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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.04714
Stevens et al. (2016)
KELT-12b: A P∼5 Day, Highly Inflated Hot Jupiter Transiting a Mildly Evolved Hot Star
(KELT-12b:やや進化した高温星をトランジットする,5 日周期の,大きく膨張したホットジュピター)

概要

やや進化した中心星の周りに,トランジット法を用いて木星質量の膨張した半径を持つ惑星 KELT-12b を発見した.

最初のトランジットシグナルは,KELT-North サーベイによって検出された.またその後,精密な測光観測,高分解能の分光観測,視線速度観測,補償光学を用いた撮像観測によってフォローアップを行った.

中心星は TYC 2619-1057-1 であり,等級は 10.64,有効温度は 6278 K,金属量は [Fe/H] = 0.19 であり,質量は 1.59 太陽質量,半径は 2.37 太陽半径であった.
惑星は質量が 0.95 木星質量,半径は 1.79 木星半径である.平均密度は 0.21 g cm-3 で,発見されている中で最も膨張した巨大惑星の一つである

KELT-12b の軌道長半径は ~ 0.07 AU,軌道周期は 5.03 日と中心星からはやや離れているが,受け取る日射量は 2.93 × 109 erg s-1 cm-2 と大きい.

また,高温 (> 6250 K) と低温度星まわりの惑星の半径と受け取る日射量の関係を比較した.高温の恒星周りにある日射量の小さいトランジット惑星は数が少ないが,これは観測の選択効果によるものである.

今後の,長期間に渡る地上からの高温の恒星のモニタリングと,宇宙空間からのトランジット惑星サーベイ用の宇宙機 TESS (Transiting Exoplanet Survey Telescope) での,比較的長い周期を持つ膨張した巨大ガス惑星探査の重要性を示す結果である.

パラメータ

KELT-12 (TYC 2619-1057-1)
別名:GSC 02619-01057,2MASS J17503372+3634128
等級:10.64
質量:1.592 太陽質量
半径:2.37 太陽半径
有効温度:6278 K
金属量:[Fe/H] = 0.194
距離:360 pc
年齢:2.2 Gyr
KELT-12b
軌道周期:5.031450 日
軌道長半径:0.06710 AU
質量:0.95 木星質量
半径:1.79 木星半径
平均密度:0.207 g cm-3
平衡温度:1800 K

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.03597
Ma et al. (2016)
Very Low-Mass Stellar and Substellar Companions to Solar-like Stars From MARVELS VI: A Giant Planet and a Brown Dwarf Candidate in a Close Binary System HD 87646
(MARVELS による太陽型星まわりの超低質量の恒星と準恒星伴星 VI:近接連星系 HD 87646 内の巨大惑星と褐色矮星候補天体)

概要

近接連星 HD 87646 の周囲に,視線速度法を用いて巨大惑星と褐色矮星候補天体 MARVELS-7b, MARVELS-7c を検出した.近接連星系内において,中心星を公転する 1 個よりも多い準恒星質量天体 (褐色矮星,惑星) が発見された初めての例である.

巨大ガス惑星の検出は,Sloan Digital Sky Survey telescope の KeckET を用いて行われ,その後視線速度や分光観測によって追観測が行われた.

HD 87646 は,連星間距離が ~ 22 AU の近接連星である.これは,ヒッパルコス衛星と,パロマーにある 280-inch Hale Telescope の PALAO による補償光学撮像観測から推定された値である.

連星の主星 HD 87646A は,有効温度が 5770 K,金属量が [Fe/H] = -0.17 である.

惑星は最小質量が 12.4 木星質量,軌道周期が 13.481 日,軌道離心率が 0.05であり,褐色矮星候補天体は最小質量が 57.0 木星質量,軌道周期が 674 日,軌道離心率は 0.50 である.

力学的シミュレーションより,連星系が大きな軌道長半径を持ち,小さい軌道離心率を持つ場合は系が安定であることが示された.これは,将来的なアストロメトリ観測で検証可能である.
※注釈
MARVELS: Multi-Object APO Radial Velocity Exoplanet Large-Area Survey の略称 (Ge et al. 2008, 2009など).
APO は,Apache Point Observatory (アパッチポイント天文台) の略称.

パラメータ

HD 87646A
有効温度:5770 K
金属量:[Fe/H] = -0.17
質量:1.12 太陽質量
半径:1.55 太陽半径
HD 87646b (MARVELS-7b)
軌道周期:13.481 日
最小質量:12.4 木星質量
軌道長半径:0.117 AU
軌道離心率:0.05
HD 87646c (MARVELS-7c)
軌道周期:674 日
最小質量:57.0 木星質量
軌道長半径:1.58 AU
軌道離心率:0.50

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.04225
Faedi et al. (2016)
WASP-86b and WASP-102b: super-dense versus bloated planets
(WASP-86b と WASP-102b:非常に高密度の惑星と膨張した惑星)

概要

WASP サーベイによる 2 つの惑星の発見を報告する.

WASP-86b は高密度の木星よりやや軽い質量の天体であり,0.82 木星質量,0.63 木星半径である.
WASP-102b は膨張した土星的な惑星であり,0.62 木星質量,1.27 木星半径である.

WASP-102b は,理論的なモデルよりも大きな半径を持ち,強い輻射の影響による半径の膨張を示唆している.

一方で WASP-86b は平均密度が木星の 3.24 倍あり,0.05 - 2.0 木星質量を持つ惑星の中では最も大きな密度を持つ部類に入る.中心星は質量が 1.23 太陽質量,金属量が [Fe/H] = 0.23 であるため,原始惑星系円盤も重元素が豊富にあったと期待される.この系は,外側に別の惑星を持つ可能性がある.

惑星内部構造の理論モデルを外挿すると,WASP-86b は 80%が重元素からなっていると考えられる.この重元素は,コアに存在するかエンベロープに溶けているかである.この割合は,WASP-86b は全質量の ~ 260 地球質量のうち,コア質量が ~ 210 地球質量ある事に相当する.この惑星よりも高密度なのは,2 木星質量より重い惑星のみであり,WASP-86b は例外的な惑星である.

パラメータ

WASP-86系

WASP-86
スペクトル型:F7
有効温度:6330 K
金属量:[Fe/H] = 0.23
質量:1.239 太陽質量
半径:1.291 太陽半径
年齢:0.8 Gyr
WASP-86b
軌道周期:5.031555 日
質量:0.821 木星質量
半径:0.632 木星半径
平均密度:3.24 木星密度
軌道長半径:0.0617 AU
平衡温度:1415 K

WASP-102系

WASP-102
スペクトル型:G0
有効温度:5940 K
金属量:[Fe/H] = 0.09
質量:1.167 太陽質量
半径:1.331 太陽半径
年齢:0.6 Gyr
WASP-102b
軌道周期:2.709813 日
質量:0.624 木星質量
半径:1.259 木星半径
平均密度:0.311 木星密度
軌道長半径:0.0401 AU
平衡温度:1705 K

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.02945
Murphy et al. (2016)
A planet in an 840-d orbit around a Kepler main-sequence A star found from phase modulation of its pulsations
(恒星の脈動の位相変動からのケプラー A 型主系列星まわりの 840 日の軌道の惑星)

概要

A 型星 KIC 7917485 のハビタブルゾーンの中,あるいは周辺を公転する,12 木星質量の惑星 KIC 7917485b を検出した.この惑星は,軌道運動による恒星の脈動の位相のずれを元に検出された.

これまでの A 型主系列星まわりの惑星は,全てトランジット法か直接撮像によって発見されてきた.A 型主系列星まわりではこれまで視線速度法やアストロメトリによる惑星の検出例は無く,惑星の軌道運動に由来する手法による検出はこれが初めてである.

また,1 σ でハビタブルゾーンの内部に惑星を持っている初めての A 型星である.

この惑星の検出は,A 型星は遠方に大きな質量の惑星を持つという説を支持する結果である.

これまでの観測の概要

A 型星まわりの惑星

これまでに系外惑星は多数発見されているが,A 型星まわりの惑星についてはあまり分かっていない.2016 年 5 月に新たに 1284 個の系外惑星が追加されたが (Morton et al. 2016),これまでに確認された A 型星まわりの惑星は 20 個に満たない.

過去に,"Retired A star" プロジェクト (Johnson et al. 2007) などの,低温の準巨星での視線速度観測より,惑星の存在頻度 (planet occurrence rate) は,主星の質量が 1.9 (+0.1, -0.5) 太陽質量で最大になるという示唆が得られている (Reffert et al. 2015).この質量は,A 型主系列星が不安定帯 (instability strip) に重なる質量とよく一致している.この質量領域では,たて座デルタ型変光星 (delta Scuti pulsator) というタイプの変光星が一般的である.

A 型星まわりの惑星検出の困難

この質量の範囲にある主星まわりに惑星があまり発見されていないのは,観測の選択効果で説明が可能である.すなわち,これらの恒星では,他の恒星では有効な惑星検出手法が上手く使えないということである.

トランジット法に関しては,中心星の脈動による mmag 程度の大きさの光度変動がトランジットでの検出の障害となる.また,A 型星まわりでは大きな軌道を持つ惑星が多いため (Johnson et al. 2011),トランジット確率が低い.

視線速度法に関しては,A 型星のスペクトルに隠されるという影響がある.A 型星は典型的には自転速度が早く,赤道での速度の平均は 100 km s-1 を超える (Abt & Morrell 1995など).また有効温度が高く,恒星大気での吸収線が少なく浅いという影響もある.さらに,これらのスペクトル線は恒星の脈動によっても歪められる.従って視線速度測定の精度が悪く,最近でも視線速度の測定精度は 1 - 2 km s-1 程度に留まる (Becker et al. 2015).

恒星の脈動はトランジット法や視線速度法での惑星検出の邪魔をするが,幸いにも脈動自身を惑星の軌道運動の測定手段として用いることが可能である (Murphy et al. 2014).たて座デルタ型変更性はその測定に適している (Compton et al. 2016).

トランジット法と直接撮像による発見例

現在までに,軌道運動を介した検出手法 (視線速度法,アストロメトリ,脈動時刻変動) による A 型主系列星まわりの惑星発見の前例は無い.トランジット法と直接撮像による A 型星周りの惑星発見の前例はある.

トランジット法では,ケプラー13,ケプラー462,ケプラー516,ケプラー959,ケプラー1115,ケプラー1171,ケプラー1517 (Morton et al. 2016),WASP-33 (Collier Cameron et al. 2010),HAT-P-57 (Hartmann et al. 2015),KELT-17 (Zhou et al. 2016) の周りに惑星が発見されている.これらの惑星のうち,軌道周期が 85 日である ケプラー462b を除くと,全て軌道周期は 30 日以下である.また,NASA Exoplanet Archive に掲載されている直接撮像による発見例では,惑星は全て大きな軌道を持っている.HD 100546b,HIP 78530b,アンドロメダ座カッパ星b は,B 型星まわりの準恒星質量天体であり惑星と低質量褐色矮星の境界である 13 木星質量より重い.
A 型星まわりでは,フォーマルハウトb (Stapelfeld et al. 2004),がか座ベータ星b (Lagrange et al. 2010),HD 95086b (Rameau et al. 2013),複数惑星系の HR 8799b, c, d, e (Marois et al. 2008),三重連星系内の惑星である HD 131399Ab (Wagner et al. 2016) が発見されている.全て軌道長半径は 9 - 177 AU の範囲内にある.その他に,進化した高温の恒星まわりでの惑星の発見も報告されている.
白色矮星連星であるへび座NN星のまわりに,eclipse timing variation で発見された例 (Brinkworth et al. 2006),B 型準矮星 (subdwarf B star, sdB star) であるペガスス座V0391星まわりに pulsation timing variation で発見された惑星 (Silvotti et al. 2007),別の sdB star の KIC 10001893 での発見 (Silvotti et al. 2014),KIC 5807616 に orbital brightness modulation で発見された例 (Charpinet et al. 2011) などがある.ただし最後の一例については存在が未確定である (Krzesinski et al. 2015).

パラメータ

KIC 7917485
等級:13.2
有効温度:7067 K
金属量:[Fe/H] = -0.02
質量:1.63 太陽質量
光度:9.9 太陽光度
KIC 7917485b
軌道周期:840 日
軌道離心率:0.15
最小質量:11.8 木星質量

議論

発見された惑星は最小質量が 11.8 木星質量であり,惑星と褐色矮星の境界に近い.

また中心星のハビタブルゾーン内にあると考えられる.この天体に固体の表面は存在しないと考えられるが,高温の衛星を持っている可能性はあるため,ハビタブルゾーンの議論を行う価値はある.

中心星の光度はあまりよく成約されていない.また主系列のどの段階化によって光度は変化する.解析の結果,1 σ の確度でハビタブルゾーンに惑星が存在するという結果を得た.この値は,将来の Gaia ミッションでこの天体までの距離が判明すれば見積もりはより正確になると期待される.

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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1608.02346
Mallonn et al. (2016)
Broad-band spectrophotometry of HAT-P-32 b: Search for a scattering signature in the planetary spectrum
(HAT-P-32b の広帯域分光測光:惑星スペクトル中の散乱の兆候の探索)

概要

HAT-P-32b の多波長でのトランジット観測を行った.新規に得られた 21 回の観測結果と,過去の 36 回の観測結果を合わせて解析した.

その結果惑星大気は,太陽と同じ金属量で雲が存在しないものであるというモデルは排除された.また,最も赤い波長での過去のトランジット観測結果との違いから,最近報告された大気での散乱による特徴の暫定的な検出には否定的な結果が得られた.

惑星大気のスペクトルは,近紫外線から近赤外線にかけて完全に平らであるというモデルとよく一致する.従って,この惑星の大気は高高度に厚い雲の層を持つと解釈するのが自然である.

研究背景

HAT-P-32b は,Hartman et al. (2011) によって発見が報告された.トランジット深さが 2%程度以上と比較的深く,大気のスケールハイトは ~ 1000 km とこちらも大きい.さらに中心星の等級は 11.4 と比較的明るいため,惑星大気の透過スペクトルを観測するには良い対象である.

この惑星の大気は,雲が存在せず,なおかつ Na, K, 水の吸収が欠乏しているという報告がされている (Gibson et al. 2013).なおこの報告では惑星大気の金属量として太陽組成が仮定されている.この結果は最近の観測で追確認されている (Nortmann et al. 2016).

しかし,Mallonn & Strassmeier (2016) では,300 - 1000 nm の波長帯の青い側では,実効的な半径が増加して slope になっているという報告がされていた.この研究では,この実効的な惑星は系の青い波長側での増加を,複数回・多波長での観測を行うことで検証した.

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