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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1511.08508
Hirano et al. (2015)
The K2-ESPRINT Project III: A Close-in Super-Earth around a Metal-rich Mid-M Dwarf
(K2 ESPRINTプロジェクトIII:金属量の多いM型星を公転する中心星に近接したスーパーアース)
位相で折りたたんだ K2の光度曲線は V字型をしていた。通常は惑星のトランジットによる光度曲線は U字型に近い形になり、V字型の光度曲線はかすめるような食を起こす食連星による偽陽性の場合がある。しかしこの V字型の光度曲線は、小さな恒星である EPIC 206318379を惑星がトランジットするのにかかる時間 (transit duration)が、K2の観測の cadenceである 30分と同程度であることが原因となって引き起こされている。フォローアップ観測では、シャープな食への入り (ingress)と出現 (egress)が確認され、また光度曲線の底は平らであった。これらの結果より、かすめるような食を起こす食連星によるシグナルという可能性は排除された。また、全てのバンドで、トランジット深さは K2によるデータの 2.2σ以内であった。
また補償光学を用いた EPIC 206318379周辺の撮像観測より、背景の食連星による擬陽性であるという可能性は < 2 × 10-5と判明した。また 5つのバンド全てで一定のトランジット深さになることから、M4型よりも晩期の恒星は持たず、EPIC 206318379が他の M4型矮星を伴星として持つ可能性は低い。従って、EPIC 206318379bは惑星であると考えられる。
EPIC 206318379bは、これまでに良く研究がされている GJ 1214bと同程度のサイズを持ち、同程度の日射を受けている。従って、これらの惑星の大気組成の比較も将来的には興味深い研究対象となると考えられる。
半径:0.264太陽半径
有効温度:3214 K
金属量:[Fe/H] = 0.31 dex
距離:53 pc
軌道長半径:0.0216 AU
半径:2.38地球半径
ボンドアルベドを 0とした場合の平衡温度:570 K
ボンドアルベドを 0.4とした場合の平衡温度:502 K
ケプラーの K2ミッションによる系外惑星候補を追加観測で確認したというものです。
現段階では EPICの番号で呼ばれていますが、いずれ K2-xx、K2-xxb という K2番号が与えられると思われます。
arXiv:1511.08508
Hirano et al. (2015)
The K2-ESPRINT Project III: A Close-in Super-Earth around a Metal-rich Mid-M Dwarf
(K2 ESPRINTプロジェクトIII:金属量の多いM型星を公転する中心星に近接したスーパーアース)
概要
EPIC 206318379まわりの、中心星に非常に近い軌道を持ち、軌道周期 2.26日で公転するスーパーアース (2.38地球半径)の候補の存在を確認した。中心星は金属量が多い M4矮星 (主系列星)であり、K2ミッション の Campaign 3の視野内に存在する。この天体を、可視光から近赤外領域の多波長での低分解能のフォローアップ観測と、高分解能の補償光学撮像でのフォローアップ観測を行った。位相で折りたたんだ K2の光度曲線は V字型をしていた。通常は惑星のトランジットによる光度曲線は U字型に近い形になり、V字型の光度曲線はかすめるような食を起こす食連星による偽陽性の場合がある。しかしこの V字型の光度曲線は、小さな恒星である EPIC 206318379を惑星がトランジットするのにかかる時間 (transit duration)が、K2の観測の cadenceである 30分と同程度であることが原因となって引き起こされている。フォローアップ観測では、シャープな食への入り (ingress)と出現 (egress)が確認され、また光度曲線の底は平らであった。これらの結果より、かすめるような食を起こす食連星によるシグナルという可能性は排除された。また、全てのバンドで、トランジット深さは K2によるデータの 2.2σ以内であった。
また補償光学を用いた EPIC 206318379周辺の撮像観測より、背景の食連星による擬陽性であるという可能性は < 2 × 10-5と判明した。また 5つのバンド全てで一定のトランジット深さになることから、M4型よりも晩期の恒星は持たず、EPIC 206318379が他の M4型矮星を伴星として持つ可能性は低い。従って、EPIC 206318379bは惑星であると考えられる。
EPIC 206318379bは、これまでに良く研究がされている GJ 1214bと同程度のサイズを持ち、同程度の日射を受けている。従って、これらの惑星の大気組成の比較も将来的には興味深い研究対象となると考えられる。
系のパラメータ
EPIC 206318379
質量:0.293太陽質量半径:0.264太陽半径
有効温度:3214 K
金属量:[Fe/H] = 0.31 dex
距離:53 pc
EPIC 206318379b
軌道周期:2.260410日軌道長半径:0.0216 AU
半径:2.38地球半径
ボンドアルベドを 0とした場合の平衡温度:570 K
ボンドアルベドを 0.4とした場合の平衡温度:502 K
ケプラーの K2ミッションによる系外惑星候補を追加観測で確認したというものです。
現段階では EPICの番号で呼ばれていますが、いずれ K2-xx、K2-xxb という K2番号が与えられると思われます。
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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1511.08679
Kane et al. (2015)
Evidence for Reflected Light from the Most Eccentric Exoplanet Known
(最も大きな軌道離心率を持つ系外惑星からの反射光の証拠)
また、惑星が近点を通過している際の視線速度のデータを AAT, PARASによって取得した。これらのデータから、惑星の軌道の性質の理解を大きく深めることが出来る。ケプラー軌道の解析と、ヒッパルコス衛星でのアストロメトリデータとの複合解析より、惑星軌道の傾斜角は i > 1.25°という制限が与えられた。これにより、HD 20782bの質量が恒星質量である可能性は排除された。
(※視線度法で得られる最小質量は M sin iであり、真の質量は 最小質量を sin iで割ったものになるため)
長期間に渡る自動測光観測から、恒星は長時間にわたって極めて静穏な活動であることが分かった。また、MOSTによる恒星の測光観測からは、トランジットを起こしうるタイミングでのトランジットは検出されなかった。また惑星が金展付近を通過する際の測光観測のデータから、惑星の位相による光度の変動を検出した。これは惑星大気での反射光によるものだと考えられる。惑星が金展を通過する前後では恒星と惑星との間隔が大幅に変化し、それにともなって反射光の強さも大きく変化する。
特に大きな軌道離心率を持つ惑星は、HD 20782のまわりで発見された (Jones et al. 2006)。この惑星は、最小質量が M sini ~ 2木星質量で、軌道周期が 297日、軌道離心率が非常に大きいことが分かった。軌道要素は後の観測で改訂され、軌道離心率は e ~ 0.97 (O'Toole et al. 2009)と判明した。これはこれまでに発見されている系外惑星の中で最も大きな軌道離心率の値である。このような系は、惑星が近点付近を通過する際は視線速度が非常に大きな変化を示すためデータを得るのが難しい。この系を、TERMSによって継続的に観測した。
また、長周期で軌道離心率が大きい惑星のトランジットの検出も目標の一つである。類似の惑星でトランジットが検出されている例としては、軌道離心率が 0.93のHD 80606b (Naef et al. 2001)がある。この系では、二次食 (secondary eclipseが)検出され (Laughlin et al. 2009)、その後トランジットも確認されている (Fossey et al. 2009, Garcia-Melendo & McCullough 2009, Moutou et al. 2009)。
さらに、惑星が近点を通過する際は恒星と惑星の間隔が急激に小さくなるため、惑星の反射光も大幅に増加する。この時の惑星の軌道の位相による変化の観測もモチベーションの一つである (Kane & Gelino 2010)。このような観測は、惑星の幾何学的アルベドや、放射のタイムスケール、医龍のタイムスケールの制限に関して重要である (Seager et al. 2005, Fortney et al. 2008)。
等級:V = 7.4
距離:35.5 pc
有効温度:5798 K
金属量:[Fe/H] = 0.01 dex
質量:1.02太陽質量
半径:1.09太陽半径
年齢:5.53 Gyr
しかし Sahlmann et al. (2011)のシミュレーションによると、軌道長半径がヒッパルコス衛星の精度の少なくとも 70%の場合は、常に 3σで検出することが出来る。従って、2.45 mas以上の軌道の特徴はヒッパルコス衛星のデータセットから検出できたはずである。これにより、HD 20782bの質量には上限値が与えられる。
結果として、傾斜角の下限値は 1.22度、質量の上限値は 66木星質量となった。アストロメトリのデータでは系の傾斜角を強く制限することは出来なかったが、軌道が検出できないという事実からは質量の上限値が得られ、恒星同士の伴星であるという可能性は排除された。
仮に軌道長半径が同じ値で、円軌道だった場合、トランジット確率は ~ 0.4%と非常に小さい値となる。しかし軌道離心率が非常に大きく、近点距離は 0.061 AU、トランジットが起きうる場所での距離は 0.076 AUと構成に非常に近いため、0.076 AUの位置でのトランジット確率は 7.1%にまで上昇する。
しかしトランジットは観測されず、惑星の軌道の位相による変動は検出された。
これらの観測から惑星の要素の改訂も行い、軌道周期 597.065日、軌道離心率 0.956、最小質量 1.43木星質量、軌道長半径 1.397 AU、近点距離 0.061 AU、遠点距離 2.7 AUとなった。
arXiv:1511.08679
Kane et al. (2015)
Evidence for Reflected Light from the Most Eccentric Exoplanet Known
(最も大きな軌道離心率を持つ系外惑星からの反射光の証拠)
概要
大きな軌道離心率を持つ惑星は、太陽系には存在しないタイプの天体である。これらの惑星のうち最も極端なものは、HD 20782を公転する惑星である。この惑星は、軌道周期が 597日、軌道離心率は e ~ 0.96である。ここではこの天体の Transit Ephemeris Refinment and Monitoring Survey (TERMS)でのデータとその解析結果について報告する。また、恒星の基本的なパラメータを独立して得るために、CHIRONスペクトルを得て解析を行った。また、惑星が近点を通過している際の視線速度のデータを AAT, PARASによって取得した。これらのデータから、惑星の軌道の性質の理解を大きく深めることが出来る。ケプラー軌道の解析と、ヒッパルコス衛星でのアストロメトリデータとの複合解析より、惑星軌道の傾斜角は i > 1.25°という制限が与えられた。これにより、HD 20782bの質量が恒星質量である可能性は排除された。
(※視線度法で得られる最小質量は M sin iであり、真の質量は 最小質量を sin iで割ったものになるため)
長期間に渡る自動測光観測から、恒星は長時間にわたって極めて静穏な活動であることが分かった。また、MOSTによる恒星の測光観測からは、トランジットを起こしうるタイミングでのトランジットは検出されなかった。また惑星が金展付近を通過する際の測光観測のデータから、惑星の位相による光度の変動を検出した。これは惑星大気での反射光によるものだと考えられる。惑星が金展を通過する前後では恒星と惑星との間隔が大幅に変化し、それにともなって反射光の強さも大きく変化する。
研究背景
これまでの観測から、大きな軌道離心率を持つ巨大ガス惑星がいくつも発見されている。その例が、HD 114762b (Latham et al. 1989)、おとめ座70番星b (Marcy & Butler 1996)である。これらはそれぞれ軌道離心率が 0.33、0.40という値を持つ。このような大きな軌道離心率を持つ惑星は、惑星の形成理論にも影響を与える。例えば、惑星同士の散乱の効果や (Chatterjee et al. 2008)、潮汐による円軌道化 (Pont et al. 2011)などである。特に大きな軌道離心率を持つ惑星は、HD 20782のまわりで発見された (Jones et al. 2006)。この惑星は、最小質量が M sini ~ 2木星質量で、軌道周期が 297日、軌道離心率が非常に大きいことが分かった。軌道要素は後の観測で改訂され、軌道離心率は e ~ 0.97 (O'Toole et al. 2009)と判明した。これはこれまでに発見されている系外惑星の中で最も大きな軌道離心率の値である。このような系は、惑星が近点付近を通過する際は視線速度が非常に大きな変化を示すためデータを得るのが難しい。この系を、TERMSによって継続的に観測した。
観測のモチベーション
HD 20782は、HD 20781との遠距離の連星となっている。投影距離は ~ 9000 AUである (Mack et al. 2014)。このような系での惑星の軌道の精密な決定が観測のモチベーションの一つである。また、長周期で軌道離心率が大きい惑星のトランジットの検出も目標の一つである。類似の惑星でトランジットが検出されている例としては、軌道離心率が 0.93のHD 80606b (Naef et al. 2001)がある。この系では、二次食 (secondary eclipseが)検出され (Laughlin et al. 2009)、その後トランジットも確認されている (Fossey et al. 2009, Garcia-Melendo & McCullough 2009, Moutou et al. 2009)。
さらに、惑星が近点を通過する際は恒星と惑星の間隔が急激に小さくなるため、惑星の反射光も大幅に増加する。この時の惑星の軌道の位相による変化の観測もモチベーションの一つである (Kane & Gelino 2010)。このような観測は、惑星の幾何学的アルベドや、放射のタイムスケール、医龍のタイムスケールの制限に関して重要である (Seager et al. 2005, Fortney et al. 2008)。
HD 20782系のパラメータ
HD 20782
中心星の基本的なパラメータの決定には、チリの Cerro Tololo Inter-American Observatory (CTIO)の 1.5 m望遠鏡に搭載されている CHIRONを用いた。この装置は、415 - 880 nmの波長帯で、R = 79000の波長分解能を持つ。等級:V = 7.4
距離:35.5 pc
有効温度:5798 K
金属量:[Fe/H] = 0.01 dex
質量:1.02太陽質量
半径:1.09太陽半径
年齢:5.53 Gyr
HD 20782b
ヒッパルコス衛星によるアストロメトリデータ
ヒッパルコス衛星によるアストロメトリデータ (van Leeuwen 2007)より、HD 20782bの軌道傾斜角は i = 3.4 (+22.3, -0.5)度という制限が得られたが、非常に弱い制限にとどまった。しかし Sahlmann et al. (2011)のシミュレーションによると、軌道長半径がヒッパルコス衛星の精度の少なくとも 70%の場合は、常に 3σで検出することが出来る。従って、2.45 mas以上の軌道の特徴はヒッパルコス衛星のデータセットから検出できたはずである。これにより、HD 20782bの質量には上限値が与えられる。
結果として、傾斜角の下限値は 1.22度、質量の上限値は 66木星質量となった。アストロメトリのデータでは系の傾斜角を強く制限することは出来なかったが、軌道が検出できないという事実からは質量の上限値が得られ、恒星同士の伴星であるという可能性は排除された。
測光観測
また、系はトランジットを起こす確率が比較的高い。トランジットを起こす確率は、恒星と惑星の半径と、視線方向の恒星と惑星の間隔の関数である。恒星半径は既に独立した観測で見積もり済みである。惑星の半径については、最小質量が 1.41木星質量であることと、Kane & Gelino (2012)の質量-半径依存性から、1.0木星半径とした。仮に軌道長半径が同じ値で、円軌道だった場合、トランジット確率は ~ 0.4%と非常に小さい値となる。しかし軌道離心率が非常に大きく、近点距離は 0.061 AU、トランジットが起きうる場所での距離は 0.076 AUと構成に非常に近いため、0.076 AUの位置でのトランジット確率は 7.1%にまで上昇する。
しかしトランジットは観測されず、惑星の軌道の位相による変動は検出された。
これらの観測から惑星の要素の改訂も行い、軌道周期 597.065日、軌道離心率 0.956、最小質量 1.43木星質量、軌道長半径 1.397 AU、近点距離 0.061 AU、遠点距離 2.7 AUとなった。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1511.08727
Alves et al. (2015)
Dynamics of the 3/1 planetary mean-motion resonance. An application to the HD60532 b-c planetary system
(3/1の惑星の平均運動共鳴の力学 HD 60532b, cへの適用)
共鳴の振る舞いを記述するハミルトン関数のトポロジーを代表平面 (representative planes)で調べた。代表平面を用いることで、時間的なコストがかかる運動方程式の数値シミュレーションや、軌道離心率の大きさへの制限を用いること無く、三体問題の位相空間の大分域を調べることが出来る。
結果として、よく知られた Apsidal Corotation Resonance (ACR)の群の、惑星の質量比によるパラメータ化が得られる。またその安定性について解析した。ACRまわりのドメインでの主要な力学的特徴も、スペクトル解析法による詳細な調査を行った。この手法は、共鳴の系の運動の異なるレジームの領域を検出することが出来る。
様々な値の合計の角運動量の動的マップの構築から、軌道離心率がある場合の安定な運動のドメインの進化が判明し、その系外惑星系に最適な、あり得る配置を特定することが出来る。
さっぱり分からない…
arXiv:1511.08727
Alves et al. (2015)
Dynamics of the 3/1 planetary mean-motion resonance. An application to the HD60532 b-c planetary system
(3/1の惑星の平均運動共鳴の力学 HD 60532b, cへの適用)
概要
外側の惑星が内側の惑星より大きい系での、3/1共鳴の位相空間のグローバル構造を半解析的なアプローチで研究した。その結果、共鳴の力学は、合計の角運動量と、スケーリングパラメータの 2つの基本的なパラメータで記述できることが分かった。共鳴の振る舞いを記述するハミルトン関数のトポロジーを代表平面 (representative planes)で調べた。代表平面を用いることで、時間的なコストがかかる運動方程式の数値シミュレーションや、軌道離心率の大きさへの制限を用いること無く、三体問題の位相空間の大分域を調べることが出来る。
結果として、よく知られた Apsidal Corotation Resonance (ACR)の群の、惑星の質量比によるパラメータ化が得られる。またその安定性について解析した。ACRまわりのドメインでの主要な力学的特徴も、スペクトル解析法による詳細な調査を行った。この手法は、共鳴の系の運動の異なるレジームの領域を検出することが出来る。
様々な値の合計の角運動量の動的マップの構築から、軌道離心率がある場合の安定な運動のドメインの進化が判明し、その系外惑星系に最適な、あり得る配置を特定することが出来る。
さっぱり分からない…
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1511.07908
Marengo et al. (2015)
KIC 8462852 - The Infrared Flux
(KIC 8462852 - 赤外線フラックス)
赤外線領域での超過の欠乏という結果は、KIC 8462852まわりでの小惑星帯での破壊的な衝突イベントや、系内での惑星の巨大衝突による破壊、ダストに覆われた微惑星などのシナリオには否定的なものである。KIC 8462852で報告されている特徴的な光度曲線は、大きな楕円軌道で公転する彗星の群れによるものであると考えられる。この場合は、赤外線での超過の欠乏という結果と整合的である。
この天体を、スピッツァー宇宙望遠鏡の IRACで測光観測を行った。
この系に対するもっともらしいシナリオは、破壊された大きな彗星の群れによるとするものである。
今回の観測では、彗星と考えられる天体からのダストの温度などに制限をかけることは出来ていない。それらを制限するためには、より長波長の観測が必要である。
可視光で奇妙な光度曲線を示したため、「地球外文明の構造物か?」という憶測も飛び出したという、KIC 8462852の赤外線での観測結果です。
可視光での観測の結果についてはこちらも参照。
天文・宇宙物理関連メモ vol.70 Boyajian et al. (2015) KIC 8462852の奇妙な光度曲線の解析
arXiv:1511.07908
Marengo et al. (2015)
KIC 8462852 - The Infrared Flux
(KIC 8462852 - 赤外線フラックス)
概要
KIC 8462852のスピッツァー宇宙望遠鏡による観測データの解析を行った。その結果、3.6 μmでは赤外線の超過は見られなかった。4.5 μmでは 0.43 mJyの小さい超過が見られた。しかしこの値は、検出したと主張するのに必要な 3σの閾値よりは低い。赤外線領域での超過の欠乏という結果は、KIC 8462852まわりでの小惑星帯での破壊的な衝突イベントや、系内での惑星の巨大衝突による破壊、ダストに覆われた微惑星などのシナリオには否定的なものである。KIC 8462852で報告されている特徴的な光度曲線は、大きな楕円軌道で公転する彗星の群れによるものであると考えられる。この場合は、赤外線での超過の欠乏という結果と整合的である。
研究背景
KIC 8462852、別名 TYC 3162-665-1、あるいは 2MASS J20061546+4427248は、等級が 12の恒星である。この天体は、Planet Hunterプロジェクトによって、奇妙な光度曲線を示す天体として偶然に発見された (Fischer et al. 2012)。この天体は、 5 - 80日の継続期間を持つ、最大で ~ 20%の減光を示す (Botajian et al. 2015)。2011年3月5日からのイベントではトランジット継続時間は ~ 3日、2013年2月19日からの一連のイベントでは ~ 60日の継続時間を示した。この天体を、スピッツァー宇宙望遠鏡の IRACで測光観測を行った。
観測結果と結論
スピッツァー宇宙望遠鏡による中間赤外線の観測からは、検出できるレベルの恒星周りのダストは存在しないと結論付けられる。従って、小惑星帯での衝突や、惑星の巨大衝突、ダストに覆われた微惑星などの説は可能性が低い。このような系であれば、3 - 5 μmで大きな超過が観測されるはずだからである。例えば BD+20307では赤外超過が観測されている (Meng et al. 2015など)。この系に対するもっともらしいシナリオは、破壊された大きな彗星の群れによるとするものである。
今回の観測では、彗星と考えられる天体からのダストの温度などに制限をかけることは出来ていない。それらを制限するためには、より長波長の観測が必要である。
可視光で奇妙な光度曲線を示したため、「地球外文明の構造物か?」という憶測も飛び出したという、KIC 8462852の赤外線での観測結果です。
可視光での観測の結果についてはこちらも参照。
天文・宇宙物理関連メモ vol.70 Boyajian et al. (2015) KIC 8462852の奇妙な光度曲線の解析
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1511.07456
Sallum et al. (2015)
Accreting Protoplanets in the LkCa 15 Transition Disk
(LkCa 15遷移円盤中の降着中の原始惑星)
ここでは、LkCa 15のまわりの遷移円盤の空洞の内部を補償光学を用いて観測した。2009 - 2015年までの長期間にわたる精密な測定の結果、ケプラー軌道にある複数の天体の存在が示唆された。
また最も内側にある LkCa 15bからは Hαの放射が直接検出された。これは ~ 10000 Kの高温のガスが、降着している惑星のポテンシャルの井戸の中へ落下していることを証明するものである。
また、Magellan Adaptive Optics System (MagAO)で、Hα (655.8 nm)の観測を行った結果、LkCa bを検出した。この検出は LBTで観測された位置と整合的なものである。
LkCa 15bは cより動きが速く、長期間の観測から、bは 14.7 ± 2.1 AU、cは 18.6 ± 2.5 AUの位置にあると推定される。両天体の軌道が安定に存在するためには、b, cは共に < 5 - 10木星質量である必要がある。この場合、5木星質量を上回れるのは両者が 2:1平均運動共鳴に入っている場合のみである。
また、中心星、b, c, dの4体のシミュレーションを行って安定性の確認をした。その結果、3惑星は 0.5木星質量以下であることが必要である。LkCa 15dが軽い場合は、b, cがより重くても安定である。
また、観測された放射の特徴から、惑星形成の "hot-start" のモデルは除外される。
LkCa 15は若い天体で、周囲に円盤を持ち、原始惑星と思われる天体も直接撮像で発見されています。今回は、原始惑星にガスが降着している事を示す放射を直接検出することに成功し、まさに形成している段階の惑星を初めて直接観測することが出来たという観測結果です。
なお LkCaというのは天体のカタログの名称で、Lick observatory, Calciumから取られています。
これはリック天文台の望遠鏡を用いてカルシウムの輝線を発する天体を同定してカタログ化したもの (Herbig et al. 1986)であり、天文台の名称と観測に用いたカルシウム輝線から LkCaという符号が取られています。そのカタログの中の 15番目の天体が LkCa 15ということです。
なお、LkCa の部分は "リックカルシウム" と発音するのが一般的のようです。
arXiv:1511.07456
Sallum et al. (2015)
Accreting Protoplanets in the LkCa 15 Transition Disk
(LkCa 15遷移円盤中の降着中の原始惑星)
概要
これまでに 1900個あまりの系外惑星が発見されているが、形成途中の段階にあるものは発見されていない。遷移円盤 (transitional disk, 内側が消失している原始惑星系円盤)は、ガスの惑星への降着によってよく説明することができ、惑星形成の研究に関する天然の実験室と言える。幾つかの遷移円盤では、若い惑星による非対称な構造や、LkCa 15で見られるような、円盤の空洞部分における赤外線源の検出が見られている。しかし惑星への降着が起きている直接的な検出はこれまでには成功していない。ここでは、LkCa 15のまわりの遷移円盤の空洞の内部を補償光学を用いて観測した。2009 - 2015年までの長期間にわたる精密な測定の結果、ケプラー軌道にある複数の天体の存在が示唆された。
また最も内側にある LkCa 15bからは Hαの放射が直接検出された。これは ~ 10000 Kの高温のガスが、降着している惑星のポテンシャルの井戸の中へ落下していることを証明するものである。
観測
Large Binocular Telescope (LBT)で、Ksバンド (2.16 μm)、K'バンド (3.9 μm)での観測を行い、LkCa 15b, cの2つを両方のバンドで検出した。また、L'バンドのみで暗い3つ目の LkCa 15dを検出した。LkCa dは b, cに比べて非常に暗く、また Ksバンドでは検出されなかったため、ここでは主に b, cに着目する。また、Magellan Adaptive Optics System (MagAO)で、Hα (655.8 nm)の観測を行った結果、LkCa bを検出した。この検出は LBTで観測された位置と整合的なものである。
LkCa 15bは cより動きが速く、長期間の観測から、bは 14.7 ± 2.1 AU、cは 18.6 ± 2.5 AUの位置にあると推定される。両天体の軌道が安定に存在するためには、b, cは共に < 5 - 10木星質量である必要がある。この場合、5木星質量を上回れるのは両者が 2:1平均運動共鳴に入っている場合のみである。
また、中心星、b, c, dの4体のシミュレーションを行って安定性の確認をした。その結果、3惑星は 0.5木星質量以下であることが必要である。LkCa 15dが軽い場合は、b, cがより重くても安定である。
また、観測された放射の特徴から、惑星形成の "hot-start" のモデルは除外される。
LkCa 15は若い天体で、周囲に円盤を持ち、原始惑星と思われる天体も直接撮像で発見されています。今回は、原始惑星にガスが降着している事を示す放射を直接検出することに成功し、まさに形成している段階の惑星を初めて直接観測することが出来たという観測結果です。
なお LkCaというのは天体のカタログの名称で、Lick observatory, Calciumから取られています。
これはリック天文台の望遠鏡を用いてカルシウムの輝線を発する天体を同定してカタログ化したもの (Herbig et al. 1986)であり、天文台の名称と観測に用いたカルシウム輝線から LkCaという符号が取られています。そのカタログの中の 15番目の天体が LkCa 15ということです。
なお、LkCa の部分は "リックカルシウム" と発音するのが一般的のようです。

