宙物理関連メモ vol.160 Mann et al. (2015) ヒアデス星団中での若い海王星サイズ惑星の発見
これに加えて,Tauras-Auriga (おうし座・ぎょしゃ座) の星形成領域にある 2 Myr 程度の年齢の恒星周りに,視線速度法によって惑星が発見されている.
星団内のトランジット惑星は全てケプラー宇宙望遠鏡を用いて検出されている.ケプラーの 2 個目のリアクションホイールが故障した後は,K2 ミッションとして新たにトランジット惑星の探査を行っている.
Beehive cluster (M44),別名プレセペは,K2 の Campaign 5 の視野内にある散開星団である.ここでは,K2 によるプレセペの観測データの解析を行うことによって惑星を発見した.
パラメータ
K2-95
スペクトル型:M3.0金属量:[Fe/H] = 0.11
有効温度:3471 K
質量:0.402 太陽半径
半径:0.361 太陽質量
光度:0.021 太陽光度
距離:171 pc
K2-95b
軌道周期:10.13389 日軌道長半径:0.0653 AU
半径:3.47 地球半径
今回惑星が発見された星団は日本語ではプレセペ星団という名称の方が有名ですが,"Beehive Cluster" という愛称でも呼ばれているようです.「蜂の巣星団」という意味があります."蜂の巣星団" 内での惑星の発見ということで,それにひっかけて論文のタイトルも "a Busy Bee" としたようです.なお busy bee の方には「働き者」という意味があります.


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